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BOB MARLEY 伝えてきたこと
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1:
名無しさん
BOB MARLEY(本名ロバート ネスタ マーリー)
1945年2月6日〜1981年5月11日
1961年 ティーンエイジャーズ結成
1963年 ザ ウェイラーズ結成
1966年 リタ アンダーソンと結婚
1974年 ボブマーリー&ザ ウェイラーズ再結成
1976年 メッセージ性の強いアルバム「ラスタマン バイブレーション」をリリースし政治闘争に巻き込まれる。
1976年12月3日 野党(JLP)の支援コンサートに出場する2日前に狙撃され重傷を負い、しばらくロンドンへ拠点を移す。
1970年代後半のジャマイカはPNPとJLPの二大政党の対立が激化していた。
1978年4月21日 ボブマーリーは、ワン ラブ ピース コンサートを開催する。このとき対立する二大政党の党首マイケル マンリー(PNP)とエドワード シーガ(JLP)をステージに上げ、数万人の群集の前で握手をさせて、政治統一をも可能にさせた伝説のコンサートとなった。
1979年 東京 大阪あわせて7回の公演を行う
1980年 キャンペーンツアー中、容態が悪くなり倒れる。
1981年5月11日 脳腫瘍により死去 享年36歳
1994年 パフォーマー部門受賞
2005年 誕生60周年「NO WOMAN NO CRY」がグラミーの殿堂入り2007-08-01 15:16:00 -
2:
物語
ここはジャングル。甘い空気。色づくにおい。風に吹かれて、バナナの葉っぱ、ヤシの葉っぱがゆらりゆらり。はるか遠くから聞こえてくるのは、よせてはかえす波の音。赤い花や、黄色い花が、こぼれ落ちるように咲き乱れ、鳥たちは優しい声で歌います。
ほら、耳を澄ましてごらんなさい。人間たちが神をたたえてたたく、タイコの音が聞こえてきます。
ドンドン タカタン ドンドン タカタン ドンドン…
いつも何かが歌います。いつも何かが踊ります。何もかもが息をしています。
ーー生きているからです。
このジャングルには。一匹のライオンが住んでいました。名前はナッティ。おなかが減るとウオーと吠えて、少し怖い顔もしますが、満腹のときは他の動物たちと仲良くじゃれて遊んだりもします。ご機嫌な時のナッティはジャングルの人気者。
何しろナッティの歌う歌はどんな歌よりも力強く、聞いていると知らず知らずのうちに元気がわいてきます。そしてこの不思議な力の歌声をもったライオン、ナッティがこのお話の主人公です。
ある日のことです。お昼ご飯を沢山食べて、お腹がいっぱいになったナッティは、ヤシの木陰で、つい、うとうと…。やがて深い深い眠りに落ちていきました。ずいぶんと長い間ナッティは眠り続けました。
どれくらいですって? そう、かれこれ2000年。いえ、もっともっと長い時間ナッティは眠ってしまったのです。2007-08-01 15:29:00 -
3:
物語
ヒュルルル…。身も心も凍ってしまうほど冷たい風がどこからか。ナッティのたてがみに絡みつきます。ブルルル…。ナッティは長い長い眠りからついに目覚めました。ウーンとのび。――次の瞬間、「ウオオオオ…」
ナッティはもぅ少しで心臓が止まってしまうかと思うぐらい驚いたのです。
たしかに眠ったのはジャングルの中のはず、しかし今ナッティの前に広がるのはジャングルの生き生きとした風景の変わりに、こんな風景。
灰色の角張った塔が何千何百とそびえ立ち、太陽の光をすっかり隠してしまっています。どんよりとしたくろい雲が一面を覆っています。さっきから寒くて仕方がなかったのは、この雲のせいのようです。地面は固くて、裸足で歩くと痛くてしょうがありません。こんな風景の中で風だけは歌っていました。ただ、あまりにも小さい声でむせぶように歌うので、余程耳を澄まさなければ聞き取れません。枯れた声で昔のジャングルの歌を歌います。ときどきせき込むように歌います。
そんな風景の中で動いてるものがいます。それはすごい数です。――人間です。
ナッティのあのころ、眠ったころ、ジャングルのはずれで踊ったり、歌ったり、タイコを叩いたりする人間たちを見たことあります。みんな大声で笑ったり、誰かがケンカをしたり。泣いてる人がいたり。いろんな顔が沢山あって、くるくると表情が変わるのがおもしろくて大きな樹のかぐからあきずに眺めていたものです。
ところがこの風景のなかにいる人間ときたら、みんなおんなじ顔をしているのです。笑いもせず、泣きもせず、怒りもせず、まるで死んでいるかのような少しも表情が変わりません。
ナッティはためしにガオオオと吠えてみました。誰一人振り向きません。そいてもう一度、ガオオオオ…。人間たちは振り向くどころかナッティのいることすら気がつかないのです。
ナッティは心の中にぽっかり穴があいてしまったような気がしました。寂しくて我慢ができなくなってしまいました。悲しくて涙がこぼれてきます。
心の中に、一つの炎。これは悲しみからうまれた怒りの炎。炎はやがて少しずつでも確かに大きく育っていきました。
「いったい誰がこんな世界にしてしまったんだ? きっと見つけて退治してやるんだ」2007-08-01 15:47:00 -
4:
歌
トラブルなんかもぅごめん いざこざなんてもぅたくさん
必要なのは愛 僕らを導き守ってくれる 善き願いは天がかなえてくれるのは 弱気を助けろ いま君が強いのなら
いさこざなんてもぅたくさん 必要なのは愛
しあわせを語ろう
悲惨な戦争が始まる
愛を語ろう
ひどい戦いが始まる
NO MORE TROUBLE/BOB MARLEY (和訳)2007-08-01 15:56:00 -
5:
物語
ナッティは大きな目を見開いて周りを見渡そうとしました。しっかりと目の前にうごめく人間を見たそのときです。
「あ!」人間だと思っていたのに、よく見るとそれはただの影。もぅ少しで消えてしまいそうな影です。
「本当の人間はどこに行っちゃったんだろう」
その影の足下をみると、いました、いました。泣き顔をした人間がいます。影と本当が入れ替わってしまったのです。
「そうか、わかったぞ」
昔ナッティはジャングルの仲間たちと一緒に、物知りフクロウおじじからこんな話を聞いたことがあります。
「私たちはみんな、ずっと大昔、土からうまれたのじゃよ。動物も、木や草も、虫も、生きているものみんなじゃ。そしてな、魂はな、天から授かった。みんな死ぬときはな、体は土に、魂は天へとかえっていくんじゃよ。
それともぅひとつ、風がくれたものがあるんじゃ。それが『心』なんじゃよ。愛する気持ち、欲しいという気持ち、憎む気持ち、辛い気持ち、楽しい気持ち。すべて心から生まれてくる尊いものじゃ。
その心が枯れてしまうとどぅなるか。何も愛せなくなる。憎めなくなる。希望さえもなくなってしまうのじゃ。自分が何を感じて、何を見て、何をしているのかさえわからない。
心が枯れてしまった生き物はすべて影になってしまうんじゃ。自分でもわからんうちにな。幻みたいなもんじゃな。恐ろしいことじゃ。
そうなるとな、とても危ないことになるんじゃ。わしもひぃおじいさんから聞いただけじゃからな、詳しいことは知らんのじゃが、このジャングルを、この世界をねらっている恐ろしい暗闇の王があるそうなんじゃ。たしか『バビロン』とかいう名前じゃった。この世を真っ暗闇にしてしまおうと思っとるらしい。影になった生き物をたくみに利用してな」
ここにいる人間たちは、本当に、暗闇の王の手下になってしまったんだろうか。ナッティは「バビロン」のことを心底憎く思いました。ジャングルのことをとても好きだったし、友達の動物たちのことも好きだったからです。
怒りの炎が増していきます。2007-08-01 16:13:00 -
6:
歌
目を覚ませ 立ち上がれ 自分の権利のために 願いをあきらめるな
宗教屋さん 説教なんか止めてくれ 天国が墓の中にあるなんて あんたはわかっちゃいない いのちの尊さが 光るものすべてが金じゃない 語られてないことがまだあるのさ
たいていの人は思ってる 神が天から降りてきてすべてをぬぐい 幸福をもたらすはずと だけどいのちの尊さを知ったなら ここで自分の権利をさがすだろう 今ひかりを見たなら 立ち上がれ 自分の権利のために
あんたたちの気楽な祝福ゲームはうんざりさ 死ねばイエスの名で天国行きかい 僕らはしってる 全能の神とはいのちのある人 時には人をだませても いつもだませはしない
GET UP STAND UP/BOB MARLEY&PETER TOSH2007-08-01 16:20:00 -
7:
歌
君の行いは君が見てきたこと 自分の行いを見てごらん それによごれがないか はっきりさせるため
君自身のこころが 君を気づかせる それを判断するのは 君のこころのほかにはない
好き勝手に振る舞わず 伝えよう 手をさしのべよう 君の兄弟が必要とするのなら そして伝えよう
自分勝手に生きること それは無意味なこと
人のために生きるなら 君は再び生を授かるはずさ
JAHの王国の中で 人々がみずからを治める 伝えるんだ
闇の中にあるものは やがて光のもとにさらされる 僕たちは善悪を裁くために ここにいるわけじゃない
陽の照りつける暑い日 君は逃れるために日陰をさがす でも僕は知っている 時がたてば再び陽に照らされてしまうことを
PASS IT ON/WATT (和訳)2007-08-01 16:27:00 -
8:
歌
邪悪な者よ なんでそんなにおごるのか やり口はうまくても 賢いとはいえない 不正をしても 空しさが残るだけ でも神の善きちからは永遠だ
お前がでっかい木なら 俺たちゃ小さな斧 切り倒すため研ぎ澄まされ いつでも用意はできている
師が俺に言う 決して弱いこころが栄えることはないと
落とし穴を掘るものは みずから落ちる
落とし穴を掘るものは みずから埋められる
SMALL AXE/BOB MARLEY (和訳)2007-08-01 16:32:00 -
9:
物語
世界中すべてがこんなふうになってしまったんだろうか。
ナッティは世界を歩いてみることにしました。この世界をなんとか元に戻すためにはもっと充分に見なきゃいけない、と感じたからです。
たてがみをなびかせて歩く姿はまさに「百獣の王」と呼ぶにふさわしい、勇ましい姿です。どうどうとあるくナッティの周りには、薄明るい光がふんわりとただよっています。よーく見ると、それは「虹の精」でした。ナッティに「ひかりのちから」をさずけに太陽からつかわされたのです。
あちこちにいろいろな人間がいます。
影にかわってしまった人間――彼らは赤い目をギラリと光らせて、氷のように冷たい顔をしています。
影と本物の姿がもぅ少しで入れ替わってしまいそうな人間――彼らは影たちのいいなりになって、こきつかわれてヒーヒーあっています。
そして姿はまだ本物のままですが、すこしだけバビロンの心が勝ちそうになっている人間――彼らは何かに怯えて、ひたすら走り続けています。道ばたで震えている人もいます。
影たちは何とか人間たちを仲間にしてしまおうと、目の前にお金や宝石をちらつかせて誘惑しようとしているのです。
ナッティはいよいよ悲しくなりました。
「人間たちのあの楽しそうな笑顔は、タイコの音は、彼らがいつも幸せそうに聞いていた、波の音や風の歌は、どこに消えてしまったんだろう」
その時です。うなるような地響きと共に、地獄の底から沸き上がるような声。身の毛がよだつとはこんな声のことわ言うのでしょう。
「グワワワ…。色とりどりの景色? そんなものがなんになる。歌?踊り? そんなものがなんになる。
わしは暗闇の世界をちかさどる王、バビロン。すべてを暗闇にするためにおるのだ。この世界には今になんにもなくなる。いのちも何もかもだ」
ナッティは悔しくて身悶えるほどの怒りがこみ上げてきました。
このときです。はっきりと闘う決心をしたのは。何になるかわからないけれど、色とりどりの景色が、歌や踊りが、ナッティにはとてもたいせつなものに感じられたからです。ナッティにとっては、なくてはならないものだったからです。2007-08-01 16:50:00 -
10:
歌
かがんでごらん 教えてあげる かがんでごらん 君に話したい 漁師は漕ぐのさ 君が撒いた種を集めるために すべてを話すから僕にそうさせておくれ 君がしなくてはいけないことは 素直になること さあ すべてを教えよう 謙虚になること さあ すべてを話そう
君は扉を叩くだけで入れない 罪の中に生きてたからさ だけど 愛しているなら入っておいで 君のピンをとめてあげるから かがんでごらん
君は扉を叩くだけで入れない 間違った生き方をしていたからさ さあ こっちに来てお座り 愛してあげよう 楽にしてあげよう
素直になりなよ 話してあげる
謙虚になりなよ 教えてあげる
BEND DOWN LOW/BOB MARLEY (和訳)2007-08-01 16:55:00