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1:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
「好き」という感情も。
女に対して全くってくらい興味がなかった。
俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
別にそこまで深い意味はなかった。
ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。2005-10-28 13:36:00 -
150:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「あ!それと由里に聞いたけど彼氏なんて居ないっつってたぞ??」
「マジで?!」
「うん。彼氏居たら夜の仕事なんてしないっつってた。」
「…確かにそれもそーかな…なんか安心した…っつーか貴晃そのネックレス…」
俺はハッとした。由里に貰ったお揃いのネックレスが俺の胸元で無駄に輝いていた。2005-12-18 22:30:00 -
151:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「それ由里ちゃんがいつもしてるのと同じやん…?」
優也は急に淋しそうな表情になる。
(やべー気まずい……)
俺は咄嗟に嘘を付いてしまった。
「あーこれ今日客に貰ってん!由里と勝手にお揃いなってもーたけど…」2005-12-18 22:33:00 -
152:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「そーなん?!えーなぁ貴晃!俺もそのネックレス前から欲しかってん。てっきり由里ちゃんから貰ったんかと思ったー!」
「いやいやそんな訳ないやん!(笑)」
(危ない危ない…優也を傷付けたくはない。)
俺は少し引きつりながらも笑顔を作って優也を傷付けまいと必死だった。
この時の俺の嘘が後にまた喧嘩の種になる。2005-12-18 22:38:00 -
153:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
それから由里は前の様にまた俺の店へ週2回くらい通うようになった。
メールや電話での連絡もほぼ毎日だった。
だけど由里から連絡してくる事は僅かだった。
最初は由里からばかり連絡してくれていたのに…
どこか淋しいし悔しいけど所詮惚れたモンが負けなのか。
俺は暇さえあれば由里へ連絡する様になっていた。2005-12-18 22:42:00 -
155:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
>>161サン
好きとか言ってもらえるとホントに光栄ですm(_ _)m
これからも頑張るのでよかったら完結まで読んでください^^2005-12-19 02:06:00 -
156:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里は相変わらず謎な女だった。
根っから八方美人なのか誰にでもとにかく愛想が良い。
俺の店は完全友営を目指していたので男の客も少なくはなかった。
そんな男客の間でもアイドル的な存在になっていた。
携帯の番号などを聞かれても、断れない性格なのか誰にでも教えたりしていた。2005-12-19 02:12:00 -
158:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
店の従業員達も由里に近付くべく俺に隠れてこっそり番号やメアドを聞いている奴が多かった。
俺はどこかでそんな由里に不信感を募らせていた。
(嫌なら嫌だとハッキリ言えばいいのに。)
なんとも言えない苛立ちというか今思えばただの嫉妬だったと思う。
好きな気持ちが募る程に由里を独占したかった。2005-12-19 02:15:00 -
159:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
でも由里はどことなくいつも俺だけを特別扱いしてくれていた。
明らかに俺に対する態度と他の人に対する態度は違っていた。
俺の中でまた自信が付いてきていた。
(由里もきっと俺を好いてくれているよな…?)
だけど特に進展のないまま時間だけは流れていく。2005-12-19 02:23:00 -
160:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
気付けば11月も半分を過ぎようとしていた頃。
その頃には由里が週2日俺に会いに店に通ってくれるのが当たり前になっていた。
11月の末には俺の19歳の誕生日が控えていた。
2005-12-19 02:26:00 -
161:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里からイキナリのメール。
滅多に由里からメールをくれる事がなかったので内心俺は有頂天だった。
メールの内容は
「貴晃くんと今度買い物に行きたいな♪」
だった。2005-12-19 04:04:00 -
162:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里は事実、俺の客ではある。
実際に店まで来て金を使ってくれているから。
だけど他の客とは全く違う。俺の中では。
きちんと一人の女として由里の事を好きになれていた。2005-12-19 04:11:00 -
163:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
勿論俺は由里の誘いを断る訳もなくメールを返信する。
「いいよ^^どこに行きたい??」
俺は秘かに由里と一緒に買い物へ行くのをかなり楽しみにしていた。
買い物へ行く日は俺の誕生日の2日前に決まった。2005-12-19 04:13:00 -
164:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
買い物へ行く当日。朝9時過ぎまで仕事をこなして由里の家までタクシーへ向かう。
タクシーに乗り込む前に優也に
「貴晃俺と一緒に帰らないのか?どっか行くん?」
と聞かれて
「ちょっと客とアフターがあるから先帰っててくれ。」2005-12-19 04:16:00 -
165:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
とだけ言った。
また咄嗟に嘘を付いてしまった。
(優也にはやっぱり言えない…言いにくい…)
「へー!お前がアフター?!そんなの初めてじゃね?!すっげー意外!まーがんばれよ♪」
優也は何も疑わずに、だけど結構驚いた様子で俺にそう言って別のタクシーへ乗り込んでいた。2005-12-19 04:19:00 -
166:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
優也は由里にフラれて以来、それでも諦める事なく由里を想っている。
以前の様に自分中心な考えはあまりせずに、由里が店に来た日に
由里に会えて由里と話せる事をささやかに何より心待ちにしている様子だった。
電話やメールも以前と比べると控え目にしていた。
そんな優也を応援したい気持ちも山々だが、やっぱりなんだかんだで俺達は俄然ライバル関係だ。2005-12-19 04:23:00 -
167:
☆彡
今、初めてイッキに読みました(●>_
2005-12-19 04:53:00 -
169:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
タクシーで由里の家へ向かう間の10分ほどの間
流れていく景色をボーっと見ながらなんだかんだで俺の心は躍っていた。
由里の住んでいるマンションの前に着く。
相変わらずどこから見ても豪華なマンションだ。
由里に家の前へ着いた事を電話で知らせた。2005-12-22 05:42:00 -
170:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
タクシーから降りて5分ほど待っているとマンションから由里が出てきた。
「おまたせー^^お仕事お疲れ様っ♪」
いつ見ても由里はほんわかしてて可愛らしい。
顔が綻びそうなのを堪えて自然に振る舞う。
「うん。疲れたわぁ…で、今からどこ行くん??」2005-12-22 05:45:00 -
171:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「そうだなぁ…ヴィトンのお店とかある所がいいな♪」
そんな会話をしてまたふたりでタクシーに乗り込んだ。
「由里は何を買いたいん??欲しいものでもあるん?」
「内緒^^とりあえず着いてからいろいろ見てみる♪」
タクシーで30分ほど走って某有名なショッピングモールへ着いた。2005-12-22 05:48:00 -
172:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
そのショッピングモールはブランド品から服屋、靴屋、レストランなど
一通りのものはあるような所だ。
タクシーから降りて店の中へ入る。
俺が先にスタスタ歩くと必死に由里がチョコチョコと着いてくる。
なんだかそれだけで幸せだった。2005-12-22 05:51:00 -
173:
☆彡
更新されてる(゜▽゜)♪
頑張っちゃってくださぁ〜ぃ(´∀`)2005-12-23 04:54:00 -
174:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
>>181さん
またレスして下さってスレッド上げて下さって嬉しいです^^
頑張りますので完結まで宜しくお願いしますm(_ _)m2005-12-23 10:30:00 -
175:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「もー貴晃歩くのはやーい!!」
由里が少しスネた様に必死で俺の元へ駆け寄ってくる。
(え…?今由里、俺の事初めて呼び捨てで呼んだ…?やべー今顔にやけてるかも俺…)
「あーごめん^^由里が歩くの遅いんやん!笑」
周りから見ると俺達も立派なカップルに見えるのだろうか?2005-12-23 10:33:00 -
176:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
ホントはその時由里と手を繋ぎたかった。でもなんか恥ずかしかった。
意外とシャイな俺。笑
沢山ある店の中で由里が一番に向かった先はヴィトンの直営店だった。
ふたりでウロウロとヴィトンの店内を見学する。
(由里は一体何を買う気なんだろ…?)2005-12-23 10:38:00 -
177:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「ねー貴晃何がほしいー?」
「へ?」
唐突にそう聞かれて思わずマヌケな返事をしてしまった。
「誕生日プレゼント!あさって誕生日でしょ?何でも買うよ??」
(俺の誕生日一回しか言ってないはずなのに覚えてくれてたんや…)2005-12-23 10:40:00 -
178:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
なんだか胸の奥がジーンとした。こんなに感動するのはいつぶりだろう。
たったこれだけの些細な事なのに。
プレゼントなんて要らない。由里が誕生日を覚えてくれていて
祝おうとしてくれている事だけで充分だった。2005-12-23 10:43:00 -
179:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
まさか由里が俺の誕生日を覚えているなんて思わなかったから余計に。
「いやいやホントに何も要らんで!!」
「そーいう訳にもいかんやんっ!ヴィトン好きやろー?^^」
「いやヴィトンは確かに好きやけどさ…」
「貴晃はダミエ好きやんなぁ♪遠慮せんといてよー?!」2005-12-23 10:46:00 -
180:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「遠慮やしてへんけどホントに気持ちだけで充分やから…」
「じゃー勝手に選んじゃお♪」
由里はほんと変な所で強引だ。
ダミエのコーナーへ俺を引っ張りながら向かって行く。
「既に持ってるやつあったら言ってねー?」2005-12-23 10:48:00 -
181:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「これとこれと…あっ!それも!!」
由里はダミエのコーナーで次々と店員に商品を出してもらっている。
俺は唖然としながらただその光景を見ていた。
「この中で貴晃が既に持ってるやつあるー??」
「え…?いやひとつもないけど…」2005-12-23 10:51:00 -
182:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「じゃーこれ全部ください^^」
「?!?!?!!!いやいやありえへんやろ!」
「なんで??ダミエほぼ全制覇じゃん♪笑」
俺がキョドるのもそのはず。2005-12-23 10:57:00 -
183:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
ガラス棚の上に並べられたダミエ尽くしの商品達。
ジェロニモスにセカンドバッグ、ダミエのネクタイ全色(10本)にシガレットケース、キーケース、ベルト…
「こんなにいらへんよ!ひとつで充分やって!!」
俺が必死で止めようとするにも全く聞く耳を持たない由里。
強引に店員に会計をさせている。2005-12-23 11:02:00 -
184:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はただ呆れるしかなかった。
そりゃ内心飛び上がる程嬉しかったけれど、そこまではしてほしくない。
会計は50万ほど。
動じる事なく財布から札束を出す由里。
(ホンマに由里は一体何者やねん…)2005-12-23 11:06:00 -
186:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
読みやすくしてくださってありがとうございます^^>>193さん
2005-12-26 22:53:00 -
187:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(金がないからっつって夜の仕事を始めたのは一体どこのどいつだよ…)
ヴィトンの店員がひとつひとつの商品を丁寧に包装している間、由里とふたりで店内のソファーで腰掛けて待ちながら
俺はボーっと以前の由里とのメールを思い出していた。
(確かに「お金がないから…」っつってたよなぁ…?)
なのにどう考えても金が有り余る程あるように見える由里。2005-12-26 22:56:00 -
188:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
なんか考えれば考える程に謎な女だ。
あまりに呆然として口を閉ざしている俺に由里は少し呆れたように
「貴晃眠いの…?」と尋ねてきた。
「いや眠くはないけど…なんか言葉にならへんわ…嬉しいけどこんなん悪いし…」
「あたしがいいって言ってんだからいいの^^気にしないでよー!」2005-12-26 23:01:00 -
189:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(ホントにいいのか…?)
やっぱり複雑だ。好きな女にトコトン貢ぐ女みたいな真似はしてほしくない。
少し経ってヴィトンの店員が「お待たせいたしました^^」とドでかいヴィトンの袋を4つも渡してきた。
由里とひとり2つずつ持つ。
結構重い…。2005-12-26 23:09:00 -
190:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
ヴィトンの店を出て、またショッピングモールを歩く。
すれ違う人達が沢山のヴィトンの袋を下げている俺達を振り返って見てくる。
なんだか結構恥ずかしかった。
由里は「最後にヴィトン行けばよかったね…荷物重いし…」と笑いながら言った。
「次はどこ行くん??」
2005-12-26 23:15:00 -
191:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「とりあえずご飯食べよ^^マクド食べたい♪」
「え?!マクド??」
なんか意外だった。由里は安い物全般に興味が無さそうに見えたから。
「嫌…?こう見えてもあたしマクド大好きやねん^^笑」
俺もマクドは小さい頃から大好きだ。笑2005-12-26 23:18:00 -
192:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
マクドの店内に入る。
どう考えても場違いだった。笑
仕事帰りでスーツ姿の俺に私服でもバッチリお姉系でキメている由里。
手には沢山のヴィトンのでっかい袋達。
カウンターで注文をして席へ座る。2005-12-26 23:22:00 -
193:
???
頑張って?
2005-12-27 01:21:00 -
195:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
荷物を隣のイスに置いて由里と向かい合わせに座った。
由里はフィレオフィッシュ1コだけ。
俺はちゃっかりバリューセットを頼んだ。
さすがにマクドくらい奢りたかったのに由里は会計の時に隙なく素早くお金を出した。
俺が金を払おうとしても全く受け取ってもくれない…2005-12-27 03:17:00 -
196:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(なんでこういう金銭面では由里はいっつも強引なんやろ…)
ふとそんな事が頭をかすめる。
「貴晃セットだけで足りる??」
「…え?充分やで!!由里こそそれだけで腹一杯になるん?!」
「あたし小食やからこれだけでも充分だよ^^」2005-12-27 03:21:00 -
197:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
そんな会話をしてから食べ物に手を付ける。
俺は結構お腹が空いてたから黙々と食べていた。
由里はフィレオフィッシュをわざわざ一口サイズに千切ってから口に運ぶ。
ちょっと驚いた。
「俺ハンバーガーわざわざ千切ってから食べる人初めてみたわー!」
「え…?そぉなの?だってハンバーガーにかぶりつくの恥ずかしいもん//」2005-12-27 03:25:00 -
198:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はそれを聞いてすごく女の子らしいなって思った。
少し照れている仕種がなんだかやけに可愛く思えて仕方ない。
だけどマクドを頬張ってる由里はやっぱり17歳の普通の女の子なんだな、とも感じた。
由里は外見そこまで大人っぽい訳でもない。
童顔とまではいかないが可愛らしい顔つきだから年相応に見えるはずだ。2005-12-27 03:30:00 -
199:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
でも俺の知っている由里は17歳とは思えない程に内面がしっかりしていて
妙に大人びていて振る舞いとかがとても俺の年下に見えないイメージがあった。
だからなんだかどこか安心したんだ。
夜の世界で…俺の店の中で見せる顔とは違う顔の由里を見れた気がした。
2005-12-27 03:33:00 -
200:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「貴晃の食べ物を食べてる姿、なんかハムスターみたい^^かわいい♪」
「え…?!そんなん初めて言われたし//」
由里に初めて「かわいい」なんて言われて思わず顔が火照る俺。
「食べてる姿がかわいい人なんてあたしも初めて見たー^^」
無邪気に笑う由里。2005-12-27 03:39:00 -
201:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
このまま時間が止まって欲しい なんて思ったりした。
こんな事を思うのは産まれて初めてだ。
由里は俺の中の初めてをどんどん奪っていく。
人の愛し方さえ解らなかった俺にとったら、きっとこういう気持ちのなにもかもが初めてだった。
なんだか胸が苦しくなる。どんどん俺が俺じゃなくなっていく気がしていた。2005-12-27 03:42:00 -
202:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
マクドを食べ終えてまた沢山の荷物を持ってショッピングモールを歩いた。
由里は服屋が並んでいる所で立ち止まる。
俺は気を利かせて由里の分の荷物も持ち
「服見て来たら??外で待ってるから。」と言うと
「ありがとう^^」と微笑んで店の中へ入って行った。2005-12-27 05:21:00 -
203:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(由里はなんか買い物とか長そうだな…笑)
そう思いながら俺は近くにあったベンチに腰を掛け、一服していた。
すると由里はすぐに店から出て来た。
俺はビックリして
「え?何も買わんかったん?!」と訪ねた。2005-12-27 05:24:00 -
204:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「うん^^欲しい服なかった。荷物増えるのも困るしね。それに貴晃待たせるの悪いから。」
俺は心の中で拍手をしていた。どこまでいい女なんだろう由里は。
思いやりのあるというか、他人の事をちゃんと考えて行動出来ている。
悔しいけどますます惚れ直してしまった。
今まで俺の女に対するイメージは、ワガママとか自己中とかそんなものしかなかったから。2005-12-27 05:30:00 -
205:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「最後にさ、ブルガリのお店だけ行ってもいい…?」
「もちろん。」
少し歩いてブルガリの直営店へふたりで入った。
由里はキョロキョロしながらネックレスのコーナーへ向かう。
俺も後と着いていくと
「あー!あった♪」と由里が目を輝かせて商品を見ている。2005-12-27 05:35:00 -
206:
☆彡
更新イェィッ(●>_
2005-12-27 07:30:00 -
207:
???
おもろい?頑張ってね?
2005-12-27 12:27:00 -
209:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「え?なにが??」
俺が不思議に思ってそう訪ねると由里は次の瞬間、店員に向かって
「これふたつください♪」と言ってのけた。
「?????」
俺は何がなんだかよく解らなかった。2005-12-28 02:41:00 -
210:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(一体何を買ったんだ…?!)
俺も由里の隣に行ってその商品を見た。
店員がショーケースから取り出したのはブルガリのインゴットのネックレスふたつだった。
(由里、誰かとお揃いにでもするんかな…?)
ふとそんな事を思う。2005-12-28 02:44:00 -
211:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「あ!荷物増えるんで箱とか要らないです^^」
爽やかに店員に言う由里。
(誰かへのプレゼントじゃないのか…??)
不思議に思う俺。
由里はさっさと会計を済ませてしまった。2005-12-28 02:46:00 -
212:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
インゴットネックレスの定価は約25万。
それがふたつだから約50万…。
またしても由里は躊躇なく財布から札束を出して払っていた。
俺はまた呆然とその光景を眺めているだけだった。2005-12-28 02:48:00 -
213:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
会計を済ませてネックレスをそのまま受け取る由里。
(ふたつも一体どうするんだろう?色も全く同じやつなのに。)
すると由里はひとつを自分の首にすぐに付け始めた。
それから俺の首にもうひとつを付けようとしてきた。2005-12-28 02:50:00 -
214:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はただビックリして
「いやいや何しよん?!」と咄嗟に言う。
「おそろいのネックレスふたつめー♪ちゃんと付けてね?^^」
由里は満面の笑みで答える。もう唖然とするしかなかった。
「ただでさえさっきもいっぱい買ってくれたのにあかんわこんなの…」2005-12-28 02:54:00 -
215:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「だーかーらー!貴晃はそんなの気にしなくていいんだってば。あたしが勝手に買ってるだけだし…嫌なら付けなくてもいいよ?あたしこのネックレスが欲しかっただけなの♪どうせならお揃いがいいなって思って^^」
平然としている由里。一体どうしてここまで気前がいいのか…
勿論嫌な訳はなく強引な由里に流されて俺はネックレスを付けられた。
内心かなり嬉しい。顔はきっとにやけていた。2005-12-28 02:59:00 -
216:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(由里はなんで俺にここまでしてくれるんやろ…?!)
俺の中でどう考えても由里は俺の事を好いてくれているという確信を持った瞬間だった。
「メッチャ嬉しい…大切に付けるわ。ありがとうなほんま…」
「素直でよろしい♪笑 喜んでくれたらなんでもかまんねん♪由里も貴晃とお揃いが増えて嬉しいっ♪」2005-12-28 03:05:00 -
217:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
とびきりの笑顔でそう言ったあの日の由里の声が今も耳から離れない。
なぁ、由里。
お前は俺が由里の事をまだ忘れられないって言ったら 一体どう思うかな。
忘れたくなんてないんだ。なにもかもを。2005-12-28 03:07:00 -
218:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
思い出なんかに出来ない。
きっと由里の事だから
「早く私の事は忘れて幸せになって」とか微笑むだろうな。
俺はいつまでも忘れない。
お前のくれた物全ても最初で最後の手紙も いつまでも俺の宝物なんだ。2005-12-28 03:12:00 -
219:
☆
続きほんとに楽しみです!!頑張って下さい
2005-12-28 16:25:00 -
220:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
☆彡さんいつも感想ありがとうございます(>_
2005-12-29 04:05:00 -
221:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「さーそろそろ帰ろっか♪貴晃疲れてるだろうしゆっくり休んで^^」
由里がそう言うのでショッピングモールを出てタクシーを探す。
時刻は午後3時くらい。
走っていたタクシーを捕まえてふたりで乗り込んだ。
2005-12-29 04:07:00 -
222:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
タクシーを乗ってる間の約30分間。
俺はやっぱりここ何ヶ月間かずっと気になっていた事を由里に聞こうと必死だった。
由里が優也に言った「大切な人」。
だけどなかなか勇気が出ない。
これ以上ないくらい緊張してたと思う。2005-12-29 04:08:00 -
223:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
訂正 タクシーを=タクシーにです^^;
あまりに挙動不審な俺を見かねてか、由里から沈黙を破った。
「貴晃どーしたの??気分でも悪い??」
「いや…」2005-12-29 04:11:00 -
224:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「なにー??」
「あのさ…由里前に優也に告られたんやろ…??」
「…え?うん…貴晃知ってたんだ…」
「うん。優也から聞いた。それでさ…大切な人がおるって言ったんやろ…?」
「…うん……」2005-12-29 04:14:00 -
225:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
急に悄気たような顔になる由里。
(やべー空気が重い…)
それでもめげずに俺は確信へ迫った。
「由里の大切な人って誰なん…?」
「………」2005-12-29 04:15:00 -
226:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里はずっと下を俯いたまま口を閉ざしていた。
(言いにくいんかな…)
俺は急に焦る。(やっぱり聞いてはいけない事やったんかも…)
「…忘れれん人がおるねん……」
「え…?!」2005-12-29 04:17:00 -
227:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「元彼。今でも忘れれんねん。でも他に今気になる人が居るかな^^」
「そぉなんや…」
俺は元彼が忘れられないという言葉で頭がいっぱいいっぱいになっていた。
さっきまでの緊張のドキドキがズキズキに変わっていた。
(いやでも今他に気になる人がおるとも言うたよな…?!)2005-12-29 04:21:00 -
228:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「今気になる人っていうのは誰…?」
僅かな可能性を信じて恐る恐る聞いてみた。
タイミング悪くタクシーは由里の家へ着く。
由里は俺の言葉を遮って財布から金を出して俺にタクシー代を渡そうとする。
「いやタクシー代くらい自分で払うから!!」2005-12-29 04:24:00 -
229:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺がタクシー代を受け取らないでいると、イキナリ顔を近づけてきて由里は俺にキスをしてきた。
あまりに突然で俺は驚くしかなかった。
「貴晃やで^^」
「…え?!??」
「今気になるひとっ!じゃーね!今日はありがと!」2005-12-29 04:27:00 -
230:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「運転手さん気を付けて送ってあげてくださいね^^よろしく♪」
そう言ってタクシーのドアを閉めて笑顔で手を振る由里。
俺はまだ唖然としたままだった。
少し経ってなんとか我に返って由里に手を振り返し、タクシーの運転手に自分の住所を告げる。
気付けば由里に座ってた場所にはタクシー代の2万円…。2005-12-29 04:31:00 -
231:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(やられた………)
俺は愕然とする。ほんとにこれ以上金を出してなど欲しくなかったのに…。
それにしても胸の鼓動が異常なくらいに早い。
突然の2度目のキス。俺はきっと由里が降りた後のタクシーの中で顔を真っ赤にしてたと思う。
「貴晃やで^^」と微笑んだ由里の顔がなかなか頭から離れなかった。2005-12-29 04:34:00 -
232:
☆彡
更新待ってマス(癶з癶)♪
2005-12-30 02:58:00 -
234:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
☆彡さんまたまたレスありがとうございます(>_>241サン読みやすくしてくださってありがとうございますm(_ _)m
2005-12-31 02:58:00 -
235:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里の家から20分ほど走って俺の住んでいるマンションに着いた。
俺は由里が置いてった2万円は使わず自分の財布からタクシー代を払う。
(この金は今度由里に返さんとあかん…)
2万円を財布の隅によけて仕舞った。2005-12-31 03:01:00 -
236:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺は両手にいっぱいの荷物を抱えてマンションへ入る。
(優也にこの荷物絶対ビックリされるやろうな…なんて言い訳しよう…)
エレベーターに乗っている間そんな事ばかり考えていた。
家の前に着いて家のドアを開く。2005-12-31 03:04:00 -
237:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
ドアを開いた瞬間にリビングに居た優也が
「おー貴晃おかえりー!結構早かったな!…っつーかどしたん?!そのヴィトンの山!!」
と言って来た。
(いきなりかよ……)
さすがにちょっと焦った。笑2005-12-31 03:06:00 -
238:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「あー…いや今日一緒にアフター行ってた客が買ってくれてん…」
優也はなぜか目を輝かせてヴィトンの袋の中を漁ろうとする。
「いやお前勝手に見るなって!笑」
「こんなに買わせて悪い奴やなー!笑 っつーか今日アフター行った客って誰???!」2005-12-31 03:08:00 -
239:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(来た…!うーなんて言えばええんや…由里に買ってもらったなんて口が裂けても言われへんし…)
「…Cちゃんやで!!」
また咄嗟に嘘が出てしまった。俺はどこまで優也に嘘を重ねなければいけないんだろう…。
Cちゃんとは俺の客で風俗嬢だ。2005-12-31 03:10:00 -
240:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「え?!マジで?!お前Cちゃんとアフター行く程仲良かったっけー?!」
「いやそんな事ないけど…」
「でもまーこんだけ買ってくれるならアフターくらい行くよなー!羨ましー!お前がアフター行くって言った訳が今分かった!笑」
「いやいやプレゼント目当てで行ったんじゃないし!!」2005-12-31 03:13:00 -
241:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「ハイハイいい人ぶらんでえーから!笑 あれ?っつーか貴晃ネック増えてね?!」
(あ…!やべネックの事忘れてた…)
「それも買ってもらったんかー?!どんだけ貢がすねん!笑」
「ハハッ!まー実力や♪」2005-12-31 03:15:00 -
242:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
もう開き直って優也に調子を合わせるしかなかった。
下手に言い訳をするよりも優也の推測に便乗する方が詮索されずに済む。
「俺そのネックレス一番欲しかったやつだし!マジ羨ましー!!」
本気で羨ましそうな優也。
しかも由里に買ってもらってお揃いなんて言えばお前はあの時どんな顔したかな。2005-12-31 03:20:00 -
244:
☆彡
更新してる(●>_
2005-12-31 08:50:00 -
245:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
更新遅れてすみません…><
いつもほんとに読んでくださってありがとうございます^^
そして明けましておめでとうございますm(_ _)m2006-01-03 01:54:00 -
246:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はその夜なかなか寝付けなかった。
寝てないし疲れているはずなのに、由里のひとつひとつの言葉を思い出すと
なんだか鼓動が早くなって落ち着かない。
(やっぱり気になるって事=好きって事やんな…?!)
2006-01-03 01:57:00 -
247:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
気になる人 よりも 好きな人 って言って欲しかったけど…。
由里は以前の俺みたいにハッキリ好きと言える程は俺の事を想ってはないんだろうか…
だけど俺は充分嬉しかった。でも「忘れられない元彼がいる…」か…。
少し複雑すぎる。
そんな事を寝付くまでずっと考えていた。2006-01-03 02:01:00 -
248:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
その2日後。俺のバースデーイベントの日。
恐れていた事が起こった。
優也との史上最悪な喧嘩に発展した。2006-01-03 02:04:00 -
249:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
その日俺はいつもよりかなり早めに家を出て開店準備をした。
沢山届いている花をセッティングして、白いスーツの貸衣装に着替える。
(由里は来てくれるかな…?)
それが一番の期待と不安だった。2006-01-03 02:08:00 -
250:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
いつの間にか時刻は12時を回って俺の誕生日になった。
同時に従業員達や優也も出勤してきた。
俺の携帯が鳴り通し始める。
客達からのハッピーバースデーメールと電話。2006-01-03 02:09:00 -
251:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
だけど由里からは連絡が来なかった。
俺は軽くショックを受ける。
そうしてるうちに開店時間になり一斉に客が入り始めた。
由里の姿はなかなか現れない。2006-01-03 02:11:00 -
252:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
感情を表に出さない俺もあの日ばかりは結構焦っていたのが表に出ていたかもしれない。
淋しさを紛らわすように客達が卸してくれたシャンパンを飲みまくった。
(早く酔ってしまいたい…)
「貴晃いつもより気合い入ってるねー!」2006-01-03 02:14:00 -
253:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
客達が珍しそうに口を揃えて言う。
「当たり前やん!1年に1度しかない誕生日やしー?!」
(別に気合いが入っとんちゃうねん。由里が祝ってくれんから寂しいねん。)
心のどこかでそう叫ぶもう一人の俺。2006-01-03 02:18:00 -
254:
名無しさん
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255:
名無しさん
あげぇ
2006-01-04 18:49:00 -
256:
♪
あげ☆
2006-01-06 22:13:00 -
257:
名無しさん
あげたった
2006-01-07 02:27:00 -
258:
☆彡
あげたったたたん♪
2006-01-07 05:10:00 -
259:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
みなさんスレッドをあげてくださってありがとうございますm(_ _)m
更新遅れてしまってすみません><
今からまた更新します^^2006-01-07 14:16:00 -
260:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
時刻は既に午前4時を回っていた。
(いつもなら由里はこの時間には絶対来てくれてるのに…)
そう思うとまたどんどん落ち込んでいった。
俺はすでにほろ酔いを超えて意識が朦朧としそうだった。2006-01-07 14:18:00 -
261:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
従業員達も俺のヘルプに着いて潰れるまで飲もうと頑張ってくれている。
俺が自分の私情で落ち込んで酔いつぶれる訳にはいかなかった。
せっかくの誕生日。気を持ち直して未だ頑張ろうとしていたその時。
店のドアが開いた。2006-01-07 14:21:00 -
262:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
開いたドアから見えたのは紛れもなく由里。
俺が誰よりも心待ちにしていた由里だった。
俺は一気にテンションが上がる。
「お誕生日おめでとう^^ごめんね遅くなって…」2006-01-07 14:23:00 -
263:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
いつもと同じ笑顔で俺の元へやってくる。
俺はとりあえず他の客に一言断って真っ先に由里の席へ着いた。
たぶんあの時の俺の顔はかなり緩んでたと思う。
優也も一緒に由里の席へ着いた。2006-01-07 14:26:00 -
264:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
優也が心配そうに言う。
「ホンマいつも通りドリンク飲んでてえーから!!」
俺ももう由里には金を使わせたくないからそう言った。
ぶっちゃけ俺はワインがあまり好きじゃないからロマネは飲みたくなかったのもある。笑2006-01-07 14:41:00 -
265:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「無理なんてしてないよー?ロマネってワインだよね…?あたしあんまワインは好きじゃないからワインタワーでもする?笑」
「いやいやそれはもったいなさすぎだから!!!!!!!!」
俺と優也の言葉が見事にハモる。笑
「決めた♪誕生日のお祝いはワインタワーで^^」2006-01-07 14:45:00 -
266:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「え…?!いやあかんって!!!!」
「なんで…?」
「そんなのもったいないやん…タワーがしたいならカフェパとかでええやん…!」
「そういう事お客さんに言うもんじゃないよー?貴晃は代表失格!笑」2006-01-07 14:48:00 -
267:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「だって由里の事は客やと思ってへんもん!」
「え…?そうなの??」
ついつい出た俺の本音に不思議そうな顔で俺の目を真っ直ぐ見る由里。
俺の方を真顔で見て明らかに何か言いたそうな優也。2006-01-07 14:51:00 -
268:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(やばい…まずったかも…)
俺は一気に酔いが冷めて冷静になる。
「まー貴晃があたしをどう思ってるのかは知らないけどー?笑 とりあえずロマネをタワー出来る分だけ持ってきてよ^^」
やっぱり金銭面では強引な由里。2006-01-07 14:55:00 -
270:
名無しさん
ぉもろぃ?
頑張って書いてね?2006-01-08 16:45:00 -
271:
☆彡
age↑
2006-01-09 04:00:00 -
273:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺は仕方なくロマネの在庫を確認しにカウンターまで向かった。
確認したところロマネはあと4本だった。
シャンパングラスを集めてボトル4本で出来そうなタワーのセッティングをする。
タワーは少し小さめの6段になった。2006-01-09 12:10:00 -
274:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里はワクワクした様子で並べられたシャンパングラスを眺めている。
ここまで来たらもうするしかない…。
やっぱり複雑だけどかなり嬉しくはある。俺は覚悟を決めてマイクパフォーマンスをした。
「5番テーブル!由里ちゃんからロマネコンティー4本でタワー頂きましたぁぁぁ!!!!」2006-01-09 12:14:00 -
275:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
店内が一瞬にしてざわめく。
他の客が信じられないと言った目でタワーの方を凝視してくる。
従業員達のコールに合わせて次々とロマネをタワーに注いだ。
由里はタワーの真ん前で満足そうに笑っていた。2006-01-09 12:16:00 -
276:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
タワーのグラスにロマネが全て注ぎ終わってから優也が
「ここで由里ちゃんから一言!」といきなり由里にマイクを向けた。
由里は「貴晃誕生日おめでとう!!これからも応援しています。」とマイクを通して言った。
俺はなんだか感動して涙が出そうになった。
2006-01-09 12:19:00 -
277:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
席に戻って一息ついたあと3人で乾杯をした。乾杯の後に
「あ!そういえばふたりに言ってなかったっけ…?」
イキナリ由里が唐突に言い出した。
「え…?何を?!」由里の答えは少し信じ難いものだった。2006-01-09 12:24:00 -
278:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「あたしねー、仕事辞めたの。」
「え?!いつ?!」
またまた俺と優也の声がハモった。
「んー9月頃かなぁ。」2006-01-09 12:26:00 -
279:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(え…?!9月って随分前じゃねーか…!?)
「嘘やん?!由里10月頃も週2回仕事帰りに来てくれよったやん!」
「あー仕事帰りに見せかけて家から来てたんだけどね。笑」
「じゃぁ今は仕事してへんの?!」2006-01-09 12:28:00 -
280:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「うん。毎日ゴロゴロしてるよ。笑」
(マジで?!じゃぁ一体どこから大金が出てくんねん…?!)
俺はかなりビックリしていた。でもあまり詮索したくはない…。
由里なりの事情があって仕事を辞めたんだろうと思った。2006-01-09 12:31:00 -
281:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
そこで優也も唐突に言い出した。
「というか俺、さっきから気になっとったんやけど…」
「なに??」
「由里ちゃんと貴晃、付けてるネックレスが全く同じじゃね?!ビーゼロワンとインゴット…」2006-01-09 12:34:00 -
282:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(やばい…!しくった…!!)
俺は一瞬にして焦る。それまで気にも止めなかった。
確かにひとつまでならまだしも、ふたつも同じ物を付けているのは誰がどう見ても偶然とは思わない。
「あーこれあたしが貴晃にあげたんだもん^^ふたつともお揃いなの。」2006-01-09 12:37:00 -
283:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里は無神経なのか、まさか優也がまだ自分の事を諦めてないと思いもしなかったのかありのままに言った。
(終わった……)
俺は急に顔が青ざめる。優也は一瞬にして顔を曇らせた。
「なぁ…貴晃。正直に言えよ?こないだアフター行くっつって買い物行った相手も由里ちゃんなのか?」2006-01-09 12:41:00 -
284:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「そうだ。」
俺が静かにそう言うと優也は立ち上がって俺の胸ぐらを掴んだ。
「なんで俺に嘘付くねん!!!同情でもしてたんか?!傷付けたくないとか偽善者ぶってたんやろ?!どうせ俺の事見下して優越感に浸ってたんやろが!!!」
爆音のBGMも掻き消す程の大声で俺に怒鳴って来た。2006-01-09 12:44:00 -
285:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
由里は何が何だか解ってない感じで呆然とその光景を見ている。
俺達の異変に気付いて従業員達は慌てて優也を宥めにかかる。
「貴晃表出ぇや!!!!!!!!!」
優也の怒りはなかなか治まらない。2006-01-09 12:45:00 -
286:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
他の客達もこっちの様子を驚いた顔で見てくる。
せっかくの誕生日が一瞬で台無しになった。
とりあえず俺は優也と一緒に店の外に出る事にして優也の後を着いて行く。
由里が俺を追いかけて来て心配そうに2006-01-09 15:36:00 -
287:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「もう喧嘩はダメだよ?!なんで優也くん怒ってるの…?」
と哀しそうに言ってきたから
「大丈夫やって!他の客の目もあるしなんとか表で優也宥めて来るから待っといてな。」
そう言って由里の頭をポンポンと撫でた。2006-01-09 15:38:00 -
288:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺は優也が今までにない程にキレているのは手に取るように解っていたから
正直宥める事は不可能だろうと思っていた。
気が済むまで殴ってもらうしかないかな と覚悟を決めて表へ出た。
由里には心配をかけたくないけど…こうなってしまった以上仕方がない。2006-01-09 15:40:00 -
289:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
従業員達も心配して一緒に外へ出てきたけど、優也が
「貴晃とふたりにしてくれ」と静かに言ったのでふたりで表に出た。
ふたりになった途端、優也はまた俺の胸ぐらを掴んで壁に押し付けて来た。
「気が済むまで殴れ。」2006-01-09 15:46:00 -
290:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺は至って冷静だった。
「お前…由里ちゃんと付き合ってんのか…?」低い声で優也が嘆く。
「付き合ってない。」
「じゃぁなんでお揃いのネックレス貰ってんねん?!」
2006-01-09 15:48:00 -
291:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「わからねぇ。」
「なんで俺に嘘付いてん?!」
「優也を傷付けたくないから。」
俺がそう言った瞬間優也は拳を振り上げる。2006-01-09 15:49:00 -
292:
☆彡
由里ちゃん羨ましぃ(○′3`)
2006-01-09 22:57:00 -
293:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
☆彡さんへ。
由里は確かに美人でスタイルもいいし愛想もいいからかなりモテていました。
でも由里はすごく不憫な奴で…。
やっと半分くらいは書けたと思うので、これからも完結まで是非読んでやってください。^^2006-01-09 23:25:00 -
294:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(殴られる…!)
そう思って歯を食いしばった瞬間、優也は俺の顔の真横の壁を思いっきり殴った。
鈍い音がする。優也の拳から血が噴き出す。
俺は驚いて顔を上げた。優也は俯いていたが頬に雫が流れている…。2006-01-09 23:28:00 -
295:
☆彡
由里さんカナリ不思議な所がイッパィあるから楽しみに完結までバッツィリ見させてもらぃまぁぁ〜す(´∀`)
2006-01-09 23:29:00 -
296:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「俺…お前の事親友やと思ってた…。隠し事もないって思ってた。やのにどうしてそんなしょーもない嘘とか付くねん…」
優也は急に寂しそうに呟く。
俺は胸が痛くて仕方なかった。「ごめん…優也ほんまにごめん…」
涙を堪えてそう言うのが精一杯だった。2006-01-09 23:31:00 -
297:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
いっそ気が済むまで殴ってくれた方がマシだった。
傷付けまいと付いた嘘が余計傷付けてしまう事もある事を19歳にもなってその時初めて知った。
優也はその後何も言わずに一人でエレベーターに乗ってどこかへ行こうとした。
「優也…?!オイ!どこ行くねん!!!!」2006-01-09 23:33:00 -
298:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
優也は何も答えずにエレベーターのドアを閉めて1Fへ降りて行ってしまった。
慌てて俺も階段で1Fまで駆け下りた。
優也を引き止めようとしたけど、優也は既にタクシーに乗り込んで俺の目の前から走り去った。
優也が去った後、表現出来ない感情が込み上げて来て、俺は一人でしゃがみこんで泣いた。2006-01-09 23:36:00 -
299:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
泣くのなんて何年ぶりだろう。
大切な大切な親友をあんなに傷付けてしまった。
それだけがなんだか悔しくて仕方なかった。
10分程1Fで呆然としていたけど、我に返って涙を止めて店へ戻った。2006-01-09 23:38:00 -
300:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
店へ入ると従業員達が駆け寄ってくる。
「貴晃さん大丈夫でしたか?!あれ…?優也さんは……?」
「あーアイツはとりあえず帰ったわ。俺は大丈夫やからホンマ気にせんといてくれ。」
心中穏やかではなかったけど、優也と俺の問題だから従業員達に心配をかけたくはない。2006-01-09 23:41:00