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いつか蝶のように

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  • 1:

    椎名

    あたし、あげは。風俗嬢してる。ネオン輝くこの街ではそれなりに有名になったけど、今あたしの本名を知ってるのはアイツだけ。アイツの本名を知ってるのもあたしだけ。
    あたしとアイツは似てる。だから惹かれた。

    2006-02-28 23:13:00
  • 60:

    椎名

    「…あげはが不安なのはよく解るよ。俺、自分のこと、あげはに何にも言ってないから。だから今日あげはを誘ったんだ。俺のこと、見せようと思って。」
    刹那が初めて自分を見せようとしてる。
    「…付き合ってくれる?」
    『…うん…』

    2006-03-13 14:43:00
  • 61:

    椎名

    怖かった。今まで誰にも見せなかった刹那のプライベート。知りたいと思ったこともある。でも今は、なんとなく知るのが怖い。
    「…おいで…」
    最初に会ったときと同じように刹那が手を差し出す。細くてしやかな指。あたしは迷わず手をとった。刹那があたしを抱き寄せる。

    2006-03-13 14:57:00
  • 62:

    椎名

    刹那の香りに抱かれると、あたしの中の不安は消えた。
    「…怖い?」
    『…ううん。』
    「…先に車に戻ってる」
    刹那が歩き出す。あたしは刹那の後ろ姿を見ていた。どこか淋しげで、あたしには泣いているように見えた。

    2006-03-13 15:15:00
  • 63:

    椎名

    潮風が髪をさらう。
    …刹那はどんな想いであたしに自分を見せようとしてるんだろう…
    海を見ていた刹那は泣いていた…刹那が…泣いていた…
    …あの人を1人にしちゃダメ…
    あたしの頬を涙が滑っていった―

    2006-03-13 15:33:00
  • 64:

    椎名

    『あッ、あたしッ、変じゃないッ!?』
    「大丈夫(笑)可愛いよ」

    海を出た刹那はあたしに言った。
    「…1つだけ、頼みがあるんだ…」
    『ん?』
    「…俺の実家に来て欲しい。」
    『…え…?』
    「…ダメ?」
    『…ううん、いいよ』

    2006-03-13 16:04:00
  • 65:

    椎名

    「よかった…じゃあ、買い物行こ」
    『え…?』
    そのまま刹那はあたしを買い物に連れ出した。あたしの知らないショップがたくさん並んでいる。その中の1軒に入っていく刹那。
    「あげは、早くッ☆」

    2006-03-13 16:34:00
  • 66:

    椎名

    ドレスや靴、バックが並ぶおシャレなショップ。刹那はあたしを見ながら店員と何か話している。
    「あげは、おいで」
    刹那の隣に行くと少し安心する。
    「ん〜…やっぱり白かな…」
    刹那がそう言うとあたしはフィッティングルームに連れていかれた。

    2006-03-13 16:50:00
  • 67:

    椎名

    「あげは、着れた?」
    『う…うん…』
    刹那がカーテンを開ける。
    「…うっ…わぁぁ……可愛い…」
    白いシンプルなワンピースにヒールのある白いパンプス。ちょっと見ると育ちのいいお嬢様みたい。

    2006-03-13 20:18:00
  • 68:

    椎名

    『刹那…これ…』
    「うん、似合ってるよ。」
    『そうじゃなくて…』
    「いいの☆じゃ、これください。あ、このまま着ていきます。」
    刹那が微笑ってる。それだけで、あたしも嬉しくなる。

    2006-03-14 01:22:00
  • 69:

    名無しさん

    2006-03-14 01:24:00
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