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3:
「んぢゃ帰るわ」
「ちょぉ待って!!今から美容院行くし、ついでに乗せてってや」
「はいはい、お姫さま」
ちなみに、この男は彼氏ではない。ただの友達。
―いや、セフレといったほうが正しいだろう。素早く下着をつけて、TシャツとGパンに身を包んだ。2006-03-24 20:02:00 -
4:
マンションの前に止めてあるBMWに乗り込んで、3月にOPENしたばかりの美容院へと向かった。
「そこ左な、あ、ここでいいわ」
「お洒落な店やん。華菜の行きつけ?」
「いや、初めて。店長が男前って友達に聞いてん。」2006-03-24 20:06:00 -
6:
さっきちょこっと書いたが、この美容院に足を運んだのは、本当に噂を確かめる為だけだった。男にうるさいマナが、男前だと絶賛していたから。
そもそもあたしは2週間前に、カットもカラーもエクステも別の美容院ですませていた。
ウッドを基調とした店内に入りカウンターで受け付けをすませて、大きな赤いソファーに深く座ってタバコに火をつけた。2006-03-24 20:14:00 -
7:
すかさず店員が灰皿をもってきてくれた。笑顔が眩しいくらい可愛い女の人で、初めて入った美容院でまずタバコを吸う自分がちょっと汚く思えたのを覚えている。
3分くらいすると、奥から一際お洒落な男の人が出てきて、あたしの前に座った。
それが、弘樹。
2006-03-24 20:18:00 -
8:
確かに男前だったけど、そんなゆう程かっこよくないってのが第一印象だった。
「え‐と、今日はトリートメントですね。奥のシャンプー台にどうぞ」
トリートメントを塗る間や、シャンプーしてもらう間中ずっと喋っていた。
話せば話す程、弘樹から出ているオーラがあたしを引き付けていった。2006-03-24 20:22:00 -
9:
「彼氏とかおるん?」
「おらんなぁ。てか今いらんなぁ。」
「なんやそれ(笑)ほな明日から東京一緒行こか☆」
「なんやそれ(笑)仕方ないから行ったるわ☆」
「ほな明日電話するわ‐♪(笑)」2006-03-24 20:28:00 -
10:
あたしは当たり前に冗談だと思っていて、トリートメントを終えて髪をセットしてもらったあと、そのまま仕事に向かった。
当時16歳だったあたしは地元の小さなスナックで毎日働いていた。休みは定休日のみ。その日も飲んで騒いで疲れて、くたくたで帰宅して死んだように眠った。2006-03-24 20:31:00 -
11:
目を覚ますと時計は昼の2時をまわっていて、怠い体を一生懸命に起こしてキッチンへ向かった。その日は月曜日で、店は定休日。
キッチンでは学校をずる休みした妹がTVを見ていた。
「お姉、携帯鳴ってたで」
「え、ほんま?いつ?」
「なんや知らんけど、えらい早い時間から鳴ってたで。うちソレで起こされたしな!!マナーにしろや」2006-03-24 20:35:00 -
12:
「朝からうるさいねん!!おまえはオカンか!!」
「妹ですけど?しかも今もう昼すぎてますけど?」
うちの妹はほんまふてこい。ブツブツ言いながら携帯を取りに部屋に戻った。
着信履歴を表示すると、知らない番号から2件鳴っていた。2006-03-24 20:38:00 -
13:
名無しさん
おもしろそう?????完結頑張れ??
2006-03-24 20:39:00 -
14:
「誰やコレ。客かな?そういや昨日新規おったな」
独り言を言いながら通話ボタンを押した。
3回程コールしたあと、聞き慣れない声が聞こえた。
「おまえ電話でぇへんやん」
「え?ごめんけど誰?」2006-03-24 20:41:00 -
16:
「弘樹やし!!」
「あああ!!わかった!!え?なんで番号知ってるん?」
「昨日受け付けカードに携帯書いたやろ?あれ見てかけてん。てかもう東京ついたしな!!」
どうやら、彼は本気でゆうてたらしい。2006-03-24 20:48:00 -
17:
?
読みゃすぃ?
頑張って-ッ??
期待してマス?・?・)ノ2006-03-24 20:49:00 -
18:
「ああ、華菜寝てたわ。死んだように。」
「行く気0やん!!なんやそれ!!(笑)」
なんかわからないけど、本当にかけてきた事にビックリした反面、無性に嬉しくてテンション上がった。2006-03-24 20:52:00 -
19:
他愛ない話をして、アドレスも交換したりして、
「お土産よろしくな☆」で話をくくった。
テンションが上がったあたしは、そのまま用意して買い物に行った(笑)2006-03-24 20:54:00 -
20:
買い物を終えてカフェで一人でお茶していると、けたたましくトランスが鳴った。トランスは、男友達からの指定着信音だった。
「もォし?」
「今どこおる?暇?」
「暇っちゃ暇やけど」
「遊ぼや♪」2006-03-24 20:57:00 -
21:
こいつもセフレの一人だ。あたしはSEXが好き。誰と関係を持とうが、他人に迷惑かけないならOK、みたいな考えだったから、セフレはたくさんいた。
ヤろや♪の間違いちゃうか?と思いながらも、現在地を伝え迎えに来させた。
エルグランドで現れた彼は20歳、大学生。
2006-03-24 21:01:00 -
22:
本気で恋愛したこともある。でも、本気の恋愛は痛くて辛くて苦しい。
駆け引きも苦しさもいらない《セフレ》とゆう関係が楽で、16歳のあたしは《中途半端》にドップリはまっていた。
ヤツは、大学生をしながらパチンコ屋でバイトしていた。次の日は朝からバイトだったらしく、朝あたしが目を覚ますと鍵を置いて消えていた。2006-03-24 21:09:00 -
23:
「帰りバスかよ!!仕事あるなら昨日ゆえや〜…」
一言文句をゆってやろうと携帯に目をやると、不在着信3件と新着メール1件の文字が。
まず着歴を開くと、客2人と弘樹からだった。メールを見るとやっぱり弘樹だった。『まだ寝てるん?はよ起き〜?』2006-03-24 21:13:00 -
24:
客2人の着信は見ないフリをして弘樹にかけた。
「起きたぁ〜?」
彼は電話に出るとき、もしもしとゆわないらしい。
「起きたぁ♪なんかメールにハート入ってたし、ときめいたからかけた☆」
冗談で茶化してゆうと、「子悪魔や!!おっちゃん恐いわぁ」と笑った。2006-03-24 21:17:00 -
25:
そう、彼は26歳。あたしは次17歳だから、9歳離れていた。
今思えば、彼の持つ独特のオーラは、《大人》のオーラだったのかもしれない。20歳そこらの男にはない、甘い仕草や落ち着き。
16歳のあたしは、ズルズル引かれるように、弘樹の魅力にとりつかれていった。2006-03-24 21:21:00 -
26:
連絡を頻繁にとるようになり、美容院にも1週間に1度といった頻度で足を運ぶようになった。
美容院で見る弘樹は電話やメールとは違って少しそっけなかったけど、たまに見せる笑顔や、メールで話した二人しか知らない会話を店でしているとき、変な優越感に浸っている自分がいて、弘樹にハマっていることが自分でもわかるようになった。2006-03-24 21:25:00 -
27:
でも、あたしは水商売、弘樹は昼職。定休日は同じだったけど、2人で遊んだりプライベートで逢う事はないまま、季節は秋になっていた。
その日は少し肌寒くて、店でベロベロに酔っ払ったあたしは、送りの車を断って酔いをさます為マンションまでの道をトボトボ歩いて帰っていた。2006-03-24 21:29:00 -
28:
ヨロヨロ歩くあたしの横に車が止まったかと思うと、運転席から見慣れた顔が覗いた。
「お姉さん、今帰り?」
ナンパみたいに声をかけてきたのは、弘樹だった。
2006-03-24 21:33:00 -
29:
「今帰りやけど、ナンパはお断わりやし」
すかしてゆってみた。
「ほんまに?ほな送りはいらんなぁ」
「うそやん!!お邪魔しま〜す☆」
酔ってたのと嬉しいのとで、あたしはすぐさま助手席に滑り込んだ。2006-03-24 21:35:00 -
30:
「遊びに行く?今から店の子らとビリヤード行くんやん☆」
「え、華菜も行っていいん?いいなら行きたい!!」
公認やん!!なんて思いながら、車内で流れるレゲェに合わせて鼻歌を歌っていた。
弘樹に電話がかかってきた。「はっ?無理なん?もう向かってんのに!!‥ああ、まぁ仕方ないなぁ…」
どうやら無理になったらしいm(__)m2006-03-24 21:40:00