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愛 o r 恋
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50:
なんて単純な、と思う人もいるかもしれない。
実際自分でも単純だと思ったし。優しくされることにこんなに弱かったなんて、あたし自身気がついていなかったんだと思う。
弘樹の顔があたしに近付いてきたときに、あたしは拒む事が出来なかった。
「またセフレになるかも」とゆう不安も吹き飛んでしまったくらい、そのときは嬉しさでいっぱいだった。2006-03-26 03:27:00 -
51:
弘樹とのSEXは、今まで感じたことないくらい気持ちイイものだった。
年の功ってやつかな?と思う程、丁寧で優しくて、でも激しいものだった。
16歳も終わりに近付く肌寒い秋、あたしと弘樹の関係は始まった。2006-03-26 03:31:00 -
52:
「好き」「付き合おう」
そんな言葉は何もない。
あたしはまた《ハンパ女》になってしまっていた。
「今は女おってもなぁ…」弘樹の言葉があたしの頭の中をグルグル回っていて、関係を続けたいが為に、あたしは弘樹の前で【物分かりのイイ女】を演じるようになってしまっていた。2006-03-26 03:35:00 -
53:
弘樹はマメに連絡をくれたし、週に2、3度は必ず時間を開けてくれていたから、「寂しい」と感じた事はあまりなかった。
休みの日に一緒にご飯を食べに行ったり、服を買いに行ったり、街を歩くときは普通のカップルみたいだったからむしろ幸せだった。
でも付き合ってない。
だから我儘は言えない。2006-03-26 03:40:00 -
54:
思えば、あたしは弘樹の事を何も知らなかった。
あたしの目に映る弘樹は寛大で大人で、でも二人でいるときは子供みたいに甘えたで、怒りも泣きもしなかった。
いつも穏やかに微笑んで、小さい子をあやすみたいにあたしと会話する。
あたしは我儘も嫉妬も何にも表面にだしていなかったのに。2006-03-26 03:43:00 -
55:
不安はたくさんあった。
電話に出てくれない夜、「何してるんやろ?違う女の子と遊んでるんかも」。
「何で付き合おとか言うてくれへんのかな。やっぱり華菜はただのセフレなんかな」。
寂しいと感じた事はなくても、不安で泣いた夜もあった。逢いたくて仕方ない夜もあった。2006-03-26 03:48:00 -
56:
でも、「これやからガキは嫌や」と思われるのが恐くて、あたしは精一杯大人のフリをした。
ガッツいてると思われるのも嫌で、何回も何回も電話したりしなかった。
いまいち弘樹の前で16歳の女の子になれなかった。
もっと逢いたい。もっと話したい。もっと知りたい。好きで仕方ないって伝えたい。―独り占めしたい。2006-03-26 03:52:00 -
58:
「弘くん何してるん♪」
その日も例によってベロベロになったあたしは、ご機嫌で弘樹に電話をかけた。
「また酔ってんのかい(笑)ほんま華菜は可愛いなあ」「華菜、弘くん大好きやぁ」「はいはい(笑)俺も華菜スキやで」
「なら付き合ってや!!」2006-03-26 03:58:00 -
59:
『しまった』と思ったときには遅かった。
笑って冗談でかわすだろうと思って軽く言ったのに、電話の向こうの弘樹は明らかに困惑して黙り込んでしまった。
酔いは一気に冷めた。
「や、や、弘くん、今のナシや!!言ってみただけ」
「ハッキリさせなアカンとは前から思うてた。今のが華菜の本音やんな?」2006-03-26 04:04:00