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好きって何?

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  • 1:

    詩織

    一緒におりたいって思ったら?
    何にもないときに思い出したら?
    他の人にとられたくないって思ったら?
    トモダチと彼氏の好きの境目って何?

    ァタシの過去をノンフィクションで書いていきます。

    2006-02-05 01:24:00
  • 2:

    詩織

    18才の頃。ァタシはキャバクラで働いていた。
    始めたきっかけは忘れてしまったけど、お金がほしかったわけじゃなく、夜一人でいたくなかったから。

    2006-02-05 01:35:00
  • 3:

    詩織

    好きな人はいたけど彼氏はいない。
    ァタシの家は厳しいけど、その時は実家を出て一人暮らしをしていたから親にはバレない。
    別にァタシを止める人はいなかった。
    夜一人にならなくて済み、お金もたくさん入る。ァタシにしたら都合のいい職だった。

    2006-02-05 01:49:00
  • 4:

    詩織

    ただ一つ嫌だったのは店の女の子。
    昔から男友達の方が多かったから、女の子は苦手。男のがハッキリしてて楽。
    客席では笑顔で話してたけど、それ以外は挨拶くらいしか話さない。周りからしたら感じ悪い女。
    でも新人のくせにキャバ嬢としての成績は良かったから店の待遇は良かった。

    2006-02-05 02:05:00
  • 5:

    詩織

    『なぁ、ご飯行かん?』
    キャバを初めて2週間たった頃、店の女の子に誘われた。親しみやすく少し話したことある子だったので、断る理由もなく暇だったので行くことにした。
    「あ、もう一人くるねんけどいいよな?」
    (え?誰?店の子は大半しゃべった事ないし…正直ダルぃ)
    でも今更断る事もできず、結局3人でご飯に行った。

    2006-02-05 02:17:00
  • 6:

    詩織

    『何才ですか?店入ってどれくらいなんですか?』
    アリサの第一声は敬語だけど威圧的な態度だった。
    とりあえず「18。まだ2週間くらい」とだけ答えた。

    2006-02-05 10:09:00
  • 7:

    詩織

    第一印象は最悪だったけど、お互いレギュラーで出勤してたので毎日顔を合わす。
    はじめは威圧的に感じた態度も、慣れれば気を遣わなくてすみ気楽だった。
    気付くとァタシ達は毎日一緒にいた。
    女の子が苦手なァタシにとって、常に一緒にいる子ができるのは初めてだった。

    2006-02-05 10:22:00
  • 8:

    詩織

    毎日起きては連絡してご飯を食べに行って飲み、仕事に行き仕事でも飲む。
    仕事が終われば飲みに行き、つぶれて寝る。
    毎日そんな繰り返し。
    今考えればただのアル中。

    2006-02-06 09:43:00
  • 9:

    名無しさん

    http://vl-o-l.jp/gaogaojgmjgp/

    2006-02-09 22:51:00
  • 10:

    詩織

    そんな毎日が何ヵ月も過ぎて、仕事中ァタシの携帯がなった。
    ‐着信‐あゆ
    歩は客の一人。いつも来る若い常連達の連れで、何週間か前にその場のノリで場内指名をくれた。
    (何やろ?まったく連絡とってなかったのに…)

    2006-02-10 21:27:00
  • 11:

    詩織

    『ひさしぶり!誰かわかる?今から行くわ!』
    (え…?嘘やん。コイツ自分からキャバとか行かんみたいやったのに)
    正直ダルかった。顔もあんまり覚えてないし、問題は若い常連達。しょっちゅう店にきてはゲームをして飲むので、毎回女の子が何人か酔い潰される。

    2006-02-10 21:34:00
  • 12:

    詩織

    でも断る理由もなく、「わかった」とだけ言い電話を切った。
    電話の後すぐに指名が入った。あゆはいつもの常連とは違う連れと2人で店にきていた。
    『今日はコイツが飲みたい気分でキャバ行きたいって言ってて、せっかくやからここ来たわ』

    2006-02-10 22:11:00
  • 13:

    詩織

    ほっとしながら席につき、焼酎を頼んだ。飲まされるのは嫌やけど飲むのなら歓迎。
    ほぼアル中に近かったアタシはその日も飲みすぎた。
    「モチロン延長〜」『当たり前〜。それより飲もうや〜。』そんな言葉を何度も繰り返してたら気付いたら朝。
    ラストの精算が来たとき、額がヤバい事になってた。

    2006-02-10 22:22:00
  • 14:

    詩織

    ァタシは客席ではどれだけ飲んでも気をはっているのか、つぶれることはない。記憶もちゃんとある。
    だけど伝票に書かれているシャンパンやフード、延長時間。どれもうっすらとしか記憶になかった。
    あゆがお金を渡してきて、はっと我に返った。

    2006-02-11 15:40:00
  • 15:

    名無しさん

    『この後暇じゃない?カラオケ行こうや。』
    アタシはアフターに行かない。ましてや一回店に来たくらいの客。酔いはさめていたけど酔ったフリをして軽く流した。
    あゆ達が店を出てアタシを待ってるみたいだったので「ミーティングあるみたいやから」と言いその日は送りで帰った。

    2006-02-11 18:05:00
  • 16:

    詩織

    それから何度か若い常連達と一緒に店に来て指名をくれた。
    あゆが来るときは突然。普段メールも電話もしない。ほんとに連れの付き合いでしかこないし営業もしなくて済むからかなり楽。
    色んな話をするうちに共通の友達がいることがわかった。

    2006-02-11 23:09:00
  • 17:

    詩織

    繋がりがわかってからは客というよりも「友達の知り合い」。
    ひさびさに常連達に連れられてあゆが店に来た日、共通の友達とみんなでカラオケに行くから行こうやと誘われた。
    ァタシは相変わらず酔っていて、なぜかあゆの席では記憶がとぶ。
    気付いたらみんなでカラオケに行っていた。みんなけっこう酔っていて、ァタシはなぜか泣いていた。

    2006-02-11 23:24:00
  • 18:

    詩織

    なぜ泣いていたかは記憶にない。ただ少し酔いすぎていたからだと思う。
    散々泣いて落ち着いた後はもぅ瞼がいう事をきいてくれなかった
    (気持ちいい。動きたくなぁい。)

    2006-02-12 15:32:00
  • 19:

    詩織

    『ほら、行くで。』
    そんな言葉が遠くから聞こえてきた。けどァタシは夢の中にいるようで体は動かない。
    少ししたら、本当に体が宙に浮き、心地いい振動と暖かい腕に包まれていた。

    2006-02-12 15:42:00
  • 20:

    詩織

    (あれぇ?おかしい。ここどこやろ?)
    目を開けると知らない部屋の前。一気に目が覚めた。(ヤバイ。)
    ぼーぜんとしているァタシにあゆは『じゃ、俺仕事あるからここで寝とき。』
    …って寝れるかボケェ!しらん場所の人の部屋で。ァタシそんなに無防備ちゃうし。

    2006-02-12 17:21:00
  • 21:

    詩織

    そんなァタシをほっといて勝手に仕事にいこうとするあゆ。
    「いや、ちょっと待ちやぁ!ここどこ〜?誰の部屋らん〜?」
    慌ててるつもりやけど酔いもあってちゃんとしゃべれてない。
    『連れの家やけど今連れおらんし、部屋2個あるし鍵かけれるから寝とき。連れには言うとくわ。まぁ、部屋から出るなよ。男は狼や!』
    笑いながらそう言ってあゆは仕事に行った。狼のところにおいていくなよ…。

    2006-02-12 19:32:00
  • 22:

    詩織

    (眠い…気分悪い。寝たい)一人になったアタシは欲に勝てず、誰だかわからない部屋で鍵のある部屋を探し、ベットに寝転ぶと寝てしまっていた。

    (頭痛い…)
    頭痛で目が覚めた。周りを見ると知らない部屋。一瞬あせったけど遠くからあゆの話し声が聞こえて思い出した。

    2006-02-13 08:52:00
  • 23:

    詩織

    『あ、起きた?飯食う?』そう言って部屋に入ってきたあゆは、なんだかうれしそうだった。
    「いや〜いいわ。今何時?」はっとして時計を見た。8時半。
    (寝すぎた…仕事行かな)
    でも二日酔いで行きたくない。結局店に電話して休みにしてもらった。

    2006-02-13 09:03:00
  • 24:

    詩織

    大量の水と薬を飲み、化粧を直してからあゆの作ってくれたご飯を食べた。
    一人暮らしなので人の作ってくれた手料理がなんだか嬉しかった。

    2006-02-13 09:09:00
  • 25:

    詩織

    その日はご飯を食べてから送ってもらって帰った。

    それからもあゆは何度か店にきてくれた。少し変わったと言えばメールをするようになった事。ただ、内容は他愛もない話だったので、店に来るのはいつも突然だった。

    2006-02-13 09:14:00
  • 26:

    詩織

    『USJ行きたい』
    少し前からのあゆの誘い。その日もまた誘われて、ついOKしてしまった。
    「いいよ」と言った直後のアユの嬉しそうな顔を見たら断りづらくて、結局その日に日にちと時間を決めてしまった。
    (まぁ、アタシも行きたかったしいっかぁ。)

    2006-02-13 17:04:00
  • 27:

    詩織

    遊園地とかのデートスポットに興味がなさそうなアユ。それにアタシ達の間には恋愛というものはなく、指名をくれるのはただの付き合い。
    そんなアユに誘われたのが少し嬉しかったのかもしれない。

    2006-02-14 09:49:00
  • 28:

    詩織

    だからといって、アタシの中で「お客さん」という事が消えたわけじゃない。早起きして客と出かけるのは憂欝だった。
    実際、当日の待ち合わせ場所に行くアタシの足取りは重かった。
    (嫌やなぁ。2人で会うの初めてやしなんか緊張するし。)

    2006-02-14 12:03:00
  • 29:

    詩織

    約束に30分遅れで到着。急いでアユに電話しようとすると
    『おはよー♪』
    振り替えると笑顔のアユが立っていた。別に遅刻を怒ることもなく、さっさと改札に歩いていく。
    「え?ドコ行くん?」

    2006-02-14 12:16:00
  • 30:

    詩織

    『約束!俺は約束ちゃんと守るねん!』
    そう言って一人で先に歩いていく。アタシはわけがわからないまま、ついていくのに必死。
    (人多いねんからわけのわからん約束より、はぐれへんように気付けろよ!)
    心の中で叫ぶアタシにも気付かずアユはブランド店に入っていった。
       -HERMES‐
    アタシは一体そこになんの約束があるかわからないでいた。

    2006-02-14 14:13:00
  • 31:

    詩織

    (略)
    アタシはそこに、何の約束があるかわからないでいた。

    2006-02-14 15:06:00
  • 32:

    詩織

    そう言い、店員に指輪を何個か出してもらった。もう彼の中で買うことは決定してるらしい。強引な彼に甘えてアタシは指輪を買ってもらうことにした。
    「ありがとう」
    店を出てお礼を言うアタシに『約束やん♪じゃ、USJ行こっか。遅くなってごめんな』と言い、また先に歩いていった。

    2006-02-14 20:00:00
  • 33:

    詩織

    USJに着く頃には、朝の妙な緊張感はなくなっていた。だけどアタシはどこかぎこちなかった。
    理由はわかっていた。アユがアタシを「詩織」とは呼ばないから。アユには本名を教えていない。プライベートに源氏名で呼ばれる妙なミスマッチ感がアタシをぎこちなくさせていた。

    2006-02-14 20:12:00
  • 34:

    詩織

    (シラフやと夜までもたん…)
    そう思いビールを飲みまくった。店ならいつもすぐに酔ってしまうのに、今日はいくら飲んでもほろ酔い程度。
    帰る頃には酔いは覚めていた。アタシに合わせてガンガン飲んでいたアユはかなり酔っていた。

    2006-02-15 00:00:00
  • 35:

    詩織

    アタシは仕事だったので店の近くまで送ってもらうと、『朝から起きててしんどいやろ?同伴で行くで♪休んどき。』
    確かにかなり眠かったのでお言葉に甘えて同伴してもらった。店で飲むとなぜか酔う。(外やと警戒してたからかな?)そのまま疲れもあり酔って寝てしまった。結局アユが帰る時にアタシも帰った。

    2006-02-15 00:08:00
  • 36:

    詩織

    それから何度かアユと共通のトモダチと遊んだ。遊ぶといっても飲みに行った。
    相変わらずアタシは毎日飲んでいて、起きている間シラフの時はほとんどなかった。
    この頃のアタシは酒に逃げていたのかもしれない。
    アタシにはずっと忘れられない元彼がいた。

    2006-02-15 00:15:00
  • 37:

    詩織

    アタシにはずっと忘れられない元彼がいた。でも彼には彼女がいた。
    1年半想い続け、すべてを彼に捧げ、二股だった時期もある。
    彼はズルい男で、アタシも彼女も好きだと言っていた。そこで突き放せないアタシも悪いけど、どんな形であれ彼の傍にいたかった。
    彼との繋がりをなくしたくない。こんな関係はもう止めなくては。そんな言葉が何度も繰り返され、アタシは出口のない迷路の中にいた。

    2006-02-15 00:28:00
  • 38:

    名無しさん

    2006-02-15 06:41:00
  • 39:

    詩織

    どれだけ悩んでも答えは出ない。苦しみから逃げるためにァタシは酒を飲み続けていた。
    別にお酒に逃げるのは悪い事だとは思わない。人はみんな強いわけじゃない。その時、楽になるのなら逃げるのもいいんじゃないん?
    でもアタシの場合、極端に飲み過ぎだった。

    2006-02-16 01:56:00
  • 40:

    詩織

    アリサ『最近無理しすぎじゃない?』
    ひさびさにゆっくりアリサと飲んでいた時、急に言われた。
    (別に無理してるわけじゃないねんけどなぁ…そう見えるんやぁ。)
    「平気やで?それよりアリサは男とどうなん?」
    アリサ『ん〜、普通に仲良し!』

    2006-02-16 03:10:00
  • 41:

    名無しさん

    アリサに出会って4ヵ月。相変わらず毎日会ってはいたが、アリサには彼氏ができてゆっくり話をするのはひさびさだった。
    アリサ『詩織はアユ君とどうなん?最近よく一緒におるやん♪』
    詩織「別に〜。アユとは恋愛とかじゃないし!楽やから一緒におるだけ〜。」

    2006-02-16 03:20:00
  • 42:

    詩織

    アリサ『そーなん?アタシは詩織とアユ君はいいと思うねんけどな〜♪まだ前の男引きずってんの?』
    詩織「………」
    引きずってないとは言えなかった。きまぐれに来る彼からの電話は必ず出ていたし、メールが来れば嬉しかった。
    でも、時間がその想いを弱めてくれたのかもしれない。前ほどは彼の言動に動揺しなくなっていた。

    2006-02-17 05:19:00
  • 43:

    詩織

    何も答えられないアタシにアリサは、『誰にでも忘れられへん男とかおると思うしな!あんまり考えすぎんときや。』と言ってくれた。
    そんな時、アタシの携帯がなった。
    ‐着信‐いっちゃん
    一也(イチヤ)。忘れられない元彼からだった。彼はいつも、どこかで見てるのかと思うほどタイミングがいい。

    2006-02-17 17:08:00
  • 44:

    詩織

    普段は連絡なんかくれないくせに、アタシが離れようと決心した時に電話してきていつもアタシの心を引き戻す。
    ズルい男。それをわかっていても離れられないアタシは本当にバカな女だね。

    アリサ『電話出んの?』
    詩織「あぁ…うん。…出るよ。」

    2006-02-17 17:15:00
  • 45:

    詩織

    そう言っても電話に出ようとしないアタシに
    『…ぢゃ、アタシも男迎えに来たみたいやしそろそろ帰るかぁ!』
    と言い、会計を済ませてアリサは帰っていった。
    (気使わしてもたかなぁ…)アタシは人の前で彼の電話には出たくない。彼の前だとアタシは変わる。普段男に対してドSのアタシが女の子キャラになるのはあまり見られたくない。

    2006-02-17 17:45:00
  • 46:

    詩織

    アリサと別れてすぐ、静かな所に行って電話をかけ直した。
    プルル....『…もしもし?』「あ、いっちゃん?さっき電話くれたやんね?」
    『うん。ってかオマエなんで出んねーん!浮気してんちゃうぞー?』
    冗談で言う彼の言葉も、ひさびさに聞く彼の声も、全てがアタシを切なくさせた。

    2006-02-17 17:54:00
  • 47:

    詩織

    「女友達やし!」
    前までならその後に「アタシはいっちゃんだけ」と続けていたけど、今は言わない。そんなアタシに気付いてか気付いていないのか、『…男できた?』少し寂しげに聞く彼に「できてないよ」とだけ答えた。
    『…次の休み会おっか?』もちろんアタシは断れなかった。
    (もう前ほどの気持ちはないから平気やんな…)

    2006-02-17 18:08:00
  • 48:

    詩織

    「女友達やし!」
    前までならその後に「アタシはいっちゃんだけ」と続けていたけど、今は言わない。そんなアタシに気付いてか気付いていないのか、『…男できた?』少し寂しげに聞く彼に「できてないよ」とだけ答えた。
    『…次の休み会おっか?』もちろんアタシは断れなかった。
    (もう前ほどの気持ちはないから平気やんな…)
    自分にそう言い聞かせるようにつぶやいた。

    2006-02-17 18:09:00
  • 49:

    詩織

    約束の日はすぐに来た。
    その日は昼前には起きて、メイクを完璧にして髪をゆるめに巻いき、普段より大人しめの服を着た。
    プルル…『はぁい。おはよ♪詩織早いなぁ。用意できたんかぁー?』「うん!いっちゃんいつ来る?」『あ〜今迎えに行きよるよぉ。もう着くから出てきといて?』「わかったあ。」…Pi。
    なんだかんだ言ってテンションがあがってるアタシは急いで家を出た。

    2006-02-18 01:34:00
  • 50:

    詩織

    3分後、一也の車が見えた。急いで近寄っていくと、中には一也ともう一人。一也の親友の中本君。
    (…またお邪魔虫付きかよ。二人がよかったなぁ。)心の中ではガッカリやけど、顔には出さず後ろに乗り込むアタシ。
    「ひさしぶり!いっちゃん、中本虫!」
    アタシは中本くんを「中本虫」と呼ぶ。虫がくっついててからついたあだ名やけど本間は「お邪魔虫」の虫やってのは黙っておこう。

    2006-02-18 01:42:00
  • 51:

    詩織

    『ひさしぶり!詩織は相変わらず可愛いな♪』
    毎回いっちゃんはアタシにこう言う。アタシの顔は彼のストライクをついてるらしい。まぁ人には好みがあるからね。一也は誰から見ても男前。そんな男のタイプだと言われると悪い気はしない。
    「いやいや、いっちゃんも相変わらず男前!」
    そんな毎回の誉め合いを済ませてから3人で海に向かった。

    2006-02-18 03:10:00
  • 52:

    名無しさん

    読んでます☆彡

    2006-02-18 04:04:00
  • 53:

    詩織

    まだ寒く、海にはまだ人はほとんどいなかった。
    楽しい時間はとても早く、3人でひとしきり遊んだ後寒くなったので車に戻る事にした。
    『段差あるで〜!詩織はドジやから気つけな転けるよー!』と、さり気なく手をとってくれる。
    一也の好きな所の一つ。気にしなければわからない、小さな気配りができる所。決してキザではなく、さり気なくドアを開けてくれた。(助手席座りたかったの気付いてたんや…)
    アタシの意地っ張りな性格を見抜いてる。くやしいけど好きだと気付かされた。

    2006-02-18 04:10:00
  • 54:

    詩織

    車に乗ると同時に携帯が鳴った。

    ‐着信‐アユ

    表示を見た瞬間はっと気付いた。いっちゃんには彼女がいる。今は幸せ。でも明日からはまた孤独な毎日。現実に戻された感じがした。

    2006-02-18 04:22:00
  • 55:

    詩織

    『…電話鳴ってるよ?出んの?』
    多分かなりの時間ぼーっとしながら携帯を握り締めていた。
    (しまった…。マナーにし忘れてた)
    一也といる時はキャバ嬢をしている事を隠すために必ずマナーモードにしている。バレたらアタシは確実に切られるから。
    アユは客ではなくなっていたけど「ケンカ中の友達からやから今はいいねん。」と言い電話には出なかった。

    2006-02-18 04:49:00
  • 56:

    詩織

    アタシは一也の前では嘘をつくのがうまかった。性格自体が普段と変わっていた。別に作るつもりはないのだけれど、なぜか変わってしまう。
    「彼の好みに」「嫌われないように」。そんな事ばかり考えてしまうから。
    人は恋をすれば変わるもの。けどアタシは極端に変わりすぎで…と言うよりも変えなければいけなくて、苦しかった。
    そんなアタシを好きになってくれても、それは「本当のアタシ」じゃないのに…。けれど好きだから止められなくて、その悪循環がアタシを病ませた。

    2006-02-18 05:01:00
  • 57:

    詩織

    そんな苦痛も顔には出さない。
    『こっちおいで』自分の横をポンポンたたく一也。…かわいすぎる。笑顔で近づくといきなりぎゅっと抱き締められた。いきなりで、ドキドキしてるアタシに『可愛いなぁ〜♪』とご機嫌そうに一言。
    もぅこの瞬間にイライラなんか吹き飛んでるアタシ。はい、バカです。

    2006-02-19 03:09:00
  • 58:

    詩織

    そんなアタシ達をいつもように中本君は軽く無視。
    中本君は一也の彼女と知り合いだけど、アタシと一也の関係も知っている。彼女にはアタシの事は黙っていて、1年半たつ今も知らんぷりを通してる。
    それが男の友情なんかは知らんけど、アタシからしたら面倒な事にならず、都合が良かった。

    2006-02-19 23:08:00
  • 59:

    詩織

    しばらくすると一也が『連れがここの違う部屋におるしいから俺ちょっと顔出してくる』と言い出ていった。アタシと中本くんは二人きり。別に気まずくはないけど会話は限られていて、やっぱり一也の話になった。
    「一也は渡さへん〜」『いや、詩織も譲らんし!』そんな事を言い合った後、少ししてから中本くんは急に真面目な顔でアタシに言った。
    『いつまで続けるん?』

    2006-02-22 00:22:00
  • 60:

    詩織

    言葉は短いけど、それが何を指していて中本がどう思っているか初めてわかった。
    [彼女に黙って、いつまで二股みたいな関係続けるん?]
    そういう意味だ。そして中本君は良くは思っていなかったと言う事。終わりはアタシから言わなければいけないという事。

    2006-02-22 00:26:00
  • 61:

    詩織

    ショックだった。そりゃあ普通に考えれば当たり前なんだけど…
    中本くんは一也の親友で、よく3人で遊んだりしていた。良く思っていなかったのなら、もっと早く言ってほしかった…。

    『アイツ男前やから昔からモテるし。始めはさ、また一也の悪い癖出た〜くらいにしか思ってなかってん。まぁ昔よりは女癖よくなった方やし』
    「知ってる。じゃあいつから変わったん?」

    2006-02-23 09:09:00
  • 62:

    詩織

    『ん〜…はっきりはわからんケド一年たたんくらいかなぁ。たまに熱狂的な奴おってストーカーみたいになった奴はおるけど、アイツ4年続いてる女と別れんし。たいがいそれで我慢の限界でストーカーするか諦めて離れるかやねん。』
    「…それで?」
    『詩織は一年たってまだ純粋に好きって言うてるやん?んで、一也も変わらず可愛いとか言うてるし…。心配やねん。』
    「何が?アタシが一也と彼女になんかすると思ってんの?そんなんせんし!するならとっくにしてるわ!」

    2006-02-23 09:15:00
  • 63:

    詩織

    (言われなくてもわかってるし。ってゆーか、そんなんアタシと一也の問題やん。)

    [アタシは影の存在]

    頭ではわかってる。けど変えられない現実を言葉にされて、あたしは黙り込んでしまった。

    2006-02-23 11:55:00
  • 64:

    詩織

    『いや、俺が心配してんのは詩織の方な。』
    「へ?なんで?」
    『詩織はな、1年以上も一也を想ってるからアイツの性格とか全部わかってると思うねん。アイツはワガママな男やで。オマエも女も好きや。でもオマエのために女と切ることはない。わかってるんやろ?オマエがつき離さん限りアイツは今の状態に甘える。ツライんはオマエやで?』

    2006-02-23 13:25:00
  • 65:

    詩織

    「……………」
    予想外の言葉に何も言えなくなった。確かに好きすぎてどうしようもない時はしんどくて、毎日泣いてた。今は泣く事はなくなったけれど、会ってしまえばやっぱり好きだと思ってしまう。

    「…一也は優しくてズルいからちゃんと別れを言ってくれないねんよなぁ。好きって言われたら詩織からは突き離せんわぁ。めっちゃ苦しいけど…。いっちゃんからちゃんと言われたら諦めれるのにな。生き殺しやわ!」
    言った後はっとした。そんな事言うんじゃなかった…。

    2006-02-25 02:55:00
  • 66:

    詩織

    なんだかんだ言って、一也と縁が切れるのは嫌だ。でもさっきの言葉をもし中本くんから一也に伝えられたら…。
    アタシは焦って「今のん一也に内緒な!」と言った。
    中本くんは『うん』と答えてくれた。
    その後、アタシ達の間になんか気まずい空気が流れだした時『ただいまぁ〜!』と言いながら一也が帰ってきた。

    2006-02-25 03:00:00
  • 67:

    詩織

    一也が戻ってきてからは変な空気もなくなり、何曲か歌った後カラオケを出た。
    『もぅ遅いし帰ろっかぁ。』一也の一言で解散することになった。
    (もうちょっとおりたかったなぁ…)そんな事を考えてたら中本くんの家に着き、バイバイをした。
    車内にはアタシと一也。帰るのは寂しいけど幸せの瞬間だった。普通、前を向いて座る助手席でアタシは身体ごと横を向き一也の横顔を見つめていた。

    2006-02-25 03:07:00
  • 68:

    詩織

    『何見てんねん!』
    照れながら怒ってる一也。アタシはニコニコしながら視線を離すことはなかった。

    ふと気付けば車は駐車場に入っていってる。ラブホの駐車場だった。
    これもいつもの事だ。ひさびさに会うと性欲の強い彼は、アタシを抱く。二股と言ったが所詮アタシは第二の女。一番になれるのは会っている時だけで、セフレとたいして変わらない。ただ、少し愛のあるセックスフレンド。

    2006-02-26 15:37:00
  • 69:

    詩織

    『行こぉ〜。…嫌?』
    (アタシが断らないのを知ってるくせに。)
    「嫌じゃないよ。」

    一也とアタシは体の相性がとても良かった。男前でモテる一也がアタシと繋がってる大きな理由は顔と体。事実はどうかしらないけれど、少なくともアタシはそう理解していた。はじめは嫌だったけれど、今となってはその方が楽だった。感情は冷めるかもしれないけど、顔と体の相性はすぐには変わらないものだから。

    2006-02-26 21:16:00
  • 70:

    名無しさん

    しおりさんの気持ちめっちゃわかります?ぅちもそぅだったから…でも昨日バィバィしましたぁ?続き楽しみに待ってます?

    2006-02-27 04:10:00
  • 71:

    名無しさん

    恐い位心境もしおりちゃんの性格もあたしに似てる?めっさ引き込まれるし〜?頑張って完結してニョ?

    2006-02-27 04:36:00
  • 72:

    詩織

    75サン、76サンありがとうございます??応援ほんまに嬉しいです??ヘタクソですが、頑張って完結するんで最後まで見てもらえると嬉しいです??

    2006-02-27 09:44:00
  • 73:

    名無しさん

    部屋に入ってベットに寝転び、お互いの最近の話をした。他愛のない話だけど一也が隣で笑ってる、それだけで幸せだった。
    それから別々にオフロに入った。「一緒に入るぅ〜?」そぅ聞かれたけど、女に完璧を求める一也に明るい所でアタシの体を見せれるわけない。『恥ずかしいからヤダ』とドアを閉めた。

    2006-02-27 14:14:00
  • 74:

    名無しさん

    2006-02-27 14:19:00
  • 75:

    名無しさん

    アタシがオフロを出ると電気を暗くしてベットに入った。
    一也がアタシに優しくキスをする。強く抱き締め合った後キスが激しくなり一也の手が服の中へ入ってくる。

    2006-02-27 17:09:00
  • 76:

    詩織

    ↑名前書き忘れてました。すみません。詩織です。

    2006-02-27 17:10:00
  • 77:

    詩織

    『好き』
    そう何度もつぶやく一也に、体をあずけた。この時アタシの思考回路は完全に止まっている。ただ気持ち良さに酔いしれる。

    『…して?』
    その瞬間いつもアタシの止まっている頭が動きだす。

    2006-02-27 17:17:00
  • 78:

    詩織

    (フェラして)
    そういう意味。アタシはフェラが嫌い。いつもこの一言で現実に戻る。
    「うん。」
    それからのアタシの頭は計算をはじめる。

    2006-02-28 03:02:00
  • 79:

    詩織

    一也好みの仕草、言葉、表情。すべて彼好みの演技をする。

    「ん〜、アゴ痛いよぉ。」
    ある程度彼に尽くした後、そう言って泣きそうな顔で一也を見上げる。一也はそんなアタシの髪を撫で、アタシに入ってくる。
    彼がイクまでアタシの演技は終わらない。もぅ気持ち良さはどこかに消え、すべては一也の快感のために。

    2006-02-28 03:11:00
  • 80:

    詩織

    終わった後は優しく抱き締めてくれる。そんな一也を嬉しく思いつつ、なぜか遠くも感じた。
    一也の腕につつまれながら(してる間は何も考えなくて済むから。必要とされてる気がするから。だから毎回してしまうんだろぅなぁ…。)
    そんな事を考えていた。

    2006-02-28 03:16:00
  • 81:

    詩織

    それからもう一度シャワーを浴び、ホテルを出る。
    お金はすべて一也が出す。『女の子は財布出さなくていいの〜』と言うのが彼の考え。
    一也はアタシに一切お金を出させない。小さな気遣いや優しさを決して忘れない。彼女として、女の子扱いをしてくれる彼の性格がアタシを離れなくさせる理由でもあった。
    ただ男前なヒドい男ならこんなに悩まないのに。例えば、お金や体だけ請求して後は冷たくされたのなら離れる決意もできるのに…。

    2006-02-28 03:25:00
  • 82:

    名無しさん

    一瞬の夢がアタシを縛っていた。

    『じゃあね、また連絡するなぁ。』
    「うん。待ってる。気付けて帰ってね。」
    家に帰って扉を閉める。タバコを出し火を点けて肺に思い切り煙を入れる。アタシの夢が覚める瞬間。

    2006-02-28 11:59:00
  • 83:

    名無しさん

    自然と割り切れてる自分がいる。さっきまでの本気で夢見ていたアタシはもういない。
    (アユに電話せな…。)
    カバンから携帯をとりだしてメールと着信履歴を全部チェックし、必要最低限な連絡を済ましアユに電話をかけた。
    …プルルルル…プルルルル…
    何度コールしても出ない。時計をみると3時を回っていた。でるわけない。普通なら寝てる時間だ。

    2006-02-28 12:06:00
  • 84:

    詩織

    (まぁ、いいか。)
    そぅ思い携帯を閉め、早起きしたからか疲れからか、気付くといつもより早い眠りについていた。

    Pipipi...
    携帯の音でアタシは目が覚めた。

    2006-03-08 00:42:00
  • 85:

    詩織

    -着信 あゆ-
    『もしもし〜?寝てた?』「ん〜。」
    『じゃあ起きたらかけて』そう言って電話は切れた。
    (今何時やろ?)
    時計を見ると6時。とりあえず起きてタバコを吸いテレビをつけた。少しぼーっとしてから店に出勤すると電話をし、アリサに電話をかける。

    2006-03-08 00:49:00
  • 86:

    詩織

    すぐにアリサに電話して待ち合わせ場所を決め、家を出た。
    (アリサに一也のこと話すべきかなぁ…)
    そんな事を考えながら待ち合わせ場所に向かっていると携帯が鳴った。
    -着信 あゆ-

    2006-03-14 00:17:00
  • 87:

    詩織

    『もしもし〜?ごめん、さっき起きたぁ。』
    「あ、起きとった?おはよ☆また寝呆けて覚えてないと思ったからかけてん。ってか急やけど話あるんやん。今日ヒマ?」
    『今日仕事〜。ってか話って何?気になるから今言って。』
    「いや、じゃあまた今度話すわ。」

    2006-03-23 04:17:00
  • 88:

    詩織

    『いやいや、今言おうよ!気になるやん。』
    その後何回か同じ会話が繰り返されたけどアユは話そうとしない。アタシは言い掛けてやめられると気になってしょーがない性格。なかなか話そうとしないアユにイライラした。
    『ほな、もーいーわ。切るで。』
    ブチギレモードのアタシにアユは観念したらしく、渋々話しだした。

    2006-03-23 04:21:00
  • 89:

    詩織

    「急やねんけどな、好きになったから付き合って。」『………………はぁ?』
    急すぎてアタシの頭はアユの言葉を理解できなかった。
    「急やねんけどな!ほんま好きやねん。」
    二回言われてやっと思考回路が動きだした。
    (いやいやいやいや!はぁ?何急に?うち等完璧連れノリでしたやん?そんな素振りまったくなかったやん??)

    2006-03-23 04:26:00
  • 90:

    詩織

    『…またまた冗談言って☆前から詩織に惚れてるんは知ってるよ〜。あ〜、アリサと約束あるからまたかけるわ!じゃ!』と明るく言い放ち、電話を切った。
    普通の客なら告白されても軽く流せる。けどアユは客であり、仲の良い男友達でもあった。
    きっとアユは一也よりもアタシを大切にしてくれるだろう。でも二股相手を続けるなんてさみしい。けど好きなのは一也だ。正直どうしていいのかわからない。
    パニックなアタシは即アリサに連絡し、合流した。
    (こうなったらすべてを話して相談しよう。)

    2006-03-23 04:39:00
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