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「約束やで」
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1:
萌
私が小学3年生のころ、住み慣れた大阪の街から知らない場所へ引っ越す事になった。
「萌ちゃん引っ越すんー?」「萌ちゃん何処いっちゃうんー?」
と、仲の良かった友達は私にたくさんの質問をしてきた。
「場所はなぁ〜…忘れた!でもなぁ、きっと楽しい事いっぱいあるから、めっちゃ嬉しいねん☆」
私は思ってもない事を言葉に並べ、必死で笑顔を作った。
本当は悲しいのに
本当は不安なのに
本当は泣きたいのに
私は小さいながら、昔から本音を隠す子でした。
自分だけ我慢してれば親も友達も悲しまないだろう、そんなことを考える子でした。2006-02-26 15:50:00 -
21:
萌
優は続けた。
優「たまにみっちゃん見かけるねんけど、昔の“あの”みっちゃんじゃないねん。なんていうか…表情がないねん。喋りかけても、笑いもせぇへん。」
萌「みっちゃん、どこでよく見るん?」
優「ここの近くに商店街あるやろ?そうそう、さっき通ってきた場所!あそこに集団で居る時もあれば、1人でタバコ吸いながらボーってしてる時もある。」2006-02-27 20:43:00 -
22:
萌
萌「そうなん?人って変わるモンなんやなぁ^^;萌も優も、性格わ昔のまんまっぽいけどな☆」
優「なんなんそれ〜!笑」
私は優からみっちゃんの話を聞いて、何も思わんはずがない。正直つらかった。出来る事なら、その場で泣きたかった。でも、泣けんかった…。今までみっちゃん以外の人に自分の涙を見せた事がなかった。小学校入学した頃から親にも見せたことがない自分の涙を。2006-02-27 20:49:00 -
23:
萌
――優と雑談し終えて、家についたのは夕方の7時。みっちゃんの存在を無意識にかき消そうとしたのかは分からないけど、自分の部屋でテレビの音量を上げて音楽も爆音で聴いて、布団にもぐり込む。お腹もすかない。それでも頭の中に浮かぶのは、みっちゃんだった。
今ドコに居るのか、何をしてるのか…2006-02-27 20:53:00 -
24:
萌
やっぱりこの目で確かめたいっていう想いもあり、私はジッとして居られず自転車で商店街へ向かった。
10時ごろだったと思う。
やっぱりみっちゃんの姿はなく、でもここまで来て引き返すわけにはいかない。何時間ぐらいまっただろうか?
その時だった。2006-02-27 20:56:00 -
25:
萌
萌「…みっちゃん!!」
私は思わず少年に向かって叫んだ。その瞬間、少年の動きがピクリと止まった。
萌「萌やで!わかる!?みっちゃん、何で連絡くれへんかったん!?めっちゃまっててんで!!萌の事なんか、とっくに忘れられたと思っててんで…」2006-02-27 21:04:00 -
26:
萌
今までためてた感情が一気にみっちゃんにぶつかった。ただ、止められない。
顔を見上げると、みっちゃんの顔に表情がない。優が言ってた事が不意に頭をよぎり、恐くなる。
そして一言。
“もう俺の前に現れんな”2006-02-27 21:07:00 -
27:
名無しさん
あげ??
主さん頑張ってね?2006-02-28 17:46:00 -
28:
萌
名無しさんぁりがとお???
2006-02-28 18:23:00 -
29:
萌
夕方になり、家に帰るのももったいない気がしたので優と2人で浜辺で色んな話をした。
優『昔よく遊んだやんな、夏になるとこの海で。』
萌『肌とか、ありえへんぐらぃ真っ黒やったゃんな!(笑』
私は、座っている足元にピンク色の貝殻があるのを見つけた。
萌『貝殻…きれい。』
優『みっちゃんって、貝殻拾うん好きじゃなかった?』
萌『そうなんかな?萌な、よくみっちゃんにイッパイピンク色の貝殻もらった事あんねん。両手に抱えきれんぐらい。萌がピンク好きなん、よく知ってるから』2006-03-01 22:14:00 -
30:
萌
優『萌さぁ、みっちゃんのこと気になるやろ?何してるんかとか、ドコにいるんとか。優の知ってる情報だけじゃ、納得いかんやろ?今住んでるとこの住所、中学の先生にムリゆって聞いてきたから、行ってみぃ?』
優は、私がみっちゃんを気にしているのを察していたみたいだった。
萌『ありがとう、あずかっとくね。』
私はそれだけを残し、カバンの中にメモを押し込んだ。
《合わす顔がない》
そう思いながら。2006-03-01 22:18:00