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■春夏秋冬■

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  • 1:

    ■春■

    2006-01-04 05:48:00
  • 61:

    自分の生活スタイルに母親に散々ケチをつけられながら、部屋に新しいコンポが増えただけで 俺の長い長い夏休みは終わった。

    新学期になってすぐの席替えで、俺はよりによって教卓の真前の席を引き当てた。ヤノはというと、後ろの方の席。
    9月になっても、まだ残暑は厳しく毎日学校と家との往復は汗だくだった。
    学校に通う意味を考えても、まったく思い浮かばない。かといって、辞めてしまったところで する事もない。

    2006-01-12 04:04:00
  • 62:

    無駄に学校に行って、無駄にセックスして。
    俺はいったい何になりたいんだろう。
    こんな生活の何に意味があるんだろう。
    見失うばかりで、世界は徐々にすたれていく気がしてならなかった。
    ――9月末。

    2006-01-12 04:09:00
  • 63:

    アダチといつものマックで腹拵えしてから、いつものホテルへ向かうべく席を立った。
    ゴミを処理して、客席の通路を歩き、アダチの後ろをついて細い階段を下りる。
    『今日はあたし小銭ケースしか持ってないんだ。ミハラ、悪いケドかしといて』
    『別におごるよ』
    『いや』

    2006-01-12 04:16:00
  • 64:

    『…わかった』
    ホテル代はいつもきちんと割勘で、アダチは俺がいいよと言っても必ず出す。
    わずらわしくない様にアダチなりに考えているのかもしれないから、俺は黙ってアダチに合わす。
    自動ドアが開くと同時に、アダチの左の踵に爪先がぶつかる。
    立ち止まったアダチの視線の先には、同じ学校の制服を着た子が立っている。

    2006-01-12 04:22:00
  • 65:

    『あれー?サナエじゃん、何でこんなトコにいるの?』
    心臓が大きく鳴った。
    眼鏡をしていなかったせいで、一見しただけでは気付かなかった、可愛らしい声の主。
    『エリカこそ』
    アダチはヤノに駆け寄る。

    2006-01-12 04:28:00
  • 66:

    とまどいながらも、ゆっくりと足を前に出した。
    『ミハラ君?え?サナエって、ミハラ君と付き合ってんの?』
    ヤノは俺とアダチを交互に見ながら困惑した表情を浮かべた。
    『そんなんじゃないよ』
    アダチは笑って手をふる。

    2006-01-12 04:32:00
  • 67:

    脳貧血を起こした様に、音がこもっていって、耳鳴りがした。
    湿っぽさもだいぶ無くなった、少し冷たい風が肌をなでる。
    大嫌いな夏の終わりは近い。

    ああ、秋がくる―――…

    2006-01-12 04:40:00
  • 68:

    ■秋■

    その日は、たまたま母親に言い付けられて親戚の家に行った。
    いつもは降りない駅は、少し私を不安にさせる。
    母が書いてくれた親戚の家までの地図を片手に、最初の目印となるマックを探した。

    2006-01-12 04:45:00
  • 69:

    サナエの家とは逆方向のこの場所に居合わせた奇妙な偶然。
    『たまたまマックに入ったらミハラが居たから、一緒しただけだよ。ね、ミハラ』
    『あ、うん…』
    少しうわずったミハラ君の声が、サナエの言葉を嘘だと告げる。
    『そーなんだぁ☆』

    2006-01-12 04:57:00
  • 70:
    2006-01-12 05:14:00
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