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人生のうちで好きになった三人の男

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  • 1:

    名無しさん

    こんな話を聞いた事がありますか?
    生きている間に、人を本当に心から愛する事ができるのは、三人だけ。
    あなたはもう、三人目に出会いましたか?

    2005-12-20 15:51:00
  • 2:

    名無しさん

    新しい制服に身を包まれた同級生がたくさんいる中、私は同じ中学だった美鈴の隣に座っていた。美鈴は朝の電車の中からずっと興奮状態で、今も私の隣でおしゃべりしている。

    2005-12-20 16:01:00
  • 3:

    名無しさん

    「…ちょっと、早紀っ!あの人めっちゃ男前ちがう?!」
    「そうか?私はタイプ違うわぁ。」
    「あんた目おかしいわっ!しかもあたしらと同じクラスやしぃ!あたし、あの人に絶対番号聞くっ!」

    2005-12-20 16:07:00
  • 4:

    名無しさん

    美鈴はキャーキャー騒いでいたが、私は全く興味がなかった。私はそんな事よりも部活何しよう、とか、どんな友達ができるか、とか、担任はどんな先生だろう、とかを考えていた。

    2005-12-20 16:13:00
  • 5:

    名無しさん

    担任の先生は…村上加奈子という女の先生だった。私はなんだかほっとした。やはり同性の先生のほうが安心感がある。仲良くなれたら、相談もしやすいだろうし、女同士で理解してくれる事も多いだろう。
    …美鈴は、若くて男前な先生がよかったらしい…。

    2005-12-20 16:21:00
  • 6:

    名無しさん

    始業式が終わり、生徒達が各教室へ戻る。今日はホームルームだけをして帰ることができる。
    入学式の時に見た顔ぶれが並んでいる。後ろの席の美鈴が話し掛けてくる。
    「入学式の時は、あんな男前おるって知らんかったわぁ」
    「だって美鈴、二年生の名前も知らんような先輩に夢中やったやん(笑)」

    2005-12-20 16:32:00
  • 7:

    名無しさん

    「だってあの先輩、むっちゃ男前やったんやもーん!」
    「あんた、男の話ばっかやん(笑)」
    美鈴は昔からこんな感じだった。男が好きで、耐えず男の話がでてくる。だが美鈴と一緒にいてるのは心地いい。男にあまり興味がない私だけど、美鈴は私のよき理解者である。

    2005-12-20 16:39:00
  • 8:

    名無しさん

    美鈴は幼なじみで、辛い時も、うれしい時も私の気持ちになって考えてくれる。私が悪い行いをした時は、叱ってくれて、何か良い行いをした時には、誉めてくれる。私は美鈴が大好きだった。

    2005-12-20 16:45:00
  • 9:

    名無しさん


    先生の話を聞きながら、ふと気付いた。一人だけ上履きの色が違う生徒がいた。彼は他のクラスメートとは違い、なんだか大人びているような気がする。私の斜め前あたの席に座っており、独特の雰囲気を持っていて、近寄りがたそうだと思った。

    2005-12-20 16:58:00
  • 10:

    名無しさん

    ホームルームが終わり、下校途中、美鈴と上履きの色がちがう彼の話になった。「あの人だけなんで色違うんかなぁ?」
    「さぁ…。それは先生なら知ってると思うけど、早紀、明日先生に聞いてみたら?」
    「そうやなぁ、別に色が違うからとか結構どうでもいいんやけど、やっぱ一人だけ違うかったら気になるなぁ。」
    「あたしも気になるから、早紀明日聞いておいてな!」
    美鈴に頼まれ、少し自分でもきになっていたので、私は明日先生に聞く事にした。

    2005-12-20 17:14:00
  • 11:

    名無しさん

    次の日、私は担任の村上先生の所へ向かった。
    「村上先生、ちょっといいですか?」
    「あら、奥村さん。どうしたん?」
    私は彼のことを聞いてみた。
    「一人だけ違う色の男の子いてるけど、なんで違う色なんですか?ちょっと気になって…」
    「…ああ、あの子はね、一年留年してるんよ」

    2005-12-20 17:45:00
  • 12:

    名無しさん

    「…留年?」
    「そう、去年一年間の単位がたりなかったのよ」
    「そうなんですか。わかりました。教えてくださってありがとうございます」
    「じゃ、また何でも質問してきて」
    「はい。失礼します」

    2005-12-20 17:49:00
  • 13:

    名無しさん

    「あの人、去年単位取れなくて一年留年してるらしぃわぁ」
    私は今先生に聞いてきたことを、美鈴に話した。
    「そうなんやぁ、そしたらあたしらのひとつ年上なんやなぁ。やっぱ大人びてるもんなぁ。」
    美鈴は気になっていた事を理解してすっきりした様子。私はその横で留年せんようにしぃな、って思っていた。

    2005-12-20 18:00:00
  • 14:

    名無しさん



    入学してから、何日かが経ち、私と美鈴はすっかりクラスに馴染む事ができた。友達もできた。
    だがやはり違う色の上履きの彼とは話した事がなかった。

    2005-12-20 18:06:00
  • 15:

    名無しさん

    「早紀っ!見てみ!長倉君、あの留年の人と仲いいみたいやな!」
    長倉君とは、美鈴が始業式の日からずっとかっこいいって言ってた人の事だ。
    「ほんまやなぁ、まぁあの二人出席番号近いし…なんか雰囲気似てるしな」

    2005-12-20 18:23:00
  • 16:

    名無しさん

    なんだか、あの二人だけ違う。私はそう思っていた。「まぁ、私は絶対あの二人と仲良くなる事ないわ」
    「早紀、そんなん言わんと〜あたし長倉君と仲良くなりたいから協力してぇやぁ〜」
    「やだ」
    美鈴はちぇっと舌打ちして顔を膨らませた。

    2005-12-20 18:28:00
  • 17:

    名無しさん

    美鈴には悪いけど、私はあの二人と仲良くなれる気はしない。でもクラスの女子はみんなあの二人の事をかっこいいなんて言って騒いでいた。私は決してそんな事は思わない。

    2005-12-20 18:33:00
  • 18:

    名無しさん

    彼らは他のクラスの女子からも人気があった。10人くらいの男の子達とよく行動しているようで、一年生の中でも目立つグループの中にいるようだった。
    私は特に彼らの存在を気にしていなかったが、やはり美鈴は気にしているみたいだ。「あのグループの子ら、みんなかっこいい」とか言いながら。

    2005-12-20 18:47:00
  • 19:

    名無しさん

    それから、また数日が経ち、美鈴は彼らと仲良くなっていた。美鈴は長倉君と携帯番号も交換したようだ。美鈴は美人だし、男の子の友達も多い。なんとなく彼らと仲良くなることも予想はできていた。

    2005-12-20 19:03:00
  • 20:

    名無しさん

    「美鈴あの二人と仲いいやん!長倉君とも番号交換できてよかったなぁ!」
    私がそう言うと美鈴は複雑そうな顔をした。
    「それがさぁ…番号交換できたのはいいけど…」
    「どないしたんよ?」

    2005-12-20 19:07:00
  • 21:

    名無しさん

    美鈴の話によると、グループの中の長倉君の友達がどうも美鈴の事を気にいっているらしく、長倉君はその友達のキューピッド役をしているらしぃ。
    「だからきっちゃん(長倉君)とするメールはその子の話ばっか」

    2005-12-20 19:13:00
  • 22:

    名無しさん

    「それはなかなか難しいもんだいね(;^^でも連絡取れるんやからもしかしたら長倉君が美鈴の努力次第で気に掛けてくれるかもよ?」
    「そうなったらええけど…きっちゃん、友達思いやから…」

    2005-12-20 19:17:00
  • 23:

    名無しさん

    美鈴は、はぁっ…とため息をついてしょんぼりしていた。

    2005-12-20 19:29:00
  • 24:

    名無しさん

    美鈴が長倉君と仲良くなりだした頃から私はあの二人とよく目が合うようになった。二人でこそこそ話をしては私の方を見て笑っている。私はすごく腹がたった。
    「一体なんなん?!」
    私は腹立たしい気持ちを、美鈴にぶつけていた。

    2005-12-20 19:42:00
  • 25:

    名無しさん

    「それはあたしにもわからん。けどきっちゃんらは悪口とかは言うてないと思うよ!あたし仲良くなって思ったけどきっちゃんらそんな悪口言うたりする人じゃないと思う!」
    美鈴は熱くなって、私に言ってきた。

    2005-12-20 19:46:00
  • 26:

    名無しさん

    「そう?なんか私笑われてる時点で不愉快なんですけど」
    私の方を見て笑ってるなんて失礼極まりないし!話をしたこともない人達に、そんな風に笑われて、不快に思うっちゅーねん。美鈴はまぁまぁと言って私を落ち着かせようとしていた。

    2005-12-20 19:53:00
  • 27:

    名無しさん

    日に日に私は気にしないようになり、腹立つこともなくなった。
    長倉喜一と、留年の福永圭介。私は彼らとは一切話す事がなかった。だけど、彼らと会話を交わす日がとうとうやってくるとは…

    2005-12-20 21:47:00
  • 28:

    名無しさん

    美鈴と学校の帰りに、近くのデパートへ行くことになった。私も美鈴も久しぶりにバイトが休みで、充実した日だった。
    すると美鈴が、ぱっと明るい笑顔になり、急に走りだした。

    2005-12-20 21:54:00
  • 29:

    名無しさん

    その先には長倉喜一と、福永圭介、美鈴の事を気に入っている中村和輝がいた。美鈴は和輝なんて眼中になく、長倉君の事しか目に入っていないようだ。私は少し離れた場所から美鈴のやり取りを見ていた。

    2005-12-20 22:09:00
  • 30:

    名無しさん

    「…なぁ、だから和輝とちょっとだけでいいからデートしたってやぁ」
    長倉君が美鈴にお願いしているようだ。
    「え…でも…」
    「美鈴ちゃんお願い!」
    圭介からも頼んでいる。美鈴は困っている様子。

    2005-12-20 22:14:00
  • 31:

    名無しさん

    しかし、美鈴は長倉君に頼まれた事もあり、渋々デートすることになった。嫌なら嫌って言えばいいのに…。…てことは…その間私は一人?

    2005-12-20 22:35:00
  • 32:

    名無しさん

    そんな私の心配をよそに美鈴は…
    「ごめん、早紀すぐ帰ってくるから、きっちゃんらと待ってて」
    謝罪の言葉を残して、姿を消した。

    2005-12-20 22:44:00
  • 33:

    名無しさん

    はい?この人達と?私をみて笑ってくるような人達と?冗談じゃない。私は何も言わず、その場を立ち去ろうとした。その時、長倉君が話し掛けてきた。

    2005-12-20 22:54:00
  • 34:

    名無しさん

    「奥村さん、どこ行くん?」
    「別に…美鈴がデートしてる間、本屋さんで時間つぶそう思って」
    私はそっけなく返事した。それでも長倉君は私に声をかける。
    「美鈴ちゃんらの事三人で待っとこうやぁ」
    三人で?
    「奥村さん?」

    2005-12-20 23:20:00
  • 35:

    名無しさん

    「えっ…でも…一人でおる」
    私がそう言うと福永圭介が口を開いた。
    「ええやん、何も別々に行動せんでも。三人でおろやぁ。なっ!さっちゃん!」
    「さ、さっちゃん?!」

    2005-12-20 23:28:00
  • 36:

    名無しさん

    「あっ、なれなれしかった?けど俺はこんな奴やから!よろしく!」
    福永圭介は大人びた見た目、雰囲気とは違い、なんだかいたずらっ子のような邪気さがある。意外だった。「きっちゃんもその意見に賛成やでな?」

    2005-12-20 23:37:00
  • 37:

    名無しさん

    「そやで。一人でおるんやったら俺らとおったらええやん!クラスメートなんやし!」
    何だか複雑な思いだった。私を見て笑ってた人達と美鈴のデートが終わるまで、一緒にいるなんて考えられない。

    2005-12-20 23:41:00
  • 38:

    名無しさん

    私はきまづい思いとともに、二人が強引なので仕方なく三人で美鈴達のデートを終わるのを待つ事にした。

    2005-12-20 23:47:00
  • 39:

    名無しさん

    …何を話したらいいのやら。長倉君と福永圭介は二人で何やら楽しそうに会話している。
    (やっぱ一人でおればよかった…)
    そんな事を思っていると長倉君が話し掛けてきた。

    2005-12-21 12:52:00
  • 40:

    名無しさん

    「奥村さんて…無口やでな」
    「別に…人見知りするだけやから」
    仲良くない人と話すのは苦手。とくにこの人達とは。早く美鈴帰ってこぉへんかなぁ…。

    2005-12-21 13:04:00
  • 41:

    名無しさん

    するといきなり長倉君がひとつ提案を出した。
    「なぁ!あいつらのスパイしようや!」
    それは、美鈴達をつけてデートをこっそり見てやろうと言う提案だった。
    「それいい!俺も和輝がうまいことやってんか気になるしな!」
    その提案に福永圭介が賛成さた。

    2005-12-21 13:12:00
  • 42:

    名無しさん

    「奥村さんも行こうやぁ!なっ?」
    「美鈴に悪いやん!」
    私はそう言いつつもおもしろそうだと思い、結局三人でスパイすることにした。
    「どこいてんやろな?」
    長倉君はすっごく楽しそうにデート中の二人を探している。

    2005-12-21 23:14:00
  • 43:

    名無しさん

    「あっ!おった!」
    美鈴達はゲームセンターでUFOキャッチャーをしていた。中村和輝がクマのぬいぐるみを取ろうとしている。
    「あっ…!あぁ〜もうちょっとやったのになぁ!」
    美鈴は思っていたよりデートを楽しんでいる様子。
    「次こそ取る!」
    中村和輝は必死に取ろうとしている。

    2005-12-21 23:19:00
  • 44:

    名無しさん

    「おしっ!」
    中村和輝がガッツポーズをした。
    「わぁー!取れたー!」
    二人は喜んでいる。
    「これ、美鈴ちゃんにあげるわ」
    「ありがとう!」
    …なんかいい感じやん。二人とも楽しそう。
    それから二人は移動し始め、私たちもその後を追う。

    2005-12-21 23:26:00
  • 45:

    名無しさん

    「あの二人ゲーセンおるって事はプリクラとるんちゃん?」
    長倉君は次の展開をプリクラだと予想した。その予想通り、二人はプリクラコーナーへ向かった。
    「ほんまにいいん?俺なんかとプリクラ取ってもうて」

    2005-12-21 23:29:00
  • 46:

    名無しさん

    「いいで。ぬいぐるみ取ってくれたし!」
    二人はプリクラ機へと入っていった。
    「やっぱりなぁ。後で俺プリクラもらおっ☆」
    長倉君はほんとにうれしそうだった。美鈴が言ってた“友達思い”というのはどうやら本当の事らしい。

    2005-12-21 23:32:00
  • 47:

    名無しさん

    二人が出てくるのを、ゲーム機の影で待っていた。二人が出てきて、どこかへ行くようなので後をつけていく。すると中村和輝が美鈴の耳に舌打ちをした。二人は顔を見合わせて急に走りだした。

    2005-12-21 23:39:00
  • 48:

    名無しさん

    「しまった!逃げられた!」
    長倉君はくっそー、という顔をしつつも笑顔だ。中村和輝は気付いていたのだ。私たちが後をつけているということを。
    「まぁうまいことやってるみたいやし、どっかで二人が帰ってくるの待っとこうか」

    2005-12-21 23:44:00
  • 49:

    名無しさん

    福永圭介の提案に賛成した。結構楽しそうにしてるみたいだし、これ以上つけて二人の邪魔になってはいけない。私たちはデパートの食堂へ行くことにした。

    2005-12-21 23:47:00
  • 50:

    名無しさん

    食堂は買い物帰りの奥様方や、学校帰りの学生達で賑わっていた。
    私はふと、食堂の中のクレープ屋の前で足を止めた。
    「クレープ食べたいん?」
    長倉君に言われ、はっと我に返る。

    2005-12-21 23:54:00
  • 51:

    名無しさん

    「ちゃ、ちゃうよ!」
    正直食べたかったが、私は強がって反論した。
    「食べたいんやろ?俺がおごったるから食べりよ!俺もクレープ食べたいし。」
    「そんなんいいって!」
    長倉君におごると言われ、私は強がったこともあり遠慮した。

    2005-12-21 23:59:00
  • 52:

    名無しさん

    「遠慮すんなって!イチゴ好きかぁ?」
    「うん…。」
    「あ、すいません。これ三つください。圭介も同じのでいいやろ?」
    「俺はいいけど、お前確か…」
    「ええねんって!店員さん、これ三つね」
    福永圭介が何か言い掛けたところで、長倉君はその言葉をさえぎるように店員に注文した。

    2005-12-22 00:07:00
  • 53:

    名無しさん

    長倉君は店員からクレープを受け取り、私に渡してくれた。
    「あ…ありがとう」
    長倉君の意外な優しさに触れ、私は戸惑いつつも、クレープを受けとった。
    「気にすんなっ!三人で食べた方がおいしいやん☆」

    2005-12-22 00:11:00
  • 54:

    名無しさん

    「う…うん」
    そしてクレープを受け取った福永圭介は私に、
    「今度はおれがおごったるわ!」
    と言ってきた。しかし彼らとまた遊ぶ事なんてあるのだろうか。そんなことを思いながらクレープを一口たべる。

    2005-12-22 00:27:00
  • 55:

    名無しさん

    「いただきます……あ…おいしい…」
    「うん、うまいやん!これ!きっちゃんありがとう!」
    「あ、ありがとう」
    福永圭介と一緒に長倉君にお礼を言う。

    2005-12-22 00:30:00
  • 56:

    名無しさん

    長倉君は「ええよ」と言ってクレープをおいしそうに食べていた。
    クレープを食べおわってまもなく、美鈴達と合流した。
    「あっ!早紀!みんなで何か食べてたん?」
    「うん、長倉君がクレープおごってくれたから三人で食べてたねん。あっ、プリクラ見せてよ」

    2005-12-22 00:35:00
  • 57:

    名無しさん

    「あんたら後つけてくるとかタチ悪いでっ!」
    と、言いつつも、その表情からはデートが楽しかった事を物語っている。
    プリクラには楽しそうな二人の笑顔。

    2005-12-22 00:39:00
  • 58:

    名無しさん

    私がプリクラを眺めていると、長倉君が横から覗いてきた。
    「おぉー!ええ感じに写ってるやん!」
    ち…近いっ!私は一瞬ドキっとした。彼の横顔はよく見ると本当にキレイだった。

    2005-12-22 00:43:00
  • 59:

    名無しさん

    こんなきれいな顔してたんやな…。女子がキャーキャー騒ぐのも無理ないかも…。でもそれだけ。そんな事でドラマみたいにその瞬間恋に落ちた、とかっていうオチなんて私にはない。ただ一瞬見とれてしまっただけ。

    2005-12-22 00:48:00
  • 60:

    名無しさん

    「そろそろ帰るかっ!英語の課題もあるし!」
    長倉君の一言で解散することになり、私たちは駅まで一緒に帰ることにした。
    駅までの道のり、福永圭介が私に話し掛けてきた。

    2005-12-22 00:55:00
  • 61:

    名無しさん

    「さっちゃん、クレープうまかったなぁ」
    「うん。ほんまにおいしかった」
    「ほんまはあいつ、甘いもん苦手なんやで。でもさっちゃんが遊んだこともない俺らの前でクレープ一人で食べるの気使ったらあかんからあいつも同じやつ選んだんちゃうかな」

    2005-12-22 01:00:00
  • 62:

    名無しさん

    その言葉に私は耳をうたがった。なんで?今日初めて会話した私になんでそこまでしてくれるん?
    彼が不思議だった。私は彼のことを、嫌な奴だと思っていたのに…。

    2005-12-23 00:17:00
  • 63:

    名無しさん

    駅に着きそれぞれが定期券を通す。私は長倉君にお礼を言おうと思い、彼の肩をつつく。
    「あの…クレープほんまにありがとう」
    「ええよ。じゃあまた学校で」
    彼らは向かいのホームへ向かって行った。
    電車が来たので私たちも慌てて電車へ乗り込む。

    2005-12-23 00:25:00
  • 64:

    名無しさん

    私たちは急いで乗り込んだため少々息があがっている。
    「はぁっ…ギリギリセーフ!!今日は楽しかったわぁ!」
    「美鈴ほんま楽しんでたでなぁ!後つけてる時むっちゃ楽しそうやったもん」
    「まぁね☆実はさぁ〜和輝君と携帯番号交換してん」
    「まじで!じゃあ今日メールきそうやな!」

    2005-12-23 00:37:00
  • 65:

    名無しさん

    「さぁ…どうやろなっ☆」
    美鈴はそう言いつつも、その表情からはメールが来る事を期待しているのがうかがえる。

    2005-12-23 00:46:00
  • 66:

    名無しさん

    「それより早紀はどうやったん?気まずくなかった?」
    最初は正直きまずかった。けど、長倉君が私が気まづくならないように気を使ってくれた。
    「きまずくなかったよ。あの二人思ってたよりいい人やった」
    「そっか!よかった」
    美鈴はほっとして安心した笑みを見せた。

    2005-12-24 03:02:00
  • 67:

    名無しさん

    あの日以来、彼らとは学校でもよく会話をかわす。あの日の長倉君のやさしさを私は忘れられないでいた。初めて一緒に遊ぶ私に、優しくしてくれた長倉君。不思議な気持ちとすこしうれしいような気持ち。

    2005-12-27 00:43:00
  • 68:

    名無しさん

    放課後、美鈴が学校の帰りに、もじもじしながら私にある告白をした。
    「和輝と付き合った」
    「まじで!おめでとう!」
    予想はできていた。あの日以来、昼休みは必ず二人は非常階段で楽しげに話しているのを私は何度も目撃していたから。

    2005-12-27 00:55:00
  • 69:

    名無しさん

    二人は幸せそうに毎日を過ごしていた。私はごく平凡な毎日。長倉君と福永圭介は楽しそうに毎日をすごしていた。
    私たちはそのまま一学期を終え、夏休みへと突入した。

    2005-12-27 01:00:00
  • 70:

    名無しさん

    ―夏休み。
    毎日バイトの日々が続く。バイトばかりの退屈な毎日。他にすることと言えば、宿題だけ。美鈴とも全然会っていなかった。彼女はおそらく和輝に夢中で忙しいのだろう。
    ある日、バイトが終わって携帯を開くと、メールが来ていた。

    2005-12-27 01:09:00
  • 71:

    名無しさん

    『久しぶり!覚えてる?拓也やけど(^^)元気してるかぁ?』
    久しぶりの拓也からのメールに、驚きをかすせず、思わず「えっ!?」と叫んでしまった。
    拓也。中学からの友達。
    拓也からメールが来るなんて…

    2005-12-27 01:17:00
  • 72:

    名無しさん

    中学の時、二年間の片思いの後、二回目の告白でようやくOKをもらうことができた。しかし拓也は、私に、「内緒で付き合おう」と言ってきた。私は、最初はその事を気にせず付き合っていたが次第に不満へと変わって行った。

    2005-12-27 01:26:00
  • 73:

    名無しさん

    初恋の相手。しかも、二年間の片思いの末やっと手にいれることができた「両思い」を拓也は美鈴に話すことさえ、禁じた。
    次第に拓也の気持ちがわからなくなった。さらに拓也は私にこう言った。
    「一回目告られた時、付き合ってもよかってんけどなー」
    私はその言葉を無神経に感じた。

    2005-12-27 01:42:00
  • 74:

    名無しさん

    なぜ付き合ってくれなかったのかを聞くと、
    「お前と付き合うとかありえへんやんっ」
    どういう意味で言ったのかは知らないが、私はすごくショックを受けた。それから私たちの距離は開いて行った。卒業式まで全く会話を交わさなかった。

    2005-12-27 01:49:00
  • 75:

    名無しさん

    だけど初恋の相手。一番夢中になれた二年間を忘れることはできなかった。卒業式の日、私は拓也に「写真を撮ろう」と頼んだ。ぎこちない二人の表情が拓也との初めてのツーショット写真に残る。

    2005-12-27 02:02:00
  • 76:

    名無しさん

    拓也の事は忘れたことはなかった。まさか拓也の方から連絡がくるなんて。私は少し迷ったがメールを返信することにした。
    『久しぶり。元気やで!いきなりメールきたからビックリした』
    すぐに返事は返ってきた。

    2005-12-27 02:07:00
  • 77:

    名無しさん

    『ごめん!メルアドは石塚に聞いた!どうしてんかなぁって思って』
    どうもこうも平凡な毎日。夏休みはろくに遊んでもいない。

    2005-12-27 03:27:00
  • 78:

    名無しさん

    2005-12-27 03:45:00
  • 79:

    名無しさん

    私は返事を返した。
    『元気にしてるよ。今までバイトやってん』
    すると拓也から驚きの返事が返ってきた。
    『おつかれ☆彡いまから会われへん?』

    2005-12-27 23:24:00
  • 80:

    名無しさん

    なんと向こうから会おうなんて言われると思わなかった。
    『いいよ』
    とだけ返事をし、私の家の近くの公園で待ち合わせをした。

    2005-12-27 23:40:00
  • 81:

    名無しさん

    公園で拓也を待っていると後ろから声をかけられた。「早紀っ!ごめん!待った?俺から会おうって言うといて俺の方が遅いし!ごめんな」
    「ええよ!私も今きたとこやから」
    「それにいきなり呼び出してごめんな、なんか早紀に会いたくなって…正直卒業してから気まづいまま会われへんのとか嫌やったねん」

    2005-12-28 00:46:00
  • 82:

    名無しさん

    私は「うん…」とだけ言ってうなずいた。
    「でも早紀が会ってくれてよかった。バイト終わって腹減ってるやろ?メシ食いにいこよ!」
    私たちは、近くのファミレスへ移動した。

    2005-12-28 00:49:00
  • 83:

    名無しさん

    公園でも一時間ほど話をした。そこには気まづかった二人ではなく、付き合う前の二人がいた。
    「そろそろ帰らなな。送って行くわ!」
    「ええよ。私の家、すぐそこやから」
    拓也は一瞬さみしそうな顔をしたがすぐに笑顔で言った。
    「今日はありがとう!ほんまに楽しかったわ!じゃあまたなっ!」

    2005-12-28 01:10:00
  • 84:

    名無しさん

    私は手を振って彼を見送った。私は家に帰ってからも余韻にひたっていた。今日は素直に楽しかった。卒業してからこんな風に話せるなんて思っていなかった。本当にうれしかった。
    …友達に戻れてよかった。

    2005-12-28 01:14:00
  • 85:

    名無しさん

    次の日、私は美鈴と会うことになった。夜に美鈴に『拓也と遊んだ』ってメールを送ると電話がかかってきた。話を聞きたがった彼女に呼び出されたのだ。
    「まさか早紀と拓也が友達にもどるとはねぇ〜!」
    美鈴は腕をくみながら私に言う。そんな彼女に少し意地悪を言ってやった。
    「それより美鈴、夏休みなのに私と全然遊んでくれないよね」
    「ごめん!ごめん!最近忙しくてさっ」

    2005-12-28 01:26:00
  • 86:

    名無しさん

    2005-12-28 01:28:00
  • 87:

    名無しさん

    「どうせ和輝君でしょ」
    美鈴は何も言わず、しょんぼりした。
    「冗談やって!私は美鈴が幸せならそれでいいと思ってるから!この時期彼氏といっぱい遊びたいんやんな!ちょっと意地悪言ってみただけ☆」
    すると美鈴は笑顔で私をみた。
    「早紀ありがと〜!」

    2005-12-28 01:30:00
  • 88:

    名無しさん

    美鈴が幸せならそれでいい。今まで美鈴にいっぱい支えてもらったから。
    「美鈴、この夏休み、ちゃんと愛を育んでいきや☆」
    「早紀ありがとう!早紀は拓也とより戻したりしてっ」
    「ないない!」
    そう言って私は手を横に振った。よりを戻すっていう事よりも拓也と友達に戻れただけで十分だった。

    2005-12-28 01:40:00
  • 89:

    名無しさん

    ほぼ毎日バイトがあるように、ほぼ毎日拓也からメールが来る。夏休みもあと少し。これまで拓也に会ったのはあの日だけ。学校が始まればバイトもあるのでなかなか会えないだろう。だが、私から遊びに誘うのは気がひけた。好きだと勘違いされたくないからかもしれない。友達に戻れたけれど、私たちは男と女。しかも付き合っていた。何とも言えない気持ちとともに、色々な考えがくっついてくる。

    2005-12-28 01:49:00
  • 90:

    名無しさん

    夏休み最後の日。バイトは休みだった。久しぶりにゆっくりと起床した。携帯を開くと拓也からメールがきていた。
    『夏休み今日で最後やな!バイト休みやったら会えへん?』
    私は用意をしてまたあの公園で待ち合わせをした。今度は拓也が先に待っていた。
    「待った?」
    拓也は首を横に振り、笑顔で言った。

    2005-12-28 02:10:00
  • 91:

    名無しさん

    「今きたとこ!」
    拓也の横に座り、夏休みの思い出について語りあう二人。
    「私は夏休みバイトばっかやったわぁ」
    「俺はバイト少ないから結構遊んだりして充実した夏休みやった!なんか一番楽しかったことないん?」

    2005-12-28 02:14:00
  • 92:

    名無しさん

    「楽しかった事?うーん…」
    「俺は早紀と友達に戻れて一緒に遊べて楽しかったかな!」
    素直な彼の言葉。うれしかった。
    「うん!ほんま友達に戻れてよかったわぁ」
    穏やかな雰囲気が私たちを包む。

    2005-12-28 02:20:00
  • 93:

    芹葉

    頑張って??

    2005-12-28 02:25:00
  • 94:

    名無しさん

    何の気まづさもなく友達として、彼との話も盛り上がる。どこかに移動することもなく、その日は彼と公園で語り合い、夏休みは終わりを告げた。

    2005-12-28 02:26:00
  • 95:

    名無しさん

    芹葉さん、ありがとう?だらだらと長い話になっちゃうかもやけどごめんなさぃ?がんばりますっ?

    2005-12-28 02:28:00
  • 96:

    名無しさん

    夏休みが終わり、二学期が始まった。美鈴と会うのもあの日以来だった。
    「早紀!久しぶり!拓也と進展あったかぁ?」
    にやにやしながら問い掛ける美鈴。
    「拓也とはほんま友達に戻っただけやから!美鈴は和輝君と思い出できた?」

    2005-12-28 02:34:00
  • 97:

    名無しさん

    「うん。こんなんわざわざ言うことちゃうと思うけど…和輝に美鈴のの初めてあげたっ」
    「まじでっ!」
    私はビックリしたが、そんな経験がない私にはピンとこなかった。しかし、美鈴は女の子の大切なものを和輝に捧げたのだ。美鈴は顔を赤らめながら言った。
    「なんか…愛を感じた」
    そう言われたがやはり私にはよくわからなかった。

    2005-12-28 02:43:00
  • 98:

    名無しさん

    「あっ、和輝!」
    美鈴は笑顔で走りだした。その先には和輝君とこんがり小麦色に焼けた長倉君、福永圭介がいた。
    「さっちゃん!久しぶりー!」
    福永圭介が手を振って私を呼ぶ。長倉君もその隣で小さく手を振っている。彼らの方へ近づき、私は笑顔で答える。

    2005-12-28 02:50:00
  • 99:

    名無しさん

    「久しぶり!夏休みどうやった?」
    「たのしかったでぇ!ほとんど俺ときっちゃんで遊んでたわぁ!」
    「圭介のおかけで俺、宿題終わってない〜」
    長倉君は「はぁ…」とため息をついて、がっくりと肩を落とした。

    2005-12-28 02:55:00
  • 100:

    名無しさん

    一学期の時と変わらない彼ら。そして私たち。一学期と同じように毎日が過ぎて行った。

    2005-12-28 02:58:00
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