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雪降る季節
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1:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
「今までありがとう。楽しかったよ」
俺はそんなありきたりな言葉で話を締めくくった。目の前では、三年間一緒に過ごしてきた女が涙をためてうつむいている。2005-12-12 01:46:00 -
11:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
ふと佐々木の携帯の待ち受けを見ると、外車の写メだった。俺が、
「おー!!BMじゃん!!佐々木さんの??」
と聞くと、佐々木は照れ臭そうに、
「ううん、彼氏の」
と答えた。俺は軽くショックだった。そりゃ彼氏くらいいるよな…うん。2005-12-12 03:51:00 -
12:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
するとまた智喜が騒ぎ出した。
「俺この前佐々木さんと男が一緒にいるとこ見たで!!お兄系ってか…ヤクザみたぃやった!!」
や…ヤクザっすか…。さすが佐々木…。でも、佐々木は
「違うもん!!普通の学生やから!!」
と反論しながら智喜を怒っていた。学生だと聞いて、少し安心した。2005-12-12 03:56:00 -
13:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
気がつけば、佐々木は俺の肩にもたれかかって寝ていた。俺は佐々木が起きないように、じっとしていた。しばらくして佐々木は目を覚ました。
「…あっ!!よっくん、ごめんね」
「別にいいよ」
…このまま起きなかったらよかったのに。2005-12-12 04:00:00 -
14:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
楽しい時間はすぐに過ぎて、あっと言う間に出る時間になり、梅田駅で解散した。俺と佐々木は同じ方向だった。佐々木は明日昼から友達と遊ぶ約束があるという。
「家遠いし、帰るのめんどいなぁ…」
偶然、待ち合わせの場所は俺の家の近くだった。2005-12-12 04:05:00 -
15:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
佐々木はまたあの愛想のいい笑顔で、冗談っぽく
「みっくんち、泊めてもらっちゃおっかな〜☆」
と言ってきた。俺は気付けば、
「別にいいよ、来れば」
と言っていた。2005-12-12 04:08:00 -
16:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
本当にいいと言われると思わなかったんだろう、佐々木はキョドっていた。少しして、やっと口を開いた。
「じゃあ、おじゃましちゃおっかな☆」
俺はこの時何も考えてなかった。女を泊めたことなんて何回もあったし。
だけど、この時、俺が駄目だって言っていたら…俺と佐々木は普通の《友達》でいられたのかな。2005-12-12 04:14:00 -
17:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
佐々木の口から出てきた名前は、皆ヤンキーだったやつらばかりだった。でも、最後に佐々木は「もう連絡とってないし、昔の話だけどね」とつけたした。
俺はヤンキーだとか不良だとか、そんなんにはなったことがない。成績も常にトップクラスで、今まで真面目な生き方をしてきた方だと思う。
俺と佐々木、全く違う道を歩んできた二人なのに、今こうして一つ屋根の下ですごそうとしている。なんだか不思議な気分だった。2005-12-12 04:30:00 -
18:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
家につくと、俺は早々とこたつにもぐりこんで、
「そっちのベッド使っていいから」
と隅にあるベッドを指差した。佐々木は「ありがとう」と言ってベッドに横になった。
俺は佐々木に手を出す気は全くなかった。それは、決して佐々木に魅力がなかったからじゃない。なんでか、そんな気にならなかった。2005-12-12 04:35:00 -
19:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
寝転んでからも、少し話をしていた。気がつけば俺は、
「佐々木さんって、怖い人だと思ってた」
と変なことを口走っていた。佐々木はあはは、と笑った後、体ごと俺の方に向けて、
「今も、怖い??」
と聞いた。さっきとは違った、穏やかな笑顔で。俺は黙って首を横に振った。2005-12-12 04:41:00 -
20:
彩芽 ◆emRWXVV5T6
━━━ピーンポーン
玄関のチャイムが鳴って、俺は目を覚ました。時計を見ると、朝の10時半。いつの間にか眠ってしまってたようだ。横のベッドでは、佐々木がすやすやと寝息をたてて寝ている。
あぁ、忘れてた。今日は晃と遊びに行く日だったんだ。俺は起き上がって、急いで玄関の鍵をあけに行った。2005-12-12 14:25:00