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ちっちゃな黒猫の話。

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  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 331:

    せぇ

    『俺はこっちのがええわ。』ほら、またあの笑顔。口の右端だけを上げて笑う。
    あぁ、仁は知ってるのかな。あたしが仁のその笑顔にどれだけ惹かれるのか。

    2006-04-20 23:58:00
  • 332:

    せぇ


    『好きやねんけど。』

    2006-04-20 23:59:00
  • 333:

    せぇ

    そぅ、口にしたのはあたし。
    告ろうとしたわけじゃない。素直に口から出てきた言葉やった。だけど、言ってから後悔、生まれて初めて自分から気持ちを伝えた。告白って、こんなにドキドキするもんなんや−…。
    緊張しながらあたしは仁に目を向けた。彼は黙り込んで下を向いている。
    鼓動が早い。心臓が動く音が直接、頭に響く。

    2006-04-21 00:05:00
  • 334:

    せぇ

    『…仁?』思わず彼の名前を呼んだ。自分でも驚くほどの、震えた声で。

    仁はゆっくりと顔を上げて、真っすぐあたしを見つめる。仁の瞳は、深い黒色で、チビクロと同じ色だった。だからこんなにも、吸い込まれそうになるのかな。

    2006-04-21 00:11:00
  • 335:

    せぇ

    彼はなかなか口を開かなかった。右を見たり左を見たり、頭をかいたり、またあたしを見つめたり。
    何となく目が熱い。今度はあたしが下を向いた。自分でも、どうして涙が出るのかわからないのに、泣いてるところなんて見せたくなかったから。

    2006-04-21 00:16:00
  • 336:

    せぇ

    『せぇ?』
    どれくらい時間がたっただろうか。今度は彼があたしの名前を呼んだ。

    好きな人が自分を呼ぶ声が好き。あたしの、一番好きな言葉。

    2006-04-21 00:18:00
  • 337:

    せぇ

    あたしはゆっくり、本間にゆっくり顔をあげた。きっと、ひどい顔やと思う。
    顔を上げたところで、沈黙は続いた。

    『あ〜もう!!』

    2006-04-21 00:21:00
  • 338:

    せぇ

    彼は乱暴にあたしを腕の中に抱いた。体のバランスが崩れて、チビクロが膝から落ちる。(また起こしてもーたな…。)驚きとは別に、冷静にそんなことを考えていた。

    2006-04-21 00:24:00
  • 339:

    せぇ

    『何で先に言うかな〜。』ボソッと彼がつぶやく。その言葉の意味を意識してみる。あたしと同じくらい、早く鳴る彼の鼓動が、その答えやった。
    仁が、あたしを腕に抱く力が強くなる。
    『俺も。せぇが好きやで。』

    2006-04-21 00:27:00
  • 340:

    せぇ

    『なんで泣くねん、反則やわ〜!!』彼はあたしを離すと、あの笑顔でそう言った。『だいたいあのタイミングは俺から告るやろ!なんで先に言うねん』照れ隠しか、彼はすごい勢いでしゃべりだした。あたしはそんな仁がかわいくて、笑いながら『ごめんなさい』って一言だけ返した。男の子って以外とロマンチックやねんなって、思いながら。

    2006-04-21 00:32:00
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