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ちっちゃな黒猫の話。

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  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 2:

    せぇ

    『金とか入ってたりして。何百万って!』なんでかテンション上がったキョンがピョンピョン飛びはねながら言った。そのカゴは、ぅちらの地元全体を流れる川の土手下に捨てられてあって、草が生い茂る緑によく目立っていた。『んなわけないやろ。ここでピクニックしたやつが忘れていったんちゃうん。汚いし、お前触んなよ。』『ピクニックって…今冬やで?(笑)』キョンが馬鹿にしたように笑ったからあたしは無視して先に行った。『ちょぉ待ってや〜。』

    2005-11-17 17:42:00
  • 3:

    せぇ

    家に着くと、あたしは直ぐにベットに倒れこんだ。『しょうちゃん…』思わず元彼の名前を呼ぶ。たった二ヶ月足らず。たったそれだけで、人の気持ちゎ変わる。しょうちゃんはあたしの二個上の18歳。バイト先の焼肉屋に客としてやってきたしょうちゃんゎ、あたしに一目惚れしたと言った。それから毎日店に来てはあたし携帯の番号を聞いた。あまりの強引さとしつこさに、とうとう負けて、あたしはめずらしく番号を教えた。

    2005-11-17 17:51:00
  • 4:

    せぇ

    元々嫌いなタイプじゃなかったから、付き合うことになるまで、そんなに時間はかからなかった。初めのころはすごく上手く行ってて、『せぇ好きやで』そう言ってはあたしを抱き締めるしょーちゃんに、あたしはどんどんはまっていった。あたし達の関係がおかしくなりだしたのは、あたしがバイトを辞めてから。半年やってた焼肉屋をやめたのは、しょーちゃんと会う時間をもっと増やしたかったから。だけど、一緒にいる時間が増えるからこそ、わかることはたくさんあった。

    2005-11-17 17:59:00
  • 5:

    せぇ

    すごくヤキモチ焼きなあたしは、だんだん束縛をしだした。携帯を隠れて見てみたり、電話しているしょーちゃんにわざと大きな声で話しかけたりした。
    でもな、しょーちゃん。それゎしょーちゃんのことが好きやから。好きやから束縛すんねん。好きやから、他の女見て欲しくないねん。

    2005-11-17 18:13:00
  • 6:

    せぇ

    『お前俺の携帯見てたやろ。わかってんねんそんくらい。初めて見た時は純粋そうで優しそうやって思ったから付き合ったけど、実際むっちゃわがままやし、その束縛もうざいねん!』あたしはいっぱいいっぱいになりながら、それでも言い返した。『しょーちゃんが疑われるようなことするからやろ?束縛が嫌やったらあたしみたいに男のメモリー消去するとかしたらいいやん!』

    2005-11-17 18:26:00
  • 7:

    せぇ

    一字一句覚えてる。
    『誰が頼んでん?俺そんなことしろなんか言ってないやろ。勝手に自分がしたこと俺に押し付けんなや。しかもなんかそれ恐いし。』

    『お前重たいねん』

    2005-11-17 18:29:00
  • 8:

    せぇ

    またこれだ。あたしはモテないほうじゃない。告白だって、回りに比べたらたくさんされるほうだ。だけど、付き合ったら必ずフラれる。理由は『重いから』。重いって何なん?あんなに好き好き言うてくれたやんか。なのにみんなこう言ってあたしから離れてく。好きやからやん。それが何でだめなん?

    ―重イッテ何ナン?

    2005-11-17 18:36:00
  • 9:

    せぇ





    2005-11-17 18:36:00
  • 10:

    せぇ

    あたしは寝ていたみたいで、気が付くともう夜の九時だった。そういえばお腹が空いた。でも今日ゎ作るのだるいしな…。ウチは母子家庭で、ママゎ深夜にならないと帰ってこない。『今日ゎコンビニ弁当でいいや』あたしは財布を持って玄関に出た。『げっ最悪。』思わず呟く。外は雨がポツポツ降っていて、凄くジメジメしている。透明のビニール傘を開いてあたしは歩いてコンビニに行くことにした。

    2005-11-17 18:43:00
  • 11:

    せぇ

    川沿いにある一番近いコンビニに行くことにした。品揃えゎ悪いけど、雨のなか遠い所まで歩いていくよりはマシだった。目的のコンビニ前の橋を渡ろうとした時、丁度夕方見たカゴバックを見つけた。雨のせいで増えた川の流れに今にも流されそうだった。『何百万も入ってたりして〜』夕方聞いたキョンの言葉を思い出した。『そんなわけないよな』『ありえへん』だけど、妙な胸騒ぎがした。

    2005-11-17 18:50:00
  • 12:

    せぇ

    あたしは、自分で言うのも何だけど、日常生活において熱くなることがあまりない。周りの同級生みたいに何かあるごとに騒いだりしなかったし、大きな声で喜んだり、泣いたりしたこともなかった。だから、失恋したばかりでもこうしてお腹も空くし、そりゃ悲しかったけど、泣くほどでもない。だから、こんなにも胸騒ぎがしたのは、ホントに初めてだった気がする。

    2005-11-17 18:56:00
  • 13:

    せぇ

    『あっ…』また少し水カサが増えたのか、カゴバックがゆっくりと動きだした。『溺れる…!』何が、かゎわからない。だけど漠然とそう思った。それから、人目も気にせず傘を捨てて、土手への階段を急いで降りた。

    2005-11-17 19:00:00
  • 14:

    せぇ

    カゴはもう流されかけていた。それと同時に沈みそうで、あたしはとにかく走ってカゴバックを川からすくい上げた。お金が入ってると思ったわけじゃない。だけど、何も入ってないとは思えなかった。

    2005-11-17 19:02:00
  • 15:

    せぇ

    カゴバックを抱きかかえて、取りあえず川から離れた。土手の階段の上のほうへ座りこんだ。膝から下は川につかって感覚がないし、全身雨でびしょ濡れだった。季節は真冬。12月上旬で、とにかく馬鹿みたいに寒くて、体は病気みたいに震えてた。だけどあたしはそんなことすら忘れながらカゴバックの紐をほどいてふたを開けた。
    小さな小さな黒猫が一匹、あたしと同じくらい震えていた。

    2005-11-17 19:09:00
  • 16:

    せぇ

    ねぇチビクロ。
    最初アンタを見たとき
    あたしは普通に
    カビの生えたパンかと思ってん(笑)
    だけどよく見るとまだ目も開いてない仔猫で、ホントに小さくて。
    なんかのオモチャみたいに震えるアンタを、素直に守ってあげたいと思った。

    2005-11-17 19:13:00
  • 17:

    名無しさん

    続きみたい?

    2005-11-17 19:41:00
  • 18:

    せぇ

    名無しさんありがとう?
    実話やから見てってなぁ?

    2005-11-17 20:05:00
  • 19:

    せぇ

    カゴバックの中にはホニュウビンとビニール袋に入った粉ミルク、ボロボロのタオルと、冷たくなったホッカイロ。雨と川の水で、にじんで読めなくなった手紙見たいなものが一緒にいれてあった。多分ミルクの作り方とか、仔猫の育て方とかが書いてあったんだと思う。段ボールにまとめて何匹も入れて、ごみ捨て場に置いて行くバカよりはよっぽどマシな飼い主なんだろうけど、川の近くに置くのはかしこくない。危うくこの小さい猫ゎ流されて死ぬところだった。

    2005-11-17 20:12:00
  • 20:

    せぇ

    それからタウンページで片っ端から近くの動物病院に電話をしたけど、時間は夜の11時近くで、どこにかけてもつながらなかった。あたしはテンパりすぎて、普通の緊急病院に電話をかけて、『猫ですか?!』って電話の受付につっこまれて、『猫じゃアカンの?何でやねん、死にそうなのに!』とか言ってた。今考えたら馬鹿なことしたなぁ(笑)

    2005-11-17 20:32:00
  • 21:

    せぇ

    どうしよう…どうしよう
    猫どころか動物なんて一回も飼ったことがなかったあたしは、本間にどうしたらいいのかわからなくて、部屋の中をぶつぶつ言いながら行ったり来たりしていた。
    やっと『落ち着かな…』って思えたその時、不意に爆音のトランスが流れて、あたしはまた心臓が飛び出るかと思うくらいびっくりして、テンパった。けど、よく考えたら携帯が鳴ってるだけだった(笑)

    2005-11-17 20:42:00
  • 22:

    せぇ

    着信>>キョン
    何やねん!こんな時に!あたしが急いで電話をとると、大きな声でキョンは話だした。『もしー?せぇ?ちょ、聞いてや〜』『今忙しいから後で聞くわ!』そう言ってキョンの返事を待たずに電話を切った…瞬間、そういえばキョンが猫を何匹も飼ってることを思い出して速攻で書け直した。

    2005-11-17 20:46:00
  • 23:

    せぇ

    発信>>キョン
    ワンコールで出たキョンゎ『何やねん!(笑)』って相変わらず馬鹿でかい声で電話にでた。あたしが急いで大まかに事情を説明すると、キョンが行き着けの動物緊急病院を教えてくれたけどそこは結構遠かった。あたしにゎ足もなかったから、連絡から何から全部キョンとキョンのママがしてくれて、車で迎えにも来てくれた。さすが猫バカ家族(笑)本間にあの時ばかりゎキョンが神様に見えた(笑)

    2005-11-17 20:53:00
  • 24:

    名無しさん

    それで???

    2005-11-17 20:55:00
  • 25:

    せぇ

    新しく渇いたタオルでおそるおそる仔猫を包んで、あたしはキョン達が迎えに来てくれるのを今か今かと待ってた。カゴバックはびしょ濡れで使えそうになかったからあたしは洗面器にタオルを引いて、その上にタオルでくるんだ仔猫を入れた。

    2005-11-17 20:56:00
  • 26:

    せぇ

    それから数十分でキョン家族が到着して、あたしは財布と猫の入った洗面器を持って車に飛び乗った。仔猫の震えは止まらんかった。
    『何やねんその格好!』キョンと目があった瞬間またあの大きな声で笑われた。川に入った時に付いた何かわからん草やゴミ、乾ききってないスウェット、ボロボロのメイクと髪型。冷静に自分を見ると、本間に汚くて、本間に不細工やった。あたしは恥ずかしいのを隠すために『うるさいねん!』ってキョンを怒ったけど、キョンの大爆笑ゎなかなか止まらなかった。

    2005-11-17 21:02:00
  • 27:

    せぇ

    だけどキョン家族にもあたしは少し笑えた。運転席には明らかにさっき起こされただろうキョンのパパ。助手席には洗面器の中の仔猫を心配そうに見つめるキョンのママ。あたしの隣にはあたしを見て相変わらずケラケラ笑ってるキョン。家族総出かよ(笑)『すいません、こんな遅くに…』キョンが笑い終るのを待ってからあたしはキョンの両親に謝った。時刻はもう12時だ。『全然気にせんでええよ。こんなに可愛い猫捨てるなんて酷い人もいるもんやね…』キョンママゎ泣きそうになりながらそう言ってくれた。キョンパパも『元気になったらいいな』と励ましてくれた。本間に優しい家族なんやなぁとあたしは少し羨ましかった。

    2005-11-17 21:09:00
  • 28:

    せぇ

    『名前は決めたん?!』キョンが楽しそうに聞いてきた。『慌てててそれどころじゃなかってん。何にしよ…?』キョン『せぇが飼うつもりなんやろ?』セェ『ぅん、絶対守ったげたいねん』キョン『だったらゆっくり考え。せぇの家族になるんやから』

    …家族。

    2005-11-17 21:15:00
  • 29:

    せぇ

    あたしは小さいころからママと二人きりだった。あたしのために一生懸命働くママを見て、片親なんを嫌やと思ったことは一度もない。だけど、学校から帰っても『ただいま』って言う相手がおらんのはやっぱり寂しかった。
    だからキョンの口から出た『家族』って言葉に、あたしは不覚にもその時、少し感動してしまった。

    2005-11-17 21:19:00
  • 30:

    せぇ

    『…チビかクロ。どっちがええかな…?』あたしは少し考えてからキョンに聞いてみた。『またまんまやな!(笑)』そう言ってキョンゎまた笑いだす。あたしはそれをおさえて『うるさいな!まんまでもええやんか!』って反論した。『しかもチビとクロってどっちもかわいないし!(笑)』キョンが言い返す。『かわいなくてもえぇねん!愛がこもってるから!(笑)』ぅちらの話を聞いてキョンママ達も笑ってた。ずっとチビかクロで悩んでるあたしに、キョンパパが『どっちも捨てがたいならくっつければいいやん。チビクロ。』…チビクロ。いいかも!

    2005-11-17 21:25:00
  • 31:

    せぇ

    この小猫の名前が決まった。本間に小さくて真っ黒やから、【チビクロ】。いつか大きくなるけど、運命みたいに出会った、今日のこの姿を忘れへんように。

    2005-11-17 21:28:00
  • 32:

    せぇ

    『お前は今日からチビクロやで〜』そう言いながらそっとチビクロを撫でた。気が付くとチビクロの震えがやっと止まってて、寝てるみたいだった。一瞬、死んだかと思って本間にあせったけど(笑)

    2005-11-17 21:31:00
  • 33:

    せぇ

    震えは止まったけど、やっぱりまだまだ心配だったので、そのまま病院で見てもらうことにした。診察カードを作るときに『猫ちゃんのお名前はなんですか?』って聞かれて、『チビクロです』と少し照れながら答えた。社交事例かもしれんけど、看護婦さんに『可愛い名前やね』と言われてすごくうれしかったんを今でも覚えてる。

    2005-11-17 21:35:00
  • 34:

    せぇ

    お医者さんに見てもらった結果、今は少し風邪気味程度やけど、これから激しくなるかもやからよく見て気を付けること。小さすぎるから予防接種や薬もまだあげれないけど、生後半年までは親からもらった免疫力があるからある程度は大丈夫だろうということ。まだ生後2〜5日だということ。ミルクのあげかたやおしっこの処理の仕方。(仔猫のうちは助けてあげないと一人でおしっこもうんちもできない)
    それと、女の子だと言うこと。

    2005-11-17 21:43:00
  • 35:

    せぇ

    女の子なのにチビクロ?とは思ったけど、気にしないことにした。
    病院の診察料はキョンのパパが、いいって言ったのに払ってくれた。ホントに猫が好きなんだなぁとなんだか嬉しかった。お礼を言って、家まで送ってもらった時にはもうすでに夜の二時わ回っていた。キョンの車の中にあったキャリーバックを借りて、その中にいれるとチビクロゎ何故か気持よさそうに眠った。そのままそのキャリーバックを借りて、チビクロが起きないようにそっと運んだ。

    2005-11-17 22:25:00
  • 36:

    那未

    今はじめから読みました??ガンバって完結させてください?

    2005-11-18 01:03:00
  • 37:

    名無しさん

    2005-11-18 06:20:00
  • 38:

    あい

    チビクロって可愛い名前ゃね★うちの家も黒猫飼ってるねぇん!!続き気になる?頑張って下さいね☆

    2005-11-18 06:28:00
  • 39:

    名無しさん

    続き楽しみにしています?

    2005-11-18 07:09:00
  • 40:

    せぇ

    皆さんありがとうございます?頑張って完結するので最後まで見てってくださいね??

    2005-11-18 08:45:00
  • 41:

    せぇ

    チビクロを自分の部屋のベットの上にキャリーバックごと置いた後、あたしはお風呂場に直行した。鏡に写った姿を見て、自分の汚さに改めて気付く。てか変な匂いしてるし(笑)急いで服を脱いで洗濯機を回す。熱いシャワーを頭から一気にかぶった。冷えきってた体に血が通う感じがした。こんなに一生懸命に何かをしたのはすごく久しぶりだったと思う。

    2005-11-18 09:03:00
  • 42:

    せぇ

    お風呂からあがって部屋に戻ると、チビクロはどうやって出たのか、ベットの上においたキャリーバックから離れた所でヨタヨタしていた。まだ目も見えてないのに、どこに行くつもりなんやろ…そう思いながら、濡れた髪をタオルで拭きながらつっ立って見ていた。まだちゃんと歩けてない。歩いているというよりフラフラしてる。片手に余るくらい小さいチビクロは大きいカブト虫みたいに見えた(笑)

    2005-11-18 09:21:00
  • 43:

    せぇ

    『あっ…』そう思った瞬間体が動いて、チビクロを抱き上げた。ベットの端まで歩いて、落ちそうになってたから。
    両手にスッポリと収まったチビクロはイッチョマエに鼻をクンクン鳴らして、あたしの手を匂った。それから小さい声で『ナ』って鳴いた。初めて聞いたチビクロの声やった。

    2005-11-18 09:27:00
  • 44:

    ミリωこ ◆wpry4bFOLI

    読んでます??ゥチも今猫買おうかムッサ悩んでるねん●´▽`●せぇチャンも色イロ思い出したらツラィやろぉケド頑張れょ???

    2005-11-18 09:28:00
  • 45:

    せぇ

    チビクロを手のひらに乗せたまま、あたしは考えていた。二〜三時間おきくらいにホニュウビンでミルクをあげなきゃいけない。それから飲ませたあとは必ずおしっことかの処理。するんは別に苦痛じゃない。ただ、あたしが学校にいる間どうしたらいいのかわからなかった。ミルク離れするまでの約一ヶ月程度。ずっと学校を休むのも無理がある。

    2005-11-18 09:35:00
  • 46:

    せぇ

    丁度その時、鍵があいて、ドアが開く音がした。ママが帰ってきた。電気がついてるのに気付いてママが部屋を覗いた。『せぇチャンまだ起きてるん〜?ママのご帰宅待ってたん〜?可愛い娘やな〜?な〜、せぇちゃん?』今日は大分酔ってた(笑)ママは夜の仕事をしていて、小さいラウンジのママをしている。ママはもう35才やけど、30代にはとても見えへん。娘のあたしから見ても結構綺麗やと思う。『はいはい、待ってたよ〜』いつも通り、ママの頭をなでなでして答えた。『えへへ〜』と酔って笑うママは少しかわいい。

    2005-11-18 09:50:00
  • 47:

    せぇ

    『あれッ?何あれ!?でかいかぶと虫?!』床でヨタヨタしてるチビクロに気付いたママは何でか楽しそうに言った。『ちゃぅよ(笑)仔猫。今日拾ってきてん。』あたしは答えた。『飼うの〜?』『飼うよ。いいやろ?』『せぇが飼いたいなら反対ゎせんけど…。…ママ猫苦手やねん。目ぇ怖いやん…』今度は泣きそうな声で言った。酔ったママは幼稚園児みたいになる(笑)『怖ないよ。見てみ、無茶かわいいやん』チビクロを指さしてあたしはまた答えた。
    丁度その時、部屋の角までなんとか歩いて行ったチビクロは、壁にぶつかってポテンって仰向けに倒れた。『ナ、ナ』って言いながらなかなか起き上がれないチビクロは、仰向けにされた亀みたいで、本間にかわいかった。

    2005-11-18 10:00:00
  • 48:

    せぇ

    『んっ!』あたしはチビクロを抱き上げて、ママの膝に置いた。『チビクロって言うねん!抱っこしてみ!』言われるがまま、恐る恐るチビクロを抱き上げたママは、チビクロの顔をのぞきこんだ。『この家におりたいん?』ママが何気無く聞くとチビクロはタイミングよく『ナ!』って鳴いた。

    2005-11-18 10:04:00
  • 49:

    せぇ




    2005-11-18 10:06:00
  • 50:

    せぇ

    『かわいい〜?チビクロ?!チビクロちゃん?!むっちゃ可愛いやん?なぁ、せぇこの子ママが飼う!せぇ、この子ママに頂戴!せぇにゎペットショップで何か買うたるから、この子ママにちょーだいッ?』
    …『嫌やわ!(笑)』
    ママゎあっと言う間にチビクロに夢中になった。ちょっとアホなママでよかった(笑)

    2005-11-18 10:10:00
  • 51:

    せぇ

    その後30分くらいママに粘られたけど、あたしだって当たり前に譲らんかった。(笑)『まぁ同じ家に飼うんやからいいやん』ってママをなだめて、やっと説得させた。
    『問題はお昼やねん、ぅち学校あるし、ママゎ寝な体もたへんやろ?どないしよ…』ママは『ママがやるよ』と言ってくれたけど、ママの仕事の大変さをある程度は知ってるつもりやったから、あたしは『絶対あかん』って断った。

    2005-11-18 10:17:00
  • 52:

    せぇ

    『ならせぇが学校に連れてけばいいや〜ん??』チビクロの世話係を断られて機嫌が悪くなったママが不機嫌そうに言った。
    『…?』
    『それや!それしかない!ママ頭いいやん!そうしよ!やった!ママありがとー!』テンションが上がって、ママの手をとって喜ぶあたしとは裏腹に、ママは『もう寝る〜?』って言って部屋を出て行った。そんなにチビクロの世話係やりたかってんや(笑)

    2005-11-18 10:22:00
  • 53:

    せぇ

    疲れてるはずなのに、何故か眠くはなかった。あたしはベットに持たれかかって、部屋中をヨチヨチ歩き回っているチビクロを目で追っていた。匂いをかぎながら角から角へ、何度もコケて、何度もぶつかりながらも歩き続けている。『何か探してるん?』あたしは思わず呟いた。その時あたしのお腹が鳴った。『あっ、お腹空いたんかな…』あたしは自分が昼からご飯を食べていないことも忘れて、チビクロにミルクをあげることにした。あたしはチビクロがはいっていたカゴバックを開いて、ホニュウビンに粉ミルクとお湯を入れて、人肌までに冷ましてからチビクロにあげた。

    2005-11-18 11:07:00
  • 54:

    せぇ

    左手にチビクロをすっぽり収めて右手でホニュウビンを持ってまず匂いをかがせようとした。その瞬間、チビクロゎ凄い勢いでホニュウビンを吸って、ミルクを飲み出した。『やっぱりお腹空いてたんや…。』
    ンク、ンクとミルクを飲んでいる音が聞こえる。凄い勢いでホニュウビンの先を吸ってるから、少しひっぱったくらいじゃ口から離れなかった。見る見るうちにチビクロの小さいお腹が膨らんで行く。あまりにもタプタプに膨らむから、破裂しないかと心配になるくらいだった。

    2005-11-18 11:15:00
  • 55:

    名無しさん

    めっちゃ気になる?頑張ってね???

    2005-11-18 20:02:00
  • 56:

    名無しさん

    想像したらカワィィ??

    2005-11-19 00:19:00
  • 57:

    りさ

    全部よましてもらいました?たのしみにしてます???頑張ってください?

    2005-11-19 16:41:00
  • 58:

    名無しさん

    ?

    2005-11-19 18:37:00
  • 59:

    名無しさん

    ?

    2005-11-19 20:31:00
  • 60:

    名無しさん

    ???????

    2005-11-20 06:44:00
  • 61:

    名無しさん

    2005-11-20 12:23:00
  • 62:

    ひとみ

    めちゃ早くょみたぃ?早くかぃて?

    2005-11-20 23:44:00
  • 63:

    せぇ

    更新遅れてごめんなさい?今から更新します?

    2005-11-21 08:43:00
  • 64:

    せぇ

    半分くらいまで入れたミルクを、チビクロゎほとんど飲みきった。あたしはおしっこをさせた後、今度ゎウトウトしてるチビクロをまたベットの上に乗せて、あたしもその隣に寝転がった。明日は学校サボって、チビクロ用に色々買ってこよ…。そんなことを考えてたら、たまっていた疲れがどっと押し寄せて来て、あたしもウトウトしてきた。目の前で眠ってるチビクロを見ながら、あたしも眠った。

    2005-11-21 08:57:00
  • 65:

    せぇ

    それから、変な夢を見た。大きな黒猫が口にチビクロをくわえてやってきて、あたしの前にそっとおろした。それからペコンておじぎしていなくなった。夢の中ではチビクロゎ目が空いていて、その目は深い黒色で、すごく真ん丸で大きな目だった。それからチビクロゎあたしを見つめると、笑ってるみたいに『ナ!』って鳴いた。映画の字幕みたいに下に『よろしくね!』って通訳が出た(笑)

    2005-11-21 09:07:00
  • 66:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あれゎ確かにあんたやった。
    みんなにゎ『んなわけないやん』って笑われたけど。

    チビクロ、
    あんたゎ律儀な猫だよね。
    恩返ししたかってんな?
    あの夢であたしは
    あんたとの運命を確信した。

    出会えたことも
    一緒にいれたことも
    あぁいう形で
    あんたを失ったのも
    全部運命やってん。
    そう思ったら
    少しゎ報われる。
    そう思わな
    あたしは生きられへん。

    だって、いくら律儀や言うても限度があるやろ?
    そんな恩返し
    ぅちゎいらんかったよ。

    2005-11-21 09:19:00
  • 67:

    せぇ





    2005-11-21 09:20:00
  • 68:

    せぇ

    目が覚めた時、ベットの角にいたはずのチビクロゎ、あたしの顔のすぐ近くで丸くなって眠ってた。ふわふわの毛はすごく気持ちよくて、暖かくて、あたしは思わず顔をすりよせた。すかさずペチッて小さい手で叩かれて拒否られたけど(笑)
    それから下に降りて朝ごはんを作った。朝ごはんっていっても、時間ゎもう12時を回っていたけど。

    2005-11-21 09:25:00
  • 69:

    せぇ

    目玉焼きとトーストが焼けるいい匂いにママが起きてきて、一緒にご飯を食べた。ママはいつもと違って昨日の話の内容をちゃんと覚えてくれてた(今までならあれぐらい酔ってる時ゎ大抵、話の内容を全部忘れる)から少し安心した。いつもなら朝ごはんを食べた後ゎもう一度眠るママだけど、今日ゎ私と一緒に、チビクロのものを買いに行ってくれることになった。ついでにお茶でもしようと言うことになって、お互い準備するために一旦部屋に戻った。

    2005-11-21 10:41:00
  • 70:

    せぇ

    ベットの上にチビクロはいなかった。あせって探すとカーペットの下で何かがぞもぞ動いてて、『ナ!な!』としきりに声がしていた。カーペットをめくって『こらッ』と怒ると、『ナっ!』って一声鳴くと、怒られてるのがわかってりのか、チビクロは走って逃げた。昨日よりもちゃんと歩けるようになっている。

    2005-11-21 10:48:00
  • 71:

    せぇ

    それからあたしはミルクをあげて、おしっこをさせてあげた。今日ゎちゃんとうんちも出た。全然汚いと思わない自分が、少し不思議だった。『子供ができたらこんな感じかなぁ』と少し思った。ハサミや、ゴミ箱など、危ないものや、めちゃくちゃにされそうなものを片付けてから、あたしはチビクロを置いて部屋を出た。チビクロゎ日が指すフローリングに寝転がって、気持よさそうだった。

    2005-11-21 10:55:00
  • 72:

    せぇ

    ペットSHOPで色々買った。これからいるトイレや、仔猫用キャットフード。離乳食まであって、しかもたくさん種類もあった。本間に、人間の赤ちゃんさながらやった。それから予備のホニュウビンと粉ミルク、目も空いてないのに、ママゎ猫のオモチャをいっぱいカゴに入れてた。鈴の着いた赤色の首輪も買った。チビクロの黒によく似合いそうな、きれいな赤やった。
    それからチビクロのミルクの時間までまだ時間があったので、予定通りお茶をすることにした。
    だけど、平日の昼間やのに思いの外、人が多くて、車が止められへんかった。仕方なく路駐して、ママと二人よく行くカフェに入った。

    2005-11-21 11:16:00
  • 73:

    せぇ

    ママゎミックスジュース、あたしはケーキセットを食べながら、昨日チビクロを拾ってきた過程を話した。ママは笑いながら聞いてた。一時間くらい話をしてカフェを出た。せっかく梅田まできたんやから買い物していかへん?って言うママの提案を、あたしはもうすぐミルクの時間やからって却下した。ママが会計をしているのを待たずにあたしは外に出た。

    …最悪。

    見事に駐禁貼られた車がそこにあった。

    2005-11-21 14:05:00
  • 74:

    せぇ

    地元の駅から私の家は歩いて行ける距離じゃなく、結局家に帰れたのは五時過ぎだった。今日に限ってなんで?!…ってあたしは半分ヒステリーを起こして、ママに当たった。ママだけが悪いわけじゃないのに。だけど、ママはさすがにママだけあって、人をなだめるのが上手い。家につく頃にはあたしのヒステリーゎ収まってた。
    だけど、やっぱりチビクロが心配であたしは走って部屋に戻った。家を出てからもう4、5時間たってた。

    2005-11-21 14:11:00
  • 75:

    せぇ

    チビクロは部屋の角でうずくまってた。急いでダッコして顔を見ると、目の下は濡れてて、鳴きすぎてでなくなったのか、かすれた小さな声で『ナ゙』って泣いた。階段を掛け上がって、ミルクの入ったホニュウビンをママが持ってきた。すかさずあげるけど、なかなか飲もうとしなくてあせった。

    2005-11-21 14:17:00
  • 76:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あんたゎ極度の寂しがりやから
    そっちでひとりぼっちじゃないか、あたしは心配で仕方ないよ。
    友達出来た?
    あんたの本間のママにゎ会えた?

    いつかまた、絶対
    一緒に暮らそうな。

    あたしは、
    今までいっぱい
    悪いことしてきたけど
    あたしもあんたと同じ、
    天国に行けるように
    これからいっぱい
    がんばるから。

    だから待っててな。

    2005-11-21 14:21:00
  • 77:

    せぇ





    2005-11-21 14:22:00
  • 78:

    名無しさん

    チビクロ〜(T_T)泣いてもたわぁ〜(T_T)

    2005-11-21 16:40:00
  • 79:

    せぇ

    チビクロは確かに泣いてたと思う。悲しい時は涙を流す、そんな不思議な猫やった。多分信じひん人もいると思うけど、でもそうやねん。あたしは誰に何て言われても、チビクロの涙を信じる。

    2005-11-21 23:13:00
  • 80:

    せぇ

    その日チビクロがミルクを飲んだのは、夜の八時ごろやった。あたしはひたすらチビクロを膝の上にのせて、ずっと優しく撫でてあげた。『ごめんな』って何回もつぶやきながら。
    そのことがあってから、あたしは家にいる時は、出来る限りチビクロと一緒に過ごすことにした。遊びにもあんまり行かなくなったし、ご飯もチビクロと一緒に食べた。
    なんでそこまで出来たんかは今でもよくわからんけど、でも全然苦痛じゃなかったし、仕方なくでもなかった。チビクロが側にいないと寂しかったんはあたしの方やったんかもしれへん。

    2005-11-21 23:20:00
  • 81:

    ?枝果?

    応援してマス? 頑張って?さぃ??

    2005-11-22 21:57:00
  • 82:

    せぇ

    更新遅れてごめんなさい??これから書きます?

    2005-12-04 00:08:00
  • 83:

    りえ

    待ってます?

    2005-12-04 06:45:00
  • 84:

    せぇ

    その次の次の日、チビクロの目が開いた。瞳は深い黒色で、すごく大きくて、すごく真ん丸な目だった。あたしがあの夢で見たチビクロと、おんなじ目だった。やっぱり偶然なんかじゃない。運命や!

    2005-12-04 17:53:00
  • 85:

    名無しさん

    わ?ぃ?更新してる?

    2005-12-04 18:34:00
  • 86:

    せぇ

    次の日は丁度月曜日で、あたしが例の作戦を実行する日になった。題して、チビクロ学校で子育て大作戦?笑
    この間、駐禁を張られた日に買った、底のあるカゴバック。両手に大きく余るくらいの中くらいのカゴで、カゴのフタ?になる上の部分は布になっていて、口の部分はしぼるようになっている。上手く説明できないけど、とりあえず制服姿には似合わなかったかな?

    2005-12-04 21:26:00
  • 87:

    せぇ

    ふかふかに洗ったタオルをひくと、予想以上にかさばって、少しせまいかなと思ったけど、小さいチビクロはすっぽりと入った。予想外に気に入ったみたいで、チビクロは暖かそうにタオルにくるまると、すぐに眠った。

    2005-12-04 21:32:00
  • 88:

    せぇ

    哺乳ビンと粉ミルク、それから一日中、この狭いカゴの中に入れとくわけにはいかないから、チビクロを拾った時に入ってたあの大きなカゴバックももって行った。チビクロを拾ったときのカゴバックは、この土日にしっかり外の光で乾かしたおかげで、お日様の匂いがして、気持ち良かった。

    2005-12-04 21:38:00
  • 89:

    せぇ

    ちなみに、余りにもいきなり荷物が多くなって、先生にばれたら嫌やから、大きなカゴバックの方は、キョンが持っていってくれることになっていた。日曜の夜にカゴバックを取りにきてくれたキョンは、目が開いたチビクロを見て、あまりのかわいさにびっくりしてた。『こんなにでかい目の子、ぅちにゎおらんわぁ!』『やっぱり無茶かわいいなぁ。』『こんな可愛い子飼えるなんて、あんた幸せやなぁ…』って、さんざん誉めるだけ誉めたくせに、キョンは帰りぎわにしっかり『まっ、うちの子には適わんけどな!』って言って帰っていった。ほんまあんた何やねん。笑

    2005-12-04 21:49:00
  • 90:

    せぇ

    眠ったチビクロを起こさないように、あたしはなるべくカゴバックが揺れないように気を付けながら学校へ向かった。幸い、チビクロはぐっすり眠ってて、朝の電車でも鳴くことゎなかった。っていっても、満員電車をさけて、いつもより大分早い電車に乗ったおかげで車内も静かで、席にも座れたからやからかもしれんけど。
    しかも、目がしっかり開いて、物もはっきり見えるようになったチビクロは今、猫用のねずみのおもちゃに夢中になっている。昨日の夜しっかりそれで走り回らして、あたしまで寝不足になるくらい疲れさせたから、その効果もあったんだと思う。
    どっちにしろ、作戦はめっちゃ順調にすすんでた。学校に着くまでは。

    2005-12-04 22:01:00
  • 91:

    せぇ

    あたしの家から地元の駅までは原付で飛ばして15分、チャリで30分、徒歩50分。いつもは原付やけどその日はチャリで行った。チビクロを入れたバックを手に持って、チャリを飛ばした。それから電車で学校最寄りの駅まで15分、駅から学校までは歩いて10分。結構な長旅やなって、チビクロ を連れていくことになって初めて気付いた。そんな長い間ずっとバックの中やなんて酷すぎる…。わかってたけど他に方法がなかった。ごめんな、チビクロ…。

    2005-12-04 22:10:00
  • 92:

    名無しさん

    書いてぇ???めたきになる??

    2005-12-10 12:25:00
  • 93:

    せぇ

    あんま人見てないかな?って思ってたからうれしい?放置してごめんね?これから更新します??

    2005-12-11 00:49:00
  • 94:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 95:

    せぇ

    いつもより一時間も早く学校に着いたのに。…最悪。何時間早く起きたら、あいつに会わんですむんやろ…。
    どこの学校でも、体育教師は大抵うざい。熱血漢ぶって、生徒のことはなんでもわかりますー。僕に任しといてくださいー。みたいな奴。今日も校門の前に立って、来る生徒ひとりひとりに声をかけている。挨拶だけならまだいい。『化粧してくんな』『髪が茶色い』『ズボン下げんな』そんな感じで、いちいち生徒を呼び出して、朝忙しい中、何十分って説教する。あいつのせいであたしは何回遅刻したかわからん。この学校で一番嫌いな先生。水野。通称、くそ水野。(笑)

    2005-12-11 01:02:00
  • 96:

    ???

    待ってましたぁ???

    2005-12-11 05:51:00
  • 97:

    せぇ

    髪を持っていたゴムで雑にくくって、おっていたスカートを元に戻す。ブレザーのボタンを全部止めて、なるべく目をあわさないようにくそ水野の前を通った。でもやっぱり無駄やった。『ぉい渡辺!渡辺聖子!』バカでかい声であたしを呼をだ水野は、こっちへこいと手招きした。何でやねん。悪いトコなんて一つもないやんか…。『何ですか?』あたしは水野の手招きに応じる事無くその場で立ち止まって言った。

    2005-12-11 18:59:00
  • 98:

    名無しさん

    2005-12-12 14:41:00
  • 99:

    名無しさん

    2005-12-12 14:54:00
  • 100:

    るる

    お暇できたら続き書いて下さい?待ってます?

    2005-12-15 02:35:00
  • 101:

    名無しさん

    わたしも黒ネコ飼ってるから、すごい気になる? 最後まで見るから頑張って?

    2005-12-15 07:59:00
  • 102:

    名無しさん

    書かんの?やったら最初から書くな

    2005-12-16 22:29:00
  • 103:

    せぇ

    携帯ぶっこわれて書けれんくなってました。更新遅れてしまい、本当に申し訳ないです。必ず完結させるので、よかったら、見捨てず最後まで読んでいってくださいm(__)m

    2005-12-20 01:02:00
  • 104:

    せぇ

    『何ですか?…やあらへん。先生にあいさつくらいしていったらどうや。』相変わらず、この世で一番自分がえらいと思っているかのような言い方。どうやったらこんな奴が先生になれるんか聞きたいわ。なんし、今日はあかん。『…おはようございます。』あたしは素直にあいさつをして、また校舎に向かおうと、方向を変えて振り返った。その瞬間、水野はチビクロが入ったカゴをもっている右手をつかんだ。突然の衝撃で、カゴが地面に勢い良く落ちた。『何すんねんハゲ!』

    2005-12-20 01:10:00
  • 105:

    せぇ

    急いでカゴを拾って、胸に抱き抱えた。−ごめん、本間にごめん。
    『お前先生に向かってそんな言葉使いしていいと思うてんのか!』ハゲという図星をつかれて、タコみたいに顔を真っ赤にした水野が近づいてくる。やってしまった感はあったけど、あたしも頭に血が上ってたせいで、冷静な態度がとれんかった。『いきなりつかんでくるあんたが悪いねん!』あたしは胸に抱えたカゴにギュッと力を込めて言った。『…お前、そのカゴん中に何が入ってるんや?大事そうに抱えて?』

    2005-12-20 01:20:00
  • 106:

    せぇ

    勝ち誇った顔で聞いてきた水野に、あたしはすかさず答えた。『生理用品です。』カゴの中でもぞもぞ動くチビクロの気配がした。怪我とかしてない?大丈夫?

    2005-12-20 01:24:00
  • 107:

    せぇ

    『本間あせったわぁ。どうしようかと思った。』あたしは朝の出来事を、トイレの個室でチビクロにミルクをあげながら、きょんに愚痴っていた。『それでどうなったん?あいつのことやから、中身見せろとか言うてきたんちゃうのん?』相変わらずケラケラ笑いながらキョンは話を聞いていた。ミルクをあげ終え、キョンが持ってきてくれた大きいカゴバックにタオルとチビクロを移動させながらあたしは答えた。『それやねん!"ほな見せてみぃ"って平気な顔で言うてきてん!』キョン『…それ本間?最悪やな。で?どうやって乗りきってん?』手ではチビクロを撫でながら、顔はあたしに向けて、キョンはどっちにも興味しんしんやった。

    2005-12-20 01:41:00
  • 108:

    せぇ

    『…そのカゴの内ポケット見てみや。』あたしは顎で、チビクロをいれて持ってきたバックを差して言った。『え?これ?』不思議そうにキョンがバックの中を探る。数秒後、朝の静まり返ったトイレの中で、ありえへんくらいバリでかい、キョンの笑い声が響き渡った。キョンは内ポケットから取り出した、ナプキンを片手に、腹をかかえて、とぎれとぎれに言った。『あんた、準備し、しすぎやろ…どんだけ、念、押してんねん…笑』

    2005-12-20 01:49:00
  • 109:

    せぇ

    キョンの発作みたいな笑いがおさまった後、うちらはあゆちゃんのトコロに行った。あゆちゃんっていうのは、去年までいた厳しいおばさんに変わって来た、新任の保健室の先生だ。ぅちら二人は、昔よく保健室にさぼりに行ってて、あゆちゃんもまた無理に授業に行かせようとせぇへんでくれた。他の先生達はそんな『ゆるい』あゆちゃんをよく思ってなかったけど、恋や愚痴など、笑いながら真剣に聞いてくれるあゆちゃんは、生徒に大人気やった。一時期そのせいで、みんなが保健室に殺到して、問題になったことがあって、ここぞとばかりに他の先生があゆちゃんを辞めさせようとした。そん時にうちら生徒は、一致団結してそれに反対して、それから頻繁に保健室に行くのはやめようっていう暗黙のルールが出来てた。

    2005-12-20 09:59:00
  • 110:

    せぇ

    なぁチビクロ
    あれからあんたが学校のアイドルになった時
    あたしは正直嫌やってん。
    みんなに撫でられるあんたは、相変わらず可愛くて
    あたしの猫やのに
    みんなの猫みたいで

    猫にまでヤキモチやくなんて
    あたしはやっぱりどこかおかしいんかもしれへん。

    でもな、あんたの言葉がわかるのは、やっぱりぅちだけやった。

    『せぇちゃん』

    あんたがあたしを呼ぶ声は
    今でも耳から離れへん。

    もう一回呼んでよ。

    どこで何をしてても
    すぐにかけつけるから。

    2005-12-20 23:30:00
  • 111:

    せぇ

    噂はどこからともなくながれ、次の日には『保健室に黒猫がいてる』って、有名になってた。昨日と同じようにミルクをあげようと、休み時間に保健室をのぞくと、チビクロを見に来る同級生や先輩でいっぱいになっていた。もちろん、そうなれば他の先生の耳にも入る。『やばいよなぁ…。』あたしはキョンと二人、必死に解決策を相談した。

    2005-12-20 23:38:00
  • 112:

    せぇ

    チビクロを初めて学校につれてきた日から4日目の昼休み。今日無事すめば、明日から週末で休みやから、解決策を考えれる。とりあえず、チビクロを見にくるやじうまの目を盗んで、チビクロをカゴごと連れて屋上に向かった。途中で担任に『おい渡辺、そのカゴ何や?』って不思議そうに言われて、あたしは思わず『今日はサンドイッチやねん!』…って答えた。担任は怪しそうにあたしを見た後、『えらいでかいサンドイッチやな!』って笑って言った。

    2005-12-20 23:48:00
  • 113:

    せぇ

    無事屋上に着くと、あたしは誰もいないのを確認してから、カゴのフタを開けた。もうすぐ12月も終わる。この寒い中、屋上でご飯を食べる子は予想どおり一人もいなくて、あたしはチビクロを膝のうえに乗せた。初めての場所と風と空に、チビクロは驚きふるえて、あたしの膝に座り込んだまま辺りをキョロキョロ見回してた。

    2005-12-20 23:55:00
  • 114:

    せぇ

    ミルクを飲めるだけ飲んで、お腹が一杯になったチビクロゎ、初めて来た屋上に興味深々で、探険しだした。少し離れては振り向いてあたしの姿を確認する。そのしぐさがすごく可愛かった。チビクロといるだけで、この屋上も、寒いけど、すごく落ち着ける空間になる。


    バタン!

    2005-12-25 21:42:00
  • 115:

    名無しさん

    むっちゃきになる!

    2005-12-25 22:17:00
  • 116:

    せぇ

    名無しさんありがとう?けれから更新します?

    2005-12-26 12:16:00
  • 117:

    せぇ

    突然入り口のドアを力強く開ける音がして、あたしもチビクロもその場で固まった。
    『おい渡辺〜!』ものすごい怒鳴り声と一緒に水野が屋上にやってきて、うれしそうにニヤニヤ笑って仁王立ちになった。『その猫の飼い主はお前か。よ〜やってくれたのぉ。』チビクロは大きい声にびっくりして、あたしの膝に走って飛び乗ってきた。あたしは相変わらずてんぱってて、水野を見つめたまま、ぴくりとも動けなかった。

    2005-12-26 12:21:00
  • 118:

    せぇ

    『ペットを学校に連れてくるとゎええ根性してんなぁ。学校はお前の家ちゃうんや。学校にペットを連れてきたらあかんことなんか、幼稚園児でも知ってるわ。』この間のことを根に持ってるのか、水野の舌は絶好調やった。「やばい、どうしよう…。」いつもならすぐにごまかす嘘が思いつくあたしも、今回ばかりはお手上げで、何も言うことができんかった。
    『なんらかの処分考えなあかんなぁ。お前にもその猫にも。』

    2005-12-26 12:27:00
  • 119:

    せぇ

    意味わからへん。処分が必要?あたしはともかく、『猫にも』?処分って何の処分やねん。あたしのチビクロになにするつもりやねん。

    2005-12-30 21:02:00
  • 120:

    せぇ

    今考えてみると、もちろん水野はチビクロに何かをしようとしたわけじゃなかったと思う。ただあたしをビビらせようとして、ああ言っただけで。でもあの時のあたしは、冷静な判断能力にかけてて、完全に頭に血が上ってた。

    2005-12-30 21:08:00
  • 121:

    名無しさん

    気になる?

    2005-12-31 05:45:00
  • 122:

    せぇ

    『チビクロにもってどーいうことやねん!この子は関係ないやろ!?』あたしはほぼ叫んでるくらいの声で言った。なんか言い訳…言い訳。


    『だいたいこの子は…この子は…。』あたしがいないと生きていかれへん。なぁチビクロ。そうやよな?

    2005-12-31 18:09:00
  • 123:

    せぇ

    『その子、捨て猫ですよ。飼い主、今探してるところです。飼い主見つかるまでの間だけ、仕方ないから学校につれて来てただけです。やから、渡辺さんは何も悪くないですよ。仕方ないことですやん。』
    いつのまにかあらわれた見たことない男の子が、すごく落ち着いた、きれいな声でそういった。
    『な?』あたしの目を見て、あいずちをうながす。
    …誰?

    2005-12-31 18:15:00
  • 124:

    名無しさん

    2005-12-31 23:00:00
  • 125:

    名無しさん

    かかんねやったら最初から書くな

    2006-01-07 05:00:00
  • 126:

    名無しさん

    きつい言い方やめや。何様やねん。

    2006-01-07 18:02:00
  • 127:

    名無しさん

    気になって更新まってんのにいつも中途半端で終わってたら腹立つやろ

    2006-01-07 18:26:00
  • 128:

    名無しさん

    うちだって気になってるから待ってるよ。でも、そうやってきつい言い方してたら余計かかへんくなるだけやろ。迷惑やねん。

    2006-01-07 21:13:00
  • 129:

    名無しさん

    まつだけ損やで 主はやる気ない中途半端やし

    2006-01-08 21:57:00
  • 130:

    名無しさん

    ↑ぉ前もな

    2006-01-09 06:44:00
  • 131:

    せぇ

    本当にごめんなさい。年末年始と、成人式とかで忙しくて更新出来ませんでした。こんな力不足なへたな小説やのに、見てもらって、待ってて頂いて、怒らしてるのに不謹慎ですが、本間うれしいです。時間はかかるかもしれないですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします。

    2006-01-10 00:45:00
  • 132:

    せぇ

    見たことない顔だった。先輩かな?でもうちの名前知ってるし、同級生?てか、屋上に他に生徒いたんや…。『な?』もう一度その人はあたしにあいずちをうながした。『…あ、はい。』大分間を開けて、あたしはそう答えるだけでいっぱいいっぱいだった。

    2006-01-10 01:20:00
  • 133:

    せぇ

    あ、寝てる…。
    ふと目をやると、チビクロは、膝の上で丸くなって目を閉じていた。さっきまで震えるくらいびっくりしてたくせに。あたしはあっという間に今の状況も忘れて和んだ。チビクロの背中に手を置いて、ポン、ポンとやさしくたたいた。

    2006-01-10 01:49:00
  • 134:

    せぇ

    セッターの匂い。
    ふと、少しだけ。
    少しだけ、しょーちゃんのことを思い出した。

    タバコを吸っている間、あたしは何も言わなかったし、彼も何も話さなかった。

    2006-01-10 02:07:00
  • 135:

    せぇ





    2006-01-10 02:08:00
  • 136:

    せぇ

    仁に出会えたのは
    あんたのおかげやったね、
    チビクロ。

    人は、誰かを愛すことでしか、自分の存在を確かめられへんねんて。

    もしそうだとしたら
    なぁチビクロ。

    あたしはあんたを愛したことで、自分を見つけたよ。

    あんたが出会わしてくれた仁を愛したことで、自分を見つけたよ。

    あんたナシに
    あたしはなかった。

    あんたはあたしの全てやで。

    2006-01-10 02:21:00
  • 137:

    せぇ



    ………{てか、なんで
    名前知ってるん?!}
    見事キレイにはもりながら、ぅちらは声を揃えて言った。

    2006-01-10 02:41:00
  • 138:

    せぇ

    >>130の続きです。
    >>139-153
    まで書きました。今日はこれで一旦切りますね。続きはまた明日書きます?

    2006-01-10 02:57:00
  • 139:

    名無しさん

    待ってます

    2006-01-10 17:34:00
  • 140:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 141:

    せぇ

    『いつからここにいたん?一応あたし、屋上入る前に、誰もいないの確認してんけど、気付けへんかった。』沈黙に耐えられんくなって、あたしは口を開いた。『あぁ、あそこ。』仁は、後ろにある屋上のてっぺんを指差した。掛けハシゴ一つでつながれた、水道タンクが置いてある場所。『ちょっと狭いねんけどな、誰にも邪魔されずに昼寝するには、うってつけやねん。』『本間や、あそこって登れんねや、知らんかった。』

    2006-01-11 01:11:00
  • 142:

    せぇ

    『…登ってみる?』
    仁は、あの癖のある笑顔で、静かにそう言った。

    2006-01-11 01:13:00
  • 143:

    せぇ

    遠くでチャイムの音がする。もうすぐ午後の授業が始まる。仁は先に登って、上からあたしを見下ろした。手をさしのべて、『さぼろうや。』と、同じ笑顔でまた言った。

    2006-01-12 02:01:00
  • 144:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あんたも見てた?
    あの日の空を。
    仁のあの笑顔は、
    見る人を引き付ける。
    見るたびに、引き付ける。

    あんたと同じくらい好きや。

    あの日、
    あの手をとってよかった。

    2006-01-12 02:08:00
  • 145:

    せぇ





    2006-01-12 02:11:00
  • 146:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 147:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 148:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 149:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 150:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 151:

    名無しさん

    2006-01-17 02:13:00
  • 152:

    名無しさん

    2006-01-17 02:24:00
  • 153:

    名無しさん

    あげ

    2006-01-23 06:32:00
  • 154:

    名無しさん

    おもしろい!

    2006-01-30 18:45:00
  • 155:

    せぇ

    更新またおそくなってしまってごめんなさい。
    これから書きます。
    読んでくださって
    ありがとうございます。

    2006-01-31 13:28:00
  • 156:

    せぇ

    それから、屋上のてっぺんに座って、私たちはいっぱい話をした。冬の光が背中に当たって、不思議と寒いとは感じなかった。好きなもの、嫌いなもの。くそ水野のこと、それからチビクロのこと。とにかくいっぱい話をして、あたし達はずっと笑ってた。

    2006-01-31 13:39:00
  • 157:

    せぇ

    −どれくらい時間がたったのか、チビクロがお腹を空かせて泣き始めた。『あっ、ごめん。ミルクあげな』盛り上がってた話を中断して、あたしはカゴからチビクロを抱き上げて、ミルクをあげた。

    本間にかわいい。大好きや。

    2006-01-31 13:46:00
  • 158:

    せぇ

    ふと、視線を感じて、あたしは顔をあげた。仁を見ると、すごく、すごく、やさしい顔でチビクロを見ていた。心があったかくなった気がした。

    2006-01-31 13:53:00
  • 159:

    せぇ

    多分、10秒もたってない。チビクロはいつも通り、あたしと、ミルクの入っているほにゅうびんを交互に見つめてて、あたしは−。
    いとおしそうにチビクロを見つめる仁を見て、そしてきっと、恋に落ちた。

    2006-01-31 14:03:00
  • 160:

    せぇ

    なぁチビクロ
    あんたの死は
    体の一部。
    心がなくなったのと
    同じように思えた。

    あたしがもう一度
    あたしを、心を
    取り戻せたのは
    仁のおかげやった。

    あんたが出会わせてくれた
    仁のおかげやった。

    チビクロ、あんたは
    最初から最後まで
    抜け目のない、かしこい猫。
    最初で最後の、あたしの猫。
    あたしの一部。


    あたしの全てやで。

    2006-01-31 17:39:00
  • 161:

    せぇ





    2006-02-01 10:51:00
  • 162:

    せぇ

    その日はそのまま、午後の授業をまるまるさぼった。あの日から私は、仁とチビクロと。あの、秘密の屋上のてっぺんで学校生活のたくさんの時間をすごした。

    2006-02-01 11:03:00
  • 163:

    岡ちゃン

    俺の家庭に似てるなッて思ったから読んでみた(*г′∀`)г*すげーぃぃ話。・。゚(⊃д`゚)・゚・。これからも頑張って書いてなッ(ノ∀ヽ*)*〃∀)

    2006-02-02 00:31:00
  • 164:

    せぇ

    いつも、サボろうもんなら飛んで探しにくるはずの水野が、この日もう一度屋上に来ることはなかった。仁の演じた『ネジが外れた優等生』タイプは、熱すぎるうざい熱血漢にとっては、苦手なタイプだったらしい。
    そのおかげで、全ての授業が終わり、キョンがお迎えに来るまで、他のトラブルに合うこともなく、私は仁より先に屋上を出た。なんとなしに振り替えると、仁は相変わらずの笑顔で『またね。』って言ってくれた。

    2006-02-02 01:44:00
  • 165:

    せぇ

    チビクロを学校に連れていくのにはもう無理があった。だけどこの土日、遊びにもいかず、ずっとチビクロと一緒にいて、やっぱり一人にするのも無理やと思った。二日間どうするか考えた結果、辿り着いた答えは、はたから見れば簡単なものやった。
    −キョン家族に預ける。
    あそこなら、猫の扱いにはあたしより慣れてるし、仲間もいてる。なによりも、キョンママは飼い猫の出産にまで立ち合って、何匹もの子猫を育ててきたベテランやから。

    2006-02-02 13:10:00
  • 166:

    せぇ

    チビクロにとっては一番最適な選択。これからチビクロを待っているのは、小さなカゴバックでの移動も、知らない生徒に撫で回されることもない、平和な生活。まだまだ小さく、ひ弱なチビクロにとって、もっとも安全な環境。
    だけどあたしは…あたしは−

    2006-02-02 23:57:00
  • 167:

    せぇ

    片時だってチビクロを離したくない。−これが本音やった。
    毎日毎日、私の家とキョンの家とを往復させるわけには行かない。チビクロに余計なストレスを与えないためにも、預けるなら、ずっと預け続ける。ミルク離れするまでの約二週間。あたしはチビクロと離れ離れになった。

    2006-02-03 00:02:00
  • 168:

    せぇ

    日曜日の夕方。チビクロをキャリーバックに入れ、キョンの家に向かった。キョンの地元は電車二つ向こう分で、駅に着くとキョンのおばちゃんが車をつけて待っててくれてた。
    キョンの家に着いて、キャリーバックからチビクロを出した。『これがあの日のチビクロちゃん?きれいになって!キョンが言ってた通りべっぴんさんやねぇ!』キョンママはうれしそうにチビクロを抱き上げてそう言った。さすが、猫の抱き方が上手でチビクロは気持ち良さそうに、早速目をつぶってウトウトしだした。

    2006-02-03 00:10:00
  • 169:

    せぇ

    −ガチャッ−『せぇ〜!やっと来たん?』相変わらずのでかい声と、大きくドアを開ける音と一緒に、キョンが私とキョンママのいるリビングにやってきた。どこから出てきたのか、キョンの開けっ放しにしたドアから大小それぞれ、出てくる出てくる、合計11匹。
    この、軽く猫屋敷となってるキョン宅に、チビクロが仲間入りするんや…。
    初めて見る自分以外の猫達に、チビクロはキョンママの膝から飛び起きて、恐そうにあたしの側に移動してきた。他の猫達も、チビクロに興味深々みたいだった。どの猫も皆、遠巻きからじっとチビクロを見ている。

    2006-02-03 00:27:00
  • 170:

    せぇ

    改めて見るとすごい光景だ。リビングにあるソファーの真ん中に座った私たちを中心に、猫タワーのてっぺん、タンスの上、押し入れの隙間、机の下…。ありとあらゆる場所からのたくさんの視線は、チビクロが全て独占しているみたいだった。『なぁ、キョンママ…。チビクロ、いじめられたりせぇへんよな?』思わず、あたしはキョンママに聞く。『せぇへんよ。成猫が子猫をいじめるとかは、まずありえへんと思う。そのうちどの子か勘違いして、我が子みたいに可愛がるんちゃうかな。まぁ、もしいじめられてるようだったら、おばちゃんが助けるし!』軽く握った拳を胸にポンと当てて、キョンママは満面の笑みで返事をしてくれた。
    『それより問題は…』

    2006-02-03 00:39:00
  • 171:

    名無しさん

    2006-02-03 00:53:00
  • 172:

    せぇ

    キョンママがたくさんの猫達を目でおった。『あの子。』そう言って、キョンママが指差した瞬間、チビクロに一直線、唯一飛び出してきた猫がいた。チビクロは思わずあたしの膝に爪をたてる。『痛い痛い…』膝から抱き上げて胸元で抱き直してからもう一度その猫に目をやった。『ヤマト!』そう呼ばれた猫は、チビクロと同じ黒猫だった。他の猫に比べるとかなり小さい。『…子猫?』

    2006-02-03 10:58:00
  • 173:

    名無しさん

    いつも更新楽しみにしてます。
    本間おもろい!!がんばってください。

    2006-02-03 17:15:00
  • 174:

    岡ちゃン

    ィェーィ?頑張って書いてなッ?

    2006-02-03 23:08:00
  • 175:

    せぇ

    名無しさん、岡ちゃんさん、ありがとうございます?ホントうれしいです?がんばりますね??

    2006-02-03 23:56:00
  • 176:

    なゅ

    ぁたしんちも猫屋敷になりつつある(*_*)猫大好きで見てしまった☆頑張って!

    2006-02-05 19:15:00
  • 177:

    名無しさん

    小説の中で一番好きやな〜楽しみにしています

    2006-02-06 00:40:00
  • 178:

    せぇ

    なゅさん?
    猫って本間かわいいよな?いっぱい幸せにしてもらってください?
    名無しさん?
    そんなん言ってもらえて本間にめっちゃうれしいです!ありがとうございます?
    読んでくださってる人、本当にありがとうございます。がんばって書くので、見守ってて下さいm(__)m

    2006-02-06 02:55:00
  • 179:

    せぇ

    キョンがヤマトの背中を優しく撫でる。言葉なんてわからなくても、伝わる想いがそこにはあって。それをちゃんと伝え、伝わるようになった時、『飼い主とペット』は『家族』に変わる。その手に、愛情がいっぱいこめてあることはきっと、ヤマトが一番わかってるんだと思う。

    なぁチビクロ。
    あんたの想いは、ちゃんとあたしに届いてたよ。
    あたしの声は届いてた?

    2006-02-06 03:04:00
  • 180:

    せぇ

    やけどやっぱり『猫』っていう生き物は気分屋だ。もう気が済んだのか、キョンの『痛いっ』って言う言葉と共に、爪をたてて腕から降りると、また一直線にチビクロ目がけて突進してきた。
    チビクロは警戒しているのか、短い毛を逆立てて、フーッとうなった。ヤマトはチビクロのすぐ側、10センチくらい前で止まり、じっとチビクロを見つめる。チビクロも見つめ返す。あたしやキョン、他の猫達は、これから何が起きるか、ドキドキしながら二匹をじっと見つめてた。

    2006-02-06 03:14:00
  • 181:

    せぇ

    みんなが注目する中、ヤマトが先に動いた。もし、あたしのチビクロを殴ろうもんなら、あたしはヤマトに、10倍返しくらいしてやろうと思ってた。だけど…
    ヤマトは、チビクロのおしりの匂いをかいだ。これは猫同士の『仲良くしよう』の挨拶。『やった!よかった、気に入られたみたいやん、チビクロ…』そう思ったのも束の間、チビクロは見事、その挨拶に猫パンチで答えた(笑)

    2006-02-06 03:19:00
  • 182:

    せぇ

    なぁチビクロ

    あんたの、お腹の中にいた子のお父さんが、
    ヤマトだったらいいな。

    あんた達はいいケンカ仲間で
    あんたはいつもヤマトを追い掛けて、いつもヤマトから逃げて。ひたすら追い掛けっこの繰り返し。
    だけどすごくすごく
    楽しそうやったよね。

    ヤマトは今でも元気やで。
    だけど、あたしの姿を見る度
    あんたのことを探してる。

    ヤマトの声も聞こえるよ。
    『チビクロは、どこにいったん?』

    2006-02-06 11:09:00
  • 183:

    せぇ





    2006-02-06 11:12:00
  • 184:

    岡ちゃン

    黒猫カヮィィ(??∀?)ニタニタ?岡ちゃンも買ってんねん???ゃから頑張って?・?・?)??

    2006-02-07 22:27:00
  • 185:

    せぇ

    遅くなってごめんなさい?これから更新します?
    岡チャンさん、いつもありがとう??

    2006-02-09 01:05:00
  • 186:

    せぇ

    それから、もぅ帰ろう、もう帰ろうと思うたび、あと少し、あと少しだけと、時間を延ばした。ヤマトとのおい駆けっこに夢中になって、目を真ん丸に見開いてキラキラ輝かせるチビクロは今までにないくらいかわいかったから。結局終電まで逃してしまったあたしは、迷惑にも、キョンママに家まで車で送ってもらうことになった。
    荷物をもって玄関先に向かう。『チビクロー?』最後に名前を呼んだけど、チビクロはあたしをちらっと少しだけ見ただけで、すぐにヤマトとの鬼ごっこを再開した。
    悲しいような、腹が立つような、居心地の悪い気分が、ドアを勢い良く開けるきっかけになってくれた。そのままあたしは、振り返りもせずに、チビクロを置いてキョン家を出た。

    2006-02-09 01:19:00
  • 187:

    名無しさん

    せぇ?初めましてぇ?
    ぁたしゎ猫じゃなぃけどぅ犬ぉ飼ってたの?でも…この前亡くなってしまってぇ??ぁたしが小学生の時からずっと一緒だったからすごく辛いですぅ?今でもまだぃるょうな気がします?長々とすみません?
    猫の話なのに犬の話しちゃってぇ????

    2006-02-13 19:33:00
  • 188:

    七海

    メッチャ続き気になる??がんばって下サィ??
    ??しぉり??

    2006-02-14 23:07:00
  • 189:

    名無しさん

    2006-02-15 00:03:00
  • 190:

    あ〜

    俺も猫飼ってるよ!ってか猫好きなら負ける気しないです(;^_^Aまあ話変わるけどチビクロちゃんはせぇちゃんにたくさんの幸せをあげたから次の人生かならず人で生まれてくると思うよ!しかも超幸せな人生でとりびきり美人でもしかしたらせぇちゃんの娘になって生まれてくるかもね笑

    2006-02-15 00:40:00
  • 191:

    せぇ

    ー嫌やった。
    チビクロはあたしのことを忘れるかもしれへん。あたし以外誰もいないあの淋しい家より、仲間がいっぱいいる、楽しいこの家のほうが好きになるんじゃないか。
    何かある度あたしのトコロへ 来てたチビクロは、もういなくなるんじゃないか。

    2006-02-15 13:45:00
  • 192:

    せぇ

    送ってもらっている間中、あたしはずっとそんな不安を感じながら、窓の外を見ていた。流れる景色のところどころに、チビクロを探しながら。

    2006-02-15 13:48:00
  • 193:

    せぇ

    窓から見える風景が、見覚えのある風景に変わった時、ずっと黙っていたあたしは、やっと口を開いた。『もうすぐ…』 『えっ?』とキョンママはあたしの視線の先を見た。『あそこ!あの川原でチビクロ拾ってん!』12時はとっくに回った、深い暗闇の中で、あたしはその場所を見つめた。運転中のキョンママは、ちらっとそっちを見たけど、結局見つけられへんかったみたいやった。『そっか…。』キョンママはなんとなく淋しそうな、うれしそうな声で話しだした。

    2006-02-15 13:55:00
  • 194:

    せぇ

    『あのな、せぇちゃん。』車は家の前に着いた。かけていた音楽を小さくしてから、キョンママは続けた。『地震があった時、一番最初に何をもって逃げる?』唐突な質問に、あたしはびっくりして、しばらくしゃべれなかった。やけど、それは迷ってたんじゃない。『絶対チビクロやな。』あたしははっきりそう言った。ふふっとキョンママは笑う。『絶対そう言うと思った。』キョンママが笑った顔は、本間にやさしそうだ。『やけど、その必要はないねん。』『なんで?』『動物のカンで、地震は来る前にわかるから』『そうなん?!』会話が弾む。『うん。やから、チビクロ以外で、なんかある?』
    あたしは考えこんだ。『…ないなぁ。』
    今のあたしにとって、大切なものはチビクロ以外になかった。

    2006-02-15 14:11:00
  • 195:

    せぇ

    『…それも、言うと思った。』そう言って、またふふっと笑う。笑った顔がキョンに似てるなぁ…って、あたしは、なんとなしに、だまってそれを見てた。
    『せぇちゃんは、愛情深いなぁ。』ポツリと言ったその言葉に思わず(重い)と言う言葉が浮かぶ。
    あたしの返事を待っているのか、そこで話を止めたキョンママに、あたしは言った。『重いだけやねん…。』ハンドルに肘をついて、聞く態勢に入ったキョンママに、あたしは話した。しょーちゃんのこと、今までの彼氏のこと。

    2006-02-15 14:21:00
  • 196:

    せぇ

    『重いって何なん?』最後にあたしは、ずっと思ってたことを初めて人に、キョンママに聞いた。『好きとどう違うねん…。』
    −別れた男達を、しょーちゃんを。まだ好きだとは思わない。なのに、涙がでてくるのはなんでだろう。今まで失恋で泣いたことなんてなかった。やけど、涙はポロポロ落ちて止まらなかった−今までの分が、全て溢れ出たみたいに−涙が止まらなくて、あたしはバカみたいに泣いた。

    2006-02-15 14:28:00
  • 197:

    せぇ

    『重い』。
    その言葉は
    言われる度に
    毎回毎回
    心に突き刺さった。

    2006-02-15 14:30:00
  • 198:

    せぇ

    愛し方がわからへんかった。愛されたことがないわけじゃない。何よりも、大好きなママには、たくさん愛されてたと思う。ただ、側にいないだけで。
    あたしは、見返りを求めてる。あたしは、貴方だけだよ。こんなに好きだよ。だから側にいて。あたしだけを見ていて。
    強がって、泣いたりなんかしなかった。だけどあたしも、ホントは、人一倍、一人になるのが嫌やった。

    2006-02-15 14:38:00
  • 199:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あんたに出会ってから
    あたしは泣いてばかりやった。
    今まで、泣いたことなんて、
    滅多になかったのに。

    やけど本間は、
    いつもギリギリのトコロで我慢してただけで。

    ずっと泣きたかったんやと
    あの夜思った。


    大声で笑ったり
    声を出して泣いたり

    それがこんなにスッキリすることやなんて。

    あんたは知ってたん?

    嬉しい時に
    いっぱい涙が出ることも。

    2006-02-15 14:47:00
  • 200:

    せぇ





    2006-02-15 14:48:00
  • 201:

    せぇ

    仕事にいかなきゃいけないので、一旦ここで切ります。また休憩の時にでも書けたら書きます。
    みなさん、読んでくださってありがとうございます。これからもあたしと、チビクロの成長を見守ってて下さい?

    2006-02-15 14:51:00
  • 202:

    せぇ

    あたしが泣きやむのまっている間、キョンママは赤ちゃんをなだめるみたいに、あたしの背中を撫でてくれていた。すごく心地よくて、あたたかかった。
    あたしが落ち着いてから、キョンママが話しだした。『重いんじゃないよ。せぇちゃんはやっぱり、愛情が深いだけや。やけど、やり方間違えたらあかんで。見返りを求めへんのが、本間の愛やねんから。』

    2006-02-15 17:27:00
  • 203:

    せぇ

    見返リヲ求メナイノガ
    本間ノ愛−…。

    2006-02-15 21:23:00
  • 204:

    せぇ

    キョンママと別れてから、あたしはすぐにベットに寝転んで、ひたすらこの言葉を繰り返した。思い返すとあたしは−。
    何の見返りもなく、人を愛したことがなかった。

    2006-02-16 01:24:00
  • 205:

    せぇ

    かすかに聞こえる、一階の大時計の鐘が二時を告げた。もう寝な、明日も学校や。
    『おやすみ、チビク…』
    静かな部屋に、あたしの声だけが淋しく浮かんだ。あぁ、チビクロはいないんやったっけ…。そう思うと、あたしはなぜかまた泣けた。零れ出る涙を拭うことも、瞬きすらもせず、ただ茫然としながら、チビクロがいないことを静かに受け入れようとした。

    2006-02-16 01:35:00
  • 206:

    名無しさん

    2006-02-16 03:13:00
  • 207:

    せぇ

    結局その日は眠れなかった。チビクロがいないこの部屋は、ひどく冷たい気がした。考えないように意識すると、今度はしょーちゃん達との思い出と、『重い』って言葉ばかりが浮かぶ。
    チビクロと出会う前は、どうやって眠ってたんだろう。もう、思い出せなかった。

    2006-02-16 03:34:00
  • 208:

    せぇ

    いつもと同じ支度をして、いつもと同じ時間に家を出た。眠たいわけじゃない。だけど胃がキリキリ痛くて仕方なかった。だけど不思議なもんで、朝になると気分が変わって、あれだけ考え込んだ色んな問題は、答えもでないまま、頭からなくなっていた。

    2006-02-16 03:43:00
  • 209:

    せぇ

    だけどやっぱり、頭はうまく働かなかったみたいで、あたしは、お昼休みになってから、キョンが学校に来ていないことに気付いた。チビクロのこと、色々聞きたかったのにな…。
    あたしは大抵毎日、キョンとお昼を食べる。だけど今日はキョンが学校にいない。普段ならクラスの子達のグループに入れてもらうけど、この日はなんとなし誰とも話す気になれなくて、あたしは一人になれる場所を探した。

    2006-02-16 03:50:00
  • 210:

    せぇ

    …すぐ、屋上のてっぺん。あの場所を思い浮かべる。今日もいるかな。

    2006-02-16 21:58:00
  • 211:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-17 22:45:00
  • 212:

    せぇ

    思わず駆け足に階段を上る。短いスカートがひらひらめくれて膝にあたるのがわかった。
    今日も、昨日と変わらずいい天気。彼を、あの独特でやさしい笑顔を、思い出したとたん、心も晴れた気がした。

    2006-02-18 00:31:00
  • 213:

    せぇ

    屋上にあるベンチに、彼の姿はなかった。ドキドキしながらかけばしごを登る。『なんて声かければいいんやろ…。普通におはよう?でももう昼やしな…。』色んなシュミレーションが、頭に浮かぶ。てっぺんへ、顔がでるか出ないかくらいのところで、あたしは一旦足を止めて、少し考えこんだ。

    2006-02-18 00:41:00
  • 214:

    名無しさん

    かかないんですか?

    2006-02-19 19:50:00
  • 215:

    名無しさん

    はじめまして?前から読ませてもらってますが今日初めてカキコします?
    あたしゎ猫ァレルギーでぁんまり猫が得意じゃないんですが、この話を読む度に猫飼ってみたい気分になります??
    楽しみにしてるんで、完結まで頑張ってください??

    2006-02-23 03:36:00
  • 216:

    せぇ

    更新おくれてしまい、またまた申し訳ないです。言い訳させてもらうと、虐待された犬を拾い、保護し、飼い主を探しまわっていて、なんとなく気分的にチビクロのことをかけませんでした。
    当たり前のことですが、動物は生きもので、喜んだり悲しんだり、もちろん声にだせないだけで、痛いことは痛いのに。その犬は片目が潰れ、なくなっていました。もう一方の目は白内障で、もう何も見えなくなってました。なでてやろうと手を延ばすと怯え、体を震わします。
    なんで?と、不思議で仕方ないです。こんなにかわいいのに。
    この子だけじゃない、本当は全国至る所に同じように苦しんでいる子、もしくは殺されてしまった子がいるんですよね。
    どうかみなさん、もしもその子達を見つけたら助けてあげてください。各県に『動物保護センター』等と呼ばれる施設があります。104ですぐに教えてもらえます。電話するだけでもその子達の未来は変わります。そして何より、動物虐待は犯罪です。
    『アイちゃん』そう名付けられたこの子は、仕事先の常連さんと、新しい幸せな時間を過ごすことになりました。引き取られるとき、震えることしかしなかった

    2006-02-23 11:04:00
  • 217:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 218:

    せぇ

    続き書きます。見て頂き、応援して頂き、すごくうれしいです。ありがとうございます。

    2006-02-23 11:13:00
  • 219:

    せぇ

    そっと背伸びして、顔の半分だけ覗かせて、彼の姿を探す。
    −いた!
    どこから持ってきたのか、かわいいプーさんの膝掛を足元にかけて、昼寝をしていた。起こさないように、音を立てずに上にあがる。赤ちゃんみたいな寝顔やった。

    2006-02-23 11:20:00
  • 220:

    せぇ

    『もてるんやろな…』そうつぶやいた瞬間、仁があの独特な笑顔を見せた。それからパッチリ目を開けて『まぁな』って言った。
    『あっ!ばかばか!起きてたん?!』あたしは恥ずかしくなって仁の肩を軽く殴る。『痛いやん、ひがむなひがむな!』『うぬぼれんとって!』
    二人で爆笑する。

    2006-02-23 12:42:00
  • 221:

    せぇ

    『てかなぁー、仁って何年何組?』あたしはずっと思っていたことをやっと聞けた。『なんで今さら?めっちゃショックやねんけど。もう二学期も終わるで?』口をとがらして仁が答える。『…えっ?ってことは一年なん?!』でも、本間に見たことないんやけど。『ぃや、二年やな。本間なら。』…ん?
    仁のはっきりしない答えに、あたしはチンプンカンプンになった。

    2006-02-23 12:47:00
  • 222:

    あ〜

    動物虐待するやつホンマゆんされへん?いっぺん虐待される側になったらいいのにと本気で思う…

    2006-02-23 23:59:00
  • 223:

    せぇ

    頭に『?ハテナマーク』が浮かんだあたしに、仁は笑いながら言った。『ってか普通わかるやろ!笑 まぁ簡単に言うと留年やな!』…なるほど。『なんだ!ってか最初からそう言えよ!笑』『お前がアホなだけじゃ!』
    きつい言葉とは裏腹に、仁はあたしの頭をポンポンとやさしく撫でた。胸がキュンとする。
    『ってか本間に俺のこと知らん?ってことはあの噂も知らん?』
    …噂?

    2006-02-27 01:03:00
  • 224:

    せぇ

    またもや頭に『?』が浮かんだあたしを見て、仁は慌てて『わからんならいい』とだけ言った。『噂ってな…』思わず口からでた言葉を遮るように、仁が口を挟む。『そういえば今日猫は?チビクロ!』

    2006-02-27 01:06:00
  • 225:

    せぇ

    名前覚えててくれたんや…。あたしは仁の質問に答えず、漠然とそんなことを考えてた。返事をしないあたしに『聞いてる?チビクロは?』と、もう一度仁が聞く。
    …『捨てた。』
    一言、ぽつりとつぶやく。思わず口から出た言葉やった。

    2006-02-27 01:10:00
  • 226:

    せぇ

    『はっ?何言うてるん?嘘つくなや!』少し口調を荒げて、仁があたしを真っすぐ見て言った。『本間やもん。』親にしかられた子供みたいに、あたしはまたポツリとつぶやく。
    だってそうだ。チビクロは、あたしの猫やのに。あたしが世話するって決めたのに。結局面倒見切れんくなって手放した。そんなの、捨てたも同然だ。

    2006-02-27 01:15:00
  • 227:

    せぇ

    あたしの目から、ポロポロ涙が落ちるのがわかった。『本間最近よう泣くなぁ…』って他人事みたいに、スカートについた涙の跡を数た。
    『んで何で泣いてるねん?!聞いたるから、詳しく話して?』下を向いたあたしの顔を覗きこんで、仁がそっと話す。心が暖かくなった気がした。

    2006-02-27 01:21:00
  • 228:

    せぇ

    仁に、ゆっくり、全部を話した。チビクロを拾ったあの夜から、いっぱい泣いた昨日の夜のことまで。チャイムは何度も、相変わらず遠くで鳴ってたし、あたしは何度も、同じ話をしたと思う。なのに仁は、何の文句も言わずに『うん、そうやな』って、そればかり繰り返し相づちを打って、聞いててくれた。

    2006-02-27 01:28:00
  • 229:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    好きだとか、大切だとか。
    言葉にするとなんとなく、
    薄っぺらく感じることがあって。

    やけど思わず出てしまう。
    そう言う感情って
    きっと心の中だけには
    収まらへんねん。

    あんたと仁は
    そんな存在。

    今でもずっと
    大好きで。大切や。

    何回言っても
    言い切れへん。

    2006-02-27 01:35:00
  • 230:

    せぇ

    一通り話終わった時、仁は何を言うわけでもなく、ただまたポンポンとあたしの頭を撫でた。言葉にせんくても、伝わる感情って、きっとこういうの。『がんばれ』って、言ってもらってる気がした。

    2006-02-27 01:38:00
  • 231:

    せぇ

    ガヤガヤと、急に下が騒がしくなった。ピーっと笛が鳴る音、運動部のマラソンの掛け声。吹奏楽のときどき外れる音楽。授業は終わり、部活の時間。そんなに長い間話してたんやと、少しびっくりした。

    −『…ごめんな?』仁の顔を見上げて言った。『全然ええよ。』運動場に小さく見える人影を見下ろして、仁が短く返事をする。
    眩しいオレンジ色の夕日に、仁の明るい髪はきれいに染まって、そして仁はやさしそうに笑ってて。なんとなし、見ていられなくなって、あたしは仁から目をそらした。

    2006-02-27 01:51:00
  • 232:

    せぇ





    2006-03-05 01:19:00
  • 233:

    せぇ

    なんとなく間が持たなくて、あたしはふとカバンに入れていた携帯を開いた。『えっ…。』着信12件、メール1件。着信は、そのうち11件がキョンだった。急いでメールも開く。『せぇ!今すぐ来て!大変やねん!見てられへんねん!とにかく来て!』

    2006-03-05 01:27:00
  • 234:

    名無しさん

    ワクワク

    2006-03-05 01:29:00
  • 235:

    せぇ

    仁に、ろくな挨拶もせずに、一目散に屋上から飛び出した。階段を一段降りたところで振り返ったけど、仁の姿はそこからは見えなかった。財布の中身を確認してから、駅まで走る。『多分足りる、ぃやギリ足りひん?でも、キョンに借りればいい。』
    多分、タクシーが一番早い。学校近くの駅に止まっていたタクシーに飛び乗り、行き先を告げる。
    気が気じゃなかった。何があってん?聞きたい、でも恐い…。他の猫にいじめられたとか?慣れへん場所ではしゃいで怪我したとか?迷子になったとか?
    なぁチビクロ、お願いやから無事でいて。いなくならんとって。

    2006-03-05 01:39:00
  • 236:

    せぇ

    名無しさん、見てくれてありがとうございます。うれしいです?更新遅れてしまい本間に申し訳ないです。今日こそがんばってなるべくたくさん更新しますね??

    2006-03-05 01:42:00
  • 237:

    せぇ

    そこから後はよく覚えていない。気が付いたらキョンの家の近くに着いて、タクシーの代金をたいして見もせず、財布の中にあったお札を全て投げるように渡した。多分足りたんだろう、無愛想で態度の悪い客に腹を立てたのか、おつりも渡さず、タクシーは走りさっていった。

    2006-03-05 01:46:00
  • 238:

    せぇ

    いざ家の前に着くと、やっぱり恐くて、足がすくんだ。深呼吸して、インターホンを鳴らす。
    −ピンポーン

    日はすっかり落ちて、すごく寒かった。飲み込まれそうな暗闇に、キョンの家のやさしい明かりが漏れる。

    2006-03-05 01:50:00
  • 239:

    せぇ

    ガチャガチャ
    鍵を開ける音と共に、キョンがちょこんとドアから顔を覗かせた。『おそいねん!はよあがって!』深刻そうなキョンの声に、ますます不安になる。あたしは急いで、だけど音をたてないようにそっと、玄関に足を踏み入れた。

    2006-03-05 01:56:00
  • 240:

    せぇ

    『おじゃましまーす…。なぁキョン、チビクロは?』
    あたしがしゃべった瞬間、ダダダダダッと音がした。
    それは、本間に一瞬の出来事。

    2006-03-05 01:59:00
  • 241:

    みみ

    この小説が一番好きやな〜

    2006-03-05 02:33:00
  • 242:

    せぇ

    そんなこといってもらえて、ホントに光栄です。ありがとうございます。がんばります!

    2006-03-05 12:01:00
  • 243:

    せぇ

    『痛い、痛い痛い、痛いって!』紺のハイソをはいた足を踏み台にして、制服のスカートに飛び掛かる。ブレザーに爪を立ててあっという間に肩にあがった。思わずそのまま尻餅を着く。それにも動じず、『な、ナ』と鳴きながら鼻をあたしの頬に、痛いほどにこすりつける。
    『チビクロ−…。』

    2006-03-05 12:08:00
  • 244:

    せぇ

    ほら、またあたしは泣きそうになる。
    うれしくて−

    なぁチビクロ、
    やっぱり、
    あんたはあたしの、

    衝動−。

    あんたがいれば、
    なんだって出来る。

    きっと空だって飛べて
    あんたに、
    会いにいけそうな気さえするよ…。

    2006-03-05 12:14:00
  • 245:

    せぇ

    キョンは壁にもたれ掛かって腕を組み、あたし達をやさしく見下ろしながら口を開いた。『何やねん、あんたら…笑』キョンの説明はこうだった。昨日、あたしが帰って少したった頃、チビクロは多分、あたしがいないことに気付いた。追いかけっこを辞めて、あたしを探して、家中をうろうろしだした。その間、ヤマトに何度ちょっかいを出されても完璧無視だったらしい。どの部屋にもあたしがいないことがわかると『なー、ナー』と、今度は子猫とは思えない大きな声で鳴き始めたらしい。

    2006-03-07 14:16:00
  • 246:

    せぇ

    いつか鳴き止むだろうと思って初めは無視してたけど、いつまでたっても鳴き止まない。それどころか、他の猫もチビクロの声に反応してか、朝になるころには大騒ぎだったらしい。『だんだん「ナー」って声が「せぇちゃん」って呼んでるみたいに聞こえてきた…笑』笑いながらそう言うキョンの目の下には、しっかりとクマが出来ていた。それで今日キョン学校来てなかってんや…。

    2006-03-07 14:22:00
  • 247:

    名無しさん

    2006-03-08 00:21:00
  • 248:

    せぇ

    『そうやってんや…。迷惑かけてごめんな。本間にありがとう。あっ、キョンママとキョンパパにもあやまってくる!』キョンが寝れへんかった、ってことは、きっとみんな寝れなかったはずだ。あたしは申し訳ない気持ちでいっぱいになって、思わずチビクロを足元に下ろして立ち上がった。『キョンママら、リビングにおるん?』キョンの返事を待たず、あたしはリビングに続くドアに歩いて近寄ろうとした。
    …またその瞬間、あたしは足がもつれて転びそうになる。

    2006-03-08 01:01:00
  • 249:

    せぇ

    前にのめり掛かった体を、壁に手をついてなんとか立て直した。足元にはチビクロの姿。どうやら、抱っこを辞めたのが不服だった様子。あたしの両足の間を八の字にすりぬけて、甘えてくる。元々淋しがりなのは知っていたけど、ここまで甘えられたことは今までなかった。そんなにさみしかったんやと、今度は切なくなってくる。
    あたしの一喜一憂全てが、チビクロにつながってる。

    2006-03-08 01:07:00
  • 250:

    せぇ

    もう一度、玄関に座り込んだまま、お腹から胸元にかけてチビクロを抱き抱える。かわいいとか、そんなんじゃない。『愛しい』この言葉がぴったりやった。思わずギュッと抱き締める。知らないうちに力を入れすぎてたみたいで、チビクロの苦しそうな声がして、あわてて離した。チビクロは真っすぐあたしを見上げる。

    2006-03-08 01:12:00
  • 251:

    せぇ

    暗闇に溶けるような、混じり毛のない、黒猫。その体よりももっと深く、濃い黒色の目は、真ん丸で、大きくて、そしてじっとあたしの目を見つめる。
    吸い込まれそうだと、思った。

    2006-03-08 01:16:00
  • 252:

    名無しさん

    ここの小説、おもしろいけどホストとか、色恋ばっかやから、こういう話新鮮で好きやぁ−。がんばって完結させてね!

    2006-03-08 14:05:00
  • 253:

    せぇ

    名無しさんありがとうございます。少しですがこれから更新します?

    2006-03-08 15:06:00
  • 254:

    名無しさん

    めちァ大好き?(?皿★o))がんばれ(・?-。?    応援∪てるカラ(?・艸-)?

    2006-03-08 17:08:00
  • 255:

    さくら

    猫好きにはたまりませんね?最後は悲しいと思うけど頑張って書いてくださぃ?もぅ何回も涙が流れました?

    2006-03-08 19:35:00
  • 256:

    ぁぃり

    私も猫飼ってます!せぃちゃんと一緒でまだ目もあいてなぃ時から育ててたんで今でもとても愛しぃし大切な家族です。ちなみにぅちの子の子猫の時の鳴き声は、チィーでした☆最後まで頑張って書いてくださいね!楽しみにしてます☆

    2006-03-09 03:28:00
  • 257:

    せぇ

    更新するとか言っておいて出来ずじまいで申し訳ないです??また時間があるとき一気に更新するんで、よかったらもう少し待っといて下さい??
    たくさんの応援、感想すごくうれしいです。本当にありがとうございます。

    2006-03-09 10:57:00
  • 258:

    コアラ

    めちゃこの小説好き?? 頑張ってくだサィ???

    2006-03-09 17:09:00
  • 259:

    せぇ

    キョンとキョン家族、それから猫達に何度もお礼を言ってから、あたし達は家に帰った。部屋に戻ると、いつもの匂いと風景に安心したのか、チビクロはやっと昨日の分と今日の分、大量のミルクを飲んだ。それから、お腹が膨らみ過ぎて思うように動けないのか、あたしの膝にのることを諦め、ベットのすぐ下で丸くなって眠った。

    2006-03-09 21:10:00
  • 260:

    せぇ

    ベットに座り込んで、足元で眠るチビクロを眺めながら、あたしは、明日からのことを考えていた。だけど、何度も考えてきたからわかる。解決策は−…。もう何もない。

    2006-03-10 11:31:00
  • 261:

    せぇ

    なぁチビクロ、
    あたしな。
    自分のこと以外で
    こんなに悩んだこと
    今までなかったよ。

    だけど、全然嫌なことじゃないねんな。
    自分より大切なものが出来ることって
    すごい、こんなにも
    心地いい気分なんや。

    ねぇチビクロ…−

    色んなこと教えてもらった
    あんたを失った季節が
    もうすぐまた来るよ。

    2006-03-10 11:43:00
  • 262:

    せぇ

    前にも言ったように、あたしにとって『家族』だと呼べる人は、ずっとママだけだった。小学校入学くらい、物心がついた時には、レトルト食品や店屋物、それと一枚のメモ用紙だけが、あたしを待っていた。基本的にママは料理ってものをしない。多分、時間がないからか、下手だからか。
    だからあたしはあまり『おふくろの味』ってやつを知らない。だけど『チンして食べてな』そう書かれたメモ用紙の隅には、必ず、『今日は何があった?』と一言添えられてた。時間帯が合わなくて、幼かったあたしはいつもママの帰りを待てず、気付くと眠ってしまってた。(てかほとんど毎日)だけどどこで寝ても、必ず朝起きるとあたしの上には毛布がかかってる。そして、それは今でも変わってない。毎日、仕事から帰ると、あたしの寝顔を見てるんやと、幼心にうれしく思ったのは、今でも覚えてる。

    2006-03-14 02:11:00
  • 263:

    せぇ

    愛情の与え方なんて人それぞれやと思う。今になってやっとわかる。あたしが、ママに、どれだけ愛されてきたか−…。

    だけどやっぱり、それに気付けれへんかった時もあって。あたしはそれなりに、『不良』だと呼ばれることをしてた。

    2006-03-14 02:16:00
  • 264:

    みき

    せぇちゃんこの話はホンマに泣けるわぁ?うちの家にも猫が六匹いててそのうち一匹が黒猫やねん?うちのとこは全員元気やけど?思い出したらつらいと思うけど最後まで読むんで頑張って完結さしてね?

    2006-03-17 05:46:00
  • 265:

    せぇ

    みきさん
    うれしいです。ありがとうございます?

    この間から更新しようとするとNGワードがあるみたいで、なかなか更新出来ずにいます。詳しく書きたかったんやけど無理みたいなんで、一部省略します?

    2006-03-18 01:02:00
  • 266:

    名無しさん

    2006-03-18 01:04:00
  • 267:

    せぇ

    中学に入り、化粧をし始めた頃。夜、家に一人でいるのがどうしても嫌で、あたしは地元の先輩達と毎日のように出歩いていた。そして、流されるまま、人に軽々しく言えないような、色んなことをした。毎日街に出ていると、自然と友達も増える。番号を交換しても、一度も連絡をとらないような、そんな友達ばかりやったけど。

    2006-03-18 01:11:00
  • 268:

    せぇ

    ある日とうとう先輩達を始めとする私たちグループは警察に捕まった。窃盗罪、恐喝罪、違法薬物取り扱いなど、いくつもあった気がするけど、詳しくは知らない、覚えていない。だって『反省』なんて言葉を考えてもいなかったから。『なんでよりにもよってぅちらが捕まらなあかんの?みんなやってるわ…。』あの時、頭の中はそんなことばっかりやった。

    2006-03-18 01:18:00
  • 269:

    せぇ

    あたしは一番年が幼かったこともあり、めちゃめちゃ長い話しを延々と聞かされただけで、その日は家に帰れることになった。
    そして、やっと小さな牢屋みたいな部屋を出て、階段を上がった瞬間…
    そこには、目に涙をいっぱいためたママがいてた。

    2006-03-18 01:24:00
  • 270:

    せぇ

    あたしは何故か、自分一人だけ帰れることに恥ずかしさを感じてた。なんだか、あたしだけ仲間外れされて、みんなに友達だと認めてもらえなくなるんじゃないかとか、そういう不安にかられた。だから、ママが迎えにきてくれても、うれしくなんかなかったし、むしろ、『なんで来るの?』そう思った。

    2006-03-18 10:09:00
  • 271:

    名無しさん

    アゲ?

    2006-03-20 00:08:00
  • 272:

    みみ

    あげ

    2006-03-20 01:39:00
  • 273:

    名無しさん

    更新待ってます。あげ

    2006-03-20 12:23:00
  • 274:

    名無しさん

    なくなったと思ってバリ探したし?

    2006-04-02 05:47:00
  • 275:

    せぇ

    ↑笑、ありがとう?是非ともブックマークしといて下さい??

    2006-04-02 08:52:00
  • 276:

    せぇ

    あたしが何の前科もつけず、罰も受けずに、あの日帰れた理由は、先輩が言った言葉にあった。『あんな子、仲間やない、勝手に着いてきたパシリやで』
    本当だったのかもしれない。だけど、あたしを帰すための嘘かも知れない。だけど、恐かったあの人が、『昔のあたしに似てる』そういってあたしにだけ見せる笑顔を思い出すたび、後者やったらいいなと思う。

    2006-04-02 09:03:00
  • 277:

    せぇ

    だけど、あの頃は、案の定の『仲間外れ』宣言に、くやしさから爆発した怒りはママに向かった。泣き喚いて家をめちゃくちゃにした。ママの大事にしていた手鏡も割った。やけどママは、迎えに来てくれたときの涙以外には泣かなかったし、一言も怒らなかったし、顔色すら変えなかった。

    2006-04-02 09:12:00
  • 278:

    名無しさん

    おもしろい?

    2006-04-03 04:42:00
  • 279:

    せぇ

    あの手鏡は、ママのお母さん、つまりおばあちゃんの形見やった。


    チビクロのことを考えながら、あのママの涙を思い出した。『見返りを求めない愛』ってやつが、ほんの少しだけわかった気がした。

    2006-04-03 16:31:00
  • 280:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あの年、あたしに春は来なかった。
    あんたが、いーひんから。
    ねぇチビクロ…
    何度季節がめぐっても
    あたしはここにいるから
    ずっと待ってるから

    2006-04-03 16:34:00
  • 281:

    せぇ

    PPP…
    いつも通り、携帯に仕掛けたアラームが鳴る。結局答えはでないまま、あたしは朝を向かえた。
    ほとんど癖みたいなもんで、あたしは部屋を出て顔を洗う。ぱっと顔を上げて、鏡にうつった自分の顔をじっと見つめる。『…とりあえず。』−口に出すとなんとなく決心が付くのはなんでだろう。『…チビクロの側におろう。』

    2006-04-03 16:44:00
  • 282:

    せぇ

    キョンとは、小学校の時からの親友やった。ママが家に居てない時、よくキョンはあたしの家に来てくれてた。中学にあがり、無茶ばかりやってたあたしを、キョンはずっと普通にさせようとしてくれてた。警察に捕まったあの日も、家に帰って、暴れてたあたしを落ち着かせてくれたのはキョンやった。『何してんのッ!?』相変わらずのでかい声で、家に飛び込んできたキョンは、暴れてるあたしの頬を叩いた。−痛かった。

    2006-04-04 12:06:00
  • 283:

    みか

    主さん前にサルビアって小説も書いてませんでしたか? 違ってたらゴメンなさい? 文章上手いし書き方が似てたので。

    2006-04-06 03:14:00
  • 284:

    みみ

    頑張って書いてくださいね!!

    2006-04-06 03:23:00
  • 285:

    せぇ

    サルビアですか?書いてないですよー!あんな感動する小説書いてる作者さんと間違われるのは光栄です?みなさん、読んでくださってありがとうございます。なかなか更新できませんがかならず完結するつもりなので長い目で見守ってて下さい?

    2006-04-06 11:25:00
  • 286:

    名無しさん

    2006-04-06 11:28:00
  • 287:

    みか

    違うんや〜 猫好きなんでこの小説メッチャ面白いです? 頑張って下さいね?

    2006-04-07 03:12:00
  • 288:

    クレハ

    ぁげ?っ??リァルタィムで一気に読みましたぁ??めちゃめちゃィィ小説ですねっ??次の更新を楽しみにしてぃますっ?完結まで大変ですが頑張って?さぃ?????

    2006-04-07 06:01:00
  • 289:

    名無しさん

    めっちゃ泣けてくる…

    2006-04-07 06:44:00
  • 290:

    せぇ

    みなさんありがとうございます。本当にうれしいです。これから少しだけですが更新します。

    2006-04-07 10:11:00
  • 291:

    せぇ

    黙りこんだあたしに、キョンは続けた。『ビンゴやろ。でもあんた単位やばいんちゃうん?』確かに単位はやばかった気がする。相変わらず何も言わないあたしに、キョンは相変わらず続ける。『またビンゴやろ。どうするかなー。…ぅちはあんたと一緒に卒業したいからな。』

    2006-04-07 10:18:00
  • 292:

    せぇ

    (あたしもやで。)
    思わず口からでそうになる言葉をあたしは思わず飲み込んだ。何となく、キョンには素直になれへん自分がいる。何でも知られてる分、照れ臭くて。あたしはきっと、自分が思っている以上に、キョンが大切なんやと思う。
    いつも、暗闇の中からあたしを助けてくれてたのは、キョンやったから。キョンにたたかれた、あの日も。

    2006-04-07 10:25:00
  • 293:

    せぇ

    その時、気配や物音に完璧に目が覚めたのか、チビクロがあたしの足元に擦り寄ってきた。『まぁ、なんし今日は休むわ!先生にうまいこと言っといてや!』キョンの返事を待たずに、じゃぁねと言って電話を切った。
    あたしの姿を確かめるように、じっとあたしを見上げるチビクロを抱き上げる。昨日あれだけ膨らんでいたお腹も、今では普通になっていて、あたしはとりあえずトイレをさせてからミルクの用意をした。

    2006-04-07 10:39:00
  • 294:

    せぇ

    ミルクをあげながら、『今日はずっと一緒やで』とつぶやく。チビクロは、何の反応も示さなかったけど、なんとなくあたしには、笑ったように見えた。

    2006-04-07 10:42:00
  • 295:

    せぇ

    その日は一日、特に何もなく、部屋からすらもほとんど出ずに二人きりで過ごした。
    先端に偽物のねずみを付けた釣り竿みたいなおもちゃで、チビクロは簡単に吊れる。指で机をコンコンとたたけば机めがけて突進してくる。中でも、一番かわいい遊びがあった。それはチビクロに気付かない振りして『チビクロー?どこー?』と名前を呼び続けること。はじめは無視してるチビクロも不安になったのか、だんだんあたしに近づいてくる。それでもうまく気付かない振りして名前を呼び続ける。どうやっても気付いてくれないとわかると、チビクロは必ず『ナ、ナ』って鳴いた。心細そうなその声が、『ここにおるよ?』って言ってるみたいで、すごく愛しかった。

    2006-04-07 10:58:00
  • 296:

    せぇ

    遊び疲れてウトウトするチビクロの隣で、あたしも座り込んで雑誌を読む。子猫っていうのは本間によく眠る。スヤスヤ眠るチビクロ寝顔を見るのは、あたしの幸せやった。

    2006-04-07 11:09:00
  • 297:

    せぇ

    なぁチビクロ
    出会わなかったらよかった。

    もう二度と目覚めることのない
    あんたの寝顔を見ながら
    これがあの時のあたしの本音やった。

    だって
    一度手に入れた幸せを
    手放すのは辛すぎる。
    もう二度と手に入らない
    夢を見るのは切なすぎる。

    なぁチビクロ
    それでもやっぱり
    あんたに出会えてよかった

    本間に本間に
    すごくすごく幸せな
    あたしの日常やったよ。

    2006-04-07 11:27:00
  • 298:

    せぇ





    2006-04-07 15:34:00
  • 299:

    せぇ

    雑誌を読むのをやめて、あたしはチビクロを膝に抱いた。ふわふわのやわらかい毛をやさしく撫でる。チビクロは手足を伸ばして、背伸びとあくびをしながらまた丸くなって眠った。チビクロといると、時間がゆっくり流れるのは、きっと気のせいじゃない。キョンよりチビクロをとるわけじゃないけど、この子のためなら留年くらいどうってことないな、と思った。

    2006-04-07 15:40:00
  • 300:

    せぇ

    少し開いた窓から冷たい風が入ってくる。同時に小さくブルッとふるえたチビクロを見て、あたしは窓を閉めるために立ち上がった。
    冬の匂い、ひらひらゆれるカーテン。風は冷たかったけど、陽はあたたかかった。

    2006-04-09 00:04:00
  • 301:

    せぇ

    窓に手を掛けた丁度その時、ブンブンと単車が近づく音がした。あたしの家は、前にも言った通り、駅から遠く、そして小さな住宅街の中にある。あたしは長年この家で一人過ごしてきたけど、ここら辺でこの音を聞くことは結構めずらしいものやった。

    2006-04-09 00:11:00
  • 302:

    せぇ

    チビクロもその音に反応して、めずらしく窓を覗き込んだ。その様子がかわいくて、あたしはチビクロを外の景色がよく見えるように胸元に抱いた。どこに行くつもりなのか、道に迷ったようにバイクの音は近くなったり遠くなったり、だけど次第に近づいてきている。しばらくたった時、もう飽きたのか、チビクロはあたしの胸元から飛び降り、あっという間に部屋の隅に置いてあるオモチャに突進した。丁度その時、あたしの家の前にある道に、バイクの音の持ち主の姿が遠くに見えた。

    2006-04-10 01:40:00
  • 303:

    せぇ

    メットをかぶっているせいで、顔は全く見えなかった。だけど、なぜか胸がドキドキする。
    どうしてわかるんだろう。
    あれはきっと−…。

    2006-04-10 01:42:00
  • 304:

    せぇ

    変に自信があった。案の定、バイクに乗った彼は、あたしの家の前で止まり、表札を確認している。バイクから下りて、キーを抜く。メットを取って、つぶれた髪をばさばさと直す。あたしの視線を感じたのか、彼は髪を直しながらあたしのいる二階を見上げる。
    学校で見る彼とは少し違う。私服のせいだろうか。
    あたしと目が合い、あの独特の笑顔を見せる。
    やっぱり−それは仁だった。

    2006-04-10 01:49:00
  • 305:

    名無しさん

    ちびくろちゃんがナ〜って鳴くの想像したらめっちゃかわいい?

    2006-04-10 18:18:00
  • 306:

    かぁ

    あげ

    2006-04-12 00:01:00
  • 307:

    せぇ

    仁はその笑顔のまま、ちょいちょいと降りてくるよう手招きした。あたしは急いで玄関に向かう。なんで?なんでいるの?

    2006-04-13 23:19:00
  • 308:

    せぇ

    −ドキドキしながらドアを開いた。夕焼けのオレンジ色を背中にあびながら、彼の髪の毛は、あの日と同じ色に染まっていた。

    ねぇ仁、
    好きだよ。

    2006-04-17 01:21:00
  • 309:

    せぇ

    『入って?』自然と言葉が出る。月末の締日で、ママは家にいなかった。別に、変な意味でいったんじゃない。だけど、そのことを忘れていたわけじゃ決してなかった。
    『いいの?』彼はまた、あの笑顔で笑った。最近わかったことがある。彼はうれしい時や照れている時に、必ずこうして笑うこと。

    2006-04-17 01:26:00
  • 310:

    せぇ

    その笑顔に、下心がないのはなんとなくわかった。『だって寒いじゃん。』そういったあたしに、彼は意外に靴をきっちりとそろえて、合図を返した。彼の大きな靴の隣に、ちょこんと並んだあたしのローファーが、やけに小さく見えて、印象的だった。

    2006-04-17 17:19:00
  • 311:

    せぇ

    『階段上って、突き当たりの部屋やから。コーラとお茶、どっちがいい?』『…ビール』『(笑)…わかった。』短く会話して
    −これが当たり前のように
    彼は二階へと歩いていった。あたしはキッチンへ入って、冷蔵庫からママのビールを取り出しながら、顔がにやけるのを感じた。だってなんか、カップルみたいやん。

    2006-04-17 17:25:00
  • 312:

    かぁ

    2006-04-18 17:41:00
  • 313:

    名無しさん

    http://ezrk.jp/r/jump.php?z=siru2&u=olojg

    2006-04-18 17:54:00
  • 314:

    名無しさん

    329

    2006-04-18 19:44:00
  • 315:

    せぇ

    あたしはビールとお茶を両手に持って二階へと上がった。自分の部屋なのに、ドアを引く手が軽く震える。中に入るのを少し戸惑っていると、中から仁の笑い声が聞こえた。

    2006-04-18 22:18:00
  • 316:

    せぇ

    なんとなく、そっとドアを開けて部屋を覗いた。予想どおり、彼はこれ以上ないくらいの笑顔でチビクロとじゃれていた。いつものクールな顔とは違う、優しい顔。あぁ、初めてあった時も、この顔を見て好きになったんだっけ−…。

    2006-04-19 00:49:00
  • 317:

    せぇ

    『何してんの?』二人に見とれて立ち止まっていたあたしに、彼は笑いながら話しかけた。『ぃや…。』思わず言葉を詰まらせる。部屋に入り、テーブルに缶ビールとグラスを置く。『こいつ、本間可愛いなぁー』彼は視線をチビクロに向け直し、また口を開いた。

    2006-04-19 00:55:00
  • 318:

    せぇ

    なぁチビクロ
    あたしの大切なもの

    命に変えてでも
    守りたかったものは
    二つだけ

    あんたと、仁と。

    ねぇ、強く深く
    そう思ってたのに。

    現実は残酷で、
    あたしはあんたを守れなかった。

    なぁ、チビクロ
    守ってあげれなくて
    ごめんね。
    こんな飼い主で
    ごめんね。


    ごめんね−…。

    2006-04-19 01:04:00
  • 319:

    せぇ

    なんで仁があたしの家に来たのか、あたしは聞かなかったし、そしてそれは聞かなくてもなんとなくわかった。別に自惚れてるんじゃなくて、仁はそういう人だ。

    2006-04-19 09:06:00
  • 320:

    せぇ

    『…で?お前はいつまで学校休む気やねん?』唐突に、仁があたしを真っすぐ見つめて聞いてくる。仁も、あたしの考えはお見通しなんかな。昨日のこと、なんでわかってるんやろ?あたしは質問に答えず、じっと仁を見つめ返しながら、そんなことを考えていた。『だからなに見とれてんの?』仁はあの癖のある笑顔をあたしに向けた。『やから、みとれてないって!(笑)』相変わらずふてこく答えるあたし。本間かわいくない。

    2006-04-19 09:14:00
  • 321:

    せぇ

    『キョウちゃんに聞いてん、昨日のこと。せぇ今日秘密基地に来てなかったやろ?やから、クラス行って、住所聞いてきた。ほら、番号とメアドも!』ニカッと笑って彼はあたしにと登録されたメモリを見せてくる。
    …突っ込みどころ満載やな。秘密基地ってどこやねん。別にいいけど、友達やない人に簡単に親友の住所を教えるキョンってどうやねん。んであたしん家まで即効で来るこいつもどうやねん。

    2006-04-19 09:24:00
  • 322:

    せぇ




    『プッ、ヒヒヒ』

    2006-04-19 09:26:00
  • 323:

    せぇ

    セキを切ったように笑いだしたあたしに、仁は一言、『お前変な笑い方やな。』そういっただけで、またチビクロとじゃれはじめた。笑いが止まらないあたしは、約五分くらい笑い続けてた。

    2006-04-19 09:30:00
  • 324:

    みみ

    面白いし切なくなるしいい!頑張って書いてね!

    2006-04-20 07:34:00
  • 325:

    せぇ

    みみさん?
    ありがとうございます。本間に励まされます??

    2006-04-20 23:30:00
  • 326:

    せぇ

    やっとあたしの笑いが収まった時には、チビクロは仁の膝の上でまるくなっていた。あたしはヤキモチを焼いて、−どちらにかはわからないけど−仁の膝からチビクロを取り上げた。『何すんねん!』って仁は怒る。あたしは笑う。チビクロはまた遊びだす。

    2006-04-20 23:35:00
  • 327:

    せぇ

    それからは三人で遊んだ。猫じゃらしで前と後ろ、二人でチビクロを誘惑した。はじめてマタタビをあげてみた。ミルクのあげ方を教えてあげた。チビクロの肉球を二人で取り合いした。

    2006-04-20 23:42:00
  • 328:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    あの頃
    あんたは
    幸せやった?

    なぁチビクロ

    あたしは

    人生で一番
    幸せな時やったよ。

    ねぇチビクロ

    チビクロ、チビクロ−…?

    一体何回名前を呼んだら
    あたしはあんたにまた会えるの?

    2006-04-20 23:47:00
  • 329:

    せぇ

    遊び疲れたチビクロは、ウロウロ寝床を探した。そして結局、あたしの膝の上に落ち着いた。『ヒヒ、いいやろ!』視線を下から上に。チビクロから仁に移した。得意げに自慢する。−その瞬間。

    2006-04-20 23:51:00
  • 330:

    せぇ

    仁は、あたしに、
    キスをした。

    瞬きする時間もないくらいの短いキスは
    セッターの匂いがした。

    2006-04-20 23:54:00
  • 331:

    せぇ

    『俺はこっちのがええわ。』ほら、またあの笑顔。口の右端だけを上げて笑う。
    あぁ、仁は知ってるのかな。あたしが仁のその笑顔にどれだけ惹かれるのか。

    2006-04-20 23:58:00
  • 332:

    せぇ


    『好きやねんけど。』

    2006-04-20 23:59:00
  • 333:

    せぇ

    そぅ、口にしたのはあたし。
    告ろうとしたわけじゃない。素直に口から出てきた言葉やった。だけど、言ってから後悔、生まれて初めて自分から気持ちを伝えた。告白って、こんなにドキドキするもんなんや−…。
    緊張しながらあたしは仁に目を向けた。彼は黙り込んで下を向いている。
    鼓動が早い。心臓が動く音が直接、頭に響く。

    2006-04-21 00:05:00
  • 334:

    せぇ

    『…仁?』思わず彼の名前を呼んだ。自分でも驚くほどの、震えた声で。

    仁はゆっくりと顔を上げて、真っすぐあたしを見つめる。仁の瞳は、深い黒色で、チビクロと同じ色だった。だからこんなにも、吸い込まれそうになるのかな。

    2006-04-21 00:11:00
  • 335:

    せぇ

    彼はなかなか口を開かなかった。右を見たり左を見たり、頭をかいたり、またあたしを見つめたり。
    何となく目が熱い。今度はあたしが下を向いた。自分でも、どうして涙が出るのかわからないのに、泣いてるところなんて見せたくなかったから。

    2006-04-21 00:16:00
  • 336:

    せぇ

    『せぇ?』
    どれくらい時間がたっただろうか。今度は彼があたしの名前を呼んだ。

    好きな人が自分を呼ぶ声が好き。あたしの、一番好きな言葉。

    2006-04-21 00:18:00
  • 337:

    せぇ

    あたしはゆっくり、本間にゆっくり顔をあげた。きっと、ひどい顔やと思う。
    顔を上げたところで、沈黙は続いた。

    『あ〜もう!!』

    2006-04-21 00:21:00
  • 338:

    せぇ

    彼は乱暴にあたしを腕の中に抱いた。体のバランスが崩れて、チビクロが膝から落ちる。(また起こしてもーたな…。)驚きとは別に、冷静にそんなことを考えていた。

    2006-04-21 00:24:00
  • 339:

    せぇ

    『何で先に言うかな〜。』ボソッと彼がつぶやく。その言葉の意味を意識してみる。あたしと同じくらい、早く鳴る彼の鼓動が、その答えやった。
    仁が、あたしを腕に抱く力が強くなる。
    『俺も。せぇが好きやで。』

    2006-04-21 00:27:00
  • 340:

    せぇ

    『なんで泣くねん、反則やわ〜!!』彼はあたしを離すと、あの笑顔でそう言った。『だいたいあのタイミングは俺から告るやろ!なんで先に言うねん』照れ隠しか、彼はすごい勢いでしゃべりだした。あたしはそんな仁がかわいくて、笑いながら『ごめんなさい』って一言だけ返した。男の子って以外とロマンチックやねんなって、思いながら。

    2006-04-21 00:32:00
  • 341:

    せぇ

    ふと会話が途切れる。
    顔が近づく。
    目をつむる。
    二回目のキス。

    2006-04-21 00:34:00
  • 342:

    せぇ





    2006-04-21 00:36:00
  • 343:

    せぇ

    『ナー!』
    思わずのタイミングでチビクロが鳴いた。キスの途中やのに、思わず目を開ける。仁も同じで、思わず目が合う。
    『ナー!』
    ぃやぃやありえへん…。なぁチビクロ、あんたそんな大きい声出せれたん?
    ぃやぃや、本間にありえへん。いい雰囲気が台無しやんけ。いくらなんでも、あたしだって怒んで、なぁ?チビクロ?笑
    近づいていた顔が離れた瞬間、仁と二人で大爆笑になった。うちらの始まりは、こんな感じ。どこまでさかのぼったって、そこには必ず、大好きなチビクロがいるの。

    2006-04-21 00:45:00
  • 344:

    せぇ

    チビクロ、チビクロ!
    何度だって呼ぶよ
    何十年だって待つ
    あんたにまた会えるまで。

    2006-04-21 01:01:00
  • 345:

    名無しさん

    >>1-100
    >>101-200
    >>201-300
    >>301-400
    今日はここまでです?↑よかったら使ってください??アリガトウございました??

    2006-04-21 01:07:00
  • 346:

    みみ

    面白すぎる!

    2006-04-21 01:22:00
  • 347:

    せぇ

    やっと自宅にパソコンがつながれたので、これからは携帯とパソコン、両方を使って更新します。IPが違うくても主なんで、引き続き気にせず呼んでください。
    少しになるかもしれませんが、呼んでください。

    2006-04-22 01:55:00
  • 348:

    せぇ







    2006-04-22 01:56:00
  • 349:

    せぇ

    二人共の笑いが収まったあと、仁はふとまじめな顔になり、口を開いた。「お前、学校休まなくていいで。」
    予想外の言葉に、思わず驚く。「なんで?」そう聞くと、仁はあの癖のある笑顔で、「まぁいいから。」と、そう言った。結局、理由は教えてもらえないまま、仁は明日も学校にチビクロを連れてくるようにだけ言って、その日は帰って行った。
    自分から言ったくせに、缶ビールには手をつけないまま。1本だけ吸った、セッターの香りを残して。

    2006-04-22 02:05:00
  • 350:

    せぇ

    その日の夜は眠れなかった。何度も眠気を覚まされていたチビクロは、よほど眠かったのか、無防備にお腹を出して、死んでるんじゃないかと思うくらい爆睡していた。何の夢を見ているのか、時折手足をパタパタと動かす。そんな姿を見るたび、あたしは思わずフッと笑う。心が温かくなって、すごく落ち着く空気を、チビクロは作る。「黒猫は不吉だ」と昔から聞く。どうしてそんなことを言われだしたのかはわからないけど、少なくともあたしは世界一幸せだと思う。チビクロがいてくれるから。

    2006-04-22 02:13:00
  • 351:

    せぇ

    「愛してるで」普段は絶対に使わない、そんな言葉を、この子に出会ってから簡単に口に出すようになった。
    自分でも、すごくやさしい顔で笑ってるんだろうなと思う時がある。
    何よりも、「ただいま」と言える相手がここにいる。

    2006-04-22 02:17:00
  • 352:

    せぇ




    2006-04-22 02:21:00
  • 353:

    せぇ

    〜♪ ―目覚まし?違う、昔流行ったJ-POPの着メロ。これは、知らない番号からかかってきた時に鳴る着信音だ。・・・何やねん。ついさっき目を閉じたばかりの気がする。開口一番、「誰?」と一言、あたしはすごく不機嫌そうに電話に出た。「誰?やないわ!俺やわ!」「・・・・・・」「・・・せぇ?笑」「・・・・!!」あっという間に眠気は吹き飛ぶ。・・・仁だ。
    「わかった?お前、寝起き悪いねんな」顔は見えない。だけどきっと、あの笑顔で言っているだろうなと思った。「そんなことないで!」全力で否定はしてみたものの、もう手遅れだとわかった。仁は笑いながら「はいはい」と言った後で、「お前、何時に学校始まるか知ってる?」と同じ口調で私に尋ねた。
    ―えっ?! もう完璧に眠気は吹き飛ぶ。時計の針は、9時を回ろうとしていた。遅刻決定。おまけに水野の遅刻指導付きだ。

    2006-04-22 02:35:00
  • 354:

    せぇ

    「・・・はぁ。」大きなため息を一つ付く。開き直って、あたしは空気を変えようと、ゆっくりと立ち上がってカーテンを開いた。
    ・・・・・・ッ!!
    彼はどこまであたしを驚かすんだろう。「お前が中々起きひんせいで、俺約一時間くらい待っててんけど。笑」電話越しに聞こえる言葉と、窓の外にいる彼の口元が一致する。驚きすぎて固まっているあたしに、仁は一言「スッピンかわいいな」と止めを刺した。

    2006-04-22 02:44:00
  • 355:

    せぇ

    気が付いたら何も言わずに電話を切っていた。鏡を覗き込んで、急いでぼさぼさの頭を手ぐしで直す。学校の体育の時間ですら、こんなに走ったことないだろう速さで階段を駆け下りて、玄関のドアを勢い良く開いた。
    「よく眠れた?」と、やっぱりあの笑顔で、彼は一言呟いた。

    2006-04-22 02:48:00
  • 356:

    せぇ

    「うん。」と頷いて、あたしも一言だけ返した。

    2006-04-22 02:49:00
  • 357:

    せぇ




    2006-04-22 02:51:00
  • 358:

    せぇ

    100均の大きな鏡越しに仁と目が合う。ニヤリと笑った彼は「あ〜寒かった!」とおどけて言って、体をさする。「・・・ごめん。」と返事をして、あたしはまた目にマスカラを塗りたくる。「まだ塗んの?」と彼はまた呟く。「やからごめんって!」とまたあたしは返事を返す。「まっ、どうせ遅刻やしな、ゆっくり特殊メイクすれば?笑」仁は笑えない冗談を吐いてから、目を覚ましたチビクロを抱き上げた。あたしは仁をにらみ付けて、今度は寝癖を直しにかかる。「にらまれた!お前の飼い主は怖いね〜。」と仁は笑いながら、それから「いじめられたら俺に言えよ!」と真剣に、今度はチビクロに話し掛けている。かれこれ1時間近く、こんな会話を続けながら、あたしは用意を済ませた。

    2006-04-22 03:03:00
  • 359:

    せぇ

    「着替えるからあっち向いてて!」そう言って、あたしはクローゼットを開いた。「はいはい。どうせそのうち裸見ることになるねんからいいやんけ!な〜、チビクロ!」そういった仁にあたしはクッションを投げつけてから、着替えを終わらせ、ベットに座った。

    2006-04-22 03:06:00
  • 360:

    せぇ

    「で?チビクロはどうすればいいの?」さっきまでの会話とは打って変わって、真剣な声で仁に話し掛けた。あたしは完璧に水野にマークされている。
    キョンにチビクロを預けた次の日、いつものように校門に立っていた水野は、あたしがまたチビクロを連れていないか、確かめるように何度もジロジロ見つめてきていた。保健室にまで足を運んで、猫がいないかどうか、あゆちゃんに何度も確かめていたらしい。

    2006-04-22 03:12:00
  • 361:

    せぇ

    不安でいっぱいのあたしに、今度は仁も、真剣な顔で、作戦を話し始めた。
    「お前は忘れてるかも知らんけど、冬休みまであと一週間もないねん。その間を乗り切ったら、冬休みの間にチビクロもミルク離れするやろうし、大きくなれば半日くらい一人でも平気なはずや。どっちにしろずっと一緒におんのは無理やねんから、そういう意味でも慣らさなあかんしな。」仁が言っていることはもっともな話で、だけどやっぱりあたしは不安だった。そんなあたしに気づいてか、仁は続けた。「いいか、せぇ。猫は基本的に良く寝るねんから、昼間はだいたい寝てんの!犬とちゃうくて猫はずっとかまっててやらなあかん動物でもないねん!お前の気持ちもわかるけど、現実的に無理なことは、妥協せなあかんねん。わかった?」あたしは仕方なく小さく頷いた。

    2006-04-22 03:21:00
  • 362:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 363:

    せぇ

    「んで、こっからがすごいとこやねん!その廃部になったラグビー部のキャプテン、っていっても活動なんかしてなかったから、ようはそいつ等のリーダーみたいなもんだった奴が、俺の先輩の友達やねん。んで、コレ。昨日借りてきた」そう言って仁はポケットから小さなカギを取り出した。途端にあたしの顔は笑顔になる。「やるわ。」そう言って、仁はあたしにカギをくれた。汚れたラグビーボールのキーホルダーについた、汚れたカギは、あたしにはキラキラ光って見えた。

    2006-04-22 03:52:00
  • 364:

    せぇ

    なぁチビクロ。

    あの魔法のカギは、
    今でもあたしの部屋にあるよ。
    あの頃よりもずっと
    ずっと
    輝いて見えるのは
    もう二度と
    あの部屋に行く事がないからかな。

    あんたにつながる物は全て
    あたしの宝物やねん。

    きっと、それは一生
    変わらへん未来。

    2006-04-22 03:56:00
  • 365:

    せぇ

    >>372-389
    今日はここで終わります。ありがとうございました。
    あと、みみさんへ
    いつもすごい励まされてます。思い出しながら書いて行くうちに、やっぱりちょっとつらくなるときもあって、いずれチビクロの死を書く時、完結できるか不安で・・・。やけど、いつもみみさんを始め、応援してくれるたくさんの人たちのおかげで、がんばろうって思えるんです。本間に本間に、ありがとうございます。

    2006-04-22 04:22:00
  • 366:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 367:

    せぇ

    391さん
    はい、その通りやと思います??やけどあの時は、他に方法が思い浮かばんくて…?見てて不快な思いをさせてしまったみたいで、申し訳ないです?ごめんなさい?

    2006-04-22 06:05:00
  • 368:

    みみ

    せぇさんはそこまでして動物に対する愛が深いってことやからチビクロちゃんもきっとせぇさんの事大好きやろうね★これからもずっと応援してるので自分のペースでいいんで書いていってくださいね★長々とすいません。

    2006-04-22 06:29:00
  • 369:

    みみ

    それともう一つ。せぇさんこちらこそいつもこの小説で楽しませてもらってるのでありがとうございます。

    2006-04-22 06:34:00
  • 370:

    391です。書いてる途中に文句みたぃなん書いてごめんねm(u_u)m 荒らしと違うよ!猫が大好きなんで可哀想と思ってしまったの。でもせぇチャンなりの愛情やねんね… ホントごめんね。 ちなみにうちにも黒猫います。名前はミクロです☆でわがんばって!!

    2006-04-24 09:01:00
  • 371:

    ☆杏☆

    楽しみにまってます★

    2006-04-27 14:24:00
  • 372:

    せぇ

    みなさんありがとうございます?がんばります!
    これから更新します。

    2006-04-30 20:22:00
  • 373:

    みみ

    人それぞれ愛情の表現の仕方は違うもんね☆

    2006-04-30 20:56:00
  • 374:

    せぇ

    エラーが続くのでパソコンから書きます。

    2006-04-30 21:18:00
  • 375:

    せぇ

    私たちが学校に着いたのは、ちょうど昼休みになってすぐやった。念のため裏口からチビクロを連れて入った仁と、当たり前のように屋上のあの場所で待ち合わせをした。あたしたち3人の始まりの場所―。

    2006-04-30 21:21:00
  • 376:

    せぇ

    仁より先についたあたしは、相変わらず人のいない屋上で、少し曇った空を見上げて、幸せいっぱいやった。

    2006-04-30 21:24:00
  • 377:

    せぇ

    「せ−ぇ!」チビクロを入れたカゴバックを揺らさないように胸に抱きながら、数分後に来た仁は、機嫌よさそうに「水野おらへんかったで!」と言って笑った。
    チビクロをカゴから出して、お昼ご飯を三人で食べる。チビクロはミルクを飲んだ後すぐに眠った。
    休み時間が終わる10分前にあの部室に向かう。

    2006-04-30 21:32:00
  • 378:

    せぇ

    ―カチャリ。 何ヶ月ぶりかに差し込まれた鍵は、少し大きな音を立てて開いた。
    明かりをつけたその部屋は、思っていた以上に広く、温かかった代わりに、思っていた以上にホコリっぽかった。置き去りにされていたゴザの上に、仁はあのプーさんのひざ掛けを開いて、その上に寝ているチビクロをそっと置いた。チビクロは少し目を開けたけど、眠たいのか、あたし達を見て安心したのか、またすぐに眠りに戻った。
    チビクロを間に挟んであたしたちも座る。あたしは、部屋中を見渡しながら、まるで始めて作った秘密基地にいる子供みたいに、わくわくしていた。

    2006-04-30 21:41:00
  • 379:

    せぇ

    仁が考えてくれた作戦は大成功だった。校舎から少し離れた部室には、よっぽどの用事がない限り先生たちは近づかなかったし、生徒たちですら、隣接する他の部室を使うのは、大抵あたしたちが登校する前の朝練と、あたしたちが帰った後の放課後だけで、まさか誰もいないラグビー部の部室に猫がいるなんて、誰も思ってなかったと思う。
    あの日から、一度だけ水野に「猫は連れてきてないやろうな」と釘をさされただけで、後は何事もなく、あたしたちは冬休みを迎えた。

    2006-04-30 21:52:00
  • 380:

    名無しさん

    あげ

    2006-05-05 01:16:00
  • 381:

    名無しさん

    あげ↑待ってます☆

    2006-05-05 13:50:00
  • 382:

    名無しさん

    持ちあげ↑

    2006-05-08 06:43:00
  • 383:

    名無しさん

    ぶちあげ?

    2006-05-14 08:47:00
  • 384:

    名無しさん

    あげ?

    2006-05-17 14:12:00
  • 385:

    名無しさん

    打ちあげ↑

    2006-05-19 21:01:00
  • 386:

    名無しさん

    2006-05-19 23:54:00
  • 387:

    名無しさん

    2006-05-20 00:05:00
  • 388:

    名無しさん

    2006-05-20 00:17:00
  • 389:

    名無しさん

    2006-05-20 00:26:00
  • 390:

    名無しさん

    2006-05-20 00:35:00
  • 391:

    名無しさん

    2006-05-20 00:42:00
  • 392:

    名無しさん

    2006-05-20 00:50:00
  • 393:

    名無しさん

    主、どないしたぁ〜ん?

    2006-05-22 07:09:00
  • 394:

    せぇ

    全てが、仁の言うとおりだった。チビクロは冬休みの間に無事ミルク離れをしたし、トイレも自分で出来るようになった。それだけじゃなくて、トイレの場所も覚えてくれた。昼間はやっぱり寝てばかりだったし、仁と二人、練習と名付けて短いデートに出かけても、次第にさみしがらなくなった。

    2006-05-22 13:17:00
  • 395:

    せぇ

    そう、全てが仁の言うとおり。良い傾向ばかりだったのに−。

    やっぱり、あたしは憂欝だった。チビクロが、あたしの手から離れて行く気がして。チビクロは、『あたしがいなきゃだめなんだ』と、そう思うことで多少なりと安心した。何に、と言われてもわからないけど、自分を保つことが出来た。頼ってたのはあたし。チビクロがいなきゃだめなのは、あたし−。

    あの、幸せばかりだったあたしは、春を待たずに壊れた。

    2006-05-22 13:26:00
  • 396:

    せぇ

    ねぇ、チビクロ。
    ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。

    どうしてあんなことをしたのか、今ならわかるのに。

    あんたが
    あんたがいなきゃ
    生きていけないと思った

    そんな自分が
    恐くて
    そんな自分が
    嫌で嫌で仕方なかった

    あんたのせいじゃないのに
    チビクロは悪くないのに。

    ねぇ、チビクロ。
    これはきっと
    罰なのかなぁ。

    だからあたしは、
    一番大切なものを
    失ったの?

    …−あんたを、あんな、形で。

    2006-05-22 13:34:00
  • 397:

    せぇ





    2006-05-22 13:35:00
  • 398:

    せぇ

    みなさん、長い間放置してしまい、申し訳ありませんでした。ココから先は、読んでいただいている皆様に、不快な思いをさせてしまうと思います。私自身、真実をそのまま話そうか、かなり悩みました。批判もたくさん出ると思います。だけど、これがチビクロの、『ちっちゃな黒猫』の話です。よろしければ、このまま最後まで、よろしくお願い致します。

    2006-05-22 13:41:00
  • 399:

    名無しさん

    ホンマに応援してます!!!!!
    想像つかんから、どんな真実かゎ分からんケド
    とりあえず応援してるから!!!これめっちゃスキ!!!!!

    2006-05-24 01:57:00
  • 400:

    せぇ

    名無しさん、本間にありがとうございます。かなり励まされました??最近忙しくてなかなか更新できないですが、出来るかぎりのことはしたいと思っていますので、よろしくおねがいします?

    2006-05-24 08:51:00
  • 401:

    せぇ





    2006-05-24 08:54:00
  • 402:

    せぇ

    16歳の冬休みは、今までの人生で一番幸せな冬休みやった。今思い出しただけでも、それはまぶしくて、涙が出てきそうになるのは、なんでやろう−。

    2006-05-24 08:57:00
  • 403:

    せぇ

    本間に毎日のように、仁とチビクロとあたし、三人で過ごした。お金もなくて、どこにもいけなかったけど、むしろそのほうが楽しめた気さえする。
    天気がいい日は、お弁当を持って、学校のあの屋上へ忍び込んだ。チビクロに初めて出会った、あの思い出の川原に遊びに行ったこともある。陽の光がいくら温かくても、冷たい風はやっぱり寒くて、そんな時は三人で、子供みたいに追い駆けっこをして遊んだ。
    雨の日は、あたしは仁の腕枕で、チビクロはあたしのお腹の上で、親子みたいにお昼寝をした。

    2006-05-24 09:16:00
  • 404:

    せぇ

    あたしの手から、チビクロが離れていくという憂欝を、仁といる時は忘れられた。本当に本当に、心が安らぐのは三人の時。どちらがかけてもダメだった。言い換えると、どちらかだけでは、満たされない−…。

    2006-05-24 09:21:00
  • 405:

    せぇ

    ねぇ、チビクロ。

    あの頃からかな
    あんたの目を、真っすぐ見れなくなったのは
    あんたの目の深い黒色は
    あたしにとっての希望から
    只の暗闇に変わった。

    きっと、恐かったんだと思う。
    あんたのその目に、
    全てを見透かされそうで。

    もしもあたしが
    思っていたこと全て
    あんたが見透かしていたとしたら
    あたしは本当に
    嫌な飼い主だったでしょ?

    それでも、あんたは側にいてくれた。

    ねぇチビクロ。
    ありがとう。

    2006-05-24 09:30:00
  • 406:

    名無しさん

    更新まってた!せぇさんも書くのつらいかもしれんけど楽しみに待ってます☆

    2006-05-24 09:48:00
  • 407:

    名無しさん

    頑張って????

    2006-05-25 08:16:00
  • 408:

    せぇ

    冬休み、バイトも補習もなかったあたしは、毎日暇だった。仁も似たようなものだったけれど、一週間に一度、金曜日だけは会ってくれなかった。どうしてなのか一度だけ聞いたけど、彼は上手くかわして、答えてはくれなかった。毎週、金曜日が来るたびに、問い詰めたい気持ちは膨らむばかりで、だけど今までの経験を思い出しては我慢した。
    『お前重たいねん』

    彼にだけは、そう思われたくなかったから。

    2006-05-25 14:56:00
  • 409:

    せぇ

    気を紛らわすために、毎週金曜日になると、あたしはチビクロをキャリーバックに入れて、キョンの家に向かった。チビクロはどんどんヤマトや、他の猫達に馴染んでいく。それだけじゃない。前にキョンママが言っていた通り、一匹の成猫が、チビクロを我が子のようにかわいがってくれていた。

    2006-05-25 15:01:00
  • 410:

    名無しさん

    ???????

    2006-05-25 18:04:00
  • 411:

    せぇ

    多分、少しずつ。本間に少しずつ、ぴったりはまっていたピースが崩れていったんだと思う。パズルは、あと一つはめたら完成だったのに。形が違う一つを、あたし達は、無理にはめようとしたから。崩れていったの、ヒビが入っていくように、少しずつ。

    2006-05-26 14:00:00
  • 412:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    あたし達には、
    つながる言葉なんてなかったね。だってあたしは猫じゃなくて、あんたは人じゃない。

    それでも、伝わっていた時は、確かにあったのに。あんたの目を見れば、わかった気がしたの。

    ねぇチビクロ
    あんたもそうやった?

    ぁたしは、誰よりもわがままで、自分勝手で。
    それでも、あたしにとっての一番はあんた以外いなかった。

    あんたの、あの日閉じた目蓋は、二度と開かないから

    あんたの気持ちも、もう二度とわからない。

    きっとね、あたしのパズルの、最後のワンピースはあんただったんだよ、チビクロ。

    2006-05-26 14:15:00
  • 413:

    名無しさん

    あげ

    2006-05-27 06:45:00
  • 414:

    せぇ

    色んな思いを抱きながら、それでもあっと言う間に冬休みは終わった。人は、大切なものが増えれば増えるだけ、身動きがとれなくなると誰かが言ってた。もしそれが本当なら、あたしはそのうち、一歩も前に進めなくなるかもしれない。そんなことをふと思った。

    2006-05-27 20:25:00
  • 415:

    せぇ





    2006-05-27 20:27:00
  • 416:

    せぇ

    『やばいやばい!』
    また遅刻しそうだ。せっかく水野のマークからはずされかけてる時期なのに、遅刻指導なんて受けることになったら、またややこしいことになる。
    適当に教科書をカバンに詰め込む。鏡をのぞきこんで、寝癖をチェックしてから、ついでにコテをカバンに入れた。

    2006-05-27 20:34:00
  • 417:

    せぇ

    『行ってきます!!』『ナッ!』『だーめだって!』
    あたしの足元に近寄り、一緒に外に出ようとするチビクロを足先で止める。
    出会った頃に比べると、すっかり大きくなったチビクロとあたしの、毎朝の光景だった。
    家を出て、自転車にまたがる。パンツが見えそうなくらいの風を受けながら、立ちコギで駅まで向かった。桜の蕾が視界の端に映る。
    『…三人でお花見したいな。』

    2006-05-27 20:42:00
  • 418:

    せぇ

    −チビクロと出会った、
    寒い季節はもう
    終わろうとしていた。

    2006-05-27 20:45:00
  • 419:

    名無しさん

    ぁげるゃん?めちゃぃぃ?

    2006-05-28 12:12:00
  • 420:

    せぇ

    多少さみしがることはあるものの、チビクロは一人で留守番出来るようになった。そしてあたしは相変わらず、そのことを素直に喜べなかった。
    だけど、人見知りに育ち、小さな頃から一緒にいたごく少数の人にしかなつかなくなったチビクロが、やっぱりあたしに一番なついてくれている。これだけ一緒にいれば、当たり前のことなんだろう。だけど、やっぱりすごくうれしかった。

    2006-05-28 14:53:00
  • 421:

    せぇ

    うぅん、うれしいなんて言葉じゃない。あれはきっと自慢で、優越感。
    『チビクロはあたしのもの』 っていう、誇り。

    2006-05-28 14:55:00
  • 422:

    せぇ

    チビクロがあたしの手から離れていくのが嫌で、だけど現実には離さなきゃダメだった。チビクロが離れていくことを見たくなくて、受けとめたくなくて、離れていくチビクロに不安になった。だから、あたし自身に言い聞かせる。『あたしも、チビクロから離れよう』って。『重い』なんてもう二度と誰にも言われないように。


    支え合って生きていくってことは、やっぱりすごく、難しいみたいだ。

    2006-05-28 15:00:00
  • 423:

    名無しさん

    2006-05-29 00:20:00
  • 424:

    名無しさん

    2006-05-29 01:55:00
  • 425:

    名無しさん

    1から読みました!   続き、楽しみにしてるんで頑張ってください!

    2006-05-29 02:25:00
  • 426:

    名無しさん

    ?

    2006-05-29 16:58:00
  • 427:

    名無しさん

    書かないの??

    2006-05-29 23:19:00
  • 428:

    名無しさん

    めっちゃ気になるう?がんばって!

    2006-05-30 01:27:00
  • 429:

    名無しさん

    2006-05-30 18:15:00
  • 430:

    名無しさん

    早く書いて欲しい?

    2006-06-02 05:22:00
  • 431:

    せぇ

    お待たせして申し訳ないです??再開します。ごめんなさい?

    2006-06-04 21:52:00
  • 432:

    せぇ





    2006-06-04 21:54:00
  • 433:

    せぇ

    学校が始まっても、相変わらず仁は忙しかった。この頃になると、あたしと仁が付き合っていることは学年中に広まっていて、あることないこと噂が耐えなかった。

    2006-06-04 21:57:00
  • 434:

    名無しさん

    更新行進???

    2006-06-04 23:16:00
  • 435:

    つばさ

    リアルタイム??
    やッたァー?????

    2006-06-04 23:31:00
  • 436:

    せぇ

    『なんであんなブスと仁君が付き合ってるん?』『渡辺聖子はさせ子』『仁君の他にも男がいる』『ぶりっ子、デブ、ブス。』−…
    あたしが知らなかっただけで、仁は一部の女の子達には、かなり人気の男の子だったみたいだ。女の子の嫉妬は、女の子に向けられる。それは仕方のないことで、心配してくれるキョンとは裏腹に、あたしはこれっぽっちもへこまなかった。
    そんなことより、あたしが気になったのはたった一つ、仁の噂だった。

    2006-06-04 23:59:00
  • 437:

    せぇ

    『女好き』『ヤリチン。』
    ここぞとばかりに耳に入ってくるこれらの言葉が、<ただの噂>だということは、仁といつも一緒にいるあたしが一番よくわかっていた。
    ただ、『何かある−…。』会ってくれない金曜日。不振に思わないほうがおかしい。

    2006-06-05 00:14:00
  • 438:

    せぇ

    いつか、仁が言っていた

    『…っていうことは、あの噂も知らん?』

    。仁が何気なく言った一言は、絶対にこのことなんだとすぐにわかった。

    2006-06-05 00:37:00
  • 439:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    笑っちゃうよね。

    あの頃のあたし達は
    余りにも幼くて、純粋で、

    だけど汚くて、大人びた嘘を平気でついた。

    嘘をつかなきゃ、近付けなくて、引き止められない。
    あの頃は、
    そう思ってたから。

    ねぇチビクロ。
    みんな猫になればいいよ。
    そうしたらもう
    あたしは二度と嘘をつけないでしょ?

    そうなったらきっと、
    もっともっと

    あんたに近付けそうな気がするの。

    2006-06-05 00:46:00
  • 440:

    せぇ

    仁は、ホストをしていた。

    2006-06-05 09:12:00
  • 441:

    せぇ

    彼にだけは嫌われたくなかった。だから、しょーちゃんの時みたいに携帯を見ることもなかった。だけど、それをしなかったのは、仁を信用してたからだ。

    噂を聞いた数日後、心の準備をしてから、あたしは隣で眠る仁の携帯を手にとった。出会った頃と、同じ寝顔の仁の隣で。

    2006-06-05 09:19:00
  • 442:

    せぇ

    着信>>せぇ、代表、代表、代表、せぇ、代表…

    何これ…?『代表』っていう人ばっかりやん…。自然とボタンを押す手が早くなり、そして…『あゆみ(客)』20件目、最後の着信履歴で、手が止まった。
    やっぱり…−。日付は丁度、金曜日。

    2006-06-05 09:33:00
  • 443:

    せぇ

    ただの噂話。信じたくなんてなかった。でも、それとは逆に、絶対の確信があった。だけど、それでも−。

    ねぇ仁。
    あなたはあたしのヒーローじゃなかったの?
    あの日、あの意地悪な笑顔で、照れながら好きだって、そう言ってくれたのに。

    2006-06-05 09:40:00
  • 444:

    せぇ

    発信履歴にも、しっかりと『あゆみ(客)』の名前は入っていた。

    2006-06-05 09:42:00
  • 445:

    せぇ

    隣の仁に目をやる。相変わらず起きそうな様子もない。あたしの気持ちなんて知らないまま、子供みたいに眠る彼の顔を見て、あたしは思わずそのやわらかい髪を撫でた。

    それから、目線を携帯に戻し、もう一度深呼吸をしてから、次はメールボタンを押した。
    −<メールセキュリティ>『末端暗証番号は?』
    あぁ、やっぱり…。隠し事がある人は、必ずこれをする。メールセキュリティなんて、そのための機能だ。

    2006-06-06 14:54:00
  • 446:

    せぇ

    カチカチ...仁の寝息しか聞こえない、あたしの部屋で、携帯のボタンを押す音がやけに響く。
    誕生日?ゾロ目?電話番号?思い当たる数字は、どれもハズレで、あたしは次第にうんざりしだして、どうでもよくなっていった。

    2006-06-06 14:59:00
  • 447:

    せぇ

    ホストだから何なの?仁は仁やん。−だけど、あたし以外の女と会ってる。
    仕事やん?−お金をもらってHだってしたかもしれない。
    知らないほうがいいこともあるよ。−裏切られた。

    2006-06-06 15:01:00
  • 448:

    せぇ

    バカみたいに、色んな言葉が頭をよぎった。

    何十分も考えて考えて、それから考え疲れた時、ふと4桁の数字が頭に浮かんだ。ゆっくりと四回、ボタンを押す。

    −そして画面は、受信ボックスに切り替わった。

    2006-06-06 15:04:00
  • 449:

    せぇ


    1217。

    二人の、記念日−…。

    2006-06-06 15:05:00
  • 450:

    せぇ




    あたしは、携帯を閉じて、寝ている仁の腕の中に無理矢理入り込んだ。彼は眠そうに少しうなって、だけどあたしを強く抱き締めてくれた。見計らったように、ベットの端にいたチビクロが、あたしたちの間にもぐりこんで、また三人、仲良く眠った。

    2006-06-06 15:06:00
  • 451:

    せぇ

    あぁ、そうだ−。あたし達は、クリスマスも、年越しも、バレンタインも、何をするわけでもない。ただ三人で仲良く過ごした。それだけで、冬なのに暖かくて、幸せだった。
    きっと
    一番、幸せだった。

    2006-06-06 15:08:00
  • 452:

    せぇ





    2006-06-06 15:16:00
  • 453:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    人間は、欲張りだよね。
    きっと誰もが、幸せになりたいと願っている。
    そして、幸せになっても、
    欲望は尽きる事無く

    今度はもっと、もっと幸せになりたいと思う。


    だからだよ。
    だから、いつまでたっても
    幸せをつかめないの。


    ねぇ、チビクロ−…。

    あたしが好きになった人が、あたしを好きになってくれた。そして、一緒にいてくれる。

    それだけで充分だと思える『幸せ。』

    あんたを失った今になって
    やっとわかったの。

    2006-06-06 15:24:00
  • 454:

    名無しさん

    >>457ー479
    ここまで更新しました?感想等のお返事、お礼、言えなくて申し訳ないです?とりあえず今はなるべく早く完結させたいと思っているので、そちらを優先しています?
    だけど、感想はすごくうれしいし、話を進めることへの、すごい励ましになっています。本当に、いつもありがとうございます?。
    いつも更新遅く、お待たせしてしまって申し訳ないです。すみません?
    また時間ある時に更新します??

    2006-06-06 15:32:00
  • 455:

    せぇ

    ↑失敗しました?
    >>457-479

    2006-06-06 15:34:00
  • 456:

    名無しさん

    おもしろい

    2006-06-11 19:29:00
  • 457:

    せぇ

    あたしはそれっきり、詮索を辞めた。だけど、しょーちゃんの時のように、彼一人だけにはまり、依存してしまうことに、今までは無かった恐怖を感じた。
    あたしはいつも、『今度こそは』とか、『彼だけは』とか、毎回毎回思ってたけど、そんなのは、
    −やっぱりないんだろう。

    だからあたしは、彼とも距離を置いた。少しずつ、少しずつ。

    2006-06-12 00:14:00
  • 458:

    せぇ

    彼に好かれている、彼があたしだけを好きでいることには、不思議とそれなりの自信ががあった。言葉は不器用でも、きつくても、そこにやさしさを何度も感じた。彼のそういうところがあたしの好きなところでもあったし、あたし自身も素直になれないことはいっぱいあったから。「似たもの同士やな」って、何度も思った。そしてその度に彼を愛しく思った。

    2006-06-12 00:15:00
  • 459:

    せぇ


    だけど、やっぱりが無くならない。なんて言えばいいのかわからないけど、多分、『一生あたしの側にいてくれるかどうか』その自信が、なくなってしまった。きっと、『いついなくなるかわからない』とか、そういう。

    2006-06-12 00:15:00
  • 460:

    せぇ

    あの頃のあたしは、きっとすごく汚かった。
    愛されたくて、あたしだけを見てほしくて、あたしがそう想っている通りに、あたしのことも想ってほしかった。きっと、必要とされたくて。

    そのくせ、やっぱり素直になれなくて、強がってばかりだった。
    仁にも、チビクロにも−…。

    2006-06-12 00:20:00
  • 461:

    せぇ





    2006-06-12 00:20:00
  • 462:

    名無しさん

    更新されてるぅ?
    楽しみにしてます?

    2006-06-12 12:13:00
  • 463:

    せぇ

    何も変わらないように見えて、少しずつ何かが変わっていた。あの頃も、今でも、あたしは二人がいてくれるだけで、それだけでよかったのに。きっと永遠なんて、やっぱりどこにもなくて、だけど手に入らないものばかり欲しがるあたしは、わかってても、それが欲しくて欲しくて仕方なかった。
    紐に縛り付けてでも、三人で閉じこもっておけばよかった。誰に何て言われたって、やっぱりそれは今でも思う。
    それが、『永遠』なら…−。

    2006-06-15 13:01:00
  • 464:

    せぇ

    仁はきっと、あたしが知っていることを、わかっていると思う。金曜日に何をしているのか、どうやって知ったのか。だけど何も言わなかったし、様子も変わらなかった。
    多分、それが答え。
    彼にはどこか踏み込めないところがあって、だけどあたしは、あたしにだけはそれも教えて欲しかった。

    毎日一緒にいた所で、毎日笑いあったって。距離を置いていたのは、あたしだけじゃなかった。

    2006-06-15 13:16:00
  • 465:

    せぇ

    チビクロは日に日に大きくなっていった。
    今日は、約束していたお花見の日。大きな公園の真ん中に、一本だけある大きな桜の木の下で待ち合わせ。朝六時に起きて、お弁当を作った。仁の好きなものばかりをたくさん詰めて。
    別に特別な約束をしたわけでも何でもない。だけと何となく今日は『特別な日』だと思った。約束は一時。チビクロは丸くなって眠っている。

    2006-06-15 13:55:00
  • 466:

    せぇ

    一度だけ、ホストのキャッチに着いていったことがある。一年前、先輩とミナミに遊びに行った日。お金も電車も、行くトコもなくて、足になってくれる男もいなくて、あたし達は途方にくれていた。その時スーツを着た胡散臭い二人組に声をかけられて、仕方なく着いていくことになった。顔なんて覚えてない。だけど、お金を出してくれるって言うから着いていった。

    2006-06-21 13:05:00
  • 467:

    せぇ

    ずっと前のこと過ぎて、毎日毎日、映画みたいにあっという間に終わってしまう日常のせいで、そんなことはすぐに忘れてた。だけど、思い出してしまった。美化してるのかもしれない。たった一年前のことなのに。

    2006-06-21 13:09:00
  • 468:

    せぇ

    キラキラ、キラキラ。

    いくつも天井に吊されたシャンデリアが、やたらとまぶしくて、眠たかったあたしの目にしみた。嘘臭い笑顔で、『ホスト』っていう見えない仮面をつけて、男が話し掛ける。あたしはただ眠たくて仕方なくて、男を無視してボーッとしていた。

    2006-06-21 13:13:00
  • 469:

    せぇ

    だんだん霞んでくる視界の中で、照れたように笑う女の子、同性だからわかる、恋をしている目をいくつも見つけた。そして、幼いからこそわかる、それと反対の目を、それよりも多く見つけた。

    キラキラ光る、ガラス張りの嘘の世界。『擬似恋愛』の世界。

    仁は、その中にいる。

    2006-06-21 13:18:00
  • 470:

    せぇ





    2006-06-21 13:21:00
  • 471:

    名無しさん

    更新されてるやん(笑)

    2006-06-21 13:25:00
  • 472:

    せぇ

    『いい天気やなぁ〜』
    ポツリとつぶやき、チビクロの背中を撫でた。小さく、鈴がゆれて音がなる。
    ずっと付け忘れていた、あの赤色の首輪を、今日初めてチビクロにつけてみた。真っ黒のチビクロによく似合う、真っ赤な首輪。ネームカードには
    『CHIBIKURO』
    あたしの、猫。

    2006-06-21 13:26:00
  • 473:

    せぇ

    チビクロは大きくなっても、相変わらずビビリで。ひらひら舞い落ちる桜の花びらが恐いのか、あたしの側を離れようとしない。そんなチビクロを見つめながら、あたしはMDプレーヤーの電源を入れて、イヤホンを付けた。
    −『K』−
    仁が教えてくれた、黒猫の歌。

    2006-06-21 13:30:00
  • 474:

    せぇ

    嫌われもの黒猫は、いつも石を投げていじめられていた。人を信用できなくなって、いつも独りぼっち、だけど胸を張って生きていた。ある日、黒猫は一人の絵描きに拾われる。最初は嫌がっていた黒猫も、絵描きのやさしさにひかれて、二人は親友になった。絵描きは毎日黒猫の絵を書いた。だけどその絵は売れなくて、黒猫ばかり描くから、黒猫は『不吉』だから、売れなくて。とうとう絵描きは倒れた。『これを届けて、待っててくれと、残してきた恋人に。』絵描きは黒猫に最後の願いを預けた。黒猫は手紙を加えて走った。絵描きの、大好きな絵描きの、大切な人の元に。

    黒猫だからと、通りすがりの人に石を投げられても、足がちぎれるくらい痛くても、あきらめなかった。大好きだったんだろう、初めて出来た友達だったから。彼の『黒』を、はじめて誉めてくれた人やったから。

    2006-06-21 13:45:00
  • 475:

    せぇ

    ナッ…

    歌に聞き入って、目を閉じていたあたしは、一気に現実世界に引き戻された。
    チビクロの声。チビクロ?

    2006-06-21 13:51:00
  • 476:

    せぇ

    どこ?
    チビクロ?
    ねぇどこ?

    2006-06-21 13:52:00
  • 477:

    せぇ

    歌のラストは、幸せなハッピーエンドじゃない。
    だって黒猫は死んでしまうから。
    不吉だと石を投げられても、遠くても、足が千切れそうなくらい走り疲れても−…。大好きな友達の、最後の願いを叶えるために、黒猫は走り続けた。そして絵描きの恋人に手紙を預けて−…黒猫は息絶えるの。

    2006-06-21 14:34:00
  • 478:

    せぇ

    『…せぇ!せぇッ!』
    チビクロを見失って、焦りまくるあたしは、過呼吸みたいなのを起こして、約束の桜の木の下で倒れていた。そんなあたしを呼ぶ仁の声が耳に入る。涙で霞む視界に、仁と、チビクロ…。
    仁はチビクロを抱いて、心配そうにあたしの顔をのぞいて、あたしを抱き締める。少しずつ、あたしの呼吸が落ち着いていく。ふわふわのチビクロの体が、あたしの顔にあたる。
    安心する。一気に。それだけで。

    2006-06-21 14:44:00
  • 479:

    せぇ

    黒猫の、絵描きからもらった『(Night)−夜』と言う名前に、絵描きの恋人は一文字だけ付け足して、亡骸を土の中に埋めた。


    『騎士(Knight)』

    2006-06-21 14:53:00
  • 480:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    あんたは男の子じゃないけど、確かにあたしの
    [Knightー騎士]
    だったよ。


    今でもわかんないんだ。
    あの歌がハッピーエンドなのかどうか。


    ねぇチビクロ
    あんたはどう思う?

    2006-06-21 14:58:00
  • 481:

    せぇ





    2006-06-21 15:00:00
  • 482:

    せぇ

    『仁、仁?ありがとう、もう平気。』彼の背中に回した手を離して、あたしは彼の胸から離れようとした。だけど彼は、無理矢理もう一度あたしを抱き寄せて、小さな声で『ごめんな』と一言つぶやいた。
    それから、もう一度ギュッと、痛いくらいにあたしを抱き締めて、
    それから、それから−…
    もう一言だけ、決定的な言葉を残して、あたしの前から去っていった。
    あたしは、なんとなくわかっていた。だけど、やっぱりその場から動けなくて、ただチビクロを胸に抱いて、どんどん遠くなる仁を見つめていた。

    2006-06-21 15:10:00
  • 483:

    せぇ





    『別れよ』−…。

    2006-06-21 15:11:00
  • 484:

    せぇ





    2006-06-21 15:12:00
  • 485:

    せぇ

    暗闇。

    真っ暗で、目が見えない。息ができない。どうやって帰ったんだろう。

    暗やみに思い浮かぶのは、遠くなっていく仁の後ろ姿。パニックになった時に倒したお弁当箱。泥のついた卵焼き、ハンバーグ。その上に積もっていく桃色の花びら。

    2006-06-21 15:18:00
  • 486:

    せぇ

    想い合っている事くらい、わかってるよ。だけど、好きだけじゃダメなの。

    ねぇ仁、やっとわかったのに。あたしには、あなたが必要だって。だって、出会った頃は、距離なんてなかったじゃん。三人で笑い合って、それだけでよかったの。全部話すよ。君が望むなら、何だって。
    あの時ね、ついさっき。チビクロがいなくなったって、あの哀しい歌とチビクロがかぶさって、パニックになって、息が出来なくて、苦しくて、切なくて、目蓋が重たくなってきて、だけど、光−…。あなたと、チビクロを見た瞬間に、生まれ変わったみたいに、光が見えたの。
    だって仁とチビクロは、あたしの−…

    2006-06-21 15:26:00
  • 487:

    せぇ

    なんて言えば伝わるんやろう。あんな想いは初めてやった。

    ねぇ仁、大好きだよ。
    愛してる−…。

    2006-06-21 15:43:00
  • 488:

    せぇ

    出会って、たった三ヶ月、あたし達は別れた。


    だけど、この想いだけには確信がある。
    仁は、あたしの、運命の人−…。

    2006-06-21 18:25:00
  • 489:

    名無しさん

    せぇちゃんがんばれ?

    2006-06-25 00:15:00
  • 490:

    名無しさん

    あげ

    2006-07-05 17:24:00
  • 491:

    名無しさん

    書いてほしいです??

    2006-07-06 02:29:00
  • 492:

    名無しさん

    せぇちゃん頑張って?あげ?

    2006-07-06 22:00:00
  • 493:

    せぇ

    久々に来たんですが、あがっててうれしいですm(__)m更新遅れすぎで本間に申し訳ないです??また時間ある時かならず更新します?

    2006-07-06 22:49:00
  • 494:

    せぇ

    あの時の気持ちを、言葉にすることは絶対に出来ない。だけど、こういうことを本当の『失恋』って呼ぶんだと、あの日初めて知った気がした。

    2006-07-07 01:25:00
  • 495:

    せぇ

    だけどやっぱり、どんなことがあっても、どんなに悲しくても、人っていうのは、日常生活に戻る。
    そしてあたしも、仁のいない元の毎日に、少しずつ、少しずつ慣れていった。

    2006-07-07 01:26:00
  • 496:

    せぇ

    仁がいたあたしの日常。毎日毎日一緒にいたのに、今ではもういないことが当たり前で。
    だけど、それを受けとめることは、出来たんだろうけど、したくなかった。頭が、気持ちが、体が。『あたし』っていう存在全てにかけて、それを否定していた。

    2006-07-07 01:27:00
  • 497:

    せぇ

    隣にいなくてもいてる気がして、あの癖のある笑顔をもう一度見たくて、『せぇ』ってあたしの名前を呼ぶ声を、セッターの香りを、オレンジ色に染まったやわらかい髪を、どんなに小さくてもいい、彼の一部に、人目でいいから会いたくて。一つ一つ全てが、彼の全てが、あたしの全部になった。

    2006-07-07 01:29:00
  • 498:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    あんたは今、幸せ?

    それだけでいいから、
    教えてほしい。

    2006-07-07 01:30:00
  • 499:

    せぇ





    2006-07-07 01:31:00
  • 500:

    せぇ

    あの日から後のことは、正直あんまり言いたくない。


    だけど、逃げないって決めたから。

    2006-07-07 01:31:00
  • 501:

    せぇ

    −残りの春休みを、あたしは毎日毎日、どこにも行かず、一人、部屋に閉じこもって過ごしていた。
    心配するママはおろか、チビクロですら、あたしは部屋に入れなかった。
    今までなら、あたしの部屋にはチビクロのベットやトイレがあって、言ってみればチビクロの部屋はあたしの部屋だった。だけど、ベットもトイレもリビングに移動させた。

    2006-07-07 01:32:00
  • 502:

    せぇ


    …−1人になりたかった。

    チビクロの、あの、何でも見透かす大きな瞳が、
    正直いうと、少し恐かったんだと思う。

    2006-07-07 01:35:00
  • 503:

    せぇ

    −やっぱり、あたしは『重たい』んだ。



    『スキ』っていう、ただそれだけの純粋だったはずの気持ちは、

    2006-07-07 01:38:00
  • 504:

    せぇ

    −仁だけは違うと思ってたのに。



    電気も点けず一人で引きこもっていた『仁のいない』『当たり前』の日常のせいで

    2006-07-07 01:39:00
  • 505:

    せぇ

    −裏切られた



    日が経つに連れ

    2006-07-07 01:40:00
  • 506:

    せぇ

    −もう誰も信用なんてするもんか



    汚くなっていった。

    2006-07-07 01:41:00
  • 507:

    せぇ





    2006-07-07 01:44:00
  • 508:

    せぇ

    毎日頭と体が重かった。だけど、眠れないわけじゃない。
    ただ、夢を見た覚えもないのに−…
    朝目覚めると、泣いた跡が必ずあった。

    2006-07-07 01:50:00
  • 509:

    名無しさん

    あげ?

    2006-07-07 10:24:00
  • 510:

    名無しさん

    書いてほしいですこの小説大好き?まだ幼稚園に行ってないころに黒猫の女の子拾って飼いましたけど小学校四年か三年の頃しらん間に頭から血流して亡くなってた?初めての死は悲しかったです?主さん頑張って??

    2006-07-08 14:53:00
  • 511:

    せぇ

    名無しさん、ありがとうございます。本間に励まされました。更新します??

    2006-07-09 04:36:00
  • 512:

    せぇ

    いつもみたいに一緒に寝ない、部屋にも入れない。いつもと違うことくらい、猫にもわかるんだろう。
    チビクロは、カリカリカリカリ、あたしの部屋の壁をしつこくひっかいては、『ニャア』と大きく切羽詰まったような、変な声で鳴いた。
    その不快にしか聞こえないはずの音は、やけに切なく聞こえたし、あたしにはチビクロが、『入れて、入れて』って、いってるようにしか聞こえなかった。

    2006-07-09 04:37:00
  • 513:

    せぇ

    大好きやったはずのチビクロが泣いてる。わかっていても、ドアを開ける気にはなれなかった。
    というか、正直、しんどかった。

    ひねくれた考えや、無理に正当化した言葉。自分を守る理由ばかりを頭に並べて、一人ひきこもる。この時あたしは、これ以外の方法を知らなかった。本当の失恋から、逃げる方法を。

    2006-07-09 04:38:00
  • 514:

    せぇ

    どうせアンタも、餌をくれる、世話をしてくれるからあたしになついていただけで…。他にそういう人が出来たら、そっちに行くんやろ?あたしじゃなくてもいいねやんな−…?

    2006-07-09 04:39:00
  • 515:

    せぇ



    しんどかった。きつかった。毎日泣いてた。彼を思うと胸がしめつけられた。なんであたしがこんなに目に合うのか、その理由は彼でしかなくて、あたしはやっぱり彼を恨んだ。
    それでもやっぱり、最終的に辿り着くのは…−。

    2006-07-09 04:42:00
  • 516:

    せぇ

    彼が好きやってこと。大好きやったってこと。
    ずっと…ずっと一緒にいたかったこと。

    これだけやった。

    2006-07-09 04:47:00
  • 517:

    せぇ

    こんな気持ちなんて知らない。どうすればいいのかわかんない。あたしは何がしたいんやろう。だけど、彼と元に戻れるなら、あたしはなんだってするし、なんだって出来ると思う。だけどその『何か』はこれっぽっちもわからなかったし、誰にも聞けなかった。好きで、好きで、好きで、それだけ。あたしの中にあるのは、それだけやった。

    2006-07-09 04:48:00
  • 518:

    せぇ

    いろんな考えが浮かんでは消えて、消えても考えて。あたしは何もしたくなかった。本当の失恋をした時くらいは、悲劇のヒロインでいたかった。
    それでもやっぱり、現実は、お腹も空けば、トイレにも行きたくなる。そんな自分に毎回うんざりしながら、ベットから重たい体を起こす。

    そっとゆっくりドアを開けると案の定、必ずチビクロはすごい勢いで部屋に飛び込んでくる。

    2006-07-09 04:49:00
  • 519:

    せぇ

    そしてあたしは逃げるチビクロを無理に抱き上げて、するとチビクロはあたしにしがみつく。そしてあたしはまた、爪をたててしがみつくチビクロを無理に服から、自分自身から引き剥がして、部屋の外へ放り投げる。あたしがどれだけそっとドアを開けたって、どれだけ急いで開けたって、チビクロは見計らったように突進してくる。
    その小さな格闘は、何度も何度も何度も続いた。

    2006-07-09 04:50:00
  • 520:

    せぇ



    −…チビクロの、ひたすら純粋にあたしを想ってくれる気持ちは、あたしのそれと一緒に見えた。
    そしてそれは、余計にあたしをうんざりさせた。

    2006-07-09 04:50:00
  • 521:

    せぇ

       〜♪〜♪
    急いで携帯を取る。相変わらずの爆音トランスが流れる携帯の待ち受け画面に、映った名前は…仁じゃない。それだけで、あたしの携帯に対する興味は一気に一切なくなって、あたしは携帯をそこら辺に投げつけた。待っても待っても、彼からは着信どころか、たった一通のメールもなかった。

    2006-07-09 04:58:00
  • 522:

    せぇ

    自分から連絡する勇気もないくせに、あたしは日が経つに連れ、頭がおかしくなるくらい、彼だけのことを考えていた。

    声が聞きたい。顔が見たい。彼に触れたい。

    2006-07-09 04:58:00
  • 523:

    せぇ

    −はぁ。

    ため息を一つついて、あたしはトイレに行くために部屋のドアに手をかけた。その瞬間、チビクロが身構える気配がする。−もう本当にうんざりだ。そのまま少しだけドアを開く。小さな隙間に体をひねらせて、部屋に入って来たチビクロは、いつも通り、あたしの足に体をからませ、甘えてくる。あたしはドアに手をかけたままつっ立ったまま、ボーッとそれを見下ろしていた。それに気付いてか、チビクロは真っすぐにあたしを見上げた。

    2006-07-09 04:59:00
  • 524:

    せぇ

    目が合う。

    漆黒の大きな瞳は、今のあたしには不釣り合いだ。

    2006-07-09 05:01:00
  • 525:

    せぇ



    −ガッ

    2006-07-09 05:01:00
  • 526:

    せぇ




    鈍い音をたてて、小さな体は数メートル先の地面まで転がった。

    2006-07-09 05:02:00
  • 527:

    せぇ

    あたしは、思いっきり。
    あたしを必要としている瞳を持った、あたしの宝物を、−…力強く、蹴り飛ばした。そしてそれと同時に、泣き崩れた。


    別れてから一週間、初めて声を出して大泣きした。

    2006-07-09 05:04:00
  • 528:

    せぇ





    2006-07-09 05:06:00
  • 529:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    最近よく考えるの。

    あたしはあんたに何度
    助けられたんだろって
    そのくせあたしは
    何もしてあげれなかったね。
    むしろ傷つけてばかりだった。

    ねぇチビクロ

    何度問い掛けたって
    もうあんたの声は聞こえないけど

    あんたの姿を
    頭に何度も思い浮べて

    今でも、あんたがいない今でも
    あたしは頑張れるんだよ
    あんたの姿を、声を
    思い出す、それだけで。

    届かなくても、聞こえなくても、わからなくても。
    知っていてね。
    それだけは。

    2006-07-09 05:08:00
  • 530:

    みみ

    感動…。

    2006-07-09 07:18:00
  • 531:

    名無しさん

    蹴ったんや↓

    2006-07-09 10:28:00
  • 532:

    名無しさん

    動物虐待 おまえ氏ね

    2006-07-09 17:23:00
  • 533:

    名無しさん

    この小説きらい。むかっいてくる。前にあった、子猫学校連れて行くとか猫蹴るとかありえん。主自分のことばっかり。動物飼う資格なし。おつかれ。

    2006-07-09 17:28:00
  • 534:

    せぇ

    ご意見、ご感想ありがとうございます。みなさんが言うとおり、主自身も最低だったと思いますし、動物を飼う資格もないと思います。あれ以来どれだけ捨て猫を拾っても、自分自身で飼ってはいません。
    以前も書いたように、ココでこのような本当のこと全てを書けば、批判が出てくることもわかっていましたし、その通りやと思います。みなさんに、不快な思いをさせてしまって本当に申し訳ないです。ですが、今更取り繕って逃げようとも思いません。これがチビクロの話なので、よろしければ、最後までお付き合い下さいm(__)m

    2006-07-09 20:30:00
  • 535:

    せぇ





    2006-07-09 20:32:00
  • 536:

    せぇ

    涙は止まる事無く、泣き声もしだいに大きくなる。あたしはひたすら、小さな子供みたいに泣きじゃくった。きっと、今のあたしの顔なんて見れたもんじゃない。泣いたってどうにもならないことなんてわかってる。


    だけど…どうしようもないことをどうにかするには、どうすればいいの?

    2006-07-09 20:35:00
  • 537:

    名無しさん

    560です正直猫をおもっきり蹴るとか信じられへん↓もうせんといてな↓最後まで頑張って読むから☆

    2006-07-09 20:36:00
  • 538:

    せぇ

    涙で霞む視界に、怯えたような目であたしを見つめるチビクロがうつった。

    これで終わった。もう二度と、チビクロは前みたいにあたしを慕わないだろう。

    2006-07-09 20:38:00
  • 539:

    せぇ

    −…失うのが恐い。どれだけ大切に想ったって、どれだけ大切にしたって、返ってくる保証なんてないやん。
    『見返りを求めない愛』なんて、あたしには出来ない。いつかいなくなるなら、いつか裏切られるなら、最初から大切にしなければ、もう傷付かなくて済む。

    こんな思いは、もう二度としたくない。だったらこれが正解だ。

    2006-07-09 20:39:00
  • 540:

    せぇ

    なんで離れていったの?あたしの何があかんかった?
    ねぇ…仁?
    今は。あたしは。
    あんたがホストだろうが、もし浮気していたとしようが、…−側にいてくれたら。
    あたしは、もう、それだけで…ー。

    2006-07-09 20:40:00
  • 541:

    せぇ

    失恋が、こんなにつらいものだとは思ってもみなかった。

    ただずっとつらくて、しんどくて、恐くて、切なくて、だけど何よりもー…彼が恋しくて仕方なかった。

    2006-07-09 20:41:00
  • 542:

    せぇ

    涙は、いつまでたっても止まらなかった。きっと、あたしは全てを失った。これで終わった。あたしの、幸せやった、何の根拠もない、だけど確信をもって言えた。世界で1番幸せやった三ヶ月。


    あたしとチビクロと仁の、三人の時間は、きっともう、二度と帰ってこない。

    2006-07-09 20:43:00
  • 543:

    せぇ

    楽しかったね。
    あの頃を、あの時、あの時間、あの瞬間を、『幸せ』だと感じていたのは、あたしだけじゃないやんな?

    2006-07-09 20:44:00
  • 544:

    せぇ


    何でこうなったんやろう。何で…ねぇ何で?


    2006-07-09 20:46:00
  • 545:

    せぇ




    二人がいないなら、あたしは生きてる価値がない。
    だって二人があたしの幸せで、その二人がいないなら、幸せなんて二度と感じられない。そうでしょ?そうやんな?

    2006-07-09 20:48:00
  • 546:

    せぇ

    泣いて泣いて、どれくらい泣いたか、枯れないはずの涙が、枯れはてた頃に。あたしの頭にあったのは、たった一つだけ。



    『死ンダホウガマシ−…』

    2006-07-09 20:50:00
  • 547:

    せぇ





    2006-07-09 20:51:00
  • 548:

    せぇ

    机の引き出しから、新品の剃刀と、あと少しになった精神安定剤、そして大量の睡眠薬を取り出した。


    −…結構前の話。ママの店の子に、少し事情があったことがあった。その女の子は、これを一気に飲もうとして、そしてそれをママが見つけてとりあげた。

    2006-07-09 20:52:00
  • 549:

    せぇ

    あたしは数日前に、それをこっそりくすねて、何を思ったか自分の机の引き出しに隠していた。
    多分、考えてもみなかったことだけど、やっぱり今思えば、数日前からこの考えはどこかにあったのかもしれない。

    2006-07-09 20:53:00
  • 550:

    せぇ





    2006-07-09 20:56:00
  • 551:

    せぇ

    プチ、プチ…

    錠剤を全て包装から取り出す。全部で30粒強くらい。これだけで、死ねるのだろうか…。

    2006-07-09 21:05:00
  • 552:

    せぇ

    『あっ…』



    水…。

    2006-07-09 21:06:00
  • 553:

    せぇ

    重たい体を無理に起こして、のそのそとあたしは立ち上がった。その瞬間、ビクッと怯えるチビクロの姿が目に入った。

    また涙がこぼれる。
    ごめん。
    本当にごめんなさい。

    2006-07-09 21:10:00
  • 554:

    せぇ

    あたしは、壁に手をついて、フラフラする体を支えながら一階へ降りる階段へと向かうために、扉に手をかけた。



    その瞬間。

    2006-07-09 21:13:00
  • 555:

    せぇ



    『ナァ!』       

    2006-07-09 21:32:00
  • 556:

    せぇ

    大きな声で、一声鳴いた。

    振り替えると、背筋をピンと延ばして、真っすぐにあたしを見つめるチビクロが、そこにいた。

    2006-07-09 21:35:00
  • 557:

    せぇ

    その瞳は、いつも通りの、あの瞳やった。

    ただひたすら純粋に。
    あたしを必要とする瞳。
    何よりも深くきれいな、漆黒の瞳。

    2006-07-09 21:38:00
  • 558:

    せぇ

    思わずあたしはそこへ座り込んだ。止まっていたはずの涙も、またとめどなく溢れだす。


    ねぇチビクロ
    あんたは−…。

    2006-07-09 21:41:00
  • 559:

    名無しさん

    頑張れ?せぇちゃん?

    2006-07-09 21:43:00
  • 560:

    せぇ

    『チビクロ、ごめんなさい。本間にごめんなさい…』あたしはただひたすら泣いた。一気に込み上げてくる罪悪感。
    あたしは何てことをしたんだろう。チビクロは、何にも悪くないのに。何してるんだろう。
    ますます、自分はいなくなるべきやと確信した。

    2006-07-09 21:47:00
  • 561:

    せぇ

    またあたしは静かに立ち上がると、拭っても拭っても止まらない涙をまた拭って、もう一度下へ降りようと部屋を出た。
    階段を降りて、キッチンへ向かう。マグカップに水をいれようとしたけど、量が足りそうになかったから、冷蔵庫からペットボトルごと持ち出して、もう一度部屋に戻ろうと体の向きを変えた。

    2006-07-09 21:55:00
  • 562:

    せぇ

    ボトッ−
    2リットルのペットボトルは、軽く床を振動させるくらい重かった。衝撃でグシャリとつぶれた横の部分から、水がこぼれる音がする。


    そこには、あたしの後ろを追ってきた、チビクロの姿があった。

    2006-07-09 22:02:00
  • 563:

    せぇ

    ここ一週間、あたしは見えない何かに、ずっと問い掛けてばかりだった。

    何であたしが?
    何でこうなったん?
    何があかんかった?

    2006-07-10 01:35:00
  • 564:

    せぇ

    誰に聞いてるのかなんて、あたし自身でもわからない。だから、誰も答えてなんてくれなかった。



    だけど、今この瞬間は−…

    2006-07-10 01:38:00
  • 565:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    なんで?
    なんであんたは、
    そんなにも−…

    2006-07-10 01:40:00
  • 566:

    せぇ

    毎日泣いていたせいで、まぶたは常に腫れていた。そして涙で滲んでいる今、視界は極端に狭く暗かった。
    だけど不思議とはっきり解る。
    茫然と立ち尽くすあたしに、ゆっくりと、真っすぐに、あたしに近づいてくるチビクロの姿。

    2006-07-10 01:47:00
  • 567:

    せぇ

    あたしの足元まできた彼女は、いつもと変わらず、甘えてくる。あたしの右足と左足の間に体を突っ込んで、頭をあたしの足首に擦り付ける。そして、ゴロゴロとノドを鳴らす。


    そう、いつも通りなのだ。あたしは、あんなことをしたのに。彼女を傷つけた、張本人なのに。

    2006-07-10 01:54:00
  • 568:

    せぇ

    あたしは思わずチビクロを抱き上げた。チビクロは何の抵抗もしないばかりか、あたしの頬に自分の鼻を擦り付けて、相変わらずのどを鳴らす。
    ふあふあの毛は、何よりも心地よかった。
    そして改めて、あたしが何日も彼女に触れてなかったことを思い出した。

    2006-07-10 02:01:00
  • 569:

    せぇ

    涙がこぼれて、チビクロの顔に落ちた。あたしはあわててそれを拭ってから、自分の顔も手のひらで拭いた。

    だけどその行為は、チビクロのせいでまたすぐ意味がないものになってしまった。

    2006-07-10 02:04:00
  • 570:

    せぇ

    ねぇチビクロ。
    励ましてくれてるの?


    チビクロは、涙を拭ったあたしの指先をペロペロと舐め始めた。あたしの手を両手で掴んで−…丁度ミルクをあげてたあの頃みたいに。何度か、あたしの顔に視線を変えながら−…。

    2006-07-10 02:10:00
  • 571:

    名無しさん

    せえちゃん書いてくれてありがとう読んでるからね?頑張って??

    2006-07-10 02:12:00
  • 572:

    せぇ





    2006-07-10 02:52:00
  • 573:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    くさいかもしれないけど
    あたしはあの時

    あんたが天使にしか見えなかった。

    あんたに出会えた
    それだけであたしの人生は幸せやったと
    心から思うよ。

    2006-07-10 02:53:00
  • 574:

    せぇ





    2006-07-10 02:54:00
  • 575:

    名無しさん

    せえちゃんまた書いてなぁ?もぅすぐ完結かな??楽しみに待ってます?おやすみなさい?

    2006-07-10 03:29:00
  • 576:

    名無しさん

    最初から読ませていただきました。
    私も同じよぅな経験あるから、読んでて本当に涙か出てきます。
    私の場合ゎ猫でゎなく、自分の子供ゃケド…
    最低な事をした自分を思ぃ出し後悔。。。
    主さん頑張って?さぃ。
    最後まで必ず見届けます。

    2006-07-10 06:39:00
  • 577:

    名無しさん

    あげ

    2006-07-10 09:36:00
  • 578:

    名無しさん

    みんな反省してもうしやんと大事にしてこ??

    2006-07-10 15:21:00
  • 579:

    名無しさん

    ずっと読んでます。なんか切なくなる(ノ_・、)頑張ってね!

    2006-07-10 17:59:00
  • 580:

    ???

    昨日カラ
    全部読ませて
    もらいました?
    泣いてしまいましたあ?
    あたしも家で
    動物かってるので
    よくわかります?
    せぃちゃん
    これからも更新
    頑張ってください??

    2006-07-10 21:26:00
  • 581:

    ??

    続き気になる(>_

    2006-07-15 14:31:00
  • 582:

    はる

    昨日から読ませて頂きました!!
    ウチは動物大好きなので題名に興味があって
    読み始めました♪

    更新がんばってください!!!!

    2006-07-16 23:27:00
  • 583:

    名無しさん

    あげ?

    2006-07-18 00:23:00
  • 584:

    せぇ

    チビクロを抱いたまま、あたしは部屋に戻った。
    ふと視界に映った、机の上に散らばった薬を横目に見ながら、あたしはそのままベットに寝転んだ。
    それからチビクロを腕の中に抱き直す。

    2006-07-23 01:25:00
  • 585:

    せぇ

    『あたしには、この子がいる』そう思うと、やけに心が落ち着いた。

    飽きもせず彼女のやわらかい毛を撫でる。チビクロの体温はすごく暖かくて、そして優しかった。あの気持ちを、どんな綺麗な言葉で飾ればいいんだろう。

    無理に表現しようとすると、やけに胡散臭くなりそうで、あたしには上手く話せない。

    2006-07-23 01:26:00
  • 586:

    せぇ





    2006-07-23 01:27:00
  • 587:

    せぇ

    寝転んだまま、思わずギュッと抱き締めると、チビクロの瞳に、あたしが映った。
    あたしは、久々に見た自分の姿に少し驚いて、それから呆れた。
    ボサボサの髪、ひどいクマ。鮮明に映ってるわけじゃない、ましてやチビクロの瞳の中なのに。現実はきっと、とても見れる顔じゃないだろう。

    だけどなんだかんだ、今映る自分の表情は、−…幸せそうだ。

    2006-07-23 01:29:00
  • 588:

    せぇ

    『見返りを求めない愛』は、ここにあった。
    チビクロの、純粋な気持ち。出会った頃と、何一つ変わらない。
    ただひたすら純粋で、単純で、何よりも綺麗だ。

    本物の愛情を、あたしはあの日、チビクロに教えてもらった。

    2006-07-23 01:31:00
  • 589:

    せぇ

    チビクロは、不思議な猫だった。
    文字通り、彼女の『黒』は何色にも染まらない。
    それは何よりもかけがえのない真実で、憧れさえ憶える。
    この子のようになりたいと、強く願った。

    2006-07-23 01:32:00
  • 590:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    この気持ちを、あんたにどうやって伝えればいい?

    あんたに出会ってから
    あたしはどれだけ大人になれたやろう。

    真っ白より
    純粋な漆黒。
    あたしはあんたに教えてもらった。

    ねぇチビクロ

    恩返しさせてよ
    何よりも愛しいあんたに

    ありったけの感謝を−…。

    2006-07-23 01:33:00
  • 591:

    せぇ





    2006-07-23 01:34:00
  • 592:

    せぇ

    始業式の日の朝、キョンはわざわざあたしの家まで、迎えに来てくれていた。
    春休みの間にも、キョンはずっと連絡がとれないあたしを心配して、何度か家に来てくれていた。だけど、あたしは『誰にも会いたくない』の一点張りで、あたしの性格を誰よりもわかっているキョンは、仕方なくそっとして置いてくれたみたいだった。
    そんなキョンに、あたしはあの日、落ち着いてから連絡を入れ、もう大丈夫だと言うことと、『心配かけてごめん』と、謝りのメールを入れた。彼女からの返信は一言。『そっか?ならよし!』の一通だけで、だけどやっぱり、彼女らしかった。
    あたしは一人じゃないんだと、改めて感じた。

    2006-07-23 01:48:00
  • 593:

    せぇ

    いつものように、鏡を覗き込み、最後のチェックをする。
    今朝はいつもより少し早く起きて、念入りに化粧をした。仁と最後に会った、あのお花見以来の久しぶりの化粧は新鮮で、気持ちも垢抜けた気がする。めずらしく髪も巻いてみた。
    『仁と会うかもしれない』
    色々なことがあった春休み。彼を疑って、信じて、裏切られて−…。それでも、やっぱり一番に、大好きだった。
    彼に会いたくないと言えば嘘になる。

    2006-07-23 02:01:00
  • 594:

    せぇ

    『行ってくるな、チビクロッ!』あたしはチビクロの頬っぺたにチュウをして立ち上がった。『ナ…』眠っていたチビクロは、だるそうに少し目を開けて、一声鳴いたあと、また体を丸くして眠り直した。その可愛い仕草に元気をもらって、あたしは勢い良くドアを開いた。
    今日から、あたしの新しい毎日が始まる−。

    2006-07-23 02:07:00
  • 595:

    せぇ

    『おはよ!』久々に顔を合わせたキョンは、いつもと変わらず、その態度は何故かあたしを安心させた。彼女は何も聞かない。普段ならあたしも話さない。


    だけど、今日は違った。

    2006-07-23 02:10:00
  • 596:

    名無しさん

    今初めて一気に読んで何度も泣きました??せぇちゃん頑張って下さぃ?

    2006-07-23 10:38:00
  • 597:

    ゆみか

    今初めて一気に読みました?私も猫を飼っているので、最初から泣きまくりでした?続き待ってます

    2006-07-31 02:18:00
  • 598:

    せぇ

    お待たせしました。再開します。更新遅れてしまい、大変申し訳ないです。

    2006-08-06 19:54:00
  • 599:

    せぇ

    学校に着くまでの約1時間、全てを一から話すには、少し時間が足りないように思えた。だけどいざ話始めると、上手く表現できなかったり、感情的になって早口になったりで、学校に着くころには、逆にあたしが聞く立場に変わっていた。
    といってもキョンは『あんたなら大丈夫』と言ったきりで、その後はずっと猫の話。変に励まされるより元気になれたのは、きっと彼女が、誰よりもあたしを理解してくれているからだ。

    2006-08-06 19:54:00
  • 600:

    せぇ

    『なんしまたチビクロ連れておいでや!ヤマトがさみしがってんねん。』
    校門を少し通り過ぎた頃、キョンはそう言って話を終わらせた。


    『…ってかクラス発表!見るの忘れてたやん!笑』あわてて、くるっと回れ右をしたキョンは、少し照れくさそうにそう言った。『本間それな〜』と、あたしも回れ右をして、そう返事をしながらも、「キョンもそれなりに気を遣っていっぱいいっぱいになっててんやろな〜」と少し解って、やっぱり素直にうれしかった。

    2006-08-06 19:57:00
  • 601:

    せぇ

    1、2歩歩いた時、突然、何も言わずにキョンがあたしの手をにぎった。
    『何?!きもいねんけど!笑』って、あたしは相変わらずのかわいくない態度で、キョンの手を振りほどこうとしたけれど、だけど彼女はその手を離さなかった。

    キョンの思わずの行動に、あたしはやっと気が付いて、キョンの目線の先を追う。
    手に汗がにじむ。震える指で、キョンの手を握り返した。

    2006-08-06 19:58:00
  • 602:

    せぇ




    …−仁だ。

    2006-08-06 20:00:00
  • 603:

    せぇ



    さっき通り過ぎてしまっていたメイン掲示板には、新学期、新しいクラスを知らせる紙が張り出されている。

    そしてその掲示板の前に、彼の姿はあった。

    2006-08-06 20:01:00
  • 604:

    せぇ

    校門から、少しだけ続く桜並木道。
    桜満開の季節は終わり、道行く学生の、靴に踏まれた花びらは汚い。
    あの別れの日に舞い落ちてたきれいな桃色の花びらも、今日の泥の付いた茶色の花びらも、同じ桜の花びらなのに。
    姿は、みじめに変わるばかりで。
    …−それはまるで、恋愛みたいだと思った。

    2006-08-06 20:02:00
  • 605:

    せぇ



    …−彼は、まだあたしに気付いていない。

    2006-08-06 20:03:00
  • 606:

    せぇ

    掲示板を見る仁の横顔に、微かにあの笑顔を見た気がした。
    変わらない姿。たった数週間会っていないだけなのに、すごく久しぶりに顔を見た気がする。やけに眩しくて、思わず目をそらすけど、だけどすぐに視線は彼に戻る。


    全身から、溢れだすようで恐かった。あたしの気持ちが。

    2006-08-06 20:05:00
  • 607:

    せぇ

    『…痛ッ。』ギュッと、握ったままだったキョンの手を、あたしがますます力を込めて握ったせいで、キョンはその言葉と同時に少しだけ顔を歪ませた。『あ、ごめん』と思わずキョンの方を向く。涼しげな顔に戻して『平気』と笑う彼女を見て、あたしはすぐにまた視線を彼に戻した。

    2006-08-06 20:07:00
  • 608:

    せぇ

    『あ…。』

    それが丁度、自分のクラスを確認したのか、彼がゆっくりこっちを向いた瞬間だった。

    目と目が合う。

    2006-08-06 20:08:00
  • 609:

    せぇ

    一瞬だけ期待した。彼が、あの癖のある笑顔で、あたしの名前を呼んでくれることを。

    だけどその期待虚しく、目線はすぐに逸らされた。
    彼は真っすぐあたしの方へ歩いて来て、それからすぐに通り過ぎていった。
    そしてそのまま、あたしの後ろにある校舎入り口に消えていった。

    2006-08-06 20:09:00
  • 610:

    せぇ

    震える膝をなんとか立たせて、あたしは一つだけキョンに聞いてみた。

    『なぁ…人ってな?すれ違うだけで、こんなドキドキするもんなん?』

    キョンは、少し間を開けてから、『人によるんちゃん?』とだけ言った。

    2006-08-06 20:10:00
  • 611:

    せぇ





    2006-08-06 20:50:00
  • 612:

    せぇ

    現実は、少女漫画や恋愛ドラマとはやっぱり違う。本当は、少しどころじゃない。もしかしたらって、奇跡を信じてた。
    期待していたクラス替え、あたしと仁は−…
    嘘みたいに一組と、六組。
    クラスですら、今の二人を表すかのように遠く離れていた。

    2006-08-15 02:50:00
  • 613:

    せぇ



    …−ため息を付くあたしの横で、キョンは一言、
    『あたし一組やわ…』と気まずそうにつぶやいた。

    2006-08-15 02:53:00
  • 614:

    せぇ

    始業式はただ憂欝だった。新しいクラスに、友達はいない。だけど、新しい友達を作ろうと思う気も起きなかった。RHRをさっさと終わらせて、あたしはキョンを待たずに家に帰った。

    2006-08-15 10:47:00
  • 615:

    名無しさん

    あげ

    2006-08-16 14:06:00
  • 616:

    名無しさん

    ?

    2006-08-16 18:52:00
  • 617:

    名無しさん

    まってるよ?

    2006-08-16 19:26:00
  • 618:

    せぇ

    色んな気持ちが入り交じって、何が何だかわからなかった。自然と早歩きになったのは、今すぐ彼と、少しでも離れたところへ行きたかったから。
    別に、もう一度がんばろうと思っていたわけじゃない。だけど、そう簡単に吹っ切れないことにも気付いてた。あたしはもう、昔みたいに独りぼっちじゃなくて、チビクロがあたしを待ってる。キョンが側にいてくれる。だけど、だけど…−


    やっぱり、彼が好きで。

    2006-08-23 14:39:00
  • 619:

    せぇ

    お互いに想い合ってるまま別れた。それには確かな自信がある。

    だけど、今は?
    今でも仁は、あたしが彼を想っているように、あたしを想っているんだろうか。
    たった三ヶ月だ。一緒にいたのは。

    2006-08-23 14:43:00
  • 620:

    名無しさん

    変わらない気持ちは確かにある。チビクロの、それみたいに。
    だけど、人の気持ちなんてすぐに変わってしまうもので、それはあたしが一番よく知っていた。しょーちゃんや、元彼たちのように。

    彼がいくらあたしを好きだった所で、時間がたてば、一緒にいなければ、
    気持ちは変わる。

    2006-08-23 14:47:00
  • 621:

    せぇ

    不思議なくらい、自分の気持ちが、マイナスの方へ、マイナスの方へ…−。
    動いて行くのがわかった。だけど、止められなかった。自分で自分を押さえられない。


    また始まった。

    2006-08-23 14:52:00
  • 622:

    せぇ

    いっそのこと、『好き』とか『嫌い』とか、『彼女』とか『彼氏』とか、『付き合う』とか『付き合わない』とか、『結婚』とか、『永遠』とか。


    全部、消えてしまえばいいのに。

    2006-08-23 14:55:00
  • 623:

    名無しさん

    重い足取りのまま家に着いた。今のあたしは、まさしく“情緒不安定”だ。そんな自分が、少し恐かったりする。

    始業式なので、終わったのは昼前。ママはやっと眠りだした頃だろう。そっと階段をあがって、そっと部屋のドアに手を掛けた。

    2006-08-23 15:01:00
  • 624:

    せぇ

    『えっ?』思わずあたしは足を止めた。
    タッ…バタバタ…、ドンドン
    部屋の中で、めちゃくちゃに走り回るチビクロの足音が聞こえた。それから、急いでドアノブを開く。…瞬間、チビクロはいつかのごとく、爪を立ててあたしの体にかけ登って、あたしの胸元で落ち着いた。爪を立てられた足の部分が少しヒリヒリする。

    2006-08-23 15:08:00
  • 625:

    せぇ

    フーッ、フーッ…と、肩で息して興奮しているチビクロを、あたしは軽く落ち着かせてから、何をしていたのかと部屋を見渡した。
    だけど部屋にはこれといって見当たるものなんてなくて。あたしはただ単純に、不思議で仕方なかった。


    2006-08-23 15:19:00
  • 626:

    せぇ





    ニヤニヤと、口元が緩む。キョトンとした顔であたしを見つめるチビクロは、今度はあたしに声を出して笑わせた。

    2006-08-23 15:24:00
  • 627:

    せぇ

    なぁチビクロ

    あんたはいつも
    あたしに元気をくれたね。

    あたし達は、
    二人で一つ。

    前世でも来世でも
    絶対そうやと思う。

    2006-08-23 15:30:00
  • 628:

    名無しさん

                続きみたぃょ??

    2006-09-02 20:08:00
  • 629:

    ?

    つづきみたい?

    2006-09-11 00:42:00
  • 630:

    せぇ

    更新遅れ申し訳ないです。
    今から、一気に更新したいと思います

    2006-09-13 02:23:00
  • 631:

    せぇ

    チビクロの、かけがえのない大切さと、特別な仁との失恋。両方を抱えながら始まった新学期。あたしの心境は


    −…複雑だった。

    2006-09-13 02:27:00
  • 632:

    せぇ

    すぐ側にいる大切な家族
    いつも味方でいてくれる大切な友達

    離れていってしまった大切な好きな人

    2006-09-13 02:29:00
  • 633:

    せぇ

    大切な人がたくさんいるのは欲張りなのかな
    大切な人を一人として失いたくないのは我儘なんかな

    幸せを手に入れるのって、こんなに難しかったっけ..

    2006-09-13 02:35:00
  • 634:

    せぇ

    けたたましい携帯のアラームと、カーテンからこぼれる眩しい朝日に、あたしは重たい体を起こす。

    答えなんてでなくたって、朝は来る。

    だから、もうあたしのものじゃない仁のいる学校にも、あたしはちゃんと行かなきゃいけない。

    2006-09-13 02:39:00
  • 635:

    せぇ

    『…聖子、渡辺聖子!』
    突然名前を呼ばれて、あたしは急いで返事をした。

    どんなに考えたって結果がでないなら、何も考えなければいい。
    頭をからっぽにするのは、意外と簡単だった。

    2006-09-13 02:42:00
  • 636:

    名無しさん

    名前順の出席番号のおかげで、あたしは窓際一番後ろの特等席を手に入れていた。暖かく射す光が気持ちいい。ボーッとするのにもってこいの席だった。

    当分席替えもないらしい。

    2006-09-13 02:46:00
  • 637:

    せぇ

    出席を取り終えた新しい担任は、明日のテストの説明を延々と話始めた。

    『はぁ…』

    深くため息をついてから、あたしはなんとなく窓の外に目をやった。

    2006-09-13 02:54:00
  • 638:

    せぇ



    …?

    …!!

    2006-09-13 02:55:00
  • 639:

    せぇ

    うちの学校の校舎は、やけに変な場所に立てられたせいで、やけに変な形をしていた。『狭い土地に、どんな建物で、いかに多くの生徒を収納するか』それだけのために考えられたかのような形。そのため、めずらしいであろう綺麗なU字で作られていた。
    一学年に約250人、全6クラス。渡り廊下と呼ばれる橋でつながれた三つの校舎は、北、東、西にそれぞれ1、2組、3、4組、5、6組と順番に区切られ、並ばされていた。

    2006-09-13 03:08:00
  • 640:

    せぇ

    つまり、西校舎にあるあたしのクラスと、東校舎にある仁とキョンがいるクラスは向かい合わせになっていて、あたしの窓際の席からは、小さく、だけどしっかりと仁が見えた。

    数百メートル離れてはいるものの、彼も、窓際の席に座っている。

    2006-09-13 03:15:00
  • 641:

    せぇ

    あたしの視力は良くも悪くもない。
    表情なんて見えない。
    だけど、間違えるはずがない。

    あれは−…

    2006-09-13 03:19:00
  • 642:

    せぇ

    パサ…ッ
    突然、あたしの視界の端に、一枚の小さな紙が移った。前の席から回って来たその紙は、窓の外に夢中でなかなか気付かなかったあたしのせいで、ヒラヒラ揺れながら床に落ちたみたいだった。

    拾い上げ、軽く目を通す。

    2006-09-13 03:28:00
  • 643:

    せぇ

    −進路調査書−


    小さな紙には、バランスの悪い大きな太字でそう書かれていた。

    2006-09-13 03:29:00
  • 644:

    せぇ

    『名前と出席番号書いて。テスト後のHRで回収します。はいじゃぁ、今日のHRは終わり!解散!』

    ガタガタと椅子を動かし、おしゃべりを始めるクラスメイト達のなか−…
    あたしは、また新しく生まれな問題の種に、頭を悩ませていた。

    2006-09-13 03:37:00
  • 645:

    せぇ

    不意に名前を呼ばれ、あたしはびっくりして声のするほうに振り返った。このクラスに、まだ友達と呼べるような子はいない。

    2006-09-13 03:44:00
  • 646:

    せぇ

    〔すごっ…!〕
    あたしを呼び止めたのは、ぱっちりした大きな瞳の可愛らしい女の子。
    だけど問題はそこじゃない。彼女は同性ですら目を引く巨乳で、あたしは思わず視線をそこに移した。背が低く華奢な為余計にそこに目が行く。
    〔F…いや、Gはあるんちゃん?!〕
    そんなことを考えながら、あたしは無愛想に『…何?』と一言聞き返した。

    2006-09-13 03:52:00
  • 647:

    せぇ

    〔あ、やってしまった…〕そう自分でも少し思った。かなりふてこい言い方。
    『あ、ごめんなこの子、人見知り激しいねん』
    すかさずキョンがフォローを入れる。
    『そんなんいいねん、気にしてない』
    巨乳ちゃんは、にっこり笑ってまた口を開いた。

    2006-09-13 03:57:00
  • 648:

    せぇ

    『あぁ…うん、それで?』同じ間違いをしないように、あたしなりに優しく言ったつもりではあった。
    『あ、うん、失礼なこと聞くようやけど…』


    それから、ほんの少しだけの沈黙。

    2006-09-13 04:02:00
  • 649:

    せぇ

    一瞬にして空気が重くなるのがわかった。
    だけどあたしにだってプライドくらいある。すこしだけためらったものの、あたしはちゃんと返事をした。

    『うん、別れたけど…?』

    2006-09-13 04:07:00
  • 650:

    せぇ

    彼女はその言葉を聞いた瞬間に、これ以上ないくらいに可愛くにこっと笑った。
    『そっか!よかった♪噂で聞いたから、気になっててん。』
    あたしはものすごく普通に、単純に〔あぁ、この子も仁のこと好きなんやなぁ・・・〕とか、そんなことを思って聞いていた。
    彼女は何の返事もしないあたしを気にも止めず、そのままの笑顔で会話を続けた。

    2006-09-13 04:19:00
  • 651:

    せぇ

    『あ、話中ごめんね、ウチ等これから買い物行くねん。やから…』
    彼女の話は止まりそうな雰囲気もなく、その空気を呼んだのかキョンがそう口を挟んだ。
    『あ、うん、そうやねん。早くいかな店閉まるから!ごめん、バイバイ』
    すかさずあたしも続ける。
    それから急いで教室のドアへと向かった。

    2006-09-13 04:31:00
  • 652:

    せぇ

    『あ、うん。わかったぁ〜!ごめんね、引き止めちゃって。バイバイ、せぇちゃん♪』

    そう言ってあたし達に手を振り続ける彼女の顔は、やっぱり笑ったままで−…

    〔こいつ、危ない…〕そう感じると同時に、嫌な予感がした。

    2006-09-13 04:36:00
  • 653:

    せぇ





    2006-09-13 04:37:00
  • 654:

    せぇ

    『何あいつ、なんかおかしない?』
    自然と早歩きで、急いで校門を出てから、キョンはあの会話以来初めての言葉を発した。
    『うん…』
    あたしは、頷くだけで精一杯だった。

    2006-09-13 04:42:00
  • 655:

    名無しさん

    ずっと読んでます?
    がんばってね(´∀`*)

    2006-09-17 23:30:00
  • 656:

    ??

    はじめカラよんでめっちヤ泣きました???かってるから余計?頑張って完結してください?

    2006-09-18 02:02:00
  • 657:

    名無しさん

    今日一気に1から読みました?? これからもよみたいので、是非完結させてくださぃ???

    2006-09-18 07:40:00
  • 658:

    せぇ

    ありがとうございます?
    がんばります

    2006-09-20 04:16:00
  • 659:

    せぇ

    家に着き、チビクロの頭を軽く撫でてから、倒れこむようにベットに寝転んだ。
    『はぁ…』
    自然とため息がこぼれる。

    『仁君と別れたって本当?』…あの一言が、やけに頭の中をぐるぐる回る。

    2006-09-20 04:46:00
  • 660:

    せぇ

    別れたよ。別れた。

    だけど−…だからって、あたしの気持ちまでなくなるわけじゃないやん。
    あんなに遠くからでも、彼を見つけれた。すごく遠いけど、毎日彼を見れる。
    意地張ったってしょーがない。今のあたしには、それだけで十分だ。

    2006-09-20 04:47:00
  • 661:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    あたしはあたしでよかった
    あんたと出会えたから

    あたしはあたしでよかった
    彼と出会えたから

    あたしがこの世に存在している理由。

    答えは

    これしかなくて、これだけで、これがいい。

    そう思えたあの頃−
    あたしはすごく
    幸せやったよ。

    2006-09-20 04:47:00
  • 662:

    せぇ

    『…コンビニ行こっと』
    考えだしたら止まらない。だからあたしはいつものように頭をからっぽにする。気分転換ついでに、外の空気を吸いに行こうと、カバンの中の財布に手を伸ばした。

    −グシャッ
    引きずるように取り出した財布には、しわくちゃになった紙切れがくっついていた。思わずその紙切れを手に取り、しわを伸ばそうと広げる。

    2006-09-20 04:50:00
  • 663:

    せぇ


    ―進路調査書―

    2006-09-20 04:51:00
  • 664:

    せぇ

    『はぁ…』とため息をもうひとつつく。
    進路かぁ…。
    正直、〔とうとう来たか〕…って感じ。
    あたしは…頭が良いわけでも勉強ができるわけでもない。将来の夢どころか、今やりたいことすら特になかった。

    2006-09-20 04:52:00
  • 665:

    せぇ

    つまりは−…何もない。

    これっていう特技や、好きなものがある子。やりたいことがある子。夢がある子。

    何もないあたしには、そんな子たちが、すごく眩しくて、すごくうらやましかった。ずっと。

    2006-09-20 04:54:00
  • 666:

    名無しさん

    よんでます?

    2006-09-20 08:16:00
  • 667:

    名無しさん

    同じく読んでます?

    2006-09-20 22:39:00
  • 668:

    名無しさん

    よんでるよ??がんばって?

    2006-09-21 02:08:00
  • 669:

    せぇ

    何度も言いますが、遅くなり申し訳ないです。本当にすみません。いつも書き貯めていて、一気に更新するように書いています。
    こんな不定期更新の小説を呼んで頂き、すごくうれしいです。
    これから更新します。

    2006-09-27 01:47:00
  • 670:

    せぇ

    〔そういえば仁は…何かやりたいことあるんかな。〕

    夢とか、聞いとけばよかったなと、ふと思った。

    2006-09-27 01:48:00
  • 671:

    せぇ

    『ナッ!ニャ〜』
    最近、チビクロは猫らしく鳴けるようになっていた。足元に擦り寄り、甘えてくるチビクロを、あたしはいつものように抱き上げた。出会った頃に比べると一回りも二回りも大きくなって、あっという間に、今じゃ立派な成猫だ。細くて長い手足に、ピンと伸ばした長い尻尾。大きな瞳の小さい顔。彼女は、あたしが今まで見てきたどの猫よりも素敵で立派だった。自慢の家族だった。

    2006-09-27 01:49:00
  • 672:

    せぇ

    思い出ってやつは、時間がたてばたつほどキレイになる。
    ケンカだってした。

    仁は超がつくほどの気分屋で、ついさっきまで笑ってたのに、次の瞬間には機嫌を悪くしたりする。理由もわからず、オロオロするあたしに逆ぎれしたりする。それでいつもケンカした。

    2006-09-27 01:52:00
  • 673:

    せぇ



    だけど
    またすぐに機嫌を直して、
    あたしをギュっと抱き締めてくれた。

    2006-09-27 01:52:00
  • 674:

    せぇ

    あの時の、強くてやさしい感触。
    彼愛用の香水と、セッタがまじったあの香り。
    『ごめんな』って、照れ臭そうに誤る声。
    顔を上げて目が合ったときのいつもの笑顔。

    2006-09-27 01:54:00
  • 675:

    せぇ

    あの、癖のある−…

    眩しいほどキラキラして
    悲しいほど遠い思い出。

    2006-09-27 01:54:00
  • 676:

    せぇ

    口元の右端だけをあげて、ふてこく笑う彼の笑顔を、あたしはまた思い出して。

    真似して笑ってみた。
    なんとなく、元気になった気がした。

    2006-09-27 01:55:00
  • 677:

    せぇ

    変わらない日常。
    変わらない気持ち。


    仁への思いは消えないまま−…。

    2006-09-27 01:56:00
  • 678:

    せぇ

    昨日と同じ朝
    昨日と同じ学校

    授業中、シャーペンを右手にくるくる回し、左手で頬杖をついて、遠く向こう側にいる仁を見つめる。

    2006-09-27 01:57:00
  • 679:

    せぇ

    だけど反対に、彼があたしに気付くことはない。だって、彼はいつも寝てるから。

    気付かれたら気付かれたで困る。だけど、気付いてほしい気もした。うまく、言えないけど。

    2006-09-27 01:59:00
  • 680:

    せぇ

    〜♪

    …あ。授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。それと同時に−…。
    『せぇちゃん!』
    そう呼ばれ、あたしは思わず聞こえてない振りをする。またかよ…。

    2006-09-27 02:01:00
  • 681:

    せぇ

    『せぇちゃんってば!』 今度は肩を叩かれた。逃げれず、仕方なしに振り向いた。『今日こそお昼一緒しよ?』
    −北山歩美。巨乳チャンは、何故かあたしに慣れこい。

    『あ、ごめんな、今日学食やし、キョンが…』 『あたしも今日学食!ちなみに今日はキョンちゃん、休んでるみたいやで?』言い終える前に先に口を挟まれた。 『えッ…?キョン休みなんや…』〔ってか、なんでそんな詳しいん?〕
    思わず喉まで出かけたこの質問を、あたしはあせって心にしまう。

    2006-09-27 02:04:00
  • 682:

    せぇ

    『うん!だから…ね?』

    今日コソ逃ガサナイヨ?

    そんな顔で、彼女はにこっと笑った。

    2006-09-27 02:05:00
  • 683:

    せぇ

    あの始業式の日以来、北山歩美はやけにあたしと仲良くしたがっていた。休み時間になる度に、あたしの元へ駆け寄ってくる。だけどあれ以来、彼女と仁の話はしてなかった。(といってもあたしがそうなる前に逃げてたからだけど。)


    『…でさ!聞いてる?』 『あ、うん、聞いてるで』

    2006-09-27 02:07:00
  • 684:

    せぇ

    …−今日のカレーは味がしない。いつもは大概、キョンを使って逃げていた。
    あいつ、休みやがって…

    『なんで別れたの?』
    そしてそれはやっぱり来た。

    2006-09-27 02:09:00
  • 685:

    せぇ

    『なんでって…なんで?』あたしはなんてことない風に冷静を装った。だけど、カレーを口に運ぶスプーンが一瞬止まったことに、彼女は気付いただろうか。

    『そりゃ気になるじゃん!好きな人の元カノの話だよ?これから先の参考にもなるしさ!』

    …元カノ?これから先?

    2006-09-27 02:11:00
  • 686:

    せぇ

    『…ははッ。なんもないよ別に。普通に別れただけ。これといった理由なんてないで。』
    『え〜ッあるでしょ、なんか!浮気されたとか、ダメなとことか、なんらかの地雷とか?』

    『…地雷?』
    あ、思わず口に出た。そんなの−…

    2006-09-27 02:13:00
  • 687:

    せぇ

    『ホスト!…やからとか!?』

    んッ!

    思わずむせて、あたしは急いで水を口に運ぶ。

    2006-09-27 02:16:00
  • 688:

    せぇ

    頭に浮かんだ言葉をいきなりこいつにぴったり言い当てられるとは思ってもみなかった。ゴホゴホと咳き込むあたしを心配もせず、 『知らなかったの?!』 …とあたしを見つめる彼女の顔には、
    軽い優越感が見えた。

    『知ってたよ。』
    ようやく話が出来るまでに落ち着いてから、あたしははっきりと一言返した。

    2006-09-27 02:21:00
  • 689:

    せぇ

    『じゃあ、やっぱそれが原因?』 彼女の質問は尽きない。どうしようかな−…そう考えてた時だった。

    『歩美!』焦った声で、目の前の女を呼ぶのは…間違える訳ない、仁だった。

    『あ!仁君☆』うれしそうに彼女は立ち上がり、走って彼の方へ駆け寄っていった。思わず彼女を目で追う。その先にいるのは…もちろん彼だ。

    2006-09-27 02:22:00
  • 690:

    せぇ

    入学式以来、彼をこんなに間近でみたのは初めてだった。

    『ごめん、ちょっとこいつ借りんで?』
    あたしと目が合い、少しだけ間をあけてから、彼はあたしにそう言った。

    2006-09-27 02:23:00
  • 691:

    せぇ

    『あ、いいよいいよ。昼休みもうすぐ終わるし、あたしもうご飯食べ終えたし、先教室戻っとくから』−…そう言って、半分以上残ったカレーのプレートを持ち、あたしは早足でその場を立ち去った。

    ザワザワと騒がしい広い食堂の中、『なんであいつと一緒にいてるん?!』
    焦ったような声で、北山歩美に問い掛ける仁の声が、遠く後ろで、小さく聞こえた。

    2006-09-27 02:25:00
  • 692:

    せぇ

    教室に戻り、ふと我に返る。昼休みは、あと20分も残っていた。

    “昼休みもうすぐ終わるし、あたしもうご飯食べ終えたし”−…さっき言った言葉が頭の中をグルグル回る。

    バレバレの嘘ばかりを並べて逃げたあたしは、どんなだっただろう。

    2006-09-27 02:28:00
  • 693:

    せぇ

    ねぇ仁。
    あたし
    ちゃんと話せてた?
    ちゃんと笑えてた?

    2006-09-27 02:28:00
  • 694:

    せぇ

    こんなに、人を想ったことなんてない。
    あれだけ、欲しいと願った人なんていない。

    ねぇ仁。
    約束してや。
    あたしを好きだと。
    ずっと一生側にいるって。

    嘘でも、叶わなくても
    そう言って。

    2006-09-27 02:38:00
  • 695:

    せぇ

    《さっき、仁と話した。》−送信完了しました−

    数秒後、かかってくる電話。つらそうな声。

    着信>>キョン

    2006-09-27 02:41:00
  • 696:

    せぇ

    『な゛んで?!』ズビズビの鼻声のくせに、声だけはやけにでかい。あぁこれでか。バカは風邪引かないって嘘やってんや。笑

    『寝とけ』そう言って電話を切った。
    後でお見舞いにいこう

    2006-09-27 02:44:00
  • 697:

    せぇ

    北山歩美は、
    昼休みが終わっても
    帰ってこなかった。

    2006-09-27 02:46:00
  • 698:

    せぇ

    『なぁ、仁、多分あんたのこと好きやで。』何を思ったか、鼻声でキョンはそう言った。
    『はッ?!』その言葉に、あたしはこれ以上ないくらい驚いていた。

    『来ると思った(笑)』
    あたしがキョンの部屋に入った瞬間、そういってニヤリと笑った彼女の顔は、どことなく仁に似ている気がした。

    2006-09-27 02:54:00
  • 699:

    せぇ

    『ナイナイナイナイ!!』全力で否定するあたしに、『いや、絶対そうやって。根拠は無いけど。』そう言ったキョンは、あたしが持ってきた冷えピタをおでこに貼って、見事に説得力ゼロやった。

    2006-09-27 03:00:00
  • 700:

    名無しさん

    よんでます?

    2006-09-27 03:33:00
  • 701:

    名無しさん

    更新されてる〜?嬉しい?

    2006-09-27 20:31:00
  • 702:

    名無しさん

    更新まだかな〜

    2006-10-20 11:46:00
  • 703:

    名無しさん

    2006-11-07 01:05:00
  • 704:

    名無しさん

    2006-11-11 09:10:00
  • 705:

    ??

    よんでます?完結まで頑張ってください???

    2006-11-12 09:27:00
  • 706:

    名無しさん

    主さん続き書いてほしい??

    2006-11-21 02:17:00
  • 707:

    名無しさん

    忙しいのかな?

    2006-11-29 05:26:00
  • 708:

    名無しさん

    書いてほしいです?

    2006-12-15 07:59:00
  • 709:

    名無しさん

    おーい?

    2007-02-27 07:08:00
  • 710:

    名無しさん

    書いて?

    2007-04-23 12:11:00
  • 711:

    名無しさん

    チビクロは…?

    2007-04-23 15:21:00
  • 712:

    名無しさん

    読みたぃです?

    2007-04-24 02:36:00
  • 713:

    名無しさん

    放置かよ。2005年から書き初めて完成しないってどうゆうこと??はじめからやる気ないやろ。マイペースにもほどがあんで

    2007-04-27 23:25:00
  • 714:

    名無しさん

    放置かよ??

    2007-05-06 09:59:00
  • 715:

    名無しさん

    めっちゃこの話すきやったのに?

    2007-05-07 23:57:00
  • 716:

    名無しさん

    ?

    2007-09-08 05:55:00
  • 717:

    名無しさん

    あげ?主さん書いて下さい(´・A・)何かあったんかな??大丈夫かなあ??

    2007-09-21 17:34:00
  • 718:

    名無しさん

    続き、出来れば読みたいです。

    2007-09-22 03:36:00
  • 719:

    名無しさん

    あげ

    2007-12-31 15:45:00
  • 720:

    名無しさん

    すごく感動していい小説と思ってせぇさんの事を尊敬してたのに、猫蹴るとか最低人間じゃない

    2008-01-10 15:27:00
  • 721:

    出会い系

    2008-01-23 22:42:00
  • 722:

    出会い系

    2008-01-24 01:50:00
  • 723:

    出会い系

    2008-01-24 02:01:00
  • 724:

    出会い系

    2008-01-24 02:41:00
  • 725:

    出会い系

    2008-01-24 03:09:00
  • 726:

    出会い系

    2008-01-24 03:17:00
  • 727:

    出会い系

    2008-01-24 19:02:00
  • 728:

    出会い系

    2008-01-24 20:18:00
  • 729:

    出会い系

    2008-01-25 04:13:00
  • 730:

    出会い系

    2008-01-25 09:24:00
  • 731:

    出会い系

    2008-01-26 02:17:00
  • 732:

    出会い系

    2008-01-26 04:08:00
  • 733:

    出会い系

    2008-01-26 08:32:00
  • 734:

    出会い系

    2008-01-26 12:38:00
  • 735:

    出会い系

    2008-01-26 15:22:00
  • 736:

    出会い系

    2008-01-26 16:58:00
  • 737:

    名無しさん

    うそっ?完結したと思って最初から読んでしまった?続き気になる?

    2008-01-26 23:22:00
  • 738:

    名無しさん

    かいてよう?
    かいてよかいてよ???

    2008-06-28 22:39:00
  • 739:

    名無しさん

    かいて?

    2008-11-07 01:58:00
  • 740:

    名無しさん

    >>237今更やけど、動物愛護センターになんか電話したらあかん!連れていったらあかん!殺されてしまうだけやで!!

    2008-11-07 02:25:00
  • 741:

    名無しさん

    客の名前もあゆみかなんかじゃなかった?

    2008-11-07 05:57:00
  • 742:

    名無しさん

    あげ

    2009-03-12 00:09:00
  • 743:

    名無しさん

    あげる

    2009-06-19 02:27:00
  • 744:

    名無しさん

    はい

    2011-09-12 23:42:00
  • 745:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 746:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
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