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ちっちゃな黒猫の話。

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  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 351:

    せぇ

    「愛してるで」普段は絶対に使わない、そんな言葉を、この子に出会ってから簡単に口に出すようになった。
    自分でも、すごくやさしい顔で笑ってるんだろうなと思う時がある。
    何よりも、「ただいま」と言える相手がここにいる。

    2006-04-22 02:17:00
  • 352:

    せぇ




    2006-04-22 02:21:00
  • 353:

    せぇ

    〜♪ ―目覚まし?違う、昔流行ったJ-POPの着メロ。これは、知らない番号からかかってきた時に鳴る着信音だ。・・・何やねん。ついさっき目を閉じたばかりの気がする。開口一番、「誰?」と一言、あたしはすごく不機嫌そうに電話に出た。「誰?やないわ!俺やわ!」「・・・・・・」「・・・せぇ?笑」「・・・・!!」あっという間に眠気は吹き飛ぶ。・・・仁だ。
    「わかった?お前、寝起き悪いねんな」顔は見えない。だけどきっと、あの笑顔で言っているだろうなと思った。「そんなことないで!」全力で否定はしてみたものの、もう手遅れだとわかった。仁は笑いながら「はいはい」と言った後で、「お前、何時に学校始まるか知ってる?」と同じ口調で私に尋ねた。
    ―えっ?! もう完璧に眠気は吹き飛ぶ。時計の針は、9時を回ろうとしていた。遅刻決定。おまけに水野の遅刻指導付きだ。

    2006-04-22 02:35:00
  • 354:

    せぇ

    「・・・はぁ。」大きなため息を一つ付く。開き直って、あたしは空気を変えようと、ゆっくりと立ち上がってカーテンを開いた。
    ・・・・・・ッ!!
    彼はどこまであたしを驚かすんだろう。「お前が中々起きひんせいで、俺約一時間くらい待っててんけど。笑」電話越しに聞こえる言葉と、窓の外にいる彼の口元が一致する。驚きすぎて固まっているあたしに、仁は一言「スッピンかわいいな」と止めを刺した。

    2006-04-22 02:44:00
  • 355:

    せぇ

    気が付いたら何も言わずに電話を切っていた。鏡を覗き込んで、急いでぼさぼさの頭を手ぐしで直す。学校の体育の時間ですら、こんなに走ったことないだろう速さで階段を駆け下りて、玄関のドアを勢い良く開いた。
    「よく眠れた?」と、やっぱりあの笑顔で、彼は一言呟いた。

    2006-04-22 02:48:00
  • 356:

    せぇ

    「うん。」と頷いて、あたしも一言だけ返した。

    2006-04-22 02:49:00
  • 357:

    せぇ




    2006-04-22 02:51:00
  • 358:

    せぇ

    100均の大きな鏡越しに仁と目が合う。ニヤリと笑った彼は「あ〜寒かった!」とおどけて言って、体をさする。「・・・ごめん。」と返事をして、あたしはまた目にマスカラを塗りたくる。「まだ塗んの?」と彼はまた呟く。「やからごめんって!」とまたあたしは返事を返す。「まっ、どうせ遅刻やしな、ゆっくり特殊メイクすれば?笑」仁は笑えない冗談を吐いてから、目を覚ましたチビクロを抱き上げた。あたしは仁をにらみ付けて、今度は寝癖を直しにかかる。「にらまれた!お前の飼い主は怖いね〜。」と仁は笑いながら、それから「いじめられたら俺に言えよ!」と真剣に、今度はチビクロに話し掛けている。かれこれ1時間近く、こんな会話を続けながら、あたしは用意を済ませた。

    2006-04-22 03:03:00
  • 359:

    せぇ

    「着替えるからあっち向いてて!」そう言って、あたしはクローゼットを開いた。「はいはい。どうせそのうち裸見ることになるねんからいいやんけ!な〜、チビクロ!」そういった仁にあたしはクッションを投げつけてから、着替えを終わらせ、ベットに座った。

    2006-04-22 03:06:00
  • 360:

    せぇ

    「で?チビクロはどうすればいいの?」さっきまでの会話とは打って変わって、真剣な声で仁に話し掛けた。あたしは完璧に水野にマークされている。
    キョンにチビクロを預けた次の日、いつものように校門に立っていた水野は、あたしがまたチビクロを連れていないか、確かめるように何度もジロジロ見つめてきていた。保健室にまで足を運んで、猫がいないかどうか、あゆちゃんに何度も確かめていたらしい。

    2006-04-22 03:12:00
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