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ちっちゃな黒猫の話。
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1:
せぇ
なぁなんで?
どこに行ったン?
いつも一緒だったじゃん
嬉しい時も悲しい時も
あんたゎ何にも言わずに
側にいてくれたよな。
あたしゎあんたの顔を見ただけで
あんたのふわふわの毛をなでるだけで
心が温かくなるのを感じてん。
なぁチビクロ
なんであんたが先に死ぬん?
人を幸せにするあんたが。2005-11-17 17:26:00 -
441:
せぇ
彼にだけは嫌われたくなかった。だから、しょーちゃんの時みたいに携帯を見ることもなかった。だけど、それをしなかったのは、仁を信用してたからだ。
噂を聞いた数日後、心の準備をしてから、あたしは隣で眠る仁の携帯を手にとった。出会った頃と、同じ寝顔の仁の隣で。2006-06-05 09:19:00 -
442:
せぇ
着信>>せぇ、代表、代表、代表、せぇ、代表…
何これ…?『代表』っていう人ばっかりやん…。自然とボタンを押す手が早くなり、そして…『あゆみ(客)』20件目、最後の着信履歴で、手が止まった。
やっぱり…−。日付は丁度、金曜日。2006-06-05 09:33:00 -
443:
せぇ
ただの噂話。信じたくなんてなかった。でも、それとは逆に、絶対の確信があった。だけど、それでも−。
ねぇ仁。
あなたはあたしのヒーローじゃなかったの?
あの日、あの意地悪な笑顔で、照れながら好きだって、そう言ってくれたのに。2006-06-05 09:40:00 -
444:
せぇ
発信履歴にも、しっかりと『あゆみ(客)』の名前は入っていた。
2006-06-05 09:42:00 -
445:
せぇ
隣の仁に目をやる。相変わらず起きそうな様子もない。あたしの気持ちなんて知らないまま、子供みたいに眠る彼の顔を見て、あたしは思わずそのやわらかい髪を撫でた。
それから、目線を携帯に戻し、もう一度深呼吸をしてから、次はメールボタンを押した。
−<メールセキュリティ>『末端暗証番号は?』
あぁ、やっぱり…。隠し事がある人は、必ずこれをする。メールセキュリティなんて、そのための機能だ。2006-06-06 14:54:00 -
446:
せぇ
カチカチ...仁の寝息しか聞こえない、あたしの部屋で、携帯のボタンを押す音がやけに響く。
誕生日?ゾロ目?電話番号?思い当たる数字は、どれもハズレで、あたしは次第にうんざりしだして、どうでもよくなっていった。2006-06-06 14:59:00 -
447:
せぇ
ホストだから何なの?仁は仁やん。−だけど、あたし以外の女と会ってる。
仕事やん?−お金をもらってHだってしたかもしれない。
知らないほうがいいこともあるよ。−裏切られた。2006-06-06 15:01:00 -
448:
せぇ
バカみたいに、色んな言葉が頭をよぎった。
何十分も考えて考えて、それから考え疲れた時、ふと4桁の数字が頭に浮かんだ。ゆっくりと四回、ボタンを押す。
−そして画面は、受信ボックスに切り替わった。2006-06-06 15:04:00 -
449:
せぇ
1217。
二人の、記念日−…。
2006-06-06 15:05:00 -
450:
せぇ
あたしは、携帯を閉じて、寝ている仁の腕の中に無理矢理入り込んだ。彼は眠そうに少しうなって、だけどあたしを強く抱き締めてくれた。見計らったように、ベットの端にいたチビクロが、あたしたちの間にもぐりこんで、また三人、仲良く眠った。2006-06-06 15:06:00