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お前の思い出と記憶の中の《俺》…
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1:
愛人
一緒に笑って、一緒に怒って、一緒に泣いて、
同じ時を過ごして来たはずやのに、
お前の思い出に…
お前の記憶に…
俺はいない。2005-12-08 22:23:00 -
29:
愛人
女の言葉を聞きながら、頬を伝う涙に気付いた。
今までそんな風にゆわれた事なんか一度もない。涙を流した事も俺の思い出や記憶の中にない。
それやのに今、俺の目にはたくさんの涙が頬を伝う。それが現実だ。
俺は愛されてたんや。産まれて来た事にホンマちょっと意味があるような気がした。2005-12-09 00:39:00 -
30:
愛人
俺「…俺、俺ずっと自分が嫌いやった。この顔もこの家庭環境も全て。俺が産まれて来た意味も生きてる意味すらもないんやって。俺なんて必要ないんやって…。」
俺は、何かを訴えるかのように、声を出した。
女「必要ない人なんておらん。花はそお信じてる。だから愛人君も信じよや?」2005-12-09 00:40:00 -
31:
愛人
俺はどっかでこいつならわかってくれる思ったんやろな…
口をゆっくりと開いた。
俺「俺な、あんま家族とかの思い出とか記憶とかないねんやん。母さんは、物心ついた時にはもぉおらんかった。その理由もしらん。聞こうとも思った事もない。父さんは、医者で家におるとこすらみたことない。だからいっつもだだっ広い家に手伝いと二人きりで、一人で冷えきった飯食うてた。友達もな、おらん。俺がハーフやから、目の色とか髪の色とか顔の作りとかで、いっつも軽蔑されて近づいて来てくれる奴もおらんかった。だから俺は一人でええ思ってた。でも正直、花が…花が…」
なんか分からんけど言葉が詰まった。その続きがゆわれへん。ホンマは伝えたいのに。2005-12-09 19:43:00 -
32:
愛人
そんな俺を見兼ねてか、花が話を繋げてくれる。
花「愛人君はな、一人ちゃうよ!絶対。花愛人君と今日初めて話して今話してみて、ホンマは心の底でずっと何かを求めてたんちゃうかな?って思った。それをいつからか、諦めてもーてたんちゃう?花はな…両親おらんねん。花は、捨てられてんて。だから今までおばあちゃんとおじいちゃんに育ててもろてん。一時、メッチャ両親を恨んだで?捨てるぐらいなら…愛してないんやったら…って…っ…っつ…」2005-12-09 19:55:00 -
33:
愛人
花は、泣きだしてしまった。
ホンマは、花の方がつらかった。
花の方が苦しかった。
花の方が寂しかったんや…やのに一生懸命、自分の存在を自分で見付けようとしてる。
しかも、俺にまで勇気をくれようとしてた…2005-12-09 20:01:00 -
34:
愛人
そんな花に、俺は、何もゆう事が出来なかった。
そんな自分に腹がたった。花「…ごめんな。花が泣いたら意味ないな!笑」
花は、どこまで、優しい子なんやろか…
泣きながらも、俺に笑顔を見せて、自分よりも俺の事ばっか気にしてくれて…
その泣きながら笑顔を見せる花が愛しく感じた。2005-12-09 20:06:00 -
35:
愛人
それと同時に、俺は、花を抱き寄せてた。
自分でも驚く行動を気付いたらとってた。
花とおったら自分の行動が、分からへん。
でも、今、今花を抱き寄せな、抱き締めな、花が消えてまいそぉなそんな気がした。2005-12-09 20:13:00 -
36:
愛人
俺「花?花もぉ分かったから。もぉなんもゆわんでええよ。」
花「…っ…ぅっ…っつ…」俺「俺、なんもゆうてあげられへんけど、俺花に今日声かけられて、ホンマはメッチャ嬉しかってん。花が俺に勇気をくれたんやで?ありがとおな?」
やっとゆえた。伝えたかった言葉。
詰まってゆえんかった言葉がやっとゆえた。そんな気ぃした。2005-12-09 20:21:00 -
37:
愛人
花「…っ…ぅっ…っつ、花っ、花、力になれた?…ぅっ、愛人君の力なれた?」俺「十分なれてるで。俺は、一人じゃない思えたよ?」
俺は、ゆっくりと花の体を離した。
そして、花と目を合わす。2005-12-09 20:28:00 -
38:
愛人
俺「花ありがとお。こんな俺を救い出してくれて…」
2005-12-09 20:30:00