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73:
私は信じたくなかった。蒼が癌だなんて――嘘だと思いたかった――・・・
【お願いだから、今すぐ誰か嘘だと言って!!!蒼は癌なんかぢゃないって――・・・ただの風邪だと――誰か――言って―――・・・】
ひたすら心で叫んでいた。2006-04-18 13:02:00 -
75:
私と慶太は、面会時間がくるまで蒼と一緒にいた。晩ご飯の時間になり、蒼の体もありお粥だった。
『蒼〜☆マンマだよ〜☆アーン――・・・』私は蒼の口にお粥を運んだ。だけど、蒼はお粥を食べようとしない。蒼は、病院のご飯が嫌いみたいだ。私は少しだけお粥を食べ『わ〜、おいしい―☆』と言いながら、蒼を見る。すると、蒼はお粥をほしがってき再び蒼の口にお粥を運ぶと、食べてくれた。蒼は少しずつゆっくりと食べていた。前の蒼だったら、元気よくご飯を食べ、口いっぱいにつめこんでいたのに、今の蒼は元気は元気だが、前までの元気はない。お粥を食べている蒼を見て、改めて感じた。
私は堪えきれなくなり、スプーンを持つ手が震える。すると、慶太に見透かされ、手を握ってくれ『ママは駄目やね〜☆蒼、パパが食べさせてあげるから、パパと一緒に食べような〜☆』と言い、私に気遣ってくれ交代してくれた。私は走ってお手洗いにいき、必死に堪えていた涙が溢れ出てきた。2006-04-18 15:24:00 -
76:
前までの元気がなくなった蒼。痩せきった蒼。
そんな蒼を見て、私はたまらなかった。どうしてあんな小さい子が、こんな事にならなきゃいけないのか。どうして蒼なのか。
変わってやれない事が、悔しくて悔しくてたまらなく、涙がとまらなかった。2006-04-18 15:33:00 -
77:
こんな事をしている間に、時間は過ぎていく。涙を拭い、蒼の病室へと小走りで戻る。
蒼はすでにお粥を食べ終わっており、慶太と一緒にアンパンマンのおもちゃで遊んでいた。
『蒼〜☆ごめんね〜☆』私はそう言い、蒼に近寄る。すると蒼が『マーマ☆抱っこー!!!抱っこー!!!』と言ってきたのだ。愛しすぎる蒼。私はスグさま蒼を抱き上げ『蒼はホンマ甘えんぼさんやね〜―☆』と言い、蒼のほっぺに自分のほっぺを重ねた。蒼は喜び、私のほっぺをペンペンとたたく。『蒼〜☆もっとやったれ〜☆こんな弱虫さんなママにおしおきしてやれ☆』と慶太がゆう。すると慶太の言葉がわかったのか、蒼はひたすら私のほっぺをたたく。そうやってじゃれあっていたら、面会の終わりの時間がきた。2006-04-18 15:44:00 -
78:
私は看護婦さんに無理を言って、蒼を抱っこしながらあやし、寝かせた。そっと蒼をベッドへ寝かし、蒼に『また明日ね☆おやすみ、蒼☆』と小声で言い、看護婦さんにお礼を言って病院を後にし、私達は帰った。
明日蒼は違う病院へ転院する。転院先の病院は《脊髄》《脳》《神経》などしか扱わない専門の病院らしい。その為、支度などしなければいけない故、私達は早めに寝る事にした。やっぱり蒼のいない家は淋しすぎる。そう思いながら、眠りについた。
翌日、早めに起きて、蒼の転院の為の支度をし、少し早く家を出て病院に向かった。2006-04-18 16:01:00 -
79:
病院に着き蒼の病室へ行くと、蒼はまだ寝ていた。起こさないように、静かに蒼の荷物をまとめる。すると『ウワーーーーーーン!!!!』と蒼が泣きながら目を覚ました。
『蒼〜☆起きたん☆おはよ☆―ほら、泣かないの☆』私は蒼を抱き上げ言った。蒼はスグに泣きやんだが、少しご機嫌ななめのようだ。『蒼〜☆おはよう☆―――後は俺がやるから、咲緒梨は蒼についてやってて☆』と慶太が言ってくれ、慶太に任せた。
支度ができて、なんやかんやと済ませ先生や看護婦さんにお礼を言って、病院を後にし転院先の病院へと車で向かった。2006-04-18 16:09:00