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私の宝物-父と母-
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1:
りま ◆cHUyfwfmoM
いまだに現実と向き合えない。なのに、なぜだろう…思い出すと寂しくて。
涙が出る。2005-10-08 06:50:00 -
11:
りま ◆cHUyfwfmoM
12月9日、入院2日前。
あたしは母を傷付けたかもしれない…傷付けてしまった日。
『お母さん…』
リビングでテレビを見ている母にあたしは話し掛けた。「りまどしたの?」
『ガンやったら…癌やったら、それ取ってね』
・・・・・今のあたしなら絶対こんなコト言わないのに。
母を1番恐れているはずの病気の名を言ってしまった。2005-10-08 07:38:00 -
12:
りま ◆cHUyfwfmoM
12月10日、入院前日。
母と晩御飯の買い物に行った。今日は次男の誕生日だ。ケーキも買って、ごちそうも母が作ってくれた。
その日の夜、母と一緒にお風呂に入った。
『お母さん…早く帰ってきてな?』
母は笑って「大丈夫、早く帰ってくるよ」頭を撫でてくれた。2005-10-08 07:43:00 -
13:
りま ◆cHUyfwfmoM
その日の朝、おばぁちゃんが来た。お母さんと病院に行くため。
あたしは学校に行く。
『お母さん行ってきます!今日病院行くから!』
「うん!いってらっしゃい!」2005-10-08 07:45:00 -
14:
りま ◆cHUyfwfmoM
母が入院して数日が経ったある日、あたしのクラスで仲の良い義之くんがあたしにこう言った。「おばちゃんのお見舞い行っていい?」あたしは了解し、放課後一緒に病院へ向かった。
義之には母親が居なかった。その年に胃ガンで亡くなっていたのだ。あたしもそのコトは知っていた。2005-10-08 07:49:00 -
15:
りま ◆cHUyfwfmoM
病室へ着くと、おばあちゃんも居た。
義之が母に「これ、お見舞いにお父さんが…」
綺麗な花だった。
「義之くんありがとう」母は笑顔でお礼を言った。
少し母と話してから義之と帰ることにした。
病室を出ようとしたとき…2005-10-08 07:52:00 -
16:
りま ◆cHUyfwfmoM
おばあちゃんが義之を呼び止めた。
「義之くん!お母さんにお礼言っててね!」
その時義之が困った顔で「え…ぇと…」
すると母が「おかあさん!?」叫んだ。
あたしは何も言えなかった。
すると義之が「僕のお家、お母さんいないです」
そぅ言うと義之は病室から出た。あたしは義之を追い掛け、並んで歩きながら一言『あたしも帰る…』
「…うん」
なんとなく、ゴメンが言えなかった。逆に失礼かな‥って思ったのかもしれない。2005-10-08 07:59:00 -
17:
りま ◆cHUyfwfmoM
エレベーターで1階に降りたとき『あっりま病室に忘れもんした!待っててや!すぐ取りに行ってくる!』そぅ言って母の病室に戻った。
2005-10-08 08:00:00 -
18:
りま ◆cHUyfwfmoM
病室の前に着いた時、話し声が聞こえた。
『お母さん…泣いてる‥』あたしはすぐに分かった。
「なんで泣くの!?お母さんが悪かったよ?」おばあちゃんの声。
「違う‥そーゆう事ぢゃない!」泣いている母の声。「怖いのは分かる!だから手術するんやろ?!」
・・・??しゅじゅつ?
なんの話しをしているのか分からない。
「怖いよっ!!!ぁの…ぁの子‥義之くんのお母さんも同じ病気で亡くなってるんやんか!!」
母の泣いている意味が分かった。
義之の母親と同じ病気。
胃ガン。2005-10-08 08:11:00 -
19:
りま ◆cHUyfwfmoM
あたしは忘れ物のことを忘れ、病室から離れた。
義之と帰ってる途中も頭の中は母でいっぱい。
【お母さんも義之のおばちゃんみたいに死んでしまうん‥?】
恐かった。
あたしの前から母が居なくなるなんて考えもつかないから。2005-10-08 08:15:00 -
20:
りま ◆cHUyfwfmoM
その2、3日後、父はまたあたしたち兄弟を呼び出した。
「お母さんな、手術するから。みんな気付いとるかもしらんけど‥ガンや。お母さんは」
やっぱりそうだった。
兄達は何も言わないまま黙っていた。
あたしは黙ったまま泣いた。2005-10-08 18:05:00