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『ごめんね』と『ありがとう』

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  • 1:

    りの

    いろいろあった経験を小説風にまとめてみました??

    2005-09-19 05:08:00
  • 49:

    りの

    りゅうの家で暮らし始めて三日ぐらいたった。何度か父から着信があったが、全部無視した。一度荷物を取りに自分の家に帰った。平日の昼間だから、家には確実に誰もいないはずだ。自分の部屋をあけた瞬間唖然とした。私の荷物は何一つ残ってなく、ベッドと机だけが虚しく残っていた。

    2005-09-22 04:20:00
  • 50:

    りの

    私って一体何だったのだろう‥。もうこの家に私の居場所は残っていない。もともとこの家に私の居場所なんてものはない事ぐらいわかっていたが、がらんとした部屋を目の前に、認めたくなかった現実を突き付けられた。幼心にどこか私はこの家の人間でいてもいいと言ってくれる日を期待していたのかもしれない。

    2005-09-22 04:27:00
  • 51:

    りの

    自分がとてもみじめだった。なんだかもう、あっけにとられすぎて涙もでなかった。10分ぐらいその場に立ち尽くしたまま、この部屋での思い出が走馬灯のように駆け巡った。もうりゅうの家に戻ろう‥。そう思いとぼとぼ一回に降りていったら、駐車場に車の止まる嫌な音がした。

    2005-09-22 04:35:00
  • 52:

    りの

    ヤバッ。こんな時間になぜか父が帰ってきてしまった。急いで逃げようとしたが、時すでに遅し。玄関で父とかち合った。瞬間、いきなりお腹を殴られ、私はその場にうずくまってしまった。           『お前何様やねん!中坊の分際で!俺の子失格やな』昼真から酒臭い。そして今日は一段と機嫌が悪そうだった。

    2005-09-22 04:42:00
  • 53:

    りの

    『りの、俺に何か言う事ないんか?あぁ?』    そう言いながら、うずくまってる私をさらに蹴りあげた。思いっきりみぞおちに入って一瞬息が止まり、悔しさから止まらない涙でうまく喋れない。     『りの喋れや!親に心配かけやがって!!』    暴力は増す一方だ。

    2005-09-22 04:50:00
  • 54:

    りの

    えらそうに言いやがって。お前のしてる事は自分の子供にする事か。心配なんかしてないくせに嘘つき。お前なんて死んでしまえばいい心底そう思った。力を振り絞って起き上がり、
    『今までありがとうございました。』
    と言って、家を飛び出した。           『待てや!りのっ!!』 近所中に響き渡るぐらい大きな怒鳴り声を無視し、無我夢中で走った。

    2005-09-22 04:59:00
  • 55:

    りの

    ひたすら走ってりゅうの家についた瞬間、痛みと涙がまたこみあげてきた。家には誰もいなかった。りゅうは仕事に行き、お母さんは多分買い物にでも行ったのだろう。私は一人で大声をあげて泣いた。もういろんな事がありすぎて、何が悲しいかさえもわからない。私は何故産まれてきた?何故あの人に殴られる?私って何なの?

    2005-09-22 05:12:00
  • 56:

    りの

    頭の中がパニックになった。ただ泣き叫んだ。自分の体にはあの人と同じ血が流れていると考えた時、私は思わずナイフで自分の手首を深く切り付けた。血がたくさんでてきた。このままあの人と同じ血が全部流れてしまえばいいと思った。泣き疲れたのか、頭がくらっとしてそのまま倒れて眠ってしまった。

    2005-09-22 05:26:00
  • 57:

    りの

    気が付いたらベッドで寝ていた。手首にはきちんと包帯がまいてある。    『りの、大丈夫か?』  隣にいたりゅうはとても心配そうな顔をしてくれていた。          『うん‥。』      何が起きたのか、自分が何をしたのか遠い昔のような気がした。ただ手首の痛みだけがリアルに感じた。

    2005-09-22 16:50:00
  • 58:

    りの

    『ほんまよかったぁ‥。めっちゃ心配したんやで!よかったわ‥。』     りゅうは私を今までで一番強く抱き締めて、私の背中らへんで涙をながしてくれている気がした。空虚な私の心をりゅうが充たしてくれた。りゅうのぬくもりに私の心と身体は包まれた。

    2005-09-22 17:05:00
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