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大阪心中24時50分
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1:
NN
携帯電話ってものが存在してるのに 人と人の距離は全く埋まりそうにない それどころか日々遠のいているような感覚にさえなる どうしてだろう どうして携帯電話ひとつでここまでひどく憂鬱な気持ちになるのだろう 寂しい夜は 電話で声が聞きたいんじゃない 抱きしめたいんだと 強く思った
2005-12-16 15:49:00 -
85:
NN
86さんありがとうございます。すごく嬉しいです。マリナさん、ありがとうございます。東京心中を応援してくださった方へちょっとした感謝の気持ちでちょこちょこキャラを出す予定です(^^)いつも温かく見守って居てくれて本当にありがとうございます。また気軽に感想ください。りんさん、ありがとうございます!東京心中から今まで読んでもらえて嬉しいです。期待にこたえられるように頑張ります。90さん、更新頑張りますので、また見てやってください。本当にわざわざ感想をくれた方ありがとうございました。
2005-12-20 22:33:00 -
86:
NN
ホストクラブ初体験は妙な形で殻を破った。時計は深夜2時半。ホストクラブの夜は、まだまだこれから、前半戦らしい。マンションからタクシーで15分くらいの距離。驚くことに、あたしの店のすぐ裏にクラブ・ヘブンがあった。タクシーの中で、シュナが嬉しそうにカムイと電話をしていた。「今から友達と行くねー」と告げたシュナの言葉を、カムイは新規が来ると店では言っているのだろうか。ビルの3階。エレベーターを押して3階のフロアにつくと、真っ白なジュウタンが広がり爆音でヒップホップが流れる。店内にヘブンのロゴが踊る。TVで見るまんまだな、冷静にそう思う自分がいた。
2005-12-20 22:36:00 -
87:
NN
入口に貼られたパネルには、NO1からNO5まで飾られている。NO2..あカムイだ。パネルの中でクール決めるカムイは何だか知らない人に見えた。「いらっしゃいませー」ホストの声が響く。シュナは笑顔で店内を見渡す。あんまり今までシュナと絡むことなんてなかったけど、よく見るとやっぱりこの子可愛いわ、冷静にそう思った。「シュナ!おーいらっしゃい!」「きゃーカムイっきちゃったきちゃったぁ!」目の前に現れたのは..間違いなくカムイ。スーツのシャツからのぞく素肌にネックレスひとつついてない。腕も耳も、ピアスや時計ひとつついていなかった。カムイに抱きつくシュナを見てあたしは呆然とする。
2005-12-20 22:37:00 -
88:
NN
「あオトモダチさん?いらっしゃいませ」カムイがあたしの顔を見ると同時に、顔色が変わる。「はじめまして」あたしは言った。「あ、初めまして。新規やしいろいろホスト回すな」あたしはどんな顔をしてはじめましてと言ったのだろう?カムイはあたしのどんな気持ちを察して初対面を演じてくれたんだろう?「いいです。決まってるから。カムイくん指名する」あたしは強くつぶやく。「えーっジュリもカムイ気に入ったんだぁさすがカムイ!ジュリホスクラ初体験なんだよーっこのヴァージンキラー!!」シュナが意味の分からない言葉を連呼させている間、何かいいたそうな顔をしてカムイはあたしを見ていた。あたしが聞きたい。あんたの目的は何?と。
2005-12-20 22:37:00 -
89:
NN
ゆうちゃんとあたしの仲をとりつくったと思えば、名刺を出して店への勧誘、しかも同じ雑誌に載ってたからあたしが風俗嬢だということを知ってる。カムイ、あんたは何がしたいの?テーブルに着くと、シュナが嬉しそうに鼻歌を歌う。「ご機嫌やなぁ」カムイが笑いかける。「だってシュナ、大阪に来て初めてだもんっホスクラ一緒に来てくれた友達!嬉しいよーっ」はしゃぎ続けるシュナを「そっかーよかったなぁー」と、頭を撫でて微笑むカムイ。ホストって恐い。こんな行動も発言も全て『擬似恋愛』、愛は金に変えられるってか。まぁ、人のこといえない。あたしも性と体を金に変えているのだから。
2005-12-20 22:38:00 -
90:
NN
「これからもジュリちゃん仲良くしてねっ」「うん」シュナがあたしの手を握る。この子の『こういう』キャラクターは雑誌の中だけだと思ってた。だけどこの子は風俗の中の自分と、現実の自分を、全く変えてない。『自然体』っていうんだろうか。影の匂いがしない。ちょっと羨ましく思った。シュナとカムイは楽しそうに話している。「シュナはカムイがスキなん?」2人の会話を破ってあたしがつぶやく。「いっきなりやなぁー」カムイがあたしを見る。何よ。言いたいことがあるなら言えよ。あたしはそう思った。
2005-12-20 22:39:00 -
91:
NN
「シュナはスキだよーでもねっでもカムイ、ちょーオラオラで枕しまくりだし」は?あたしは一瞬目が点になる。枕しまくり?あんたこんなこと客に堂々と言われていいわけ?あたしは驚く。「そうそう。伝説の枕ホストめざしまくり」カムイが手を叩いて笑う。何だかあほらしくなってきた。あたしは深くため息をつく。もう帰ろう。一体何しにきたんだか、全く意味わかんない。携帯を見るとメール受信一件。あたしは急いで携帯を広げる。ゆうちゃんだ。「今日はありがとう。また時間があったら一緒にかえろな。明日も朝からバイトやー!ジュリちゃん寝る時メールしてな、ちょっと話したい!」..受信時間01時..今は恐る恐る時計を見ると3時。
2005-12-20 22:40:00 -
92:
NN
またやっちゃった..あたしは一気にテンションが落ちる。寝る時メールしてなって..もう3時だ。あたしは急いでメールを打つ「シュナとちょっと飲もうって話になってちょっと話してたらとろーんとしてきて寝ちゃってた..ごめんね!!」と。どうして嘘をつくメールのときは、あたしこうして打つのがすごく早いんだろう。「ごめんシュナ、あたし帰るわ」財布から1万出し、テーブルに置く。「えーっうんわかった、また一緒に付き合ってね!」シュナに手を振りあたしは店を出る。
2005-12-20 22:41:00 -
93:
NN
あたしには愛してると言ってくれる人がいる..たとえ田村カムイがあたしが風俗嬢だと知っていても、あたしがゆうちゃんを愛してる。それだけでいい。だってそれは偽りのない真実なのだから。人に愛されるということがここまで力強くなれるなんて知らなかったよ。
2005-12-20 22:42:00 -
94:
NN
あたしがエレベーターのボタンを押そうとすると背後から手が伸びる。ハッとして振り向く。「えらい冷たいねんな。」そこにはカムイが1人立っていた。「お客さんのお見送り?そんなことしなくったってええよ。はよシュナんとこ戻りいや。」あたしがうっとうしそうな顔をすると、何でそんなことゆうんよ、カムイは笑った。エレベーターはやく、来い。あたしは頭の中で何度も繰り返した。「あたしが風俗してること、知ってるんでしょ?」「うん、雑誌で見て前からずっと知ってたで。ジュリちゃんは口止めにきたんやろ?言わないでって」カムイは即答した。その答えは間違いなく正解だった。「そうやで」あたしもごまかすつもりはない。黙ってろ。そういいにきたのだから。
2005-12-20 22:43:00 -
95:
NN
その瞬間、カムイが力いっぱいあたしの腕を引っ張る。「ちょっとなにす」あたしの口を封じるようにキスでふさぐ。あたしの体を引き寄せて、強く抱きしめる。舌が強引にかたくなに押さえつけられた唇の中で踊る。カムイの肌からはかすかに甘い香水の匂いがする。さっきは誰とキスしたの、さっきは誰を抱きしめてたの、その唇でその体であたしに触らないで!!
2005-12-20 22:45:00 -
96:
NN
あたしの唇からカムイのぬくもりが離れた瞬間、放心状態になった。カムイはあたしを見て笑う。はじめてじゃないくせに、そういわれてる気がした。あたしはつまる呼吸を抑えてつぶやいた。「カムイ。天国を探すなんて死んだ人間のすることやで」エレベーターのドアが閉まる。何なんあの男、最低!!!あたしはエレベーターの中で何度も、何度も服の袖で唇を拭く。
2005-12-20 22:46:00 -
97:
NN
外は雪に似た雨が強く降っていた。涙が頬から流れる。雪に似た雨じゃなくて。雨に似た涙なんだということに、気がつかないでいた。あの頃、純粋にあたしを愛してくれてた、本当に真っ白で汚れを知らないゆうちゃんと、ただ愛されたくて自分に嘘ばかりついて他人を傷つけてまで幸せになろうとしてたあたしと、世間から見放されてただ安らかな天国を探し続けて走り続けてたカムイと。あたし達3人の夢はきっと幸せになること、だったと思う。
2005-12-20 22:47:00 -
98:
NN
人生がよかったか悪かったかなんて死ぬときにしかわからないことだよ 今が不幸だとしても 死ぬ瞬間に幸せだったと思えたら ねぇカムイ カムイはどう思った?カムイの人生は 幸せだった?今さらだけど、聞いておけばよかったよ
2005-12-20 22:49:00 -
100:
名無しさん
めっちゃ楽しみ?バリおもろい?
2005-12-20 23:11:00 -
101:
りん?
東京心中見てました??
大阪心中この先楽しみにしてます?応援してるんで頑張って下さい??
?しおり?2005-12-21 02:34:00 -
103:
名無しさん
しおり?
2005-12-21 19:25:00 -
104:
NN
読んでくださってありがとうございます。本当に毎度同じ言葉ですみません。本当に嬉しいです。
2005-12-22 00:09:00 -
105:
NN
◆今更ゆうちゃんに電話をかける気になれなかった。カムイの挑発にも似たキスにあたしは気がめいっていた。あたしは部屋のベッドの中で何度も何度もカムイのキスを思い出した。気持ちが悪い。眠れない。むかつく。涙が出てくる。何だか悔しい。色んな感情がごっちゃまぜになって頭の中が壊れそう。あたしは携帯を握り締める。風俗を辞めなくちゃ。ゆうちゃんを傷つけないためにも。だけど今辞めてどうするの?このマンションを出なくちゃいけなくなる。貯金ならある。大丈夫..。あたしは目を閉じる。今日は眠るんだ。あたしは明日何もなかったフリをしてゆうちゃんに笑いかける..。
2005-12-22 00:10:00 -
106:
NN
夕方、うっすら目を開ける。ひどい頭痛..あたしはだるい体を引きずって携帯を広げる。『全然気にしてないし大丈夫(^^)今日も一緒に帰りたい』可愛い..あたしは携帯を前に笑う。本当にあったかい人。何て返信しようかな..そう思っていると玄関のチャイムが鳴る。あたしは黒いスエットのまま、玄関をチェーンを引っ掛けたまま、ドアを半開きにすると、「ジュリちゃーんっ!!」騒がしい声があたしの耳に飛び込んでくる。シュナだ。あたしはチェーンを外す。ピンクのファーを着てサングラスをかけている。まるで芸能人みたいな格好。
2005-12-22 00:11:00 -
107:
NN
「ねぇジュリちゃんっ今日出勤でしょっ?ラストまででしょ?シュナもなんだぁその後ホスクラ一緒に行かない?ヘブン!」目覚めの一発を食らった気持ちになった。あたしが苦笑すると「あれ?ジュリちゃん暖房つけすぎ?顔赤いよ?熱?」シュナがあたしのおでこに手を当てる。そういえばさっきから頭が痛い。「うわっやばいよ絶対熱ある!」そういうとシュナはあたしの腕を引っ張りあたしの部屋に入ってくる。「寝て寝て!ヤバイってほんっとに」確かにすごく体がだるい..昨日寒かったからなぁ風邪ひいたのかも..そんなことをぼんやり考えていると、シュナが何か買ってくる??大丈夫??と心配そうな顔であたしを見る。大丈夫、とあたしが返事をすると本当に?とまた心配そうな顔をした。
2005-12-22 00:12:00 -
108:
NN
「店長には今日休みってこと、シュナがいっといてあげるよっ」シュナがピンクの携帯を取り出す。あきらかに携帯より大きいバラのストラップがついている。ありがとう..あたしが小さくつぶやくと、テーブルの上においてある携帯が音を鳴らす。「あ、ジュリちゃんの携帯なってるねっ」シュナがあたしの元へ携帯を持って走ってくる。シルバーの携帯。ストラップはなし。本当にシュナとあたしは正反対みたいだ。シュナは嬉しそうな顔であたしの携帯の画面を見る。「あー電話彼氏からだよ、ゆうちゃんっていうんだよね!ねぇ出ていい?」は?「ちょっと!」あたしはベットから飛び起きる。だけど、時、すでに遅し状態だった。
2005-12-22 00:13:00 -
109:
NN
シュナはニコニコしながら電話に出ている。「もしもーしゆうちゃんですか?シュナですっ!昨日お話した!はいっ!あのね今シュナ、ジュリちゃんのお部屋にきてるんですけどっ、ジュリちゃん風邪ひいてて熱がすごいのっ!お見舞いきてあげて!うん、うん、はーいまってまーす!」呆然とするあたしを前に、シュナは電話を切り、「今から来てくれるって!」と、あたしににっこり微笑む。仲のいい子でもないのに勝手に電話出られるなんて、あたしは怒り心頭してしまうタイプなんだけどシュナは何だか憎めない。本当に不思議な子。
2005-12-22 00:15:00 -
110:
NN
「じゃー邪魔者は出てこっと!オートロック、シュナがあけといてあげるねっ。お大事に」シュナはいいことしちゃったぁと言いながら、部屋を出て行く。ありがとう、とあたしがつぶやくと、シュナは一度振り返り、つぶやいた。「ねぇジュリちゃん、今の彼氏大事にしなね。あの人ならきっと大丈夫だよ。あたし達のこと、風俗嬢って以前にオンナだっていうこと、人間だって言うこと、ちゃんとそう見ててくれるよ」シュナなんて何も考えてない子なんだと思ってた。だけど今、シュナの言葉に身が震えた。結局、何も考えずに風俗嬢をズルズル引きずってきたのはあたしだけってことだ。
2005-12-22 00:15:00 -
111:
NN
◆シュナの電話から1時間経った頃、玄関のチャイムが鳴る。少しウトウトしている最中だった。あたしは、ドアを開ける。「大丈夫!?ごめん起こした!?」血相を変えたゆうちゃんがチェーン越しに見える。本当に来てくれたんだ..あたしはチェーンをはずす。来ないって疑ってたわけじゃないけど、何だか驚きだ。「何か風邪に何がいいかってわからなくって適当に買ったんだけど」急いで走ってきたのだろうか、白いゆうちゃんの肌がほのかに赤くなっている。あたしにスーパーの袋を渡す。ヨーグルト、りんご、バナナ、風邪薬、カイロ。無造作に詰め込まれた『風邪に効くもの』用品にあたしは少し笑う。ゆうちゃんなりに何を買っていいかわからないのかわからなくって、とにかく何でも詰め込んだのだろう。
2005-12-22 00:16:00 -
112:
NN
「ジュリちゃんて、昼間何してるん?」ゆうちゃんが寝転ぶあたしを見てつぶやく。心臓が音を立てる。何も怪しまずに聞いているの?あたしが風俗嬢とここで言ったらあなたはどうするの?どうするの?あたしはまた嘘をつくの?ねぇいいの?言ってもいいの?「昼間は..事務してるわ。ちっさい会社で..」あたしはそう言うだけで精一杯だった。声が震える。「大丈夫?」ゆうちゃんがあたしの手を握る。
2005-12-22 00:19:00 -
113:
NN
大丈夫..そうつぶやいた瞬間、あたしの唇にゆうちゃんの唇が重なる。やわらかい、あたたかい。甘い感触に骨までとろけそうになる。たった数秒のキスが胸を焦がす。ゆうちゃんのキスはかすかに昼間の太陽の匂いがした。「ごめん、いきなり」顔を赤らめるゆうちゃんにあたしが笑う。「一緒に寝えへん。風邪うつさんようにするから」あたしはゆうちゃんをベットに入れる。「なんか照れるわ」とゆうちゃんが笑うと、2人で体を抱きしめあう。セックスのないベット。ただ抱きしめられるだけで、こんなに、体中があったかくなる..。
2005-12-22 00:20:00 -
114:
NN
「そういえば今日田村から電話あってん」何気ないゆうちゃんの一言で一気に夢心地から覚める。一番聞きたくない名前だ。「何て?」「いや今日学校こんのーって」本当にカムイはゆうちゃんがスキやな、と、心の中でつぶやく。男と一緒に寝てセックスがなかったのは初めてだった。今が続くように。今がずっと続きますように..何度も重ねるキスにそんな願いを一緒に重ねた。もう何も捨ててもいい。この人がくれる愛を、それだけを守って生きたい。
2005-12-22 00:21:00 -
115:
NN
◆朝起きたらゆうちゃんの姿はなかった。あたしが起きないようにと静かに玄関を出ていったゆうちゃんの気持ちが嬉しかった。早く元気になってな。テーブルの上に残されたメモを見て、また少し微笑んだ。カーテンを開けると冬の朝の日差しが眩しい。9時。こんなに早起きしたのは初めてだ。あたしは買ったばかりの靴を箱から出し、玄関を出る。気持ちいい。今日は朝10時、夕方5時までの出勤。あたしは珍しくタクシーを使わず、店まで歩く。鳥が鳴いてたり、遅刻して急いで走ってる中学生の姿、店の前を掃除するおじいちゃん、片手に携帯を持って歩くサラリーマン。
2005-12-22 00:22:00 -
116:
NN
何だかあたしの知らない世界。すごく心地いい世界。優しい匂いがする。ゆうちゃんのぬくもりと同じ。早くあたしもこんな匂いが似合うような人間になるんだ。夜の匂いを残したままの繁華街に足早に足を入れる。酔っ払ったホストが道端に座り込んでる。日常茶飯事だ。あたしは大きなサングラスをかけたまま、コソコソ店に入る。入ろうとした瞬間、後ろから聞きなれた声が響く。
2005-12-22 00:23:00 -
117:
NN
「やから、ちょっと待てってば!」「離してぇやっ!!もーカムイなんか信じられんわっ!!」振り返ると金髪と茶髪メッシュ混ざり合った派手な髪型をした少しぽっちゃりした女の子の腕をカムイが引っ張っていた。あたしの存在に気がついてか、カムイは女の子の腕を離す。同時に女の子は繁華街の出口へと走り去ってしまった。「ごめん修羅場見ちゃった」あたしがつぶやく。「見物料もらおかなー」カムイは笑う。シャツのボタンがはだけまくって、足元がフラフラしている。お酒の匂いが鼻につく。
2005-12-22 00:24:00 -
118:
NN
「ジュリちゃん、今日早出なんや」カムイが路地に座り込む。朝の日差しの下で見るカムイは、いつもより少し幼く見えた。カムイはポケットからタバコを取り出す。「そうやで。朝から気分悪いもん見せてくれてありがとう。」あたしはカムイに背中を向け店へと続く階段を登る。「昨日さぁ西野ちゃんもジュリちゃんも休みやったけどデートしてたん?」あたしは振り返る。「そうやけど。」口から煙を吐き出し、カムイは笑う。そして腰を上げ階段をゆっくり登りあたしに視線を合わせると、また少し笑う。一瞬寒気がした。カムイの今気がついた笑顔って笑ってないんだ。目が全然、笑ってない。
2005-12-22 00:25:00 -
119:
NN
「俺も、結構、ジュリちゃんのこと、気になるんやけどな」は?あたしが驚いた表情をする。そのスキにカムイの酒にまみれたキスが唇を襲う。あたしは階段から力いっぱいカムイを跳ね飛ばす。「もう二度とあたしに触れんといて!!」あたしは声を上げる。何なんあいつ、一度といわずニ度も..あたしは力いっぱい店の扉を開ける。もう顔も見たくない。シュナが言ってた枕色恋ホストっていうの、間違いなさそうだ。仕事中も怒りがおさまらなくって、モチベーションが崩れる。イライラする。
2005-12-22 00:26:00 -
120:
NN
前にシュナの話にでてきた東京No1ホスト氷咲カオルは、約半年程前に店を飛んでいた。半年前発売された雑誌の中で微笑む氷咲カオルは、驚くほどカムイによく似ていた。ネット掲示板や、ホストの間でにわかに、氷咲カオルと田村カムイの兄弟説がささやかれていることを、あたしが知っているはずもなかった。いや、知るのはもう少し先の話だった。その中に隠されたカムイのやるせなさやセツナさも、全部。
2005-12-22 00:28:00 -
121:
NN
◆細い体しとんのにようあんなバカ力出るな..カムイは倒れ込んだ体を起き上がらせる。もう朝か。俺は携帯を見る。ホストなんて続けてなにになるんやろ。ふとそんな事を考える。「おいカムイ何しとん」店の先輩が俺の肩を叩く。「あ、こけてました」俺が笑うと、先輩はあほやなぁお前、とつられて笑う。「先輩今から帰るんっすか」俺が訪ねると、先輩はスーツのボタンを苦しいとつぶやき、ひとつあける。「いや、営業やで」「営業?」「おお、ここの風俗店に営業」先輩はラブジュールを指差す。ジュリちゃんの店だ。
2005-12-22 00:35:00 -
122:
NN
「カムイも入る?」「いやいいっす」カムイは先輩に手を振り、繁華街を歩く。酒が体に浸透してる。頭がズキズキする。目の前がクラクラする。すれ違う人の声にいちいち体がビクっと反応する。まるでドラック中毒みたいやな。俺はタクシーを止める。無愛想なタクシーの運転手に行き先を告げると、窓の外から女と、どこの店のホストだろうか?スーツの男がキスをしている姿が目に映る。あんなキスひとつで信じる客なんているのか?ってくらいのコテコテ営業。
2005-12-22 00:36:00 -
123:
NN
キスで目覚める恋なんて、白雪姫か小学生の初恋じゃないのか。ネオンに光る水商売の恋は嘘から始まるんだ。嘘で始まり金が切れたらはい、おしまい。ホストの仕掛ける恋のトリックなんて、いつの時代もわかりやすい。それは全部、この街から教えてもらったことだ。
2005-12-22 00:37:00 -
124:
MM
ぷぅ?
ぁ、屁デタ2005-12-22 00:58:00 -
125:
名無しさん
おもろすぎ?カオル出てきてテンションあがった??
2005-12-22 03:08:00 -
126:
梨果
この作者さんの話好きですリアルすぎてたまに恐くなるけど愛した人間が愛する人間より強くいたいと思いました。。 Nさんは職業何ですか?
2005-12-22 03:10:00 -
127:
名無しさん
アリス出して?
2005-12-22 03:12:00 -
129:
みぃ
早く続き読み+ニぃーっ?主さん頑張って下さぃ?楽∪みに∪てます??
2005-12-22 12:34:00