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  • 1:

    郁 ◆SQsTTehSgI

    あたしの目に映る世界は白黒だった。

    2005-10-06 04:54:00
  • 11:

    お互いの部屋には決して勝手には入らないというのが暗黙の了解だった。
    あたしはノリさえ一瞬すぐに使って返せばバレないと思っていた。
    しかし、ノリがなかなか見付からない。
    玄関で鍵が開けられる音がした。
    【やばい!】

    2005-10-06 05:51:00
  • 12:

    バタバタバタ…
    階段を上がってくる音。
    焦って引き出しを閉めようとしたら、物がひっかかってなかなか閉まらない。
    当時、あたしと兄の部屋は3階だった。
    2階の床を踏み、またバタバタと上がってくる。

    2005-10-06 05:54:00
  • 13:

    【もぅ駄目だ。見付かる…】
    部屋に入ってきた兄と目が合う。
    あたしの姿を捕えると、肩に下げていた鞄を顏めがけて投げ付けてきた。
    『イタッ!』
    何か中に入っている固いものが額に当たった。

    2005-10-06 05:57:00
  • 14:

    『勝手にはいんなや!!』
    次に蹴りが脇腹にヒット。
    これは効いた。
    『〜…っ』
    声にならない。

    2005-10-06 06:01:00
  • 15:

    あまりにもの痛さに思わず膝をつき、前屈みになって脇腹を押さえる。
    この頃の兄は荒れに荒れていて、喧嘩に明け暮れる毎日だった。
    何度警察が家に来た事か。
    『ごめん』
    やっと一言だけ声を絞りだした。

    2005-10-06 06:05:00
  • 16:

    痛さと恐怖心で半泣き状態だった。
    『ぁあっ!?何て!?』
    髪を掴まれ、顏をあげさせられる。
    兄の目はキレていた。
    もぅ一度謝ろうとしたが、口がパクつくだけで声が出ない。

    2005-10-06 06:08:00
  • 17:

    すると、左頬に激痛が走った。
    だんだんと痛みと熱が増してゆく。
    兄が力任せに掴んだ髪はブチブチと少し嫌な音がした。
    そのまま壁に後頭部をぶつけられて、兄の手から解放された。
    『はよ出てけ』

    2005-10-06 06:15:00
  • 18:

    足に力が入らず、立ち上がる事が出来なかったので、はいつくばって自分の部屋まで逃げた。
    なんとか部屋のドアを閉めると、張力を失った涙が一気に溢れす。
    この時から、兄の存在があたしにとって恐怖そのものになった。

    2005-10-06 06:22:00
  • 19:

    その日は風呂に入り、食事をとり、部屋にこもった。
    宿題に手がつかず、ベットに寝転んで本を読んでいると
    ―…ガチャ…
    音がした方を見ると、ドアがあいていた。
    隙間から見えるのは兄の影。

    2005-10-06 19:23:00
  • 20:

    心臓がだんだん早くなる。
    嫌な予感がした。
    ゆっくりとドアが開くと、兄が入ってきた。
    あたしは今すぐにでも逃げ出したかった。
    しかし、唯一の出入り口には兄がいる。

    2005-10-06 19:27:00
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