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『夢』

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  • 1:

    菜月 ◆KRWoIhunV2



    1995年1月26日―


    2005-09-21 12:33:00
  • 11:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    母は黙って運転をしていた。
    私は助手席から窓ごしに移り行く風景を無言で見ていた。
    車が止まりエンジン音が消えた。母は大きなため息を漏らし車から降りた。
    私も続いてドアを開けた。

    2005-09-21 13:12:00
  • 12:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    車から降りると大きな国立病院がそびえ立っていた。
    朝早いにも関わらず救急車が行き来をしていた。
    「亮何処におるん?」
    何処かで身を潜めて待っていると思いキョロキョロと辺りを見渡した。

    2005-09-21 13:14:00
  • 13:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    見つけたら怒ってやろうと思い、母を急かした。
    「何処おるんって?早く。」
    「・・・行こか。」
    母が重たそうに体を動かした。私は横に並び付いて行った。

    2005-09-21 13:16:00
  • 14:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    ウィーン・・・―
    表玄関の自動ドアが開く。
    パタパタと足早に歩く看護師さんがあちらこちらに見えた。
    エレベーターへ乗り地下1階へ降りた。そこは薄暗く廊下が長く伸びていた。

    2005-09-21 13:20:00
  • 15:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    私達の足音だけが響き鼓動を早くした。
    廊下の置くまで行くと亮の父親が頭を抱え込み椅子に腰を下ろしていた。
    私達に気づくとおじさんは立ち上がった。
    「なっちゃん・・・。」

    2005-09-21 13:22:00
  • 16:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    おじさんは一目で分かる程やつれていて目を真っ赤に腫らしていた。
    「・・・ゴクリ。」
    私はその姿を見て唾を飲み込んだ。そっと前に立つ扉の方に目をやった。
    中からは女の人のすすり泣く声が漏れてきていた。

    2005-09-21 13:25:00
  • 17:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    足を引きずる様にして踏み出し中へ静かに入った。
    「おばちゃん・・・」
    「・・・なっ・・ちゃんっ・・?」
    おばさんの目はうつろで今にも消えてしまいそうだった。

    2005-09-21 13:27:00
  • 18:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    部屋の隅にはお線香がたかれ、おばさんの目の前にはベットがあった。
    ベットの上には人形のように横たわる亮の姿が見えた。
    私はいまだ信じられず、そっと亮に近寄った。
    急に起き上がって、いつもの様に笑ってくれると信じて・・・。

    2005-09-21 13:30:00
  • 19:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    「亮?」
    「なぁ・・・亮って!」
    「早く起きやぁ・・」
    私は亮の髪の毛を撫でて呼びかけた。青白くなった顔に私の涙が落ちる。

    2005-09-21 13:32:00
  • 20:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    「ヒック・・亮っ・・ヒック・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
    私は泣き叫び涙も声も枯れてしまった。
    その後の少しの間の記憶が私にはなかった。
    放心状態になった私は病院で用意してもらったベットで横になりしばらくして
    家に帰ったそうだった。

    2005-09-21 13:37:00
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