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『夢』

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  • 1:

    菜月 ◆KRWoIhunV2



    1995年1月26日―


    2005-09-21 12:33:00
  • 6:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    「・・・月!菜月っ!!」
    母親が慌しく部屋に入って来た。私はまだ眠い目を擦り時計を見た。
    「ぅぅ〜ん・・・まだ6時やん・・・」
    そう言って伸びをした私は亮の事を思い出し飛び起きた。

    2005-09-21 12:51:00
  • 7:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    急いで充電器にささったPHSを取った。
    だが画面にはいつもの待ち受けが虚しく緑色に光っているだけだった。
    今年は亮からの「おめでとう」が聞けなかった。肩を落とし落ち込む私に
    母は追い討ちを掛ける様に言った。

    2005-09-21 12:55:00
  • 8:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    「亮くんな、昨日亡くなったって・・・。」
    「もぉええってっ!」
    私はまた冗談を言って脅かそうとしているんだろうと思い軽くあしらった。
    すると母の鼻のすする音が聞こえ顔を見ると目には涙をためていた。

    2005-09-21 13:00:00
  • 9:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    母のその姿は冗談ではないのだと物語った。
    それでも信じられるはずがなかった。
    きっとまだ【夢】を見ているんだと思った。

    2005-09-21 13:03:00
  • 10:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    私は母に連れられ車に乗った。行く先は亮がいると言う病院だった。
    病院なんかに行ったって亮がいる訳がない。そう強く信じた。
    今日は私の誕生日―
    みんなが大掛かりで脅かそうと芝居をしているに決まっている。

    2005-09-21 13:07:00
  • 11:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    母は黙って運転をしていた。
    私は助手席から窓ごしに移り行く風景を無言で見ていた。
    車が止まりエンジン音が消えた。母は大きなため息を漏らし車から降りた。
    私も続いてドアを開けた。

    2005-09-21 13:12:00
  • 12:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    車から降りると大きな国立病院がそびえ立っていた。
    朝早いにも関わらず救急車が行き来をしていた。
    「亮何処におるん?」
    何処かで身を潜めて待っていると思いキョロキョロと辺りを見渡した。

    2005-09-21 13:14:00
  • 13:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    見つけたら怒ってやろうと思い、母を急かした。
    「何処おるんって?早く。」
    「・・・行こか。」
    母が重たそうに体を動かした。私は横に並び付いて行った。

    2005-09-21 13:16:00
  • 14:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    ウィーン・・・―
    表玄関の自動ドアが開く。
    パタパタと足早に歩く看護師さんがあちらこちらに見えた。
    エレベーターへ乗り地下1階へ降りた。そこは薄暗く廊下が長く伸びていた。

    2005-09-21 13:20:00
  • 15:

    菜月 ◆KRWoIhunV2

    私達の足音だけが響き鼓動を早くした。
    廊下の置くまで行くと亮の父親が頭を抱え込み椅子に腰を下ろしていた。
    私達に気づくとおじさんは立ち上がった。
    「なっちゃん・・・。」

    2005-09-21 13:22:00
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