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ろくでなし
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1:
◆V.1EmO5.Ng
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2005-06-07 12:42:00 -
17:
◆V.1EmO5.Ng
「ちょっとすいませーん。あの、、私、化粧品のモニターモデルを捜している者なんですが…」
玉城は声のする方に眼をやった。型にはまった、センスのかけらも無いアプローチーーー湯沢が富士銀行の前で20代半ばと思われる女を止めていた。湯沢は38歳になるソフィーの営業マンで、キャッチ歴5年の古株だ。アプローチ同様に、田舎ホストさながらのパープルのスーツはセンスが無く、まげを切られた武士のように額から後頭部にかけてはげ上がったヘアスタイルに突き出た頬骨と出っ歯が印象的な湯沢は、どちらかと言えばピンサロの呼び込みでもやってそうな雰囲気の男だ。2005-06-07 22:06:00 -
18:
◆V.1EmO5.Ng
さりげなく玉城は湯沢の背後に回り、女の用紙に舐めるような視線を這わせたーーー舌打ちした。
暇人丸出しのゆったりした受け答え、人の良さそうな下膨れの顔、熱いファンデーションでも塗りつぶせない額のニキビ、くびれのないダルマ体型、ストッキングに包まれた二本の大根、大根に密集する脛毛ーーー美顔、痩身、脱毛の三冠王を眼前にして、舌打ちが舌舐めずりに変わった。2005-06-07 22:12:00 -
19:
◆V.1EmO5.Ng
美顔、痩身、脱毛が必要な女というだけで、舌舐めずりをしたわけじゃない。女が金を持っているかいないか、財布のひもが堅いか緩いかを見抜く玉城の観察眼と洞察力は、依頼客を眼前にしたシャーロックホームズをも上回る。
2005-06-07 22:16:00 -
20:
◆V.1EmO5.Ng
玉城は頭の中で素早く電卓を弾いた。美顔クリーナーセット40万、スリムバンテージセット28万、脱毛クンスペシャル55万、締めて123万の契約は堅い。
2005-06-07 22:26:00 -
21:
◆V.1EmO5.Ng
遠巻きに和田、島内、小暮の3人が極上カモをゲットしそうな湯沢の一挙手一投足に嫉妬と羨望の入り交じったまなざしを向けている。
玉城は湯沢に背を向け、ふたりのやり取りに聞き耳を立てた。2005-06-07 22:28:00 -
22:
◆V.1EmO5.Ng
「当社の化粧品についての感想をアンケート方式で答えてもらうだけです。お時間は取らせません。ほんの4、5分で終わりますから」
「ええ〜、どうしようかな。なんだか怖いしぃ。アンケートとか言ってなんか買わせるんでしょ?」
玉城は失笑をかみ殺した。いくら女が千人にひとりの極上のカモでも10年前にタイムスリップしたような湯沢の古くさいアプローチで落とすのは無理だ。普通の女なら立ち止まりもしないだろう。これでは湯沢が月に2、3本の契約しか取れないのも無理は無い。2005-06-07 22:35:00 -
23:
◆V.1EmO5.Ng
「いいえ、何も売ったりしませんよ。ほ、本当にあなたをモニターモデルとして当社の化粧品についてのご意見を伺いたいだけです。なんとかお願いしますっ」
出っ歯をむき出しにして揉み手でざんばら頭を下げる湯沢の姿が眼に浮かぶようだった。2005-06-07 22:37:00 -
24:
◆V.1EmO5.Ng
結果は見えた。営業マンが口角泡を飛ばさんばかりに拝み倒す展開になったら、一部の例外を除いては、まず、どんな女でも腰を引く。一部の例外とは、多少不安な要素があるにしても、それを上回るだけの魅力が営業マンにある場合だ。その心理状態は危険な状態と思いつつも、持てない男が若い女の誘いに乗ってぼったくりバーに誘い込まれるパターンに類似している。
2005-06-07 22:41:00 -
25:
◆V.1EmO5.Ng
湯沢と違って自分には、いかなる不安も懸念も相殺しておつりが来るほどの美貌と話術がある。
「あの、私、人と待ち合わせているから、これで…」
「お願いしますぅ〜」
申し訳なさそうな女の声と見苦しく懇願する湯沢の声が交錯した。待ち合わせーー−でたらめ。ざんばら頭の湯沢がうっとおしくなっただけだ。女の断り文句がでたらめだということは数分後に証明されるーーー自分が証明してみせる。2005-06-07 22:47:00 -
26:
◆V.1EmO5.Ng
玉城は一旦ふたりから離れ、富士銀行の建物の陰に移動した。ベルサーチのセカンドバッグから携帯手鏡と電動式鼻毛カッターを取り出した。スイッチを押したーーー唸りを上げるモータ音。膨らませた鼻孔に鼻毛カッターを挿入した。ジョリッという小気味いい感触が掌に伝わった。左右の鼻孔に同じ動作を繰り返し。鼻毛カッターをしまった。続いて脂取り紙で鼻のテカリを、デンタルクリアペーパーで歯の汚れを拭き取り、口臭スプレーをシュッとひと噴きした。口内にクールミントの味が広がった。
手鏡をのぞいたーーー端正な顔立ちにうっとりした、女が自分に夢中になるのも仕方が無い。眉ブラシで眉毛を整え、ブラシで髪をとかした後に、手ぐしでナチュラルなウェーブを作った。仕上げに頭を軽く左右に振った。手鏡の中で、要項を受けたブラウンのロングヘアがシルクの光沢を放ちながら、サラッと宙に舞った。2005-06-07 22:58:00