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東京心中24時50分
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1:
NN
毎晩毎晩、その一瞬一瞬に新しいホストが生まれ、そして消えていく。彼らに行く末は何処にもないのかもしれない。それとも永遠にこの世界で生きていけるという道があるのかもしれない。
どちらにせよ、消費されていくんだ、体も心も。そして新しいものが生まれていく。消耗品であることは間違いないみたいだ。いつ自分は消えていくのかな。2005-10-21 02:30:00 -
100:
NN
116さん 117さんありがとうございます!!読んでくれてる方がいるのか..と不安やったので、すごく嬉しかったです!!
2005-11-02 23:15:00 -
101:
NN
“最近彩人の勢いスゴイよね。前店行った時、客に信じられないくらい色々あけさしてたもん。かなりNo1になりたいって感じ。カオルは焦ったりしてないのかな。”“あの顔が何か誘ってくるんだよねーあたしもきっと騙されるわ笑。彩人ってカムプリはいって一年くらいだよね?で速攻No2になってそのまま一年経ち..みたいな?”
2005-11-02 23:16:00 -
102:
NN
“彩人口座の子はみんな「彩人No1にしてあげたい!」って言ってて、前に「ディテ●ール」ってキャバで人気あったシュ●って子、彩人に貢ぎまくって金ヤバくなって、今は売れっ子のソープやってるよ。もちろんその金も全部彩人につぎ込んでるけど”“今、カオルより勢いない!?もしかしたらNo1、マジでなるかもよ。来月あたり”“ありえる!彩人って、誘うオーラ、めっちゃうまいしねぇ!”
2005-11-02 23:17:00 -
103:
NN
「こんなもん、見るもんじゃないぞ。」店内でアリスが広げていたノートパソコンの画面は、ホストの情報や裏話、デマなどが大量にあふれ出している掲示板が映し出されていた。雷は不機嫌そうにアリスをにらむ。
2005-11-02 23:18:00 -
104:
NN
「すごいねーデカムの意見掲示板、ほとんど彩人さんのことばっかだ!カオルさんの話題、少ないよ。」アリスは画面に釘付け状態で、雷の顔を見ようともしない。金色に光るジッポをポケットから取り出し、雷はタバコに火をつける。「すごいもんか、最近の彩人はどうかしてる。あいつはNo2というよりスキャンダルNo1だな。」
2005-11-02 23:19:00 -
105:
NN
「ホストなんだから、何にでも二番より、どっか一番がある方がいいと思うけど!」マウスを慣れない手つきでカチカチと動かし、アリスは大きなあくびをした。「またお前は知ったかぶって..。ああいうやり方、俺は好きじゃないんだよ。シュナちゃんをソープにまでいかして..。」フっと息から煙を吐き出すと、アリスは臭いー!と叫んだ。
2005-11-02 23:21:00 -
106:
NN
店内にはまだ、夜の熱気が残ったままで、体が少しほてる。「ホストに貢ぐ限度を知らないシュナさんって人がバカなんじゃない?ホストなんか騙して客は騙されてなんぼ、なんてわかってるでしょ?あーインターネット飽きちゃった。電源きっといてー」そういうとアリスはノートパソコンを乱暴に雷の方へと寄せる。
2005-11-02 23:22:00 -
107:
NN
「最近、この店の風紀が乱れてる気がする。デカムはさ、純粋にお客さんがホストと酒を飲みながら話をしに来て、笑顔で帰って行ける店だったんだよ。なのに、カオルNo1、彩人No2、っていうのができてから、変わった。お客さんもホストも競いすぎてそれが表面にでてくる。これじゃあオラオラ、お前いくら俺に金使えるんだよ、って、のっけから脅してるみたいじゃねぇか。」と、雷がつぶやく。
2005-11-02 23:23:00 -
108:
NN
「風紀もクソもないでしょ?最近のホストクラブってのはそもそもそうなんじゃん。雷ってホスト向いてないんじゃない?とっとと居酒屋経営か何かにでも転職すれば?」本当にクソムカつくガキだ。雷は腹のそこからそう思った。しかし、アリスの言う言葉は全て正論だと、わかっている自分もいる俺は理想論ばっかり言ってる気がする。「だけど、彩人はフェアじゃないっていってるんだよ。第一シュナちゃんもなぁ。」そう雷がつぶやくと、アリスはフフん、と鼻で笑った。
2005-11-02 23:24:00 -
109:
NN
同時にアリスのポケットから、携帯の着信音がドでかい音を出し店内に響く。あ、じゃあ僕もう帰るね、とつぶやくと、アリスは雷に背を向けた。そして、一度振り返り、またフフんと鼻で笑った。「なーんか雷さんってすんごい正義感溢れるキャラだね。でもさぁ、そういうキャラって損だよ!いい人で終わるからねっ!」
2005-11-02 23:25:00 -
110:
NN
「なっ・・何だお前!何だよ損で終わるって!!」動揺する雷を横目にアリスは笑顔で手を振った。「シュナちゃん♪」
「お前、なっなにを勘違いして、おっおれはそっそんなべっべつに好きとかじゃ」2005-11-02 23:26:00 -
111:
NN
無我夢中に生きていた 明日のことはよくわからなかったけれど ただ夢だけはいつもそこにあった No1になること たったひとつの夢
今は何も見えなくなってしまったけれど あの日 カオルさんに勝ち逃げされたまんまで 俺はこの店を去ることになるんだ
2005-11-02 23:28:00 -
112:
NN
ホストにプライベートはない。と、思う。家に帰って起きるのが夕方。たまった客からの着信とメールに目を通して返事。「今日これる?」と、確実な指名数を得るため客を呼び出す。23時半、俺はいつものように制服であるスーツに身をまとった。
そろそろ仕事の時間だ。店に行かないと。2005-11-02 23:29:00 -
113:
NN
携帯を開くと新着メールが一件。さっき全部目を通したはずなんだけどな..受信ボックスを開くと知らないアドレスだった。店のHPにも自分が紹介された雑誌にも、ホストの携帯番号とメールアドレスは記載される。だから知らないメールアドレスや番号から来たとしても、客になる可能性があるので、一応目を通すし電話にも出るのだ。
2005-11-02 23:30:00 -
114:
NN
*タイトル・無題*あんたが貢がせてるシュナ。キャバからソープで、今はAVもやってるよ。AVのタイトルは「真夜中のコール24回」っての。AVの内容はシュナちゃんが看護婦さんで 夜勤のときナースコールがなるんだよね。で、24人の奴とヤっちゃうって わけ。
AV出演料に300万もらったってさ。これ、新人AVアイドルにしたら破格の値段だよ。+ヘルスで、今月の月給は400万越え。あんたのために飲まず食わずで、ソープ→AV→ソープ、の生活続けてるからねあんたすごいわ。さすがホスト。さすがデカムのNo2だね笑
女にAVまでやらせて金欲しいってか笑笑馬鹿なホストにAVやってまで貢ぐ女も馬鹿馬鹿で、まぁ、いいんぢゃねぇ?笑2005-11-02 23:31:00 -
115:
NN
「シュナがAV..?」メールを見て呆然とする。確か昨日雷さんがヘルスを始めた、とは言っていたけど、まさかAVにまで。一瞬、心臓の音が早くなったのが自分でもわかった。
2005-11-02 23:33:00 -
116:
NN
気がつけば「AV新作リリースNo1」をかかげて誇らしげに営業する、ドでかいAVレンタル屋の前に立っていた。店は異様な雰囲気を漂わせていて、入るのに少しためらった。
彩人のためらう体を押せ押せといわんばかりに、ひとりの男性がビデオ屋にためらいもなく、入っていく。2005-11-02 23:34:00 -
117:
NN
それについて行くかのように、彩人もビデオ屋に入る。ドアを開けると、そこには無愛想な中年の男性がレジにひとりいるだけで、店内はガラガラだった。彩人はすぐにレジに向かう。確認しなくちゃいけない こんなメールはデマかもしれない
そう頭の中で何度も何度も繰り返しながら、レジに座る中年男性に「すみません」と声をかける。2005-11-02 23:35:00 -
118:
NN
「はい」店員は無愛想な顔で短い返事をする。彩人は小さな声でつぶやく「AVについて聞きたいんですけど。『真夜中のコール24回』・・・っていうAV、おかれてますか」レジの横にあるパソコンで店員がビデオの検索でもしてくれるだろう、と、彩人は考えていたが、予想を裏切るかのように、店員はニッコリ微笑んだ。
2005-11-02 23:36:00 -
119:
NN
「ああ、そのAV。今日だけで電話問い合わせ、5回あった超人気新作AV。悪いけど、全部貸し出しちゃってるよ。」「そのAV..主演女優の名前ってわかりますか」「ああ、わかるよ。シュナだろ、有沢シュナ。」
―有沢シュナ 「真夜中の24回コール」 Avは実存してる。「そうですか」と、つぶやくのが精一杯だった。2005-11-02 23:37:00 -
120:
NN
店員は彩人の顔をのぞきこみ、話を続けた。
「お兄さんも、シュナちゃんのファンなの?あのAVの完成度はすごいねぇ。AV初出演作には思えないよ、シュナ、多分、AV界のアイドルくらいになると思うよ。お兄さん知ってる?有沢シュナって、元キャバ嬢で今はAVしつつソープ..何ていったかな、ああ、『光』って店でソープまでしてるんだろ。」2005-11-02 23:38:00 -
121:
NN
「そのソープ、僕も一回、お世話になりにいこうと思ってるんだけどね。土台がキャバ嬢だけあって顔もめちゃ可愛いしさぁ、AVにまで出ててソープまでって、もう、たまんないね。」「そうですか」「あ、ビデオ予約入れる?今なら多分、二週間待ちくらいだよ。」いいえ結構です、そう言うと俺は逃げるようにして店内から出た。
2005-11-02 23:40:00 -
122:
NN
シュナがAV女優になった、というメールは、俺以外にも雷さん、カオルさんのところにまで同じ内容で送られていた、と、すぐ気がついた。雷さんからのメール。「今日、ちょっと早く店に来い。」それが、シュナのAVのことを知っている、と雷さんが物語っているようだった。
2005-11-02 23:41:00 -
123:
NN
雷さんは何気なく、俺の側に歩みよってくる。真っ黒なスーツの中に赤いネクタイ。何だか目がチカチカする。俺の胸にはアンジュにもらったsilverのネックレス。いつも暗い店内の、小さなスポットの光でキラキラ輝くこのネックレス。
2005-11-02 23:42:00 -
124:
NN
今日はこのネックレスが重く感じる。アンジュもAVに手を出したりし始めるのだろうか。ネックレスはますます重くなっていく感じがした。
2005-11-02 23:43:00 -
125:
NN
「彩人、今日からお前、無理にシュナちゃんにボトルをあけさせるのをやめろ。お前がカオルを抜いてNo1になりたいっていう気持ちはわかる。だけど、シュナちゃんがAVにまで出るようになったのは、お前のNo1になりたいってエゴに、シュナちゃんがつき合わされた結果だ」
2005-11-02 23:44:00 -
126:
NN
No1になりたくて。ただNo1になりたくて。雷さんの話を聞いている時の俺自身が怖かった。これは、シュナへの罪悪感じゃない。AV女優になったもんは、もうしょうがない。シュナに開けさせないとNo1になれない。そう思い続けている自分が恐かった。これは歌舞伎町マジックなんかじゃない。
もう、自分は歌舞伎町という舞台から引くことができないのだ。
2005-11-02 23:45:00 -
127:
NN
「雷ちゃん雷ちゃん、エゴに付き合わされた結果っー言い方はおかしいで」「カオル!」腕を組み、壁に持たれながら、カオルさんは片手に火の付いたタバコを持ち眠そうな顔をして、つぶやいた。
2005-11-02 23:46:00 -
128:
NN
「No1にしたげたいって思ってシュナちゃんが勝手に働き始めたんも悪いやろ。別に彩人が女優なれ!て強制したわけちゃうねんから。シュナちゃんに限らずこういうことはよくあったやろ。過去にも。とまらへんくなってしまった一般のお客さんがソープなったりとか。ホストクラブにはつきもんみたいなもんや」お前なぁ・・・、と、雷さんはため息をついた。
2005-11-02 23:47:00 -
129:
NN
そしてカオルさんは俺の方を見ると「そうやんな」と同意を求める。「はい」と答えてしまう自分が悲しい。こんな時にでもNo1とNo2の差は一目瞭然だ。「雷ちゃん、妙に最近シュナちゃん関係の話で、彩人につっかかるやんなぁ」
2005-11-02 23:48:00 -
130:
NN
雷さんはあせると早口になる。と、店の誰かが言っていたけど、まさにその通りだと思った。早口になったら雷さんをまぁまぁそうカッカせんと、と、カオルさんは幼い子供をなだめるかのように、耳元でボソッとつぶやくようにささやく。「まぁ頑張りやー」「だっだから違うっていってるだろ!!!!」カオルさんと雷さんのやりとりを前に俺は店内をボーっと見渡していた。
2005-11-02 23:49:00 -
131:
NN
俺にそのボトルの価値があったのか。そんなことを考えだしたらキリがない。だけど譲れないものがあった。 誰を傷つけてもいいから。たとえ自分のためにソープになろうがAV女優になろうが、それは俺にとっての「毎度あり」だ。
2005-11-02 23:52:00 -
132:
NN
金さえかけてくれれば何だって綺麗に出来上がるさ。「本物」じゃなくても、金さえかけてくれれば、本物のそぶりくらいできるさ。あけてくれるなら、愛だって囁く、愛だって注ぐよ。
俺がそうさ。本物のフリをした偽物。2005-11-02 23:54:00 -
133:
NN
そんな偽物を手に取り 本物だと疑わない客。
悪いのはどっちなんだろう?
2005-11-02 23:54:00 -
134:
名無しさん
ぉもろ?
2005-11-03 00:06:00 -
135:
アユカ
めちゃおもろぃです!!頑張ってくださぃ☆☆
2005-11-03 00:15:00 -
136:
NN
アユカさん 155さん 読んでくれてありがとございます!!めっちゃ嬉しいです。更新は続けるのでよかったらまた読んでください!!
2005-11-03 00:52:00 -
137:
NN
ホストという仕事は 世間一般でいうと 女を騙して金を巻き上げて 最低な仕事だっていう。
だけどホストほど 勝ち負けがはっきりする仕事は そうそうないんじゃないか ここで勝ち上がるということは ここで勝ち続けるということは すごいことなんだ。ホストは戦ってるんだよ。自分と、そして残された体力と。2005-11-03 00:55:00 -
138:
NN
シュナは今日来るだろうか..そう思った瞬間携帯が音を立てる。着信だ。画面を見るとシュナの文字。俺は雷さんから隠れるようにしてバックヤードに走り電話を取る。「もしもし?」平常心。心の中でそう繰り返していた。「もしもし彩人?今から行くねっ今タクシー乗ったところだから!」シュナはいつものように元気な声だった。
2005-11-03 00:57:00 -
139:
NN
「ああ、待ってる。近くまで来たら電話して。迎えに行くよ」俺はそう答えて電話を切った。切った瞬間、やるせない気持ちと、これでいいんだと言い聞かせている自分と、2人の自分が存在した。俺はホストだ。これは仕事だ。そう何度も何度も思った。「お客さんが自分のためにソープ行ってAVでる。そんなことよくある話だ、気にすることなんかないんだよ。」そう言ってオーナーは俺の肩を叩いた。
2005-11-03 00:59:00 -
140:
NN
そうだ、カオルさんだってそう言っていたじゃないか。俺は間違ってない。No1になるんだ、なるんだ。「彩人はまだ人間なんやな。」振り向けばカオルさんが立っていた。「どういう意味ですか?」俺は携帯を片手に握り締めカオルさんを見る。「俺なんてもうホストサイボーグやねん。もう、客がどうだこうだっていうよりも、自分のことしか考えてへん。彩人、客に罪悪感覚えてたらいつまでたってもNo1にはなれんで。」
2005-11-03 01:02:00 -
141:
NN
心臓を突き刺された気がした。カオルさんは今まで見たことのないぐらい、冷酷な顔をしてそうつぶやいた。「ホストに客への感情移入はいらんで。ナンバー入るようなホストならそんぐらいわかるやろ。」「すいません」俺は小さな声でカオルさんに謝り、頭を下げる。
2005-11-03 01:05:00 -
142:
NN
「彩人見てるとまぶしいわ。一生懸命すぎるからお前は。」「そんなことないですよ。カオルさんの..言うとおりだし、全部」素直にそう思った。シュナのことを心配してるなんて口ばっかりだ俺、心の中では金ズルがでかくなったと喜んでいる気がする。
落ち込んだ顔で俺が床に座りこむと、カオルさんは悲しそうな顔をしてつぶやいた。2005-11-03 01:07:00 -
143:
NN
「俺は、いつからこんなホストになってしまったんやろ。」
2005-11-03 01:08:00 -
144:
NN
カオルさんが 俺から勝ち逃げしたあの日 やっと その意味が 少し わかったんだ
2005-11-03 01:12:00 -
145:
116
頑張って完結して下さいね。最後までよませてもらうんで…。
2005-11-03 01:45:00 -
146:
タィトル通り
ァャトが客と心中?
2005-11-03 01:54:00 -
148:
なきほ
ずっと読んでます。頑張ってくださぃ!絶対完結してくださぃね!
2005-11-04 15:08:00 -
149:
NN
読んでくれてありがとうございます!!絶対完結させます。
2005-11-04 23:33:00 -
150:
NN
シュナはその日、1時過ぎに店に現れた。いつもと変わらない笑顔で「彩人っ!」と手を振っていた。最近シュナは少しやせた気がする。今、そんなことに気がついたんだけど。
「もう彩人ぉ会いたかったぁ」そういっていつものように俺に抱きつこうとした瞬間、雷さんがシュナの腕をつかんだ。
2005-11-04 23:35:00