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好きだった

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  • 1:

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    あの日、君と恋に落ちた。だけど今、ついに俺は君を愛してしまったのだろう。

    2006-07-22 02:56:00
  • 43:

    ×

    教室に戻ると「おお!お前トイレなっげぇなぁ!」とリュウジが茶化す。
    いつもみたいに「うるさいわ」と突っ込み返す余裕がない。黙り込んだ俺を見て、リュウジはつぶやく。「お前、どうした?なんか、あった?」

    2006-07-24 00:51:00
  • 44:

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    俺達は教室を出て食堂に向かった。昼前ということもあり、食堂はガラガラだった。俺がミオの一件をリュウジに話すと、リュウジは煙草を片手につぶやいた。「まぁなぁ・・ミオちゃん、前からいい噂聞かなかったからな」と、驚くほど冷静だった。
    「なんやねん、それ。知ってたん、お前。」「まぁな、ちょこちょこな。男遊びが激しいとか、そのくらいだけど。」「じゃあなんで俺に言ってくれへんかってん!」声が食堂に響く。なんで俺はリュウジに当たってるんやろ。本来はミオに問いただすべきやのに。まだミオを信じてる気持ちがあるねん。ほんま、俺は情けない。

    2006-07-24 00:55:00
  • 45:

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    「言ったってお前、信じないだろ?お前、女と付き合うと周りが見えなくなるから。」
    リュウジの言葉の通りだった。
    いつも女のケツばっかり追いかけて、追いかけて、周りの声を聞かない。同じ失敗を繰り返してるだけ。大阪でも、東京でも。きっとこの先も。ふさぎ込む俺を前に、リュウジは「お前は顔だけはいいんだから」と、皮肉にも似た励ましの言葉をつぶやく。「そんなん全然役たたへんやん」「よくいうよ。顔がいいっていうのも一種の才能よ。願ったってかっこよくなれねぇ奴だっているんだからさ、俺みたいに」

    2006-07-24 00:59:00
  • 46:

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    リュウジはけして男前、ではないが、軽快なトークで女を口説くのがうまい。大学でもかなりモテている。
    「お前は口ベタだけど顔だけはいいんだからさ。でもさぁ、カケル、お前、このまま顔だけ男で終わっていいのか?」
    顔だけ男??ミオをはじめ歴代彼女に言われ続けた言葉..。

    2006-07-24 01:02:00
  • 47:

    ×

    「全ての女に復讐してやるんだよ」

    2006-07-24 01:04:00
  • 48:

    ×

    リュウジの言葉に固まる俺を見て、リュウジは続ける。「そのためには、だな。やっぱり、するしかないぜ。」そういうと、リュウジは求人情報誌を勢いよくテーブルに置く。

    2006-07-24 01:05:00
  • 49:

    ×

    「エモーションっていうホストクラブ!ここ、先々月オープンしたばっかりなんだってよ。」「だから俺はホストは」首を降る俺の言葉をさえぎり、リュウジは声をまた大きくする。
    「今、このまま顔だけ男で終わっていいのかよ!?顔だけ男の復讐劇!はじめてみようぜ!」いつもなら。またリュウジがアホゆって。そう思うんだろう。だけど今日の俺は何かが違った。そうだ。いつまでも女のケツばっかり追いかけてちゃダメなんや..素直にそう思った。

    2006-07-24 01:09:00
  • 50:

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    ホストの仕事はもちろん、今まで水商売なんて完全に無縁だった。
    何もかもわからない。言葉ひとつ理解できないまま、外国に飛ばされたみたいな感じだった。あれよあれよという間に面接日時が決まり、俺とリュウジは「歌舞伎町」へと足を踏み入れた。ミオには『バイトの面接』とだけ短いメールを入れた。すると『そっかぁ頑張って!』と返ってきた。何をどう頑張るのだろう。むしろホストの面接って何を聞かれてなんて答えるのだろう。頭の中がチカチカした。まるで歌舞伎町のネオンみたいに。

    2006-07-24 01:12:00
  • 51:

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    「あーこんな格好でよかったのかなぁ」
    リュウジがつぶやく。普段着で来てください、といわれた言葉をうのみにした俺達は、「モロ普段着」でpm8時、エモーションの店頭の前に立っていた。勢いあまってホストの面接なんてきてしまった。「これからどうなるんやろう・・」俺は看板を見つめる。黒に白文字。店の前にはNO1 NO2とか派手にかかれたパネルが光る。テレビで見た世界だった。まさか自分がこの世界に足を踏み入れるとは..

    2006-07-24 01:17:00
  • 52:

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    恐る恐る2人で店内に入る。「あの、8時に面接をお願いした江守リュウジと、上川カケルですが」リュウジがドアを開け、カウンターに座る金髪の男に声をかける。「あ、はいはい。待ってたよ」男は20代前半だろうか。俺達を笑顔で受け入れる。
    スーツに派手なネックレス。「生ホストや・・」俺は小さくつぶやく。
    店内はオープン前ということもあってか、ひっそり静まり返っている。暗い店内の中、「ちょっと待ってね」と、男がvipルームと書かれた部屋に電気をつける。

    2006-07-24 01:20:00
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