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……イノチ……
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1:
夏苅
市立病院…
その隣に今では誰もいなくなったマンションがある。来年には建て直しの為、取り壊されると言う。
2005年夏−
「拓海……。」一人の女性はそう呟き、手を合わせた。隣では男性が同じ様に屈んで手を合わせる。二人は暫くそうした後、立ち上がりその場を後にした。2006-06-03 20:22:00 -
11:
夏苅
先生の声だけが教室に響いていた。
《話し長いなぁ…》
夏苅は黒板の上に掛かってある時計を見て思った。時刻は午前11時を回った所だった。
先生は夏苅の気持ちを察知したかの様に腕時計にサッと目を向けると話しを切り上げ次の話題に移った。
「では、残った時間で委員を決めて行きます。」2006-06-03 22:17:00 -
12:
夏苅
その言葉に生徒達からは不満の声が出る。「チャイムまでに決めろよぉ。決まるまで帰えられんからな〜!」
先生はお構いなしに言うと、委員名を黒板に書きだした。
《委員長…風紀…絶対いややな。図書?!中学と変わらんやん…》夏苅は黒板の文字にイチイチ反応して、自分は当たらない事を願った。「まず委員長からやな…誰かやる奴おらんか?」先生はそう言うと生徒を見渡した。生徒の殆どが目を背けている。2006-06-03 22:35:00 -
13:
夏苅
そんな中一人の男子生徒が手を上げた。必ず一人はいるものだ…
「おっ!お前やるか?」「はい!」先生の問いに迷わず答える男子生徒。黒板の委員長の文字の下に名前が書き足された。
そして先生の指示でその男子先生は教卓前に立ち、次々に委員を決めていった。2006-06-03 22:42:00 -
14:
夏苅
「図書委員…誰かいませんかぁ?」委員長の問い掛けに答える生徒はおらず、後少しと言う所で行き詰まった。
困っている委員長を見兼ねたのか先生が立ち上がった。「後、図書委員だけか………。」言葉の後の沈黙が重い。
「よし!岡田…お前やれ!」先生達はその言葉に胸を撫で下ろし拓海を見た。「遅刻の罰や…」「ハイ。」
拓海は引き受けるしかなかった。2006-06-03 22:51:00 -
15:
夏苅
「もう一人は、そやなぁ。」言葉の続きを皆唾を飲み込み待った。「岡本!やってくれるか?」「エッ?私ですか?!」夏苅は驚きガタッと音を立て言った。
まさか自分に回って来るなんて思ってなかった。
「岡田と隣やし、出席番号も一緒やしな!」「そんなっ…「頼んだぞ。」有無を言わせず先生は言う。「分かりました…」夏苅は渋々了解した。2006-06-03 22:59:00 -
16:
夏苅
《あぁぁ…最悪!!!》
夏苅は机に顔を埋めた。調度その時チャイムが鳴り今日は帰る事になった。先生が教室から出て行くと、夏苅は配られたプリントを鞄にしまい込んだ。
「あの…岡本さん。」「?」パッと顔を上げると拓海が気まずそうな顔で立っている。
「ゴメン…俺のせいで。」「…いーよ。」責められないのは夏苅の性格だろう。2006-06-03 23:08:00 -
17:
夏苅
それでも拓海は必死で謝った。「本間にゴメン…仕事は俺するから。」「大丈夫やって!岡田くん謝り過ぎやから!」夏苅はそう言うと「マタネ」と帰って言った。
拓海は夏苅が教室から出て行くのを見送ると職員室へ向かった。2006-06-03 23:12:00 -
18:
夏苅
「夏苅〜!」
夏苅は手を上げ声の方へ走って行った。「彩!お疲れ〜!」違うクラスになってしまった友達の【池村 彩】は、夏苅が来るのを待っていた。
「クラスどうやった?」彩は少し興奮気味で喋る。夏苅は少し悩んで答えた「うーん…まだ分からん!彩は?」。
「分からん?私はまぁまぁやで!」「まぁまぁ?ってか図書委員とかなってもたし!」「マジで?最悪や〜ん!」二人はそんな話しをしながら帰路についた。2006-06-03 23:28:00 -
19:
夏苅
その頃拓海は…
呼び出されていた為、職員室へ来ていた。図書委員をすると言う事もあり、先生の話しはすぐに終わった。
「失礼しました。」職員室を出ると拓海は深いため息をついた。そして鞄を持ち直すとゆっくりと歩き出した。2006-06-03 23:37:00 -
20:
夏苅
「こういうの良いよなぁ…」彩が唐突に言った。「へっ?」「学校帰りにファーストフード!」
「そやなぁ…」夏苅はポテトを食べながら返事をした。「でもやっぱ彼氏と来たいよなぁ!」
彩は一人、目を輝かせ夏苅の返事は待たず話しを続けた。2006-06-04 00:07:00