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……イノチ……
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1:
夏苅
市立病院…
その隣に今では誰もいなくなったマンションがある。来年には建て直しの為、取り壊されると言う。
2005年夏−
「拓海……。」一人の女性はそう呟き、手を合わせた。隣では男性が同じ様に屈んで手を合わせる。二人は暫くそうした後、立ち上がりその場を後にした。2006-06-03 20:22:00 -
15:
夏苅
「もう一人は、そやなぁ。」言葉の続きを皆唾を飲み込み待った。「岡本!やってくれるか?」「エッ?私ですか?!」夏苅は驚きガタッと音を立て言った。
まさか自分に回って来るなんて思ってなかった。
「岡田と隣やし、出席番号も一緒やしな!」「そんなっ…「頼んだぞ。」有無を言わせず先生は言う。「分かりました…」夏苅は渋々了解した。2006-06-03 22:59:00 -
16:
夏苅
《あぁぁ…最悪!!!》
夏苅は机に顔を埋めた。調度その時チャイムが鳴り今日は帰る事になった。先生が教室から出て行くと、夏苅は配られたプリントを鞄にしまい込んだ。
「あの…岡本さん。」「?」パッと顔を上げると拓海が気まずそうな顔で立っている。
「ゴメン…俺のせいで。」「…いーよ。」責められないのは夏苅の性格だろう。2006-06-03 23:08:00 -
17:
夏苅
それでも拓海は必死で謝った。「本間にゴメン…仕事は俺するから。」「大丈夫やって!岡田くん謝り過ぎやから!」夏苅はそう言うと「マタネ」と帰って言った。
拓海は夏苅が教室から出て行くのを見送ると職員室へ向かった。2006-06-03 23:12:00 -
18:
夏苅
「夏苅〜!」
夏苅は手を上げ声の方へ走って行った。「彩!お疲れ〜!」違うクラスになってしまった友達の【池村 彩】は、夏苅が来るのを待っていた。
「クラスどうやった?」彩は少し興奮気味で喋る。夏苅は少し悩んで答えた「うーん…まだ分からん!彩は?」。
「分からん?私はまぁまぁやで!」「まぁまぁ?ってか図書委員とかなってもたし!」「マジで?最悪や〜ん!」二人はそんな話しをしながら帰路についた。2006-06-03 23:28:00 -
19:
夏苅
その頃拓海は…
呼び出されていた為、職員室へ来ていた。図書委員をすると言う事もあり、先生の話しはすぐに終わった。
「失礼しました。」職員室を出ると拓海は深いため息をついた。そして鞄を持ち直すとゆっくりと歩き出した。2006-06-03 23:37:00 -
20:
夏苅
「こういうの良いよなぁ…」彩が唐突に言った。「へっ?」「学校帰りにファーストフード!」
「そやなぁ…」夏苅はポテトを食べながら返事をした。「でもやっぱ彼氏と来たいよなぁ!」
彩は一人、目を輝かせ夏苅の返事は待たず話しを続けた。2006-06-04 00:07:00 -
21:
夏苅
「クラスにめっちゃ格好良い人がおってさぁ…」彩はウットリとして想像を膨らませているようだった。
「その人彼女おらんの?」夏苅の言葉に彩は現実に引き戻された。
「知らへん…」「ハハッ!頑張れ!」「それより夏苅はぁ?気になる様な人とかおらんの?!」彩は笑われ恥ずかくなったのか夏苅に話しを振った。2006-06-04 00:17:00 -
22:
夏苅
気になる人と言われ、一瞬【岡田拓海】が頭をよぎったが、直ぐに思い直した。
《イヤイヤ…気になるって、そういうんちゃうし。》
「……だからおらんって!」「その間は何なん?!」「そろそろ出よか!」彩は納得していない様子だったが、夏苅は無視し店を出た。2006-06-04 00:23:00 -
23:
夏苅
その後、最近新しく出来たと噂のカラオケへと向かうと2時間ほど歌い帰る事にした。
彩は用事があると言い店の前で別れた。携帯を開き時刻を確認するともう午後4時前になっていた。
夏苅は携帯を閉じ最寄の駅へ一人歩いた。2006-06-04 00:29:00 -
24:
夏苅
道の先に駅が見えて来た時、ふと駅前の広場に目が行った。
買い物帰りであろう奥様同士が井戸端会議をしている。その先のベンチに見覚えのある姿が見えた。
「岡田くん?」ポツリと呟いき、更に目を懲らして見る。
《やっぱりそうや…何してるんやろ?》夏苅はそう思いながらも、駅へ向かい電車に乗った。2006-06-04 00:36:00