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歌舞伎町で嵐?

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  • 1:

    亜美◆O57ekZTKi6

    あたしの名前は瑠璃。歌舞伎町でホステスをしている。東京生まれ東京育ちの都会っ子だ。                   この前、運命の出会いをしたの。しびれるくらいの。そんな瑠璃の恋愛の話。

    2006-09-12 00:07:00
  • 71:

    亜美◆O57ekZTKi6

    今日は幸せだった。透のこともっと知りたい。透ともっと話したい。                 だけど…そうするにはお金がいる。あたしと透の間にはホストと客、つまりお金という厚い厚い壁が立ちふさがっている。                  お金、稼がなきゃ………!            本当はそんなの嫌だった。お金で繋がれた透とあたし。だけどしょうがない。しょうがないのだ。

    2006-12-25 21:42:00
  • 72:

    亜美◆O57ekZTKi6

    家に帰り、お酒を抜くために熱いお風呂に入った。その日は疲れたのかすぐに眠りが訪れた。                              夢を見た。温かい夢だった。誰かに大切そうに抱き締められる夢。あたしを壊れ物のように扱ってくれるあなたは誰ーーーー?                 気が付いたら夕方だった。ーーーー!ヤバイ!遅刻する!あたしは急いで化粧をすませ、髪の毛は簡単に一つにまとめ家を飛び出した。プリンセスに美容師さんがいてくれてよかった…。     なんとか電車に乗り、プリンセスに着いた。      「おはようございまーす!」「あっ瑠璃!遅いじゃーん!昨日どうだった〜?」セットを済ませたらしい愛が駆け寄ってきた。「昨日?あぁ、キング?超楽しかった!」「え〜よかったね〜!んじゃ早くセット行って来なよ!」「うん!」                あたしはエレベーターで上の階まであがり、美容師さんにカールハーフアップを頼んだ。              セットを済ませピンクの貸しドレスに着替え、待機席に行った。そこには愛がすでにスタンバイしていた。

    2006-12-25 21:57:00
  • 73:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「愛〜今日予定ある?」予定とはつまり、客が来てくれる?ということだ。  「ないよ〜。瑠璃は?」「ない〜…。呼べる客なんていないし…。うちらヤバイよねぇ。」「ヤバイ〜。でもプリンセスなら新規もガッツリ来るでしょ。」「そうだよね。よし!新規掴もう!そんでB指入れてもらおう!」「うん!頑張ろうね!」              気合いが入ったあたし達は軽く化粧直しをして呼ばれるのを待った。

    2006-12-25 22:05:00
  • 74:

    亜美◆O57ekZTKi6

    この頃は、ただひたむきだった。ひたすら前を向いていた。すべてうまくいくと信じていた。                  ねぇ、見てくれてる?この頃、あたしバカだったよね。でも真剣だったんだよ。今よりずっと楽しかったーーーー。ね、笑ってもいいよ。あたし、輝くために何でも犠牲にできると思ってたんだ。浅はかだよね……。

    2006-12-25 22:11:00
  • 75:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「瑠璃さんお願いします。」ボーイが呼びにきた。「新規のお客さまです。」「ハイ!」来たーーーー。新規だ!掴まなきゃ!                   「こんばんわぁ。失礼しまーす☆」「どうぞー。」若い客だった。スーツを着ていて、いかにも会社帰りという感じ。「お仕事帰りですか?」「うん。そうだよー。疲れちゃってさー癒されに来たんだー。」「そうなんだ。瑠璃で癒せるかわかんないけど頑張るねっ。」「なんか明るいねー。」「そう?いっつもこんな感じだよー。」       客と他愛ない話で盛り上がり、結構いい感じ?と思った。「ねぇ、なんか喉乾いちゃった。」「いいよ飲んでも。」「ほんとー?!やったねー!お願いしまーす。」あたしはビールを頼んだ。

    2006-12-25 22:28:00
  • 76:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「いただきまーす!乾杯☆」「どうぞー。」あたしはビールを半分ほど飲んだ。 その時ボーイが来た。「瑠璃さんお願いします。」つまり、指名交渉をしろってこと。「ねー時間なんだって。どーする?」自信があった。なぜなら会話もスムーズだったしドリンクもご馳走してくれたから。     「うーんと……ごめん、色んな女の子見てみたいんだ。」「そ…っか。わかった!じゃあ行くね!」「うん、ごめんね。」「いいよー気にしないで!じゃあねー!」笑顔で席を後にした。            だが、席を離れた瞬間悔しさで一杯になった。なんで?なんで指名くれないの?なにが足りないの?               待機席に戻ると、愛がケータイをいじっていた。「あ、おかえりー。どうだった?」「だめだった…。」「ちょっとー瑠璃顔恐いよー?大丈夫?」「大丈夫…。」

    2006-12-25 22:41:00
  • 77:

    亜美◆O57ekZTKi6

    ポン。その時急に後ろから軽く頭をたたかれた。振り替えると河本が立っていた。「…河本さん。」「気にすんなって。運が悪かっただけだよ。」「え…見てたの?」「俺はいっつもホール見てるから。」「そっか…。」あたしは力なく笑った。「気にしなくていーよ。もともとあの客、指名する気なんかないよ。」「そう…なの?」「見てなよ。今着いてる女の子も帰ってくるから。」「うん…。あ、河本さん、励ましてくれてありがとうございます。」「そんなのいーよ笑。あ、涼でいいから。ここの人たちみんなそう呼ぶから。それから、敬語やめよう。俺も使わないようにするし。」「あ……はい。じゃないや、うん。」      ポン。また軽くあたしの頭をたたくと、涼は行ってしまった。

    2006-12-25 22:57:00
  • 78:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「ちょっと何あれー!?いつのまにあの格好いいボーイさんと仲良くなっちゃってんの!?ずるい〜!!」愛が食い付いてきた。「や…ちょっと色々あってさ。」「何よ〜愛も涼って呼びたいよ〜!!」「笑。呼んだらいーじゃん。」あたしは少し得意げに行った。  その時、さっきの客に着いていた女の子が帰ってきた。           あ……。涼の言ってたこと、ほんとになった……。

    2006-12-25 23:02:00
  • 79:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「瑠璃さん、新規だよ。頑張ってきな。」涼が後ろから近づいてきて言った。「………あ、あたしのことも瑠璃って呼んで。じゃ、頑張ってくる!」「…わかった。」                     新規に着かされたのは団体客だった。すでにできあがっている。「おじゃましまーす!」あたしは団体客全員に聞こえるように言った。「おっ!来た来た!座って座ってー。」「失礼しまー…ちょっと!!」客の手があたしのおしりを触った。「いいからいいから。指名入れてあげるからねっ。」「……っ。」それから客は腰に手を回し、おしりから腰にかけて嫌らしい手つきでなで回してきた。「ちょ……!」「指名、ほしいでしょ?」       我慢すれば指名が入る。あたしは耐えようと決めた。            「お姉ちゃん名前なんてゆーの?」「る、瑠璃です。」

    2006-12-25 23:31:00
  • 80:

    亜美◆O57ekZTKi6

    「瑠璃ちゃんかぁ〜。よろしくね!」言うと同時におしりをグッと掴んできた。ーーーーその時だ。「お客さん!困ります!」ーーーー涼だった。          「なんだよ!なんにもしてないよ!」「見てましたから。代金置いて出ていってください。」「ーーーーっ!こんなとこ二度と来るか!皆の前で恥かかせやがって!」客は万札をテーブルに叩きつけ、店を後にした。残った他の客はざわついていた。

    2006-12-25 23:36:00
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