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3Ldkの城・?
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1:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
?は、↓です。
http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-52005-12-19 14:05:00 -
351:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“明らかに‥無理をしている顔”
2人の瞳には、そう映っていた。
だが、陽平は微笑んで‥気がついていないフリをする。
千草もまた‥彼女の本音から目を背けていた。
小刻みな震える口元が、この笑顔を嘘だと証明している。2006-01-11 17:44:00 -
352:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
だが‥花は必死で笑顔を崩さぬようにした。
叶わぬ‥想い。
でも“理由が子供なら”とホッとしている自分もいる。
複雑な想いを秘め、納得した態度を彼に示していく。2006-01-11 17:51:00 -
353:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、自分の目に嫌気がさしていた。
彼女を好きにならなければ、平然を装っている姿なんか気づかなかったはず。
きっと‥気づかなかった。
目を背けても、はっきりと聞こえてくる‥彼女の気持ち。
千草は、その場から逃げるかのように‥他の女へと誘いのメールを打つ。2006-01-11 17:59:00 -
354:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「じゃあ、あたしも不動産屋いってみよかな」
先に家を出る千草を見送り、花は外出の支度をする。
彼女の閉めた鍵の音を耳に、陽平は真顔になった。
もう2度と‥突き放さないと誓ったはず。なのに、また‥傷つけてしまった。
中途半端で身勝手な自分に、深いため息しか出てこない。2006-01-11 18:07:00 -
355:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
悔しさが隠る下唇を噛み、前髪を掴む。
でも‥こうするしかなかった。
ずっと、決めていたことやから。
孤独を抱えてきた花を見てきただけに、子供の生活を守りたかった。2006-01-11 18:11:00 -
356:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花のように、孤独を感じさせたくはない。
だから、引き取りたい。
それを目標に、仕事を頑張ってきた。
この家を離れずに‥生活してきたんや。2006-01-11 18:13:00 -
357:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、閉じたまぶたを強く見開いた。
そして、タンスの中から写真立てを取り出し、以前と同じ場所へと置いていく。
1度は見失いかけた目標を‥忘れてしまわぬように。2006-01-11 18:17:00 -
359:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あっ‥あっ」
指先の動きと共に‥漏れる甘い声。
電気を消した‥薄暗い部屋で、千草は事務員の女の子と関係を作っていた。
余計な感情をもみ消すかのように、汗を流していく。2006-01-11 18:22:00 -
360:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
先を待ちわびる‥汗ばんだ手に、千草は無表情に動いていた。
そして、彼女の中に入ろうとする瞬間、花の横顔が脳内をすり抜ける。
同時に、凍り付く体。
彼は、花を振り切るかのように‥行為を進めていく。2006-01-11 18:28:00 -
361:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
だが、振り払っても‥振り払っても、無理をした花の横顔は‥離れてくれない。
千草は‥自分の思考に苛立ちを覚え、シーツを乱す女から離れた。
そして、険しい表情で煙草をくわえる。
息を荒くした女は、不思議そうに彼の背中を眺めた。2006-01-11 18:39:00 -
362:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、肩を落とし‥煙を吐いている。
‥花の悲しみが、痛いほど‥伝わってくる。
きっと、行き場のない想いに‥今苦しんでいるはず。
振り向かない女。
そんな彼女から逃げようとしても、瞳は‥心はまだ、そこにある。2006-01-11 18:44:00 -
363:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
すると、背に柔らかい感覚がのしかかる。
「‥常盤さん」
事務員の女は、千草の名を愛おしく口ずさむ。
違和感に覆われ、彼はその腕の中からすり抜けた。2006-01-11 18:47:00 -
364:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「出よっか」
千草は、ベッドの上に座る彼女を‥冷たく見下ろした。
女は、その顔を前に‥何も言えなくなる。
ホテルを出た後、千草は女をタクシーの中へと放り込んだ。
そして、曇り空の下を足早に歩いていく。2006-01-11 18:52:00 -
365:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2006-01-11 18:56:00 -
366:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「うーん‥ないなぁ」
窓ガラスに貼り付けられている物件を眺め‥呟く。
今日も、花は部屋を探している。
バイト生活の彼女にとって、たった一部屋の買い物さえ苦難のもの。2006-01-12 04:57:00 -
367:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
隅々まで見渡すが、これといったものは‥この2週間見つかっていない。
それに、1番ネックに感じているものは‥。
花は、ため息をついた。
「‥誰かおらんかな」
そう、部屋を借りるには‥保証人がいる。2006-01-12 05:00:00 -
368:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
以前は、家を追い出された形だったから‥父親が保証人になってくれた。
でも、この前‥一緒に住むことを拒んだだけに、頼みづらい。
花は、口をへの字に曲げて‥立ち尽くしていた。2006-01-12 05:02:00 -
369:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「千草、もう見つけたんやろか‥」
最近、彼とも‥ろくに話していない。
陽平は、ずっと元嫁さんと‥話し合っている様子。
うまく進んでいないみたいで、機嫌が‥よくない。
流されていく日々に、花は‥自分の気持ちさえ考える暇がなかった。2006-01-12 05:05:00 -
370:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「子供に選ばす?」
その夜、風呂から上がると‥千草の声が聞こえてきた。
花は、バスタオルで髪を拭きながら‥リビングを覗きこむ。
「あぁ。向こうの旦那が‥そう言うてきた。これで完全に引き取れるわ」
陽平は、スッキリとした表情で笑っていた。2006-01-12 05:10:00 -
371:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花の視線は足元へと落ちていく。
‥陽平は、子供と生きていく。そうなれば、未だ残っている‥この気持ちも‥捨てらなあかん。
確実なものへと近づいていく‥失恋という結果。
花は、胸が苦しかった。2006-01-12 05:13:00 -
372:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「嫁はんは納得してんけ?」
千草は、テーブルにひじをついた。
「納得?‥まぁ、してんちゃう?何も言うてなかったし」
陽平は、知恵の輪を解いたかのように‥軽快な笑みで答える。
そして、ドア際に潜む人影に目を向けた。2006-01-12 05:20:00 -
373:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥花」
微かに見えた彼女の体。陽平は、立ち尽くす花に呼びかけた。
彼につられて、千草も目を向ける。
花は、ひょこっと顔を出した。2006-01-12 05:25:00 -
374:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
弱々しく姿を見せる彼女を、陽平は数秒‥見つめる。
そして、柔らかな表情で口を開いた。
「‥ここに来てから、気ぃ使ってばっかやったやろ。ごめんな」
その言葉に、花は顔を上げる。2006-01-12 05:38:00 -
375:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥お前らしさ‥出されへんようにしてたかもな。でも‥楽しかった。ありがとうな」
子供を引き取れば、この共同生活も終わりを告げる。
陽平は、心に余裕を取り戻し‥彼女に謝罪する。
花の唇は、言葉を塞いでいく。2006-01-12 05:41:00 -
376:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、顔をしかめたまま‥その光景から目を逸らす。
彼女の寂しさが、痛いほど‥胸にしみていたから。
見上げてくる‥優しい眼差しに、花は喉を詰まらせる。
まるで“永遠の別れ”を告げられているかのような感覚が、彼女の体を震わせていた。2006-01-12 05:47:00 -
377:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥2日後。
「じゃあ、行ってくるわ」
朝早くから支度を済ませていた陽平は、時計を眺め‥立ち上がる。
緊張を抱えた顔つきで、玄関へと向かう彼。
花と千草は、静かに彼を見送った。2006-01-12 05:54:00 -
378:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ガタンと閉じられたドア。
暗くなった玄関で、2人は呆然とたっていた。
花は、苦しくなる胸をなだめるかのように‥深く息を吐く。
そんな彼女を、千草は哀れんだ瞳で見つめていた。2006-01-12 05:57:00 -
379:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「早く支度しろよ」
一向に玄関から動かない彼女。
千草はため息まじりに囁いた。
花はきょとんとした顔になる。2006-01-12 05:59:00 -
380:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「気になるんやろ?見に行こや」
千草は、眉を下げて笑いかけた。
彼の誘いに、花は開いていた口を閉じて‥コクリと頷く。
‥別に見に行きたかった訳じゃない。でも、見ておきたい。
花は、陽平への想いを消化する為に‥出かける用意をした。2006-01-12 06:03:00 -
381:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
子供を引き取ったときの‥幸せそうな顔を見れば、きっと諦めがつく。
少しはまともな表情で‥祝福できるかもしれない。
花は、凛とした顔で家を出た。2006-01-12 06:07:00 -
382:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あちゃぁ‥。ガッチガチやなぁ」
公園の向かいにある喫茶店の窓際で、彼を眺める千草。
花は、アイスティーを飲みながら‥ストローを噛んだ。
‥よっぽど嬉しいのだろう。
緊張をしている彼は、どこか期待に溢れた‥少年のような顔をしている。2006-01-12 06:31:00 -
383:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、まだ心の準備が‥完全に出来ていなかった。
本当に‥諦められるのだろうか?と、傷つくことから恐れている。
「千草って‥もう部屋きめたん?」
気持ちを落ち着かせるかのように‥、花は別の話題を千草に振った。2006-01-12 06:36:00 -
384:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ん?あぁ、部屋?まだやけど。そういや‥そろそろ探さなあかんなぁ」
思い出したかのように‥視線をあげて、ホットコーヒーを飲み干す彼。
部屋を探すことを簡単に話す千草が、花は羨ましかった。
“保証人”
責任感を被せるかのような‥その重い響きに合う人間が周囲にはなく、刻々と迫ってくる期限に怯える毎日。2006-01-12 06:42:00 -
385:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
アイスティーさえ、ストローを通らなくなっていく。
千草は、窓の外を眺める瞳を‥花へと移した。
何か‥悩んでいる姿。
その理由が何なのかは‥なんとなく気づいている。
だが、深く関わることの出来ない‥関係。千草は、あえて‥その話題にはふれなかった。2006-01-12 06:46:00 -
386:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あ、あれちゃん?」
ふと視界に映る光景に、指を差す千草。
花は、我に返り‥外を見た。
そこには、以前‥何度か見たことのある女性がいた。
花は、千草に頷いて‥再度眺める。2006-01-12 06:49:00 -
387:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥千紗っ」
近づいてくる3つの姿に、陽平は振り返る。そして娘の名を‥呟いた。
新しい父親と元嫁の手を握りしめた‥小さな体。
それは、写真に写るものから‥数倍に成長しているものだった。2006-01-12 06:54:00 -
388:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
自分を不思議そうに見上げ‥2人に視線を送る娘。
陽平は、元嫁に目を向けた。
すると、2人は彼女の手を離す。
‥決断のとき。2006-01-12 06:56:00 -
389:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あれが‥本当のパパ。ママらとおりたいか、パパのとこ‥行きたいかは、千紗が‥決めていいんよ」
元嫁は娘と同じ背丈になり、彼女に囁いた。
娘は、首を傾げながら‥陽平を眺める。
陽平は、低くしゃがみ込み‥両手を広げた。2006-01-12 07:00:00 -
390:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
その光景を喫茶店から眺める花と千草は、ゴクリとつばを飲む。
「‥千紗っ」
陽平は、声を張り上げ‥呼びかけた。2006-01-12 07:02:00 -
391:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
娘は、そんな彼を黙って見つめている。
そして、怖がった表情で新しい父親へとしがみついた。
陽平の目は‥点になる。2006-01-12 07:05:00 -
392:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
怯えた顔で、新しい父親のズボンを強く握りしめる娘。
「千紗っ、パパんところ‥‥おいで!」
陽平は、眉間にしわを寄せて‥強く呼びかける。
だが、彼女は逃げるように背を向けた。2006-01-12 07:07:00 -
393:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
予想もつかなかった事態に、陽平は彼女へと身を乗り出していく。
だが、娘との間を塞ぐかのように‥元嫁は立ちはだかった。
「怖がってるんやから、やめて」
冷たく言い放たれる言葉。2006-01-12 07:11:00 -
394:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、目の前が真っ暗になった。
「あたし、ずっと‥出来ちゃった結婚やったこと‥悔やんできた。あんたは仕事ばっかで、あたしらのこと‥中途にしてたやろ。そんな奴を、千紗が選ぶわけないやん」
元嫁は、歪んだ表情で陽平を見下ろした。
そして、目を逸らし‥離れていく。2006-01-12 07:15:00 -
395:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、一点を見つめたまま‥唖然となる。
視界をあげれば、そこには‥円を描いたかのような1つの家族。
下まぶたを縁取る‥淡い涙。
信じられない結果に、陽平はひざを地につけた。2006-01-12 07:19:00 -
396:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ポタリポタリとこぼれる粒が、土の色を変えていく。
‥偽物に奪われた‥大切な娘。
陽平は、その場から動けなかった。2006-01-12 07:22:00 -
397:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「マジで‥?」
コーヒーカップを皿の上に置き、千草は困り果てた様子で前髪をかきあげた。
‥予想外の展開。
喫茶店から観察していた2人は、沈黙になる。2006-01-12 07:35:00 -
398:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
どんな言葉が交わされたのかは‥わからない。
でも、窓の向こうで流れた光景は‥陽平の期待をはるかに裏切ったもの。
2人は目を合わせ、何も言わず‥そこを後にした。2006-01-12 07:38:00 -
399:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ただいま‥」
“陽平になんて声をかけるべきか”と話し合った結果、答えは見つからなかった。
2人は重い足取りで帰宅する。
予想通り‥リビングには彼の姿はなく、返事も帰ってこない。2006-01-12 07:41:00 -
400:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
2人は、そろそろとリビングへと向かった。
隣にある彼の部屋は、電気がついている。
花は、その扉を開けようとした。
だが、千草がその手を止める。2006-01-12 07:43:00