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淫らな女達

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  • 1:

    ユリア

    ミナミのとある路地裏にひっそりと佇むおおよそその場所には似つかわしく無い可愛らしい喫茶店。扉を開けると、少女のようなあどけない顔をした一人の女。この店の主であろう彼女が「いらっしゃいませ」満面の笑みで迎えてくれる。こんな場所で危なくはないのだろうか?などと一人考えながらコーヒーを注文する。ほんのりと店の中にコーヒーの香りが漂って来た頃、彼女がトレーに湯気の昇るカップを運んできた。白く綺麗な肌。顔に似合わぬ大きな胸に知らず知らず目がいく。運ばれてきたコーヒーをゆっくりと飲み干しタバコに火をつけ一服すると俺は店を後にした。

    2005-09-11 16:41:00
  • 141:

    ユリア

    どれ位の時間がたったのかすっかり陽が傾き、綺麗な夕焼け色に染まっていた。亜希達の待つホテルに着くとシャワーを浴び、夕飯を食べにロビーへと向かった。

    2005-09-18 00:44:00
  • 142:

    ユリア

    そんな風に楽しく短い夏休みは終わり、再び忙しく仕事に追われていた。それでも合間を縫って彼女と会い互いの気持ちを確かめ合っていた。その日も何とか時間を裂き二人で食事に出かけた。
    何故か時々考え込む様子の彼女が気にはなったが食事を楽しみ、一息ついていた。

    2005-09-18 00:50:00
  • 143:

    ユリア

    テラスに咲いた秋桜に目をやり、穏やかな表情を浮かべていた彼女が突然「できたみたい」ポツリと呟いた。最初何の事かわからずポカンとしている俺に今度ははっきりと「恭ちゃん、私ね妊娠してるみたい」と告げた。頭をハンマーで殴られたような衝撃が走る。言葉が思い浮かばず、狼狽えている俺に春海は「生もうと思う。」そう言った彼女の瞳に迷いはなかった。ハッと我に返ると頭を整理し「春海、結婚しよう。」と告げた。今度は彼女が面食らった顔をする。だが、遅かれ早かれ結婚を考え、何度かそうゆう話をしていた僕らは

    2005-09-18 00:59:00
  • 144:

    ユリア

    互いの親に挨拶に行き話はトントン拍子に進んで、彼女のお腹が目立たぬうちに式を挙げようとゆう事になった。
    急な事もあり互いの親しい人だけを呼んでの式だった為、皆に温かく祝福された。
    亜希は、自分の事のように泣いて喜び、何度も「恭ちゃんを頼むね」と春海の手を取る。[お前は親かよ!]っと心の中で突っ込みながらもそんな亜希の気持ちが嬉しかった。
    永遠にこの幸せが続くと信じて微塵も疑わなかった。

    2005-09-18 01:05:00
  • 145:

    ユリア

    式が終わり、休む暇なくまた忙しい毎日が駆け足で通り過ぎてゆく。妊婦とゆうこともあって新婚旅行は、安定期に入るまでお預けとなっていた。
    相変わらず、酒を浴びる程飲み、酷い時は家の玄関で酔い潰れ寝ていると、「しょうがないパパですねぇ」なんてお腹の子に話かけながら、水を入れたコップを手渡してくれ、一気に飲み干すとフラフラとリビングに行きソファに倒れ込んだ俺の背広を脱がし、毛布をそっと掛けてくれた。

    2005-09-18 01:11:00
  • 146:

    ユリア

    そんな毎日の中で何とか時間を空け安定期に入った春海を連れて新婚旅行も済ませ、店の売り上げも以前に増して伸び始め、ようやく俺は少し店から離れた。本当は自分の店なんだからゆっくりしようと思えば出来た。しかし伸び悩んでいたのと、まだまだ教育の行き届いていないスタッフが気に掛かりとても休めなかったとゆうのが事実だ。

    2005-09-18 01:17:00
  • 147:

    ユリア

    ゆっくりと時間を取れるようになった頃には、季節は冬から春へとすっかりと変わりテラスに並んだ花壇は色とりどりの花を咲かせ、春海も臨月を迎え5月の半ばを過ぎようとしていた。

    2005-09-18 01:20:00
  • 148:

    名無しさん

    2005-09-18 01:25:00
  • 149:

    ユリア

    まるで、全てか小さな生命がこの世に生まれて来るのを今か今かと待ちわびているようなそんな晴れた午後の日差しの中、僕らは開け放たれた窓から入る心地よい風に包まれ昼食をとっていたその時だった突然、彼女が産気づいた。予定日より一月も早くに突然訪れ狼狽える俺に苦しそうにしながらもしっかりとした口調で彼女の出す指示に素直に従った。

    2005-09-18 01:25:00
  • 150:

    ユリア

    タクシーを呼び、行きつけの病院へと向かいながら家族に連絡を入れる。
    病院に着くと数人の看護婦が出迎え、彼女を励まし分娩室へと入ってゆくと、俺はその場にヘナヘナと力無く座り込みただ冷たく閉ざされた分娩室の扉をボーっと眺めていた。

    2005-09-18 01:29:00
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