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◆カムイ◆
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1:
あたる
三日三晩、その滝のような雨は降り続いていた。
彼女がここから去る際、窓という窓を開け放っていた為に、私の顔や体には外からの雨風、また草木のかけらなどが付着し、まったく酷い有り様である。
私はこの状況から脱することもできないまま、あと数日もすれば一人孤独に息絶えるのだろう。
…ああ、まさかこの様な事になるとは。2007-02-15 00:14:00 -
31:
あたる
理屈は理解しているのに、いつの間にか私の心は恐怖にうち震えていた。
塊はやがて大きな二つの目となり、闇からこちらをじっと見つめている。
夢か真か解らぬ曖昧な世界の中で、私は意識を失った。2007-02-16 01:14:00 -
32:
あたる
――――――――――
2007-02-16 01:21:00 -
33:
あたる
心地よい朝日が顔を照らし、私はようやく思い瞼を持ち上げた。
ひどく喉が乾いている。
こんな季節にも関わらず、夜中に大量の汗をかいたようだ。
服が全体的にじっとりと湿り気を帯ていて、気持ちが悪い。2007-02-16 01:26:00 -
34:
あたる
水を求め、のそりのそりとキッチンへ向かう。
その途中に、声をかけられた。
『あの!おはようございます!』2007-02-16 01:30:00 -
35:
あたる
振り返ると、昨日とは別人のようなカムイがこちらへ優しく微笑みかけていた。
…なんだ?
昨日と何が違う?2007-02-16 20:03:00 -
36:
あたる
じっと彼女を見ていると、頬が薄赤く染まっていく。
『あの…何か顔についてます?』
はっと我に返った。2007-02-16 20:30:00 -
37:
あたる
『いいえ!ち、朝食にしましょうか!』
解った。
彼女は昨日とは愕然に生気に満ち溢れているのだ。2007-02-16 20:37:00 -
38:
あたる
化粧もしていないのに妙に華やかな顔。
まだまだ華奢ではあるが心なしか、昨日よりもうっすら肉ずいている様に感じる。
一晩眠って調子がよくなっただけなのかもしれない。
しかし…2007-02-16 20:45:00 -
39:
あたる
―――――簡単な食事を済ませると、私はまたココアを二つこしらえた。
『どうぞ。』
『あっ!どうもすいません。ありがとう。』
彼女は長い睫毛をまばたきの度にバサバサと揺らしながら、にっこりと笑った。
『いいえ。そういえばカムイさんって変わったお名前ですよね。どう書くんです?』2007-02-16 21:35:00 -
40:
あたる
『あはは!書き方なんてありませんよ。わたし、生まれた時からカムイだったから。ふふ。』
当たり前のようにそう言って、彼女は機嫌よくココアを一口飲んだ。
『…そう。』
不思議と、なぜ?などとは聞く気にならない。
カムイが言っていることを否定する、という発想にたどり着かなかった。2007-02-16 21:42:00