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◆カムイ◆

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  • 1:

    あたる

    三日三晩、その滝のような雨は降り続いていた。

    彼女がここから去る際、窓という窓を開け放っていた為に、私の顔や体には外からの雨風、また草木のかけらなどが付着し、まったく酷い有り様である。
    私はこの状況から脱することもできないまま、あと数日もすれば一人孤独に息絶えるのだろう。
    …ああ、まさかこの様な事になるとは。

    2007-02-15 00:14:00
  • 81:

    『ごめん、寝てたかな?』

    ドアを開けるとカムイはベッドから上体を起こし、貸してやったカーディガンを肩にかけて、本を布団の上に広げたままにこにこ笑っていた。

    『いいえ。眠れないから本を読んで・・・あっ!ごめんなさい!これここにあったから勝手に読んじゃってたんですけど・・司さんのですよね?』

    2007-03-14 13:16:00
  • 82:

    『あぁ、構わないよ。何もない所だけれど本だけはたくさんあるんだ。そうだ、明日書庫へ案内しようか。』

    『本当?嬉しい!』

    カムイが笑う。

    2007-03-14 13:22:00
  • 83:

    私も、笑う。

    『ねぇ、司さん。そんなところに立っていないでこちらでお話しましょうよ。』

    『ああ。』

    2007-03-14 13:26:00
  • 84:

    吸い寄せられるようにベッドの側まで歩いた。
    そして、彼女と向かい合わせになるようにその脇へ椅子を置く。
    カムイは相変わらずにこにこと笑っていた。

    2007-03-14 13:29:00
  • 85:

    ふと、彼女の手元の本に目をやった。

    なにやら見覚えのあるものではあるが、はっきりとどのような本であったかは思い出せない。
    かなり古いものらしく、ページは薄く黄ばんでしまっていた。

    2007-03-14 13:33:00
  • 86:

    なぜか、無性に気になる。

    『カムイ、その本を少し見せて。』
    手を伸ばすと、ひんやりと冷たいカムイの指が絡み付いた。
    『・・・だめ。』

    2007-03-14 13:38:00
  • 87:

    『・・・すぐかえすよ』

    『だめ。』

    『カムイ?』

    2007-03-14 13:40:00
  • 88:




    ・・・・・・!

    2007-03-14 13:41:00
  • 89:

    冷たい。


    しかし、真綿のように柔らかい唇が、気が付くと私の唇に押しあてられていた。

    2007-03-14 13:55:00
  • 90:

    間近でカムイの大きな目と目が合う。


    深黒な円形のそれへ、何もかもが吸収されていくような気さえした。
    私は、ゆっくりと瞳を閉じた。

    2007-03-14 13:59:00
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