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**パネル**

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  • 1:

    パネル*作者

    「今までありがとう。さよなら。」

    ありきたりすぎて、それ以上を読み取るのが難しい言葉で終わらせた。
    一つ言葉がでたら、あふれてしまうから。
    2年という時間はあまりに長くて、まとめあげることができない。

    2007-03-11 05:40:00
  • 147:

    パネル*作者

    逢ったことがあるのかどうかすらわからないはずの相手。
    無機質な画面にしか手がかりはないのに、どうして相手を知っているような気がするのだろう。
    彼なのか彼女なのかもこの文章からはわからない。
    懐かしいような、前から知っているような、この心を許せる感覚はなぜだろう。

    2007-06-09 04:19:00
  • 148:

    パネル*作者

    「誰?」でもなく、「どういうこと?」という疑問もなく、ぶしつけにこの答えを送るのは、本来いささかおかしい。
    けれど、おかしいはずの答えが一番自然だと思えた。
    むしろ、メールの主を聞くのは、昔から知っている人間に「誰だっけ?」と問いかけるぐらい滑稽にすら思えた。
    携帯電話を操って返信画面を開く。

    2007-06-09 04:23:00
  • 149:

    パネル*作者

    一瞬の間のあと、親指はすらすらと文字を紡いだ。
    人にむけて発信する久々の「涼」ではない、本当の俺の言葉。

    2007-06-09 04:26:00
  • 150:

    パネル*作者



    「みんなが見ている自分はいつも未来を考えている。でも本当は、自分だけが知っている本当の自分はいつも過去ばかり考えている。過去に生きている大切な人を考えている…イヤ、いつも頭の片隅から離れないでいる。」

    2007-06-09 04:33:00
  • 151:

    パネル*作者

    携帯のメールとしては長い。
    けれど、最後まで親指は止まらずに動いていた。
    「涼」ではない、俺「涼介」はそうだから。
    「涼」は夢を見て、夢を語って、未来を生きようとしている。

    2007-06-09 04:37:00
  • 152:

    パネル*作者

    けれど、「涼介」は違う。
    今でも、過去が忘れられなくて、過去の日々の中で生きている。
    未来もとより、今ですらも生きようとしていない。
    あの「彼女」を心に思い浮かべ、過去の「彼女」に笑い、過去の「彼女」に苦しんでいる。

    2007-06-09 04:40:00
  • 153:

    パネル*作者

    過去を過去に置いてくるということができずにいた。
    過去においてこよう、「涼」と「涼介」は同一なのだと思い込もうとしても、「彼女」は甦る。
    あの頃と同じように、いや全く同一の笑顔で、悲しい声で、涙で、苦しみで訴える。
    ―いったい何を?

    2007-06-09 04:44:00
  • 154:

    パネル*作者

    俺だけが知っている「彼女」の姿。
    俺がけが知っていた本当の「彼女」の姿。
    だから、忘れることはできない。
    でも、現在の「彼女」の姿はわからない。

    2007-06-09 04:59:00
  • 155:

    パネル*作者

    ↑打ち間違え…
    2行目:俺がけ→俺だけが知っていた本当の「彼女」の姿。

    2007-06-09 05:11:00
  • 156:

    パネル*作者

    「彼女」は止まったままだ。
    あの時の、悲しい笑顔で、頬に残した涙の跡で、力ない背中で俺を責める。
    過去の「彼女」を今へと導けなかったことが「涼介」の罪。
    そう、「涼」が未来を見て笑っていられるのは、彼には過去がないから。

    2007-06-09 05:15:00
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