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傷跡

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  • 1:

    名無しさん

    初めて書きます。よかったら読んで卞さい。

    2006-03-25 01:45:00
  • 53:

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    あぼ~ん
  • 54:

    『…何を冷静に言うてるん!?立派な…犯罪やで?早く返してきぃや。朝になるまでに返したら家の人も気付かへんやろ!?』
    《信じられへんわ…。》   
    「…は?お前が何を言ってんねん?せっかく取ってきたったねんで?お前の、肌が治る思って…。」     
    『そんなん関係ないっ!人のもん盗んで…分かってるん?アンタのしてる事って人として最低やで?』
    …龍二は、しばらく黙っていた。
    「なら、一回だけ…塗ってみいや?ちょっとでも良くなるかもしれんし…。」 『いらんって。』 
    「…なんでそんなん言うねん。ちゃんと返しに行くから、一回試すだけでも試してみた――…」
    『いらんって言っとうやろっ!?しつこいねん。そんなん顔に塗ったら余計に悪化するわ…。気持ち悪い!早く返しに行きやっ!!』  
    あたしは、声を張り上げて叫んでいた。
    うっとうしい…人の気持ちなんか知らないくせに…!   
    あたしがどんな気持ちで、毎晩アンタの帰りを待ってたか…知ってるん?
    毎晩毎晩、帰ってこーへんアンタを待つのがどんだけ辛かった…か……アンタに分かるっていうん?     

    2006-04-10 23:45:00
  • 55:

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    あぼ~ん
  • 56:

    あたしは、返事もせずに、そそくさと布団に潜り込み背を向ける。
    「…じゃ、先寝とっていいからな?」
    【ガチャン――】         
    玄関のドアの閉まる音―
    【パチン―】
    あたしは、ベッドから起き上がると、すぐに立ち上がり電気を消した。テーブルの上のアロエには目もくれずに。布団を頭まで被り、ぎゅっと…目を瞑った。   
    卑屈になっているのは、自分でも分かってる。八つ当りしたってどうにもならない事だって…。だけど、どうしたらいい?見返りを求めてたわけじゃなかった。  
    それなのに――…  
    ズルイわ…          
    そんな顔…せんとってよ。
    あたしと彼の想いは、ゆっくりと違う方向を向いて…進み始めていた。
    変わらず時間だけが無情にも流れていき、気付いた時辺りはきっと――…       
    望んでいた景色とは違う景色が、あたしと彼を、待ち受けているのだろう。

    「ほらっ!!コレ食べや!俺が作ったねん!」
    『…。』

    なけ無しの材料で、龍二が作ったという料理。が、彼の手によって、テーブルに並べられていく…。
    お世辞でも、お

    2006-04-10 23:46:00
  • 57:

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    あぼ~ん
  • 58:

    焼いただけの肉の塊まり、手で剥がしただけのバカデカイキャベツが添えられ…みるからに水分が多そうな茶わんの中の…ご飯。    
    「うまそうやろっ?この絶妙な焼き具合。俺って料理の才能あるかもな〜。」
    笑顔で自信満々に言う龍二の言葉とは裏腹に…
    あたしの口は、ポカーン と開いたままだった。
    『ご飯…何合炊いたん?』「三合やで。なんで?」 『…。』
    《お米…もったいな…。》   
    「ってか、冷めるやん。早く食べよやっ!!」 
    少し乱暴に手渡された、いつも使っている箸。龍二が作ってくれた初めての手料理は、病人には…少し、胃に重たかった。
    だけど、十分に゛気持ち″は伝わってくる――…。   
    「理都、うまいかぁ?久々に肉食ったよなぁ。オカン様様やなっ☆」
    『…うん。そやな。』     
    なのに、どうして…?

    使った物は出しっぱなし、ぐちゃぐちゃになった台所。食卓の上には、料理の隣になぜかゲームのカセットやドライバーが置いてある。ゴミ箱の回りに散らばったティッシュ、立て鏡の前に散乱したドライヤーやヘアアイロン、たくさんの抜けた髪の毛…

    2006-04-10 23:48:00
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    あぼ~ん
  • 60:

    「なんやぁ…お前、食欲ないんかぁ?全然、箸進んでないやん。もったいないねんからちゃんと食えよ!」   
    『…。』          
    あたし、オカシイ。
    龍二が手料理を作ってくれるなんて、今までだったら考えられない事。少し前までのあたしなら、飛び上がる程嬉しかったはずなのに。
    『ごめ、食欲ないねん。』【カチャ―】         
    箸を置く。あたしは、そのまま再びベッドに潜り込んだ。 龍二の表情は、見ていない。…見れない。      
    熱で、どうにかしちゃったんやろか?
    今のあたしは、きっとものすごく醜い。【卑屈】で塗り固められた… 嫌な女。
    少しの間があった後、【ガシャンッ――】台所で、音がした。            
    あたしは、分厚い布団の中でそれを聞こえぬフリして   
    震える膝を…抱えていた。
    「…どういう事?」
    『だから、体が良くなったら働こうと思うねん。』    
    ある日の夜―。突然のあたしの言葉に、龍二は驚きを隠せない様子だった。    
    「働くって…何処で?」
    少し考えた後、彼は口を開いた。
    『水商売。』   

    2006-04-10 23:49:00
  • 61:

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    あぼ~ん
  • 62:

    『だって、アンタ働く気ないやろ?いつまでたってもダラダラしてるだけやし…昼のバイトじゃしれてるし生活費払われへんやん。』  
    あたしは、言葉を挟む隙を与えずに、一気に喋った。  
     
    「……それって、マジで言ってんの?」
    『冗談言ってるつもりは、ないけど?』         

    生暖かい部屋の中が、張り詰めた空気で…一気にフリーズする。居心地が悪い。    
    「働く…気、ないわけやない。ほんまにしたい事見つかるまで…今、探してるとこやねん。」
    言い訳がましい、言葉。もう、そんな話も聞き飽きた…。
    『なら、それが見つかるまであたしが働くわ。それでいいやろ?』
    「…。」
    断る権利は、ないはずだ。「働くって…何処で?またスナック?」
    不安そうに尋ねる彼に、あたしの決断は、更に追い打ちをかける。
    『ううん、キャバクラ。駅前でな、スカウトされてん。』
    嘘じゃない。体調が悪くなる前、スーパーに足を運んだ時に声をかけられて、゛スカウトマン ″とやらに、名刺を貰った。
    時給は、スナックの時の約二倍。当時は景気が良く、新人の間でも4000円

    2006-04-10 23:50:00
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