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■飼育■
-
1:
主
可愛い、僕のペット。
2006-05-24 02:33:00 -
2:
名無しさん
「ほれ、餌だぞ」
鼻先に、皿を置いてみたが、行儀悪く前脚でひっくり返した。
今まで飼ってきた中で、一番の頑固モノだ。
「食わなきゃ死ぬぞ。これしかお前の食うものはないよ?」
頭を撫でようと手を伸ばしたが、いかんせん威嚇の姿勢を崩さない。2006-05-24 02:39:00 -
3:
名無しさん
ため息をひとつ吐き、手を引っ込めた。
部屋の隅をみると、ペットシートは昨晩とかわらず新品同様、シミひとつなかった。
「膀胱、大丈夫か?お前」
少し心配になったが、どこからか鼻をつく異臭が漂っていることに気付く。
入り口のドアで死角になった隅に、湿った大きな大陸が一つ描かれていた。2006-05-24 02:44:00 -
4:
名無しさん
「こら、トイレの場所が違うだろ?」
そのシミまで連れていき、頭を下げさせて、トイレの失敗を叱る。
押さえ付けられる不快感に、イヤだイヤだと身をよじらせて逃げようとする。
ピシャリとお尻を平手で打っておとなしくさせ、次にペットシーツの上に座らせた。
「トイレはここ!わかった?」2006-05-24 02:49:00 -
5:
名無しさん
わかっているのか、いないのか。不満そうな瞳で僕を見る。
「次に失敗したら、もっとキツいお仕置きだからな!」
ビクッとしたかと思うと、そっぽを向いてクッションを抱き込むように寝てしまった。
どうもシツケがうまくいかない。
こんなに気難しいのは初めてだ。2006-05-24 02:52:00 -
6:
名無しさん
「とりあえず、飯は食えよ」
ペット部屋から僕は離れた。こっちを見ようともしなかった、可愛げのない奴に、さっきよりも重いため息が出た。
翌日。
「飯だぞー」2006-05-24 02:56:00 -
7:
名無しさん
水と新しい餌を抱えて部屋に入ると、ベットでぐったりしている姿が目に入った。
腹をかばうように丸くなってうなっている。
「大丈夫か?」
駆け寄り、背中をさすろうとした僕の手をふりはらう。
気が立っているのか、低くうなったまま力なく立ち上がって部屋の隅へ移動し、丸くなって体を震わせていた。2006-05-24 03:01:00 -
8:
名無しさん
僕は震える小さな背中が心配で、毛布を掴むと、そっとかけてやった。
毛布ごしに背中を撫でて、気を落ち着けてやろうとしたが、僕の手が触れると嫌そうに唸るので、そっとしておいた。
「水とエサ、落ち着いたら食えよ」
嫌われてしまった腑甲斐ない飼い主は、なすすべもなく、これ以上神経を逆撫でしない様に退散する事にした。2006-05-24 03:06:00 -
9:
名無しさん
夕方になって、やっぱり様子が気になったので部屋をのぞいた。
ドアをあけてすぐ、異臭に気付いた。
エサは半分ほど減り、水もキレイになくなっている。
少しは食べたようだ。
しかし、この異臭の元が見当たらない。2006-05-24 03:09:00 -
10:
名無しさん
ペットシーツは相変わらずキレイなままだし、ドアの死角にもソレらしきものはない。
「こら、またトイレじゃないところでしたな!トイレはここ!」
抱き抱えてシートの上に座らせると、腕に歯形がくっきりとつくくらい本気で噛み付いてきた。
「痛いっ!」
つい、力一杯なぐってしまった。2006-05-24 03:12:00 -
11:
名無しさん
怯えた目で僕をじっとみつめる。
ズキズキと痛む腕をさすりながら「ごめん」と謝った。
よほど痛かったのだろう。シーツは黄色っぽいシミをつくっていた。
「ごめんな、痛かったな。恐かったな。でもトイレはここだからな、覚えてくれよ」
シートを変える間、何かを考え込んだように部屋の隅から僕をじっと観察していた。2006-05-24 03:16:00 -
12:
名無しさん
シートをかえてから、クッションをどかすと、異臭の元を発見。
黒く、太く、健康的な排泄物。
「お〜こんな所に隠してたのか、お前。ウンチも次からはシートの上でしろよ!」
ティッシュで摘み上げて、シートと同じゴミ袋に突っ込んだ。
汚れたカーペットをみがくのも、可愛いペットの為なら苦にはならない。2006-05-24 03:22:00 -
13:
名無しさん
飼い始めてから一週間が経った。
僕は部屋に入るなり、目を疑った。
食べ残しもなく、キレイにカラになった皿。
ペットシーツの上に作られたシミと黒い固まり。2006-05-24 03:27:00 -
14:
名無しさん
やっとシツケがうまくいったのだ。
「えらいぞ、ヒメ!」
きちんと出来たご褒美に、「ヒメ」と名前をつけてやった。
ヒメの頭をくしゃくしゃとなでる。
愛しい、僕のヒメ。2006-05-24 03:30:00 -
15:
名無しさん
抱き締めると、苦しかったのか、しっかり前脚で反撃されてしまった。
なかなか なつかなくて苦労したが、それを達成した時の喜びもなかなかイイものだった。2006-05-24 03:32:00 -
16:
名無しさん
ヒメがウチに来てから、窓の外は雨が打ち付けてばかりだ。
天気予報では、明日は「晴れ」らしい。
「ヒメ、明日はやっと晴れるらしいから、散歩に行こうな」
ヒメが今まで見たこともないくらい嬉しそうな顔で僕を見た。2006-05-24 03:42:00 -
17:
名無しさん
天気予報はきちんとあたった。
散歩用のリードを片手に、ヒメの部屋に入ると、ウチにきてから始めてみる晴れたハメ殺しの窓の外をじっと見ていた。
「散歩に行くか」
ヒメを部屋につないでいた鎖をはずしてやり、リードを首輪にひっかけた。2006-05-24 03:46:00 -
18:
名無しさん
すると、ヒメは僕を突き飛ばして、一目散に外へと走っていった。
「こら、ヒメ!散歩が嬉しいのはわかるけど、そんなに急ぐなよ」
僕は慌ててヒメのあとをおった。
家の門をでて、数メートル先にヒメがいた。
近所のオバサンにじゃれついてる様だった。2006-05-24 03:49:00 -
19:
名無しさん
「すみません、ウチのヒメが」
僕は小走りでオバサンのもとへ急いだ。
オバサンは悲鳴をあげ、ヒメはその声に驚いたのか、オバサンの後ろにまわりこんで身をかくした。
「誰か、警察を呼んで!変質者だよ!」
オバサンは顔を真っ赤にしながら僕を睨み、ヒメをかばった。2006-05-24 03:52:00 -
20:
名無しさん
「ちょ、何言ってるんですか?ヒメを返して下さい」
僕がオバサンに掴み掛かると、たまたま通り掛かったガタイのいいサラリーマンに押さえ付けられた。
いったい、何だっていうんだ?意味がわからない。僕が何をした?
「ヒメ?」2006-05-24 03:55:00 -
21:
名無しさん
僕がヒメをみつめると、オバサンの影からやっと出てきたヒメは大きく吠えた。
「この変態!死ねっ!」
おいおい、ヒメ。飼い主にむかって「死ね」はあんまりじゃないか?2006-05-24 03:59:00 -
23:
名無しさん
後ろ手にサラリーマンはネクタイで縛ると、足もスーツの上着で縛られてしまった。
雨上がりのアスファルトはまだ湿っていて、冷たくザラついた。
やがて、パトカーのサイレンが聞こえてきて、やっと助かったと思ったら、ネクタイが外されたかわりに、ひんやりと重い手錠がかけられた。
そのまま車にのせられ、ドアがしめられた。2006-05-24 04:04:00 -
24:
名無しさん
ヒメは顔を手で覆い、泣き崩れていた。
何がなんだかわからなかった。
「アサイ ケイゴ君だね」2006-05-24 04:05:00 -
25:
名無しさん
「‥‥そうですけど」
気付けば狭く、窮屈な部屋に居た。足にもパイプ椅子と繋がれる様に手錠がかけられている。
「意識はハッキリしているかい?」
「はい‥‥」
こんなシーン、どっかで見たことあるな。そうだ、刑事ドラマでよくある「取り調べ」だ。2006-05-24 04:10:00 -
26:
名無しさん
「気分はどうだい?水でも飲むかい?」
やけに穏やかな口調は気味が悪くて、微塵も笑っていない目元に鳥肌がだった。
僕は黙って首を横に振る。
「そうか。アサイ君、君は薬物をいつからやっているのかな?」
「本物の警察‥‥?」2006-05-24 04:15:00 -
27:
名無しさん
血の気がひいて、動機が激しくなった。汗が一気に吹き出す。
「取り調べみたい」じゃなく、これは本当に「取り調べ」だった。
自分の置かれてる状況を理解すると、頭がやけに冴えてきた。
「君の部屋からね、色々でてきてるんだ。言い逃れは出来ないよ。さぁ、ちゃんと話して。まず、薬物乱用。数々の動物の死体。身元不明の女性の遺体については詳しくね」2006-05-24 04:22:00 -
28:
名無しさん
「違う、シツケだったんだ‥‥言うことを聞かないなら、シツケをするのは当たり前だろう?僕が飼い主なんだから、当然の事をしたまでだ」
「何を言っているんだ?ハッキリ明確に話せ!」
ドンっと力一杯に机に叩きつけられた頭に、鈍い痛みが走った。
さっきまでの穏やかな口調からは想像もつかない程に荒々しい声だった。2006-05-24 04:30:00 -
29:
名無しさん
「子供でも、ペットでも、悪いことをしたら『シツケる』のは当然の事だろう?僕は、躾けをしただけだよ、躾けをね‥‥鳥や犬なんか、ちょっと力を入れたら、すぐに死んじまう。だから、さ。怒らなくてもいい様に賢くて、強い人間を『飼って』みたんだ」
「狂ってる‥‥」小さく、そう誰かがつぶやいたのが遠くで聞こえた。2006-05-24 04:34:00 -
30:
名無しさん
―完―
2006-05-24 04:35:00 -
31:
主 ◆bdezJkgGhA
超短篇のブラックな話が書きたくて書いてみました。自己満 小説です。
リアルタイム名無しさん、読んでくださって有難うございます。
短篇すぎて誰にも読まれずに下がっていく事を予想していたので驚きました。また話を思いつけば、書きたいと思います。次は短篇じゃないことを祈って‥‥
2006.05.24 作者拝2006-05-24 04:42:00 -
33:
名無しさん
最初っから読んでたよ 最初から人間じゃないかなぁ って思ってた。
でも、はっきり書かずに、「実は何かの動物かも???」と思わせながら読ませる表現力に感心しつつ読んだ。
完結お疲れさまです 次回作期待してます2006-05-24 11:28:00 -
34:
32さん⇒アンカー有難うございます。
33の名無しさん⇒やはりネタバレでしたか(笑。次はもっと上手く書けるように頑張ります!読んでくださってありがとうございましたm(__)m2006-05-24 13:47:00 -
35:
名無しさん
あ
2006-05-27 20:14:00 -
37:
名無しさん
(・∀・)
2006-06-01 07:53:00 -
38:
名無しさん
ひ
2006-11-21 17:21:00 -
39:
名無しさん
(・_・)
2007-04-05 11:30:00 -
40:
名無しさん
おもしろかった
2007-04-05 12:01:00 -
41:
名無しさん
ぉもろぃ?書き方がうまいなぁ?
2007-09-03 04:36:00 -
43:
名無しさん
おもろい
2007-09-05 00:58:00 -
45:
41
>>44 そやで?また書いてなってエロ小説のほうに書き込んだものです??
コレは昔にもちゃっかり読んでたゎ?でもぉもろかったヽ(○´3`)ノ?次回作期待してまーす?2007-09-05 12:36:00 -
46:
主
>>41、44さん
ありがとうございます??
官能編の『■飼育■』を短編で考えてますので、まとまったらこのスレに書こぅと思ってます?
その時は、お暇な時にでも覗いてください m(__)m2007-09-05 15:35:00 -
47:
名無しさん
はあい(*^□'*)v
2007-09-06 02:41:00 -
48:
名無しさん
あげ
2008-01-01 18:05:00 -
49:
名無しさん
あげ
2009-05-03 20:59:00