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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 286:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    結局、ドレスと靴と鞄をお買い上げして更にアクセサリーも……と言い出すアメを必死で制した。
    満面の笑顔の店員に見送られながら店を後にした。                         
    「なんか……いっぱい買って貰っちゃって…………いいの?ごめん」                        
    嬉しくないわけではなかった。あたしもやっぱり女だなと実感してしまう節もあった。けれど喜びより分布不相応に思える買い物は申し訳ないような気持ちの方が大きい。                             
    「アンジュ、可愛かったなあ」

    2008-03-27 02:20:00
  • 287:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「初めてアンジュにプレゼントらしいプレゼントできたから嬉しいけど俺。」            
    「別にプレゼントとか……………」       

    2008-03-27 02:24:00
  • 288:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    アメは唇を片方あげるあの笑い方……をするかと思った瞬間、泣きそうな目をして笑った。                       
    「アンジュに何かあげたいからいいの!…………………………………………………………………………受け取ってもらえる?」                         
    「本当はそんなふうに笑うんだね」                       
    「??いるの?いらないの?」            
    少し怒ったようにぶっきらぼうに言い放つアメがなんだかおかしくて可愛かった。

    2008-03-27 02:30:00
  • 289:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「……もらえるものはもらっとく。………………ありがとう。嬉しい。」          
    どんな素敵なものよりアメの本当の笑顔が貰えた事が嬉しかった。
    こうもり傘から雨粒がポタポタ落ちる。あたしが濡れないように端によるアメの肩が少し濡れている。
    その事が嬉しかった。
    もがいて消えたがったあたし達が笑ってたいられる事がなによりも嬉しい。

    2008-03-27 02:36:00
  • 290:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    雨でかすんで見えるアパートの前でもかすまない赤い雨傘。
    一人の少女が立っているのが見える。                                   
    「クリスマスのドレス一緒に選んで!!!!!!!!!!!!!」                                
    軽くめまいがした。

    2008-03-27 02:40:00
  • 291:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    更新分>>286-300

    2008-03-27 02:41:00
  • 292:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    >>300
    「コレとコレどっちが可愛いと思う?」                           
    天秤にかけられた二枚のドレスはレースやフリフリがどちらもふんだんについていて、どう違うのかイマイチわからない。                 
    「どっちも似合うと思うよ」                  
    そう思ったのは本当。年齢の割にはずいぶん大人びてはいるものの、その体は少女らしい硬さを残している。白いふんわりとしたオーガンジーのドレスを胸に当てるレイチェルはチロリと横目でこっちを見た後、また視線を鏡に戻した。

    2008-04-02 00:55:00
  • 293:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「どっちが似合うか聞いてるのにぃ。アンはアメにドレス選んでもらったんでしょ。…いいなあ」                      
    レイチェルは自分でドレスを一枚選ぶと試着室のカーテンを引く。カーテンの向こう側から「スミトモは白が好きだからね」と、相変わらずスミトモの話が途切れることはない。                
    「どうかな?」                
    ベアトップの白いドレスは胸の下からフリフリとドレープのついたスカートが広がっていて、レイチェルの白い肌によくはえた。                
    「お嫁さんみたいだね」

    2008-04-02 01:08:00
  • 294:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    レイチェルは白い肌を胸のあたりまで真っ赤にする。                     
    「これでスミトモがカッコ良くスーツ着て来てくれたら……結婚式みたいにみえるかな?」                   
    「若い夫婦みたいに見えるよ、きっと」                 
    レイチェルはカーテンを勢いよく閉めてしまった。小さな声でありがとうと聞こえた。パサリとドレスが床に落ちる衣擦れの音と同じくらい小さな声で。

    2008-04-02 01:16:00
  • 295:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「いつかスミトモと本当に結婚できたらいいな……もっと大人っぽいドレス着て。……今はまだセクシー系は着こなせないからさ。空が真っ青になるくらい晴れるところで…雨の式なんて嫌だし。」                      
    着替えを済ませたレイチェルが再びカーテンを勢いよく開けた。                         
    「……………。本当はスミトモがそばにいてくれたら…それだけでいいんだ。」                        
    そう呟くレイチェルの横顔は年に見合わない程大人びている。              
    孤独を知っている者の表情だった。

    2008-04-02 01:28:00
  • 296:

    名無しさん

    登場人物全員だいすき??特にレイチェルかわいい(><)本間すきー??待ってます??読んでたら私も幸せになります(´∀`)ありがとう

    2008-04-13 22:05:00
  • 297:

    名無しさん

    今はじめて全部読ませてもらいました。
    主さんの言葉一つ一つに心を動かされました。
    読んでいるうちに、勝手に物語の中に吸い込まれてしまう様な感覚になって鳥肌がたって、涙が出ました。
    こんなにも入り込んで読めたの、主さんの小説ガはじめてです。ありがとう。
    応援していますので、主さんのペースで頑張ってください。

    2008-04-14 19:53:00
  • 298:

    主◆lZf.ArgVp2

    >>306さん
    レイチェルを気に入ってもらえて嬉しいです?あたしもレイチェル好きです笑
    >>307さん
    ありがとうございます。そんなに言ってもらえるなんて感激?です。今研修中でかけてないんですが話はできているんで暇見つけつつ書いていきます('◇')ゞ

    2008-04-15 17:10:00
  • 299:

    主◆lZf.ArgVp2

    >>305      
    「そばにいてくれたらそれだけでいい」
    望むのはそれだけの些細な願い。だけどそれは簡単な事ではなくて。
    レイチェルもあたしもそんな事はわかっている。
    難しいことだと知っているからこその願い。

    2008-04-23 21:08:00
  • 300:

    主◆lZf.ArgVp2

    一度手を取ってしまえば、その手を離すことが恐ろしくて仕方がない。ほんの少し前まで何も持っていなかった筈なのにね。           
    レイチェルと別れた後、珍しく雨は止んでいて血塗られた様な月があたしを見つけた。
    飲み込んでくちゃくちゃにしようとしているかのようなそれを睨みかえす。              
    レイチェル、あたしも一緒に思うよ。あなたの願いが叶いますように。
    アメが、レイチェルが、スミトモが、ドクターが、幸せでありますように。

    2008-04-23 21:21:00
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