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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 104:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    サンデイピクニックのサンドウィッチは相変わらず美味しい。一口食べてとても空腹だった事に気付く。
    サンデイピクニックはこの街の観光客が行き来する表の場所とあたし達の住む裏の場所の真ん中あたりある。ガイドブックにも紹介されたらしく車を改造した店舗からは客足が途絶えない。
    パンを頬張りつつアメと歩く。アメが傘をさしてくれている。あたしのはサラミにピクルス、チーズにトマト。アメのローストビーフのサンドウィッチと一口交換した。

    2008-02-18 05:27:00
  • 105:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    昔こんなふうに一緒に歩いたひとはもういない。
    隣をみるとアメが有り得ないくらい口にサンドウィッチを詰め込んでいて少し笑った。            
    「腹膨れたら元気になるだろ?」             
    アメが笑う。綺麗な笑顔で。アメの目は優しくて綺麗。あたしの大好きなあの人に目の色が少し似ている。             
    「………うん」

    2008-02-18 05:32:00
  • 106:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    あたしは誓いを破った。いや、破りつつある。

    もう誰も愛したりしないと決めていた。誰からも愛されるまいと望んでいた。

    あたしにはそんな資格がないから。そうすることが償いだと思ったから。ずっとそうやって何からも目を背けてきた。

    2008-02-18 05:37:00
  • 107:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街にも自分にもドクターにもあの人にも全部。
    興味を持たないように自分を見せないように。
    そうすることはあたしにとってそう難しい事ではなかった。
    あたしの嫌いな雨を好きだというこの男はあたしの封印していたものを突っついて引っ掻く。

    2008-02-18 05:43:00
  • 108:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アン、濡れるよ」               
    少しアメから距離を離したあたしの肩を傘が届く範囲まで引き寄せた優しい腕。
    「………」            
    “アリガトウ”と言いかけて辞めた。誓いを破らない為にはこんな一言だって言ってはいけないんだ。
    けれどアメの目は何も言わないあたしから言えない言葉を見つけて微笑む。

    2008-02-18 05:49:00
  • 109:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アメ!」      
    気の抜けた声でにへらにへらとスミトモが近寄ってきた。相変わらず野良猫のように突然出てくる。アメとスミトモはいつの間にかすっかり仲良しで…というかスミトモがアメをとても慕っていた。
    今日いつもと違ったのはスミトモが女の子を連れている。赤い傘のその女はフワフワの白っぽい金髪に緑がかったおおきな目。童話の中の女の子のように綺麗な子だった。
    目が合う。その子はあたしの事をこれ以上ない程、嫌悪感たっぷりに見やるとスミトモの腕に自分の腕を絡ませた。

    2008-02-18 06:03:00
  • 110:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    甘えてスミトモを見上げると少しキイキイした声で話す。          
    「このひとがアメさん?」       
    スミトモは軽くその子の頭を撫でる。           
    「こいつ、レイチェル。最近俺がみてる娼館の奴。」       
    レイチェルと紹介されたその子は軽く会釈をした。その仕草もとても可愛らしかった。

    2008-02-18 06:10:00
  • 111:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アメさん有名ですよ―、格好いいし背中のタトゥーが変わってるって。スミトモが話したって言ってて羨ましいなって思ってたんです」            
    「可愛い子だね。彼女?」          
    アメがスミトモに訪ねる。レイチェルは嬉しそうにスミトモにより一層強く腕を絡める。スミトモは彼女っていうか…と口ごもっている。こういうふうにしているとスミトモもどこにでもいる15歳の少年に見えた。

    2008-02-18 06:21:00
  • 112:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「エッチはしてるんですけど―付き合ってくれなくて―」            
    「してるの!?」                
    おどけた後アメがスミトモにお前ね、そういうのはよくないよとかなんとか言ってスミトモはなんだかまごついていた。
    レイチェルはそれを見てクスクス笑っている。
    スミトモはなんだかんだであの子を可愛がっているんだろう。細い肩、痩せた体、スミトモより年下だろうから14歳くらいだろうか。雨粒が落ちる赤い傘が痛々しい。

    2008-02-18 06:28:00
  • 113:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    こういうふうにしていればあたし達もなんら普通の子供と変わりないだろう。
    けれど皆、各々の場所に戻ればスミトモはマフィアの下っ端、レイチェルは娼婦という現実がある。アメは得体が知れないしかく言うあたしは………………………………………

    悲しい?苦しい?感じたところで憤ったところであたしに何が変えられる?

    2008-02-18 06:34:00
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