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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
131:
緋恋◆lZf.ArgVp2
ドクターは七年前死にかけていたあたしを拾った。あたしに何を要求するわけでもなくそれから今日まで一緒に暮らした。
ドクターはドクターと呼ばれるとうり医者をしている。免許はあるが許可とかあたしの知らない色々をちゃんとしてはいないらしい。
二階建ての小さくてボロいアパートとは四部屋しかなくて右にアメ、左にあたしとドクターが住む。一階の二部屋はドクターが仕事場として活用している。2008-02-20 22:04:00 -
132:
緋恋◆lZf.ArgVp2
起きていちいち仕事場に行かなくとも、客が来ればわかるのにドクターが毎日仕事場に行くのはあたしと会うのも会わないのも嫌なのだと思う。
それがあたしの知るドクターのだいたいの事。
あたしに課せられているのは食料を家に置いておくことくらいだ。
朝食は一緒にとるしたまには話すけれどあたしとドクターの間にはこれといった関係性はないように思う。2008-02-20 22:14:00 -
133:
緋恋◆lZf.ArgVp2
こんな街でもそうでなくても何もしていないのに食事にありつけるのは有り難い事で。
ドクターに拾われて七年、あの日死ぬかもしれなかったのに、今のうのうと生きている。
あの日からあたしはただ七年の時間をふわりふわりと漂っていただけだ。
特に楽しくもなく特に悲しくもなく。2008-02-20 22:22:00 -
134:
緋恋◆lZf.ArgVp2
それは痛みのない地獄、喜びのない天国にただ立っているような。
2008-02-20 22:26:00 -
135:
緋恋◆lZf.ArgVp2
それは特に悲しいわけでも楽しいわけでもなく
ただ苦しかった。2008-02-20 22:29:00 -
136:
緋恋◆lZf.ArgVp2
ドクターの酒とパンとハム、チーズ。冷蔵庫とコンロの横の棚に突っ込むとアメの部屋に行く。
いないかもしれないと思ったけれどアメはベッドで本をよんでいた。
その姿をドアの隙間からなんとなく眺めていた。
なんでここにいるのだろうと思いながら。2008-02-20 22:42:00 -
137:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「おかえり」
アメは本から視線をずらすことなくそういった。
「…………………」
どうしてここにいるんだろう。どうしてここに来たんだろう。
長い沈黙が続いた。2008-02-20 22:47:00 -
138:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「おいで」
立て付けの悪いドアは少し開けただけできしんだ。
誓いを破ってごめんなさい。
お母さん、ごめんなさい。
恐る恐る一歩をふみだすと後はもう一瞬だ。2008-02-20 22:52:00 -
139:
緋恋◆lZf.ArgVp2
アメにもごめんなさい。
あなたが死にたがっていたから、あたしと同じような顔をしていたから。
自分が死ねなかったものだから
だから何も出来ない癖に、あなたを生かしました。
ごめんなさい。2008-02-20 22:57:00 -
140:
緋恋◆lZf.ArgVp2
一人で苦しむのが嫌だから。
「…猛獣使いになった気分」
アメはあたしを抱きしめながら、
そう言って笑った。2008-02-20 23:00:00