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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 144:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    レイチェルは酒が嫌いで細長いグラスでいつもジンジャーエールを飲んでいる。
    四人でいるときもあたしはあまり話さないし、スミトモとアメがいないとグラスを置く音がカウンターに響く程に静かになった。
    レイチェルは押し黙って機嫌悪そうにグラスに飾ってあったレモンをストローでグラスにの奥に沈める。

    2008-02-21 02:53:00
  • 145:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アメさんって不思議なひとね」
    レイチェルはあたしの返事を待つわけでもなく続ける。          
    「こんな警戒心の強い奴だらけの街でもうすっかりとけ込んでる。みんなアメさんの事すきだし」                       
    レイチェルとちゃんと話すのは初めてだった。あたしはアメと一緒にいる割にはアメの事を何もしらない。            
    「スミトモも似たような感じがするけど………」

    2008-02-21 03:03:00
  • 146:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    よくわからないので、とりあえず他の接点であるスミトモの話をした。                     
    「違うっっ!!!」                    
    あたしの目を睨みつけるレイチェルの目は緑がかった優しい色なのにその奥には正反対の感情が揺れていた。
    「スミトモはそんなんじゃないっ。へらへらしてるけど、…そんなんじゃなくて………みんなをまとめないといけないから本当はもっとちゃんとしてないといけないんだけど、スミトモはそんなのしたくないの。だからへらへらしてる……優しいのスミトモはっ!」
    言うだけ言うと、半分立ち上がりかけていた姿勢を座り直し、ジンジャーエールを一口飲んだ。

    2008-02-21 03:13:00
  • 147:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

            
    「アメさんとは違う……………アメさんはなんか……。                         
    つけこむかんじ。」                    
    沈黙。レイチェルが何を言わんとしているのかがあたしにはよく理解できなかった。スミトモはいい奴なんだろうと思う。レイチェルがスミトモをすごく好きなんだろうなということはすごく解った。

    2008-02-21 03:18:00
  • 148:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「この人と同じの下さいっっ!!」
    「これ、スコッチだよ?」
    「いいのっっ」                     
    レイチェルはたった一杯で酔って、白い肌を真っ赤にしながら二杯目にも口をつけた。
    酔っ払いのレイチェルはとにかくよく喋り、普段あまり話さないあたしは情報を処理する作業にてんてこまいななった。

    2008-02-21 03:24:00
  • 149:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    三杯目になった時にはすっかりできあがり、あたしはずっとレイチェルの「あたしとスミトモ(出会い編)」を聞かされるはめになった。
    なかなか帰ってこないアメとスミトモを恨みながら横目でレイチェルを見る。
    呂律の回らない口調で一生懸命話すレイチェルは可愛かった。                      
    「シュミトモにはあ〜…感謝してるんだ。………14歳はあ…ほんとわあ…だめだけど。口きいてくれてえ…今の店いれてくれて」
    レイチェルの握りしめるグラスから酒がこぼれる。バーテンダーが急いで吹いたがお構いなしなようで「も、いっぱいいれてください」とグラスを置く。

    2008-02-21 03:35:00
  • 150:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    また訪れる沈黙。今度の沈黙は重くまとわりついてくる。
    ふいに冷たい感覚が襲う。レイチェルがスコッチをぶっかけてきた。                             
    「いつも人の事汚いモン見るような目でみやがって!!!!!!!」                           
    酒が目にしみるな…とか思ってるうちにレイチェルがつかみかかってくる。イスは倒れて馬鹿でかい音がなるし、後ろのボックスで静かに飲んでいた客が楽しげに口笛をふいた。

    2008-02-21 03:50:00
  • 151:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「離せやあ!!!」           
    騒ぎに駆けつけてきたスミトモに取り押さえられて呆気なく御用となったレイチェルは無理やりスミトモに頭を下げさせられている。
    「コイツさあ、酒飲めないんじゃなくて酒乱だから飲ませなかったんだよ。」                
    ほんとにごめん、とスミトモは今日の分の払いを店にいた客の分すべて払っていった。レイチェルは噛み殺さんばかりの形相であたしを睨んでいたけれどスミトモに引きずられながら帰っていった。

    2008-02-21 03:58:00
  • 152:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「思ったより強烈なコだったねえ」                 
    ベッドに腰掛けてアメが楽しそうに笑う。               
    「……笑ってろ」                         
    汚イモン見ルヨウナ目ェシヤガッテ                    
    ………そんなつもりなかった。

    2008-02-21 04:04:00
  • 153:

    緋恋◆lZf.ArgVp2



    あたしなんて人殺しだよ

    2008-02-21 04:05:00
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