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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 191:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

               
    なのに……救いを見いだしました。       
    あさましくも。                    

    2008-02-25 02:45:00
  • 192:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アン、最近女っぽくなったなあ」
    「……ガキにそんなの言われたくねえ」
    下品きわまりない笑い方がいっちょまえにオッサンのスミトモとはサンデイピクニックで出くわした。
    昨日ずっとあたしが眠るまで赤ちゃんをあやすように背中をさすってくれたアメはまだ眠っている。
    お詫びといっては何なのだけれど朝食を調達しに来た。アメの金だから詫びになるかというと微妙だ。

    2008-02-25 03:00:00
  • 193:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    なんだか気分が良かった。あんなに泣けば多少は気が済んだ気がする。             
    「つれないじゃん。俺ずっと前からアンの事気に入ってるのに」
    どこの三文芝居の適当な役者のセリフだよとスミトモを睨む。こっわ〜とスミトモはジェスチャーで答えた。一連の流れが見事にレトロ。
    「レイチェルに言う」
    「言えば」

    2008-02-25 03:08:00
  • 194:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「けど、そしたらまたアイツ、アンの事殴るな」
    笑っている割になんだか投げやりに言うスミトモは寂しそうに見えた。
    「喧嘩したの?」
    「別に」
    話してる間に注文していたバケットのサンドイッチは相変わらず美味しそうに出来上がり、スミトモは既に一個食べたらしいのに人のものを見て食欲をそそられたらしくもう一つ注文した。

    2008-02-25 03:15:00
  • 195:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    スミトモは無言だが一緒にいてほしそうに感じたのでなんとなくその場に留まる。                 
    「……やっぱり女らしくなった。」                    
    ガキの癖に随分と大人びた事を言うものだと思った。その後自分もたいして変わらない年齢だというのを思い出した。
    「なんか変じゃない?」
    「なにが?」

    2008-02-25 03:22:00
  • 196:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    お前がだと言おうとしてやめる。レイチェル作だと思われる大量のキスマークをスミトモの首もとに発見して呆れたのもあるし、言わない方がいいような気もしたから。
    「首…すごいよ」
    「おう。」
    なにが「おう」なのか生返事を返したスミトモは後ろ手を降りつつ去っていった。
    「サンドイッチは―?」

    2008-02-25 03:31:00
  • 197:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「やっぱいいわ〜アメにやって〜」           
    アメはそんなに食べないしスミトモのサンドイッチはドクターへのお土産にしよう。
    帰ってアメとサンドイッチを食べよう。
    生きるために。

    2008-02-25 03:41:00
  • 198:

    緋恋◆lZf.ArgVp2



    生きるために

    2008-02-27 04:16:00
  • 199:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    昨日全てを吐き出したあたしはアメにすがって「消えてしまいたい」と言った。
    死にたいとかそんなんじゃなくて。ただ消えてしまいたいそう思った。             
    「だめ。」                       
    涙でぐしゃぐしゃになったあたしの顔を強引に持ち上げられた。そらそうとしたけれど男の力だ、かなわない。アメは出会って間もない頃に見せたあの笑い方をした。唇を片方だけつりあげて意地悪く笑う。無理やり合わせられた瞳には何がうつっていたのか。涙で全てが歪んで見えたあたしには知れない。
    「だ――――め」

    2008-02-27 04:27:00
  • 200:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    あたしの顔を支えていた手を離して腕を首にまわす。きつく引き寄せると耳元でアメが囁いた。          
    絞り出すようなかすかな声で。             
    その声は震えていた。                           
    「アンジュがいなきゃ息も………できない」                

    2008-02-27 04:33:00
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