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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
21:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「一緒に暮らしてるのに?」
男は意地悪な笑顔であたしを見つめる。
「もう行くよ」
もう一度鞄の中身をざっと確認してドアに手をかける。2007-05-29 13:39:00 -
22:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「お使いご苦労様」
振り返らずに答えた。
「あなたも。ステファン」
外に出るとスミトモが待っていた。帰ったんじゃなかったのか。2007-05-29 13:43:00 -
23:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「ここいらは物騒だからさ」
鞄を持とうとしたスミトモを制した。
「大事なものだから。」
スミトモの笑顔が曇った。あたしはスミトモがなんて言って欲しいのかわかっている。でも、何も言わない。雨音が酷くなる。無言で帰りを急ぐ。
2007-05-29 13:50:00 -
25:
緋恋◆lZf.ArgVp2
>>24 スミトモは裏道を巧いこと進んでいく。どうやら近道らしい。丁度娼婦通りの裏くらいだろう。
「スミトモ!」「おい」「おはよ―」
口々に親しげな声をかけられ笑顔で返すスミトモ。彼はこの辺りでは顔だ。裏通りには表でさすがに商売できない程年若い少年少女、化粧を塗りたくったお婆さんと言っていいような年齢の女が手製の雨よけの中に座っていた。
子供達はスミトモを憧れの眼差しで目で追っている。2007-05-29 16:20:00 -
26:
緋恋◆lZf.ArgVp2
娼婦達は皆、娼館に入りたがる。儲けは店と折半になるが安全だからだ。道端や裏で客をとるのは危険極まりない。金を払って貰えないくらいならまだいい。
暴力に薬、おかしな趣味の奴らも多い。仕事してくる、と着いていったが最後二度と姿を見ない事もある。
2007-05-29 16:32:00 -
27:
緋恋◆lZf.ArgVp2
弱い奴らは雨に打たれて消えて行くだけ。皆を纏め、徒党を組み、群れることが弱者の知恵。
間接的にスミトモに守られている子供達にとって彼はヒーローなのだ。
法や道徳はここまで届かない。
「せめて雨が止めばなあ」
スミトモがポツリと言った。雨が止んだって何も変わりはしない、赤い月がそうあざ笑う。2007-05-29 16:47:00 -
28:
緋恋◆lZf.ArgVp2
まだ小さな子供が雨よけの下で物乞いをしている。ギャンブルで稼いできた機嫌の良い奴が戯れに幾らか空き缶に放り込む。
そんな金すらその子より大きい子供が盗んだりする。
酷い街、赤い月、灰色の雨…大嫌い。
「さっ、またな!アン」
丁度街の北と南の境目。スミトモは今度こそちゃんと帰っていった。2007-05-29 16:58:00 -
29:
緋恋◆lZf.ArgVp2
人だ……………
なんて綺麗な人!!!
2007-05-29 17:14:00 -
30:
緋恋◆lZf.ArgVp2
また雷が轟音をたてて光った。薄青く照らされたその人はこの世のものとは思えない程美しい。
美人なんていくらでも見てきた、娼婦通りには肌が白い奴、黒い奴、黄色い奴…頭の中身はともかく見てくれがいいのは男も女もいくらでもいる。
“天が裂けて落ちてきた”
そう言われても納得できる。2007-05-29 17:24:00