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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
244:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「………知ってる。」
2008-03-12 03:27:00 -
245:
緋恋◆lZf.ArgVp2
アメの横顔に涙が落ちる。
「アンジュは泣き虫だな」
悲しかった訳じゃない。そんな事はちゃんとわかっている、知っている。
「俺は苦しくったって涙の一滴だって出ない。」
そう苦々しく吐き捨てるアメ。彼の代わりに涙を流したような気がした。アメは雨が好きだと言う。雨は神様の涙ならあたしの涙も似たようなものかもしれないから、流れるままにそのまま少し泣き続けた。2008-03-12 03:38:00 -
247:
緋恋◆lZf.ArgVp2
>>252
何が罪で何なら善行なんだろう。善い行いばかりしていれば、苦しむ事はない?
泣かなくても済む?
もし、悪いことをすれば、ずっと苦しむのだろうか?
善い事しか正しくないのなら
アメもあたしも汚い?2008-03-13 01:25:00 -
248:
緋恋◆lZf.ArgVp2
このまま、ずっと?
2008-03-13 01:26:00 -
249:
緋恋◆lZf.ArgVp2
あたしはずっと深い水の底から、その天辺にある美しい光の幻を…。それは太陽かもしれないし月かもしれない。
そんなものを羨ましいような、手が届かない故に憎むような…ものすごく愛しているような…………
そんな気持ちでただ眺めていた。
指をくわえて見ているだけで、何もしていない癖に、水面から顔を出せさえすれば手に入れられるんじゃないかと、
期待さえしていた。2008-03-13 01:34:00 -
250:
緋恋◆lZf.ArgVp2
いつか…
誰かが…
何かが…
そんなふうに期待せずにはいられなかった。全てを諦めているようなそぶりで、自分も諦めていると思いこんで。2008-03-13 01:36:00 -
251:
緋恋◆lZf.ArgVp2
だって仕方がない。こんな汚くてろくでもない場所で。
あたしも同じだけどこんな他力本願な考えの奴ばかりひしめいてて。
泣いたって嘆いたって悔やんだって、後戻りはできないのに。
自分を痛めつける事で何かから逃げようとしている。
どこに行ったって同じ。2008-03-13 01:40:00 -
252:
緋恋◆lZf.ArgVp2
あたしは顔を出した。
深い深い何かの底から。
今まで、結局は怖くて、底にどんなに悪態をついても、自分の意志で新しい場所に行くのを怯えてただけだ。
けどあたしは行けたよ。
アメがいたから。2008-03-13 01:44:00 -
253:
緋恋◆lZf.ArgVp2
水面の上にあると思い込んでいた光は、そこに行くとまたもっと遠くにある。
空の上に。
どこに行ったって同じ。
自分からは逃げられない。2008-03-13 01:47:00