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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
271:
緋恋◆lZf.ArgVp2
あったかい光景であることは間違いなかった。
以前のあたしはこんな状況の中でも色濃い陰を見つけて、それを眺めた。
「ほほえましいよ、アンジュも」
影はもういない。消えたわけじゃない、影だけはもう見つめない。ふいにレイチェルと目があった。
びっくりした。2008-03-26 01:58:00 -
272:
緋恋◆lZf.ArgVp2
レイチェルの目はあたしを映して暖かく微笑んだ。
2008-03-26 01:59:00 -
273:
緋恋◆lZf.ArgVp2
スミトモとレイチェルが手を振って帰ってゆく。あたしはそれをしばらく見送ってアメと家路につく。
胸が痛かった。
「あの子、優しい子なんだね」
「………レイチェル?」
あたしは目で答えた。どうして自分がレイチェルに殴られたのか形にはならないけどわかったような気がした。2008-03-26 02:06:00 -
274:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「激しいけどね―多分そうなんじゃない?」
「うん、そう思う。」
「………優しすぎだね。君たちは」
絡まった糸を断ち切って欲しい。クリスマスにはサンタにそれを願う。また他力本願な事を願っているのに気付く。繋いだ手に力を込めた。2008-03-26 02:11:00 -
276:
名無しさん
更新ありがとう?
待ってました?2008-03-26 10:32:00 -
278:
緋恋◆lZf.ArgVp2
>>282
“優しすぎだね、君たちは”
アメの言葉があたしの体に何度となく巡る。血液に運ばれる酸素のように。
手を繋いだ、皮膚の触れ合う所から何度も何度も反芻された。
そんな言葉をあたしにかけるアメの優しさ。あたしを許したレイチェルの優しさ。あたしを当然のように受け入れるスミトモの優しさ。あたしを許すドクターの優しさ。2008-03-27 01:11:00 -
279:
緋恋◆lZf.ArgVp2
みんな当たり前のようにひとを愛する。側にいる人を当然のように認めている。
どうしてその優しさは全てに還元されないのか。
愛するという事を知った時、世界は美しい。
時に何倍も悲しい。2008-03-27 01:16:00 -
280:
緋恋◆lZf.ArgVp2
「どうして泣くの?」
「…………さあ?」
あたしはアメの手の温もりしか頼るものがないような気持ちで、アメの手を握り返す。
強く握って強く握り返してもらえれば大丈夫だという気がした。
アメ、貴方が何者でも。あたしが何者でも。2008-03-27 01:21:00