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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 311:

    名無しさん

    >>321
    一つは古びた銀のネックレスで中に写真が入る。母に父がプレゼントしたものらしく物心ついた時から母の胸に柔らかく光っていた。
    おかあさんは中に父の写真を入れていて見せられた気もするが、とりわけ特別な記憶もない。
    今中身が空なのは、母が捨てたのか、ドクターの小さな抵抗か。

    2008-04-25 01:29:00
  • 312:

    主◆lZf.ArgVp2

    ドクターがおかあさんにプレゼントしたという青い宝石がついたネックレスだけを首にかける。
    あたしにとっては待ち続ける母に一度も会いにこなかった父のプレゼントより大切に思えたし、そうしてあげたかった。      
    「ドクターが選んだにしてはセンスがいい」と崩れた化粧を直してくれながらアメが笑った。     
    確かに熊みたいなドクターが真剣な顔をしてアクセサリーを選んでいる姿を想像するとニヤリとなる。
    そして少し悲しくなった。

    2008-04-25 01:40:00
  • 313:

    主◆lZf.ArgVp2

    「いこうか」          
    アメに手を引かれて部屋をでる。今日のアメは完璧なまでに紳士だった。手を取る時の美しい身体の動作。自分が映画の中に入ってしまったかのような錯覚。ドアをさっと開けてくれる。いつもの部屋のドアは知らない世界に続くドアのように感じた。

    「………買ったの?」
    「まさか。チャーター」

    2008-04-25 10:36:00
  • 314:

    主◆lZf.ArgVp2

    「ようこそ!メリークリスマース!!」       
    それはちょっとないんじゃないかというむちゃくちゃな挨拶をしたスミトモはひと目見てわかる程はしゃいでいる。
    そんな彼は初めて見るスーツ姿で。はだけた胸元と派手なシャツはいかにもチンピラだったがレイチェルは嬉しそうだ。
    荘厳なゴシックの長くて狭い廊下は二人しか横に並べない。
    前を歩くスミトモとレイチェルはとにかく楽しそうだ。ぴったりスミトモに腕を組んで寄り添うレイチェルは頭に白い薔薇を飾っているせいか花嫁のようだ。

    2008-04-25 11:06:00
  • 315:

    主◆lZf.ArgVp2

    「……結婚式みたいに見えるかな?」         
    この間のレイチェルの声が頭をよぎる。
    もう一度スミトモとレイチェルを見つめた。        

    …うん、レイチェル…見えなくもないよ。

    2008-04-25 11:14:00
  • 316:

    主◆lZf.ArgVp2

    いつか本当のヴァージンロードを通って、スミトモも隣りでいきいきと笑うレイチェルの姿が見えた気がして。
    レイチェルが憎まれ口を言いながらあたしにブーケを渡す。

    そんな白昼夢。

    2008-04-25 11:20:00
  • 317:

    主◆lZf.ArgVp2

    「何笑ってるの?」
    「……秘密」             
    誰かに話したりしたら口からでた瞬間に幼い夢は消えてしまいそうな気がした。
    シャボン玉のようにパチンと跡形もなく。

    2008-04-25 14:10:00
  • 318:

    主◆lZf.ArgVp2

    レイチェルがうるさくする前から見られてはいるんだけど。
    アメは白っぽいグレーの細身のカジュアルなスーツをドレッシーに着こなしていたし、スミトモはスミトモでチンピラセンスが漂っているものの野良猫のようなしなやかな身体を包む黒いスーツはスミトモを色っぽく見せていた。
    丁度黒い格好のあたしとスミトモと白い格好のアメとレイチェルは四人掛けのテーブルにオセロの始めのように並んで打ち合わせでもしてきたようで。

    2008-04-27 11:42:00
  • 319:

    主◆lZf.ArgVp2

    「……なんかすっごく見られてない?!も〜お前がうるさいから!!!!それともなんか俺へん??」
    豪華なレストランに自分が誘った癖にソワソワしだすスミトモ。あたしも人のことはいえず、さっきからお尻のあたりがムズムズするような気がして仕方がない。
    「なんで?気分いいじゃん。アンジュとレイチェルが可愛いからだよね。誰もお前の事とかみてないし」
    「そっか」とスミトモは照れたように笑い、「そうそう」とアメは続けた。そのやり取りにレイチェルが笑い、テーブルにはシャンパンが運ばれてきた。

    2008-04-27 11:52:00
  • 320:

    主◆lZf.ArgVp2

    「…とりあえず」       
    メリークリスマス!!誰からともなくグラスを合わす。

    2008-04-27 12:05:00
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