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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
361:
主◆lZf.ArgVp2
「冷えただろうに、寒くない?」
アメはホットミルクをレイチェルに手渡しながらあたしにもコーヒーを渡す。
落ち着いたのかレイチェルはアメとあたしに軽く目線を合わした。「……スミトモがね、帰ってこないの。…色々いそうな所はちょっと見て来たんだけど…………いないの」
握り潰せそうな華奢な肩は震えている。2008-06-20 06:38:00 -
362:
主◆lZf.ArgVp2
「…心配しすぎじゃないの?」
レイチェルは虚ろにどこかを見ていた。
「スミトモは絶対に約束破んないの。来るって言ったら来るし、来ないって言えば来ない」
「女の子んとこじゃないの?なかなか帰してもらえないとか。あいつ女に弱いから」
アメが冗談ぽく言う。レイチェルには悪いけど確かにクリスマスだしそんな気もする。2008-06-20 06:44:00 -
363:
主◆lZf.ArgVp2
「そんな事ないっ」といつもの怒声がするかと思ったがレイチェルは唇をぎゅっと結んだ後、カップの中のミルクの波紋を見つめた。
「………そんな事なら…別にいいの」
何も言えなくなった。黙ってしまったレイチェルから恐怖が痛いくらい伝わってきたから。漠然とした不安。レイチェルは今までこんな不安な夜を一人でいくつ耐えたのだろう。
「怖いの……いつも。帰るって言ってもいつか帰って来ないんじゃないかって」
2008-06-20 06:52:00 -
364:
主◆lZf.ArgVp2
「………………………………怖いのよ」
レイチェルは声一つ立てず嗚咽一つ洩らさず泣いた。すぐに左手を瞼にあてて涙を隠した。
その姿は少女ではなく耐え続ける人間の姿で、背中を撫でてやるくらいしかできない。
スンと鼻をひとすすりしてレイチェルは涙を拭った。2008-06-20 07:05:00 -
365:
主◆lZf.ArgVp2
「…ごめんね。アメさんのシャツ マスカラがついちゃった。ごめん、お祝いするとこだったよね?」
「いいよ、そんなの」
「洗って返すよ。アン、悪いけど何かはくもの貸してくれる?帰るよ」
レイチェルの化粧がボロボロになっているところなんて初めてで。そんな顔で明るく笑うのが苦しくて。2008-06-20 07:12:00 -
366:
主◆lZf.ArgVp2
「帰らなくていいよ、一人になんてできないよ。」
すごく困ったような顔をしてその後レイチェルは笑った。
「大丈夫、スミトモが帰って来るかもしれないから、ありがとう」
レイチェルが帰り支度をする間、そわそわと部屋の中をウロウロ歩き回った。何もできない。今すぐどこぞにいるであろうスミトモを引っ張って連れて来てやりたかった。2008-06-20 07:21:00 -
367:
主◆lZf.ArgVp2
アメに送っていってもらう事にして、さっきの料理を包んだ。
「美味しそう、スミトモ喜ぶわ。唐揚げ大好きなの」
「…やっぱり」
さっきその話をしていたと話したら「唐揚げ好きそうな顔って何!?」とやっとレイチェルらしく笑ってくれた。2008-06-20 07:25:00 -
368:
主◆lZf.ArgVp2
二人がいなくなった後も以前階下は騒がしく、たまに怒鳴り声が聞こえたりした。
いつのまにかクリスマスは終わってしまい料理も冷めてしまった。手の付けられていない料理が目一杯並ぶテーブルは一人でみても物悲しい。
この分だとドクターは朝まで帰らないかもしれない。
料理に埃が入らないよう布をかけたり戻せる分は鍋に戻した。冷蔵庫はパンパンに満員御礼となる。2008-06-20 07:32:00 -
369:
主◆lZf.ArgVp2
レイチェルはもう家に帰ったろうか。
強く降っていた雨はまた穏やかにシトシトと降る。それが逆に苛立ってため息をひとつ。
アメを待つ時間が途方もなく長く感じる。
時計の針は止まっているんじゃないかと思う程動かない。
怖くなった。2008-06-20 07:36:00 -
370:
主◆lZf.ArgVp2
「たーだいまー、もうビショビショー。もうちょっとでつくってとこで急に雨弱くなるし………アンジュ?」
言葉をなくしてアメを見つめるあたしを不思議そうに見た後、意地悪な顔をして笑う。
「はやくタオルとって。寂しかったでしょ、泣き虫」
「泣いてない!」2008-06-20 07:46:00