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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
391:
主◆lZf.ArgVp2
気付いた事があった。
スミトモの頬に触れた時、スミトモが手に何か握っているのを見つけた。
青い布の切れっ端。多分シャツか何かだと思う。
あたしはそれにはっきりと見覚えがあった。2008-06-26 04:49:00 -
393:
名無しさん
お疲れ様?
2008-06-26 06:50:00 -
396:
主◆lZf.ArgVp2
街外れの火葬場はなんの色気もない灰色の建物。ただ焼いて灰にする。それがこの街の葬儀。
黒は似合わないから着ない、と言っていたアメも黒のスーツに黒のネクタイをしていた。
どうみても堅気でない人間がまばらに集まる中、あたし達は浮いている。
今日はスミトモの葬儀だ。2008-07-02 02:00:00 -
397:
主◆lZf.ArgVp2
柩の中に横たわるスミトモは黒のスーツを今までに見た事もないくらいきちんと着せられている。綺麗に死化粧されていて無残だった死の面影はない。
「こうやってみると男前だったんだね、コイツ」
寂しそうにアメが笑う。レイチェルは見当たらない。来れる状態じゃないのかもしれない。あたしはというとまだ半分夢の中のような気分、花に囲まれるスミトモはただ眠っているようにも見えるのだから。2008-07-02 02:10:00 -
398:
主◆lZf.ArgVp2
いよいよスミトモと最期の別れだという時、走りよってきたレイチェルの姿に周りは唖然とする。
彼女はクリスマスに着ていた真っ白のドレスを着ていた。
「買い物してたら遅くなっちゃった。こんな時なのに列ができてんだもん」
屈託なく笑いかけてくるレイチェルに気でも狂ったのかと思った。茶色い紙袋の中から取り出されたのはサンデイピクニックのサンドイッチ。2008-07-02 02:17:00 -
399:
主◆lZf.ArgVp2
「スミトモの好きなもの色々買ってきたの」
柩の隙間にサンドイッチを入れるのを手伝う。
「わあー綺麗にしてもらったね……眠ってるみたい。おきなさーい!!!!!……………………なんてね」
レイチェルの少しおかしな行動に周りは静まり返っていた。でも誰もいさめたりしない。いや、できないのだろう。2008-07-02 02:23:00 -
400:
主◆lZf.ArgVp2
レイチェルの手がスミトモの頬にそっと触れる。
「愛してるわ………スミトモ」
2008-07-02 02:25:00