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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
404:
主◆lZf.ArgVp2
「スミトモがアンの事クールでかっこいいってずっと言ってるからあたし最初妬いちゃって。ちっともクールじゃないのにね。」
レイチェルはその日のうちに街をでた。
「アンジュ、寂しくない?」
「レイチェルとはまた会えるから。……生きてるんだから」2008-07-02 03:00:00 -
405:
主◆lZf.ArgVp2
レイチェルの門出を祝うように、白い月が輝く。赤い月からスミトモがレイチェルを守ってやっているんだ、きっと。
生きている間にもっと優しくしてやればよかったのに。
「スミトモはレイチェルの事目茶苦茶すきだったよ?」
ぎょっとしてアメを見る。お前が何を考えているのかなんてお見通しと言うようにアメが笑う。
「あーいう組織の人間って特定の女作ると危ない目見せたりするからね。レイチェルもわかってるよ、愛されてたって。」2008-07-02 03:10:00 -
406:
主◆lZf.ArgVp2
「……わかってるよ!そんくらい!!」
レイチェルにも誰にも言わなかった事がある。スミトモを殺したであろう人物について。
レイチェルはスミトモに愛された記憶がある、恨みなんかを支えにして欲しくなかったから心当たりについて聞かれた時、知らないと答えた。2008-07-02 03:24:00 -
409:
名無しさん
ヤバイ泣いた
2008-07-03 05:48:00 -
411:
主◆lZf.ArgVp2
>>421
アメの部屋に行く気にはなれず自分の部屋に戻る。窓を開けて月の光で部屋を満たす。雨の香りのしない空気は新鮮な味がした。
「わりぃな」そう呟くスミトモの声が聞こえた気がして。慌てて振り返ってもその姿はあるはずがないのに。
スミトモの死はマフィア同士の喧嘩という事であっけなく片付いた。この街では人間が一人いなくなるのに十分な理由。2008-07-10 01:20:00 -
412:
主◆lZf.ArgVp2
煙草に火をつける。吸い込むと湿気がないせいかいつもより旨く感じる。白い光に向って昇り掻き消えていく煙はスミトモを連想させた 。
簡単な挑発なんかに乗るような奴ではなかった。喧嘩なんてしてるところ一度も見た事なかった。
頭を抱える体が酷く重い。二口だけすった煙草を乱暴に消した。
「………嫌だ」
2008-07-10 01:26:00 -
413:
主◆lZf.ArgVp2
もう二度と会えないなんて嘘だ。胸に込み上げるなにかが痛い。
苦しい 苦しい 苦しい
レイチェルは強い。
スミトモの死を受け入れられないのはむしろあたしの方だ。冷たく横たわるスミトモを前にして何もできなかった。涙を流す事すら。ただ呆然と眺めていただけだ。2008-07-10 03:20:00