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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
431:
◆lZf.ArgVp2
>>446さん
ありがとうございます 最近話がごちゃごちゃしてきてますがちゃんと読んで頂いて嬉しいっす(>_>447 毎日とか嬉しいです。趣味ですが励みになります2008-07-13 21:55:00 -
432:
◆lZf.ArgVp2
>>445 沈黙。ステファンはこっちをみようともせず目をつむり歌を口ずさみ始めた。いつものラフな格好ではなく黒いスーツを着ている彼はとてもマフィア関係の人間には見えない。昔からどんなにだらしなく着崩していてもどこか品がある男だった。
ドクターと年が近いはずだから40近いか過ぎ位のはずなのに妙に若々しいのは若者特有の飢えたような感じがするからかもしれない。
それは刹那的で暗く、悲しく寂しい。
「…どうしてなんてなぜ聞く?」2008-07-13 22:07:00 -
433:
◆lZf.ArgVp2
目をつむったままステファンはそう言った。それはあたしにではなく違う人に言っているようにも聞こえた。
「知りたいから。」
「知ってどうする?…死ねば ただの無だ。理由なんて意味はない。もういない それだけだろう。」
「無じゃない。」2008-07-13 22:15:00 -
434:
◆lZf.ArgVp2
「思いは残る」
ステファンはゆっくり目を開けた。
「死に意味を求める意味がどこに?ならなぜお前の母親は死んだ?お前の母親の死になんの意味が?あいつが一体何を残した?お前が殺したくせに」
2008-07-13 22:19:00 -
435:
◆lZf.ArgVp2
「なんで知ってるの?」
ステファンはこっちにゆっくり近付いてきて床に散らばるガラスの破片が彼の靴の下で小さくパキンと音をたてた。耳元でステファンが囁く。
「アンジュ、昔話でもしてやろうか」2008-07-13 22:25:00 -
436:
◆lZf.ArgVp2
にっこりと笑うステファンの笑顔は文字通り笑った顔。この状況で向けられる笑顔はあたしに選択肢なんてないことを予告する。
「退屈な…話かもしれないが」
ソファに戻りまた寝そべったステファンは語りだした。姿勢を正すのにソファに座り直すとあたしの靴の下でもパキンと音がして薄い物が砕ける感触がした。2008-07-13 22:32:00 -
437:
◆lZf.ArgVp2
「俺らがこの街にきたのは九年前。仕事できたんだ。医者だった。オーランドと俺とあと一人。この街の救急に派遣されたチームだったんだ。
雨ばっかの来たねー街で職場は怪我人は毎日運ばれて来るわ ベッドは足りねーわ、人手不足だわ、身寄りも金もない奴が運ばれて来るわで。
くっそ忙しい毎日だったよ。オーランドはすごい仕事や街の改善みたいなんにも熱心だったな。俺はやるべき事しかやらなかったけど。」
2008-07-13 22:42:00 -
438:
◆lZf.ArgVp2
「っていうか何にも興味がなかった。この街も九年前まではこんなじゃなかった。まあ柄は良くなかったな。覚えてるか?」
「……まあ、少しは」
「チームの中に一人、むちゃくちゃうっとしい奴がいて。なんか身寄りのない子供を救うとか売春を無くそうだとかいってるような奴で。やたらと燃えてたんだけどこっち来た途端、現状の酷さに面食らって折れちゃってさ。なんか鬱みたいになってだんだんおかしくなっていった。まあどうでもよかったけど。」2008-07-13 22:50:00 -
439:
◆lZf.ArgVp2
「なんか引きこもって研究とかやりだして。もともと新薬かなんかの研究がしてたみたいだし。て、変な思想とかにもかぶれだして、俺はほっといてたけどオーランドは心配してよく様子とかみてたな。
そうして、そいつがすごいもん作っちゃった。これだけどね。」
透明な小さなカケラがビニールのケースにいれられていた。
「……麻薬?」
「そ。」2008-07-13 22:57:00