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◆黄昏の赤◆
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1:
緋恋◆lZf.ArgVp2
この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
赤い光が街を益々汚れたように見せる。
あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。2007-05-28 23:54:00 -
514:
◆lZf.ArgVp2
「………可哀相なひと。」
ステファンが嬉しそうに笑えば笑う程に現実との落差は残酷でしかない。細めてなくなりそうな目には何も映らない。
指の先まで優しく動く抱き締めようとする腕は空しく空中をかいただけ。
2008-07-28 01:44:00 -
515:
◆lZf.ArgVp2
心も身体も疲れ切っていた。痛みで肩だけが上下している。もう涙もでない。
その光景を見ているだけで心が千切れてすり潰される様な思いがした。
もう開き切らない目を閉じた。
これ以上はもう見たくない。
見れたものじゃない。2008-07-28 01:54:00 -
516:
◆lZf.ArgVp2
「ベス、久し振りだろ?アンジュだよ。大きくなっただろう?一緒に会いにいくよ。俺が死んでもお前に会えないから、しょうがないよな?お前がアンジュを迎えにきたらその時お前を捕まえる。そしたら…………もう二度と離さない。」
まるで睦言のように優しく囁く声が聞こえる。そしてカチャリと冷たい金属音も。
銃口がこちらに向られていることなんて目を開くまでもなくわかった。
アメの泣きそうな顔をして笑う顔が浮かんだ。その顔が泣き顔になっていく。
………………泣かないで、アメ。2008-07-28 02:04:00 -
517:
◆lZf.ArgVp2
自分が死ぬ事より、アメが泣く事の方が悲しいと思った。
アメは泣けないから泣かないかもしれない。
アメを一人になんかできない。寂しい目をした子供のようなひとなの。
死にたくない。死にたくない。
あたしは生きる。2008-07-28 02:09:00 -
518:
◆lZf.ArgVp2
また、空気が大きく振動した。
ステファンが何か言ったような気がしたけど聞こえなかった。
2008-07-28 02:12:00 -
519:
◆lZf.ArgVp2
「だめじゃないか、よけちゃ」
渾身の力で横に飛び退いた。脇腹に当たった。最初の時とは比べ物にならない位に血がでている。
銃口がこめかみに当てられる。
今頃になってきて恐怖を感じた。死ぬ事がこんなに怖いなんて、アメを置いていく事がこんなにつらいなんて。2008-07-28 02:19:00 -
520:
◆lZf.ArgVp2
「暴れるなっ…………」
ステファンが倒れる。
「………アンジュ!!!大丈夫か……!?」
2008-07-28 02:22:00 -
521:
◆lZf.ArgVp2
少し離れていただけなのにこんなにも懐かしい。都合良過ぎてあたしは死んだんじゃないかと思った。
「……メ、ァメ……」
アメに抱き抱えられている。いつもなら当然みたいに思うのに、夢みたい、あったかい。
「ラブコメは後にしろ」
ドクターがステファンに銃を突き付けていた。2008-07-28 02:32:00 -
523:
名無しさん
次の更新楽しみにしてます?
2008-07-28 02:37:00