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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 61:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    スープだけの食事を終え、買い出しに行くと言うとアメも着いて来たがった。病人は寝てろと言ったがもう治ったと腕を振り回して無駄な動きをする。
    食事中もただの缶詰めのスープをうまい、うまいと平らげていたし、儚げなのは見た目だけで案外丈夫らしい。                 
    「わっ!!」              
    ドクターがスツールを蹴飛ばしたせいで散らかった床を片付けている途中、アメを見ると普通に着替えていた。                    
    「着替えるならそう言って!!!!」            

    2007-06-05 00:47:00
  • 62:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「純情なんだ?」            
    そう言って唇を片方だけ上げて意地悪く笑う。やはり綺麗なのは見た目だけのようだ。アメの露わになった背中に奇妙な模様を見つけた。              
    「そのタトゥーなに?」        
    「あれ?アンが俺を着替えさしてくれたんじゃなかったんだ?」           
    「着替えはドクターに頼んだよっ!!!」

    2007-06-05 00:54:00
  • 63:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    全く馬鹿じゃないだろうか。着替え終わったら言って、と後ろを向く。その背中に向かってアメが声を投げる。
    「これはねえ…ファスナー。着ぐるみなんだよ、俺は」                 
    できたよとアメが言い、振り返る。今度はアメが後ろを向いていた。できた、と言った癖に着替えてるのはズボンだけで上半身は何も来ていない。
    白い肌の上に浮かび上がる男の骨格。その上にそれとはあまりに異質な間の抜けたタトゥー。正に着ぐるみのように背骨の上に閉じたファスナーがリアルに彫られていて、ちょうど首の後ろ側の骨が突き出している所にジッパーの留め具がある。

    2007-06-05 01:08:00
  • 64:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「中身が出てこないようにしてるんだ。」              
    アメの背中をバチンと叩いた。
    「いってえ!」          
    結構いい音がしたからそれなりに痛かっただろう。どう答えたらいいか図りかねただけの行動だったが、なんだかアメは嬉しそうだ。

    2007-06-05 01:13:00
  • 65:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「小雨だな…」            
    傘も差さずにアメは歩き出す。外はけぶるように細かい雨が霧のみたいに降っていた。白く曇った外気の中浮かぶアメの姿はさながら映画の1コマ。
    この間まで熱を出していた人間がそれでは駄目だろうと隣に行って傘をささせる。                 
    「相合い傘〜」             
    ドクターと二人暮らしなので傘は二本しか無い。よく顔を合わせる近所の住人が珍しい光景に振り返る事、振り返る事…。近くにあるマーケットにつく。生鮮食品でない食料と煙草と酒と日用品が置いてある小さな店だ。

    2007-06-05 03:34:00
  • 66:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    ドクターの酒、サラミとピクルス、パンに缶詰めの魚。あとはお菓子を色々。レジで会計しているとアメが何やら色々抱えて来てドサリとレジに置く。               
    「一緒で〜」
    「いいよ」            
    結局、アメが払った。テレビのコマーシャルに出てくるような“張り切って買い物したひと”になったあたし達は荷物のせいで傘もさせないまま帰った。
    こんなふうに誰かと出かけたりする事は久しぶりだ。

    2007-06-05 03:48:00
  • 67:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    本当に久しぶりで困惑する。暖かくてこそばゆくて…苦い。      
    思イ出シタクナイ…                  
    足を速める。早く家にこもって姿を隠さなければ。もうすぐまた赤い月が顔をだす。                 
    月に見つかってはいけない、
    そんな気がしたのだ。

    2007-06-05 03:56:00
  • 68:

    緋恋◆lZf.ArgVp2





    2007-06-26 03:11:00
  • 69:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    ドクターは温度のない眼差しでアメを見る。                
    「家賃が1日でも遅れたら出ていって貰う。引っ越す金がなかろうが行く先に困ろうが病気になろうが、すぐにだ。」               
    アメはニッコリ笑って、ええ もちろん当たり前の事です。とテーブルの上にヒラリと一枚の紙を置いた。            
    「一年分前払いします。金額はそちらの言い値で構いません。」

    2007-06-26 03:18:00
  • 70:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    長い溜め息を吐くとドクターは付け加えた。               
    「揉め事も無しだ。何かあったら追い出す。その場合先払いの分は返金しないけれども…それでも?」                 
    「構いません。お世話になります。」                  
    アメはこうして、このボロアパートの住人になった。

    2007-06-26 03:25:00
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